著者
坂部 貢 角田 正史 高野 裕久 欅田 尚樹 立道 昌幸 松田 哲也
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「いわゆる化学物質過敏症」患者を対象として、化学物質曝露と身体症状出現の相関性の有無について、自律神経機能の変動を主としてリアルタイム測定した。また、本症の主症状である「嗅覚過敏」の病態解析について、脳科学的な解析を行った。1)総揮発性有機化合物(TVOC)変動と自律神経機能の変動は、統計学的に強く相関した。しかし、TVOCの変動と自覚症状については相関は認めなかった。2)脳科学的解析では、嗅覚刺激による前頭前野の活動が、本症では対照群に比して活発化していることがわかった。本症は、化学物質の毒性学的影響というよりも、「臭い刺激」が契機となる、心身相関を主体とした状態であることがわかった。
著者
日本産業衛生学会アレルギー免疫毒性研究会 土橋 邦生 吉田 貴彦 森本 泰夫 上田 厚 伊藤 俊弘 和田 裕雄 香山 不二雄 佐藤 一博 佐藤 実 柴田 英治 菅沼 成文 竹下 達也 角田 正史 西村 泰光 柳澤 裕之 李 卿
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-8, 2023-01-20 (Released:2023-01-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

健康障害は遺伝要因,環境要因,および両者のinteractionで説明される(Genetic and Environmental interaction),職域における健康障害はinteractionも含めて,環境要因の関与が重要である.と考えられる.その代表的疾患の一つとして職業性喘息が挙げられるが,同疾患は,「職業性アレルギー疾患診療ガイドライン(日本職業・環境アレルギー学会)」により診療の標準化が推進された.本ガイドラインによると,作業関連喘息は職業性喘息と作業増悪性喘息に分類され,さらに,職業性喘息は感作物質誘発職業性喘息と刺激物質誘発職業性喘息に分類される.診断は,まず,作業関連喘息の可能性を疑い就業に関連した問診を実施することが重要であり,そのうえで必要に応じて原因の可能性がある物質を用いた吸入試験を含めた複数の検査結果を基に総合的に判断を下すことになる.治療は,喘息薬物療法に加えて職場環境整備と防護具装着あるいは配置転換等による曝露回避を行う.さらに,災害補償や労災補償に関する社会的リソースの活用も検討を要する.近年,産業技術の発展の結果,新たに人工的に合成された低分子化合物が開発され呼吸器感作性について未知の物質が利用され,あるいは感作性を持つ既存の物質が新たな用途に供されることによるアレルギーが問題となり始めている.例えば,イソシアネートは,NCO基を有する化合物の総称であり,以前より職域における刺激性や喘息様症状等の健康障害が問題として認識されていたが,近年,イソシアネートの用途拡大により日常生活の場でのアレルゲンとしてイソシアネート喘息の原因となることが明らかになりつつある.一般に低分子量化合物は自己蛋白質と結合するため,IgE抗体を特異的に検出することが困難となるが,イソシアネートは例外的に検出可能である.そしてイソシアネートによるアレルギーの事例は,今日の新規化合物への曝露,あるいは既知の化合物の新たな用途による予想外の曝露がもたらす感作と症状誘発する未知のアレルギー反応を含めた様々な健康障害の問題点を啓示している.こうした事実は,作業関連喘息の診断に至る最初の過程である原因物質への曝露と就業状況との関連を「疑うこと」で問診しようとする着想を困難にすると予想される.その解決策として,職域における環境曝露に誘発されるアレルギー,免疫,毒性を機序とする健康障害を扱う領域の研究を遂行するためには,エピゲノムを含む遺伝要因に着目した疫学的アプローチなど多様な研究展開が求められる.
著者
角田 正健 喜多 成价 久保 伸夫 角田 博之 福田 光男 本田 俊一
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.230-237, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

口臭は古くから人々の悩みの種となっている.誰であっても“におい”のない口(呼気)はあり得ないにもかかわらず,他人の反応が気になる.生理的なにおいであっても,時には体調の変化・ストレス・緊張などで強くなることもある.あるいは,自覚症状のないまま進行した疾病が原因で,強い口臭が認められることもある.しかし嗅覚の特殊性から,自分自身でその臭気レベルを知ることは困難である.したがって思い悩むことになる.このような臭気である口臭への対応と,心の病である口臭症に関する日本口臭学会の治療指針を紹介する.
著者
河相 優子 白井 亮洋 角田 正也 井手上 公太郎 末吉 健志 遠藤 達郎 久本 秀明
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.125-131, 2021-03-05 (Released:2021-04-19)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本研究では,インクジェットプリンティングを用いて一つのポリジメチルシロキサン(Poly(dimethylsiloxane), PDMS)製マイクロ流路内に2種類の反応試薬を固定化した1ステップ均一系競合型バイオアッセイマイクロデバイスを開発した.インクジェットプリンターは試薬をナノリットルサイズの液滴として正確な量を位置選択的に吐出するため,互いに反応する2種類の試薬を混ざることなく微少空間内に独立して固定化できる.そのため,先行研究でデバイスを作製する際に課題となった,相互に反応する試薬を固定化した二つのマイクロ流路を精密に組み合わせる操作が不要となる.本研究ではその一例として,ビオチン固定化酸化グラフェン(BG)と蛍光標識ストレプトアビジン(F-SA)を1本のマイクロ流路内に固定してビオチンアッセイマイクロデバイスを試作し,基礎検討として試薬の固定化位置や試薬及び添加剤種の評価を行った.その結果,液滴を流路壁面寄りに吐出すると再現性よく流路底面の両サイドに試薬固定できること,添加剤としてトレハロースが適すること及び,試料導入操作のみでの1ステップ検出で,検出下限は0.68 ng mL−1となり,先行研究と比較して約1/600倍改善することを明らかにした.
著者
富田 幸代 亀山 敦史 渡邉 直子 牧野 麻子 高山 沙織 細井 隆太郎 勢島 典 中西 万理子 色川 大輔 石井 善仁 杉山 利子 齋藤 淳 角田 正健
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.15-23, 2013-03-28 (Released:2014-04-10)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

本研究では,口臭外来を受診した患者の実態,口臭質問票の回答および客観的評価である臭気測定器(オーラルクロマTM)による口臭診断との関連性を分析し,心理的口臭症患者の不安障害の傾向を捉えることができるか検討することを目的とした。対象者は,2009 年 1 月から 2011 年 12 月までに東京歯科大学千葉病院口臭外来を受診した患者 363 名とした。口臭質問票の項目の一部(性別,年齢,口臭の自覚の有無,口臭を意識した時期,口臭を意識するようになった契機,口臭による社会生活や家庭生活への影響,口臭について相談できる人の有無)とオーラルクロマTMによる検査結果の関連性を分析した。臭気測定器による分析は,臭気物質の中で口臭の強弱と強い相関が認められるCH3SH 濃度を指標とし,対象者を臭気レベルを下げるための治療が必要か否かにより,口臭なし群と口臭あり群に分けた。その結果,対象者のうち口臭を自覚する者は 8 割を超えていたが,そのうち約半数は口臭なしと診断され,口臭の自覚と口臭の有無との明確な関連性は認められなかった。口臭の診断,治療には心理的側面も含めた様々な面からのアプローチが必要であると思われた。特に心理的口臭症患者への対応では,エゴグラム等の分析を待たずに,口臭質問票の一部の項目と口臭測定結果から,不安障害を有する患者の傾向をある程度捉えることが可能であると考えられた。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(1):15-23, 2013
著者
角田 正健
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.250-260, 2005 (Released:2005-11-25)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

口臭とは原因が何であろうと,呼気の不快なにおいを意味する.特に,口腔内に起因する悪臭が口臭と言われる.口臭は長い間悩みの種であった.口臭の最も多くの原因が,プラークが関与する歯肉炎と歯周炎であるにもかかわらず,つい最近まで,口臭が歯周病学であまり問題視されなかったことは,驚くべきことである. 口臭の大部分の原因は口腔に関連するものであり,歯肉炎,歯周炎および舌苔が圧倒的な要因であることを,多くの研究結果が示している.口腔内の嫌気性細菌が,L-システインあるいはメチオニンなどの含硫アミノ酸などのタンパク質分解により,硫化水素とメチルメルカプタンを産生する.ガスクロマトグラフによる分析結果から,硫化水素,メチルメルカプタンおよびジメチルスルフィドの揮発性硫黄化合物が明らかになっている.
著者
宮島 江里子 角田 正史 押田 小百合 五十嵐 敬子 三枝 陽一 美原 静香 吉田 宗紀 野田 吉和 大井田 正人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.378-386, 2017 (Released:2017-05-01)
参考文献数
15

【目的】我が国の喫煙率は最近5年は約20%前後と横ばい状態であり、30~40代の労働年代が他の年代に比べて高い。本研究では、禁煙指導や受動喫煙防止のための参考資料を得ることを目的に、喫煙労働者の禁煙無関心者の特徴、非喫煙者への配慮状況、非喫煙労働者の嫌煙意識を調査した。【対象と方法】某2事業所(A, B)の製造業労働者に質問紙票調査を行い、回答に欠損のない815人分を解析した。調査項目は、基本事項(年齢、性別、事業所)、喫煙状況(現在/過去・非喫煙)、喫煙影響の考え方3項目(喫煙者の健康影響、周囲の健康影響、周囲の迷惑)、喫煙者には1日の喫煙本数、禁煙への関心、非喫煙者への配慮、受動喫煙の害の知識、禁煙・減煙の理由、非喫煙者には嫌煙意識(苦痛・気になる/気にならない)を尋ねた。喫煙者の禁煙関心と配慮の有無について、基本事項、喫煙影響3項目、喫煙本数、受動喫煙の知識の有無との関連を、χ2 検定又はFisherの直接確率法で検討した。【結果】喫煙率は44.3%で、喫煙者の48.5%が禁煙無関心者であり、B事業所、1日21本以上喫煙、喫煙者への健康影響意識が低い群に有意に多かった。禁煙・減煙の理由は「健康に悪い」「お金がかかる」「吸いにくい環境」が多かった。非喫煙者へ無配慮は40.7%であり、受動喫煙の知識無の群に有意に多かった。非喫煙者の嫌煙「気になる・苦痛」は91.4%であった。【考察】喫煙率の高い労働年代が多い製造業職場での喫煙率は高く対策が必要である。禁煙無関心者には健康影響の指導が関心を引き出すために有効である。関心者には、健康指導に加え、金銭的メリットや環境整備及び禁煙外来についての情報提供が禁煙に繋がる可能性がある。非喫煙者の殆どに嫌煙意識があり、喫煙者が配慮するようになるためには受動喫煙の害の啓発が有効と考える。
著者
宮島 江里子 角田 正史 押田 小百合 五十嵐 敬子 三枝 陽一 美原 静香 吉田 宗紀 野田 吉和 大井田 正人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.378-386, 2017

【目的】我が国の喫煙率は最近5年は約20%前後と横ばい状態であり、30~40代の労働年代が他の年代に比べて高い。本研究では、禁煙指導や受動喫煙防止のための参考資料を得ることを目的に、喫煙労働者の禁煙無関心者の特徴、非喫煙者への配慮状況、非喫煙労働者の嫌煙意識を調査した。<br>【対象と方法】某2事業所(A, B)の製造業労働者に質問紙票調査を行い、回答に欠損のない815人分を解析した。調査項目は、基本事項(年齢、性別、事業所)、喫煙状況(現在/過去・非喫煙)、喫煙影響の考え方3項目(喫煙者の健康影響、周囲の健康影響、周囲の迷惑)、喫煙者には1日の喫煙本数、禁煙への関心、非喫煙者への配慮、受動喫煙の害の知識、禁煙・減煙の理由、非喫煙者には嫌煙意識(苦痛・気になる/気にならない)を尋ねた。喫煙者の禁煙関心と配慮の有無について、基本事項、喫煙影響3項目、喫煙本数、受動喫煙の知識の有無との関連を、&chi;<sup>2</sup> 検定又はFisherの直接確率法で検討した。<br>【結果】喫煙率は44.3%で、喫煙者の48.5%が禁煙無関心者であり、B事業所、1日21本以上喫煙、喫煙者への健康影響意識が低い群に有意に多かった。禁煙・減煙の理由は「健康に悪い」「お金がかかる」「吸いにくい環境」が多かった。非喫煙者へ無配慮は40.7%であり、受動喫煙の知識無の群に有意に多かった。非喫煙者の嫌煙「気になる・苦痛」は91.4%であった。<br>【考察】喫煙率の高い労働年代が多い製造業職場での喫煙率は高く対策が必要である。禁煙無関心者には健康影響の指導が関心を引き出すために有効である。関心者には、健康指導に加え、金銭的メリットや環境整備及び禁煙外来についての情報提供が禁煙に繋がる可能性がある。非喫煙者の殆どに嫌煙意識があり、喫煙者が配慮するようになるためには受動喫煙の害の啓発が有効と考える。
著者
角田 正健 佐藤 春海 大串 勉
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.490-498, 1981-09-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
21
被引用文献数
9 18

The purpose of this study was to clarify the effect of sodium copper chlorophyllin (Chn.) for halitosis.Volatile sulphur compounds (V. S. C) produced during the incubation of whole saliva were analyzed by gas chromatograph. The changing of leucocytes and epithelial cells in incubated whols saliva were observed using microscope. The effect of anti-bacteria against oral anaerobic bacteria was also observed.The following conclusions were obtained as the result of judging the halitosis control effect of Chn. by its experimental use of the saliva of periodontal patients having halitosis1. By adding and incubating 100mg, 50mg, 10mg and 5mg Chn. respectively into 1ml saliva, V. S. C. were not detected. However, when sampled at 1mg addition under the condition of incubate 36 and 48 hours, a small amount of V. S. C. was detected.2. The destruction speed of cellular components by incubate, in comparision with a controlled group, was not effected by addition of Chn.3. By microscopic observation, cell attachment on obsorption of Chn. were found which suggested its combination with protein.4. Almost any effect of anti-bacteria or bacteria growth prevention against oral anaerobic bacteria of Chn. was not observed.
著者
角田 正健 渡辺 祐作
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.1128-1134, 1988-12-28
被引用文献数
6 1

口臭を客観的に評価する方法としてガスクロマトグラフの応用は極めて有効である。しかしながら,その設備の大きさ,価格などの点で日常臨床での応用には問題点が多い。そこで今回我々は,臨床のチェアーサイドで簡単に使用でき,口臭のレベルをメチルメルカプタンを指標として,ppm濃度で表現出来る口臭検知器を開発した。この口臭検知器は,酸化第二錫を半導体とした臭いセンサーを用い,揮発性硫黄化合物をキャッチした際に生じる電流変化を,マイクロコンピューターにて演算処理して,ppm濃度で液晶表示するものである。口臭患者の呼気をガスクロマトグラフ並びに口臭検知器で分析比較した結果,両者はほぼ同じ値を示し,測定精度の高いものであった。このような成績から,口臭検知器は簡便かつ客観的に口臭のレベルを判定することができ,日常臨床において有用なものであった。
著者
中野 匡子 金成 由美子 角田 正史 紺野 信弘 福島 匡昭
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.535-543, 2002-06-15
参考文献数
16

<b>目的</b> 医学教育の中で地域指向型教育の重要性が指摘されている。我々は,医学部 4 年生の公衆衛生学実習において,小人数グループでの地域指向型教育を 3 年間実施し,実習の教育的効果の評価を試み,今後の実習の方向性を検討した。<br/><b>方法</b> 1. 実習の概要:医学部 4 年生(70~80人)は小人数(2~3 人)グループに分かれ,福島市周辺の保健・医療・福祉・教育等関連施設で週 1 回(約 4 時間),計 3 回実習した。学生は施設の事業に参加し,体験実習の中から,解決すべき健康問題を把握し,施設の取り組みと今後の課題を検討した。施設実習後,学生は,報告会を行い,グループごとの報告書と,個別の自由記載の感想文を提出した。<br/> 2. 評価:平成11年度 4 年生73人(男42人,女31人,平均年齢23.6歳)について,実習の教育効果の評価を行った。1) 報告書の中で学生が挙げた「解決すべき健康問題」と,自由記載の個別の感想文を分類し,実習目的の理解度をみた。2) 社会意識の測定方法である ATSIM (Attitudes Toward Social Issues in Medicine)質問表を用い,実習前後の得点の変化を検討した。ATSIM 質問表は 7 群(社会因子,医療関係者間の協力,予防医学の役割,医師-患者関係,政府の役割,進歩対保守主義,社会への奉仕に対する意識)から構成され,得点が高いほど社会意識が高いと評価される。<br/><b>結果および考察</b><br/> 1. 報告書の中で取り上げられた健康問題は,精神障害者の社会復帰のための環境整備,難病患者の在宅支援,学校での養護教諭と担任らの連携,知的障害児の地域生活のための環境整備などであった。また,個別の感想文においては「現場を体験・実感できた(73人中60人,82.1%)」,「医師として地域の人々や施設とどう関わるか考えることができた(26人,35.6%)」,「予防の必要性に気づいた(4 人,5.5%)」,「回数の増加を望む(5 人,6.8%)」等の意見がみられた。<br/> 2. ATSIM の得点は,7 つの群の各々および総計の平均点に,実習前後で有意な差はみられなかった。<br/><b>まとめ</b> 学生は施設での体験の中から地域の健康問題を把握した。個別の感想文では実習の意図を理解し実習に肯定的なものもみられた。ATSIM 質問表で測った社会意識には,実習の前後で有意な変化はみられなかった。今後,施設の選定,実習時間,学内での討論方法,評価法などに修正を加え,「公衆衛生の精神を体得した」医師養成のために,より有効な教育形態としていきたい。
著者
角田 正 永坂 茂之 飯柴 耕一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.1683-1686, 2004-08-20

This paper describes the outline and the operation results of GSHP system by using groundwater in the shallow layer. This system uses rainwater as heat medium and exchanges heat by using non-potable water pit and horizontal pipes around the pit under ground. The construction cost of horizontal pipe system is about 20% of vertical pipe system, and it's expected that horizontal system will be used widely in Japan. As a result of operation, the using ratio of geothermal energy is 84% in cooling period and 75% in heating period respectively, and the maximum capacity of geothermal use is 132kW. The characteristics of heat exchange by horizontal pipes are also described.
著者
中川 種昭 島田 篤 宮下 博行 坂下 顕照 北村 秀和 大島 みどり 島 信博 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.907-915, 1992-12-28
被引用文献数
22 1

本研究は,各種電動歯ブラシを用い,ヘッド部の動きの違いによるプラーク除去効果および手用歯ブラシとの比較検討を行った。被験者は東京歯科大学学生(平均23.6歳)10名とし,刷掃時間は3分とした。プラークの付着状態を各条件のブラッシング前後で比較した結果,毛束反復回転式の電動歯ブラシが最も高いプラーク除去効果を示し,特に隣接面部,舌面部において高い刷掃効果を示した。円形植毛部反復回転式も手用歯ブラシと比較して統計学的に有意に高い除去効果を示し,隣接面における刷掃効果も比較的高かった。他の電動歯ブラシも手用歯ブラシと同程度以上のプラークの除去効果を示した。本研究の結果,各種電動歯ブラシは手用歯ブラシと同程度かそれ以上のプラーク除去率を示し,プラークコントロールの一手段として有効であることが示唆された。
著者
中川 種昭 磯部 秀一 池上 暁子 林 真理 渋川 義宏 住井 浩剛 高橋 潤一 轟 啓造 山田 真美 大串 勉 佐和 正彦 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.674-680, 1993-12-28
被引用文献数
13 4

2種類の電動歯ブラシと手用歯ブラシを用い,任意刷掃時間と3分におけるプラーク除去効果および手用歯ブラシの刷掃技術レベルの違いによる電動歯ブラシの刷掃効果について18名の被検者を用い検討した。その結果,電動歯ブラシにおける任意刷掃時間は,毛束反復回転式で平均7分3秒,ユニット運動式で7分22秒で,従来規定することの多い3分より長い時間であった。そのプラーク除去効果は3分と比較して10〜15%高く,その差は多くの被検者で舌側,隣接面といったプラークコントロールに重要な部位に認められる差であり,電動歯ブラシにおいてもある程度長い刷掃時間が必要であることが示された。また,手用歯ブラシの刷掃技術レベルの高い群と低い群での電動歯ブラシのプラーク除去効果について調べたところ,その刷掃効果は同程度であり,手用歯ブラシの刷掃技術が低い患者に対して電動歯ブラシの使用がとくに有効であることが示唆された。