著者
齋藤 満
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究成果の概要(和文):我々は腎代償性肥大(片腎摘除後に残腎が腫大し腎機能が亢進する現象)を起こす生体腎移植ドナーから摘出された移植腎機能は、代償性肥大がないドナーから摘出されたそれと比較してその移植腎機能は有意に良好、という結果を得ている(Saito M et al,American Transplant Congress 2007)。この結果からIGF-1やGHといった組織増殖因子(やその受容体)の遺伝子多型が、ドナーの残腎代償性肥大発生に関与するかどうか、そしてそれらが移植腎機能や生着率に与える影響などについて解析を行った。またドナーの予後調査も行い、残腎代償性肥大発生がドナーの腎機能や生命予後に与える影響などについても併せて検討した。結果的には、今回我々が調査した組織増殖因子(やその受容体)の遺伝子多型と、ドナーの残腎代償性肥大発生、移植腎機能、移植腎生着率などとの関連性は見いだせなかった。またドナー腎摘出後の腎生検標本における、組織増殖因子(とその受容体)の免疫染色では、ほとんどの標本が陰性であり解析不能であった。ドナーの予後調査については、ほぼ全てのドナーにおいて残腎機能は良好のままであった。腎機能が悪化した、あるい他因死したドナーと残腎代償性肥大発生との明らかな関連はみられなかった。
著者
伊藤 佐知子 神林 崇
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢健常者14名を対象に、ゾルピデム(マイスリー、アステラス社)5mg,塩酸リルマザホン(リスミー、塩野義社)1mg、トリアゾラム(ハルシオン、ファイザー)0.125mgの一回服用における翌日の運動機能と認知機能について、プラセボとの比較試験を行った。その結果、客観的指標に関してはゾルピデム5mgが良好な結果を示し,主観的評価についてはトリアゾラム0.125mgが良好な結果を示していた。これにより、睡眠導入剤の就寝前一回服用における高齢健常者の運動機能と認知機能の変化について、プラセボとの二重盲ランダム比較試験によって(1)半減期においては、超短時間型で、(2)ω1選択性の有る、(3)ノンベンゾジアゼピン系の睡眠薬が高齢者に好適な薬剤である可能性が高いことが示唆された。
著者
肥田 登
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1. 平成18, 19年度に引き続き, 20年度も本研究課題にそった実験と記録の採取を秋田県六郷扇状地扇(央部は39°25'N, 140°34'E)において継続・実施した。扇状地は, 東西約4km, 南北約5km, 扇頂の標高は90〜100m, 扇端の標高は約45m, 約100m厚の帯水層は主に砂礫から成り, 透水係数は10^0〜10^<-2>cm/sec, 比産出率は10%強である。扇状地の地下水循環の特性を活かし, 地下水人工涵養池(扇央部 : 39°25'00"N, 140°34'05"E,標高68.0mにある)により地下水の人為的強化を試みた。2. 水頭の上昇について : 扇央の野中(39°25'02"N, 140°33'55"E)のピエゾメータにおいて明確な記録を採取し, 時間差をおいて扇端の馬町(湯川)(39°25'18"N, 140°33'03"E)のピエゾメータにおいても上昇の反応が現れた。3. 人工涵養池に給水する水温の影響が野中, 馬町(湯川)の各ピエゾメータ地点にどのように及ぶのか, この点の記録が一部収得された。特に低水温を人工涵養池に給水すると, 扇央と扇端の双方とも20m深ピエゾメータの地下水温の記録に特徴的な現象が現れた。低温の湧水を地下水の涵養源として再利用する際に参考可能な基礎データである。4. 本研究で目指した「地下水循環系の人為的強化」は可能であることが確認された。その成果の一端は, 裏面の「研究発表」欄に記したHida(2009)で公表したとおりである。5. 本研究は, 今後, 人工涵養池に給水する水を増やすことによって, さらに有効な研究へと発展させられる。民家の屋根の雪, 生活道路の雪を地下水で融かし, 揚水した地下水と融雪水を併せて人工涵養池の水源に充てる。この試みにより給水量を増すことは可能である。地下水保全と高齢化社会における除排雪という難問の解消とを統括した研究へ発展させられる。今後の新たな研究課題としたい。
著者
遠藤 巖
出版者
秋田大学
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.59-62, 1992-03
著者
遠藤 巌
出版者
秋田大学
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-20, 1988-03
著者
金子 拓
出版者
秋田大学
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.42-59, 2007-03
著者
塩谷 順耳
出版者
秋田大学
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.24-41, 2007-03
著者
武村 史
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ナルコレプシー確定診断のために現在は、ルンバールにより脳脊髄液を採取して、オレキシンの測定を行っているが、侵襲性の高い検査であり、血液や尿による測定と確定診断が可能になることが望まれる。今回の研究では、50mlの尿からの抽出や、通常測定の10-20倍の検体量による血清中のオレキシン測定を試みた。共に測定値の検出はなされたが、類似の物質を測っていると考えられて、より高い選択性を持った抗体が必要と思われた。
著者
Donald・C Wood
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

I have made considerable progress over the last two years. The core project of my research - the translation of Yoshida Saburo's 1938 book - is nearly complete. About 75% of it has been typed, and about the same percentage of the illustrations have been prepared (including the original photographs). However, because it is an extremely complex document - illuminating the life and community of a small-scale subsistence farmer and his family through a sequence of daily entries spanning the period from March of 1935 to March of the following year - there is still much work to do. During the final year, more typing will be done, and the final work on the illustrations and proofreading and editorial adjusting will be completed. Also during the final year, a publisher will be sought for the English language version.
著者
原田 忠 西沢 理
出版者
秋田大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

形状記憶合金ニテノールを使用した新しい人工尿道括約筋およびpenileprosthesisを試作した。人工尿道括約筋の構造は、馬蹄状にした一方向記憶ワイヤーあるいは二方向板バネの周囲に加温用ニクロム線を巻きつけ、これをシリコンゴムで包埋したものである。またpenile prosthesisは一方向記憶合金を束ね、その周囲に加温用ニクロム線を巻きシリコンゴムでシリンダ一状に包埋したものである。これらのprosthesisは直流電源あるいはバッテリーによって加温されると、あらかじめ記憶させた形状に変態動作し、目的を達するよう工夫されたものである。加温電力,変態時間,応用,表面温度を基礎的に検討したが、いずれも問題なく、またpenile prosthesisは適度な擬弾性が認められ臨床的使用に耐え得るものと考えられた。また犬を用いた人工尿道括約筋埋め込み実験からは、排尿,蓄尿という二つの作用が本デバイスによってコントロールされることが確認された。
著者
佐藤 香織
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学国際交流センター紀要 (ISSN:21869243)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.17-26, 2012-03

本稿では中上級の42名の日本語学習者に文産出課題を課すことにより,「ように」を用いた「命令,依頼」の内容を示す間接話法の習得状況の一端を探った。さらに,日本語教科書や参考書等での「ように」を用いた間接話法のこれまでの取り扱われ方等についても検討し,効果的な文型提示や指導法について考察した。間接話法がふさわしい文脈において「ように」を用いた間接話法を産出できた学習者は全体の20%程度であり,習得状況は決して良いとは言えない。1級合格者については半数弱が「ように」節を産出することができていたが,語用論的に不適切な「ように」節の産出も見られた。また,1級合格者の残りの半数は「と」節を用いた直接話法の文を産出していた。このことから,直接話法よりも間接話法がふさわしい状況があることを理解させた上で,待遇表現の調節も含めた適切な「ように」節が使用できるような運用練習を行っていく必要があると考えられる。
著者
柴田 ひろみ
出版者
秋田大学
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.p51-66, 1995-03
著者
廣瀬 圭
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,スキー・ターンの運動を明らかにするための解析法の開発と実際の雪面を滑走するスキーヤーによる計測実験を行い,これまで示されていなかった新しい運動情報を示した.計測システムは,慣性センサ・地磁気センサを搭載した運動計測システムとGPSレシーバを搭載した滑走軌跡計測システムを開発し,得られた計測情報からスキーヤーの関節角度,滑走速度を推定する方法を構築した.計測実験は,カービングターンとスキッディングターンについて行い,運動解析を行うことによりターンの違いによる運動の違いを定量的に示した.
著者
柴田 浩行 岩渕 好治
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

クルクミンアナログGO-Y030、及びGO-Y078が各種mRNAやmiRNAに与える影響を調べた。大腸癌細胞株では41,058種のmRNAのうち、GO-Y030で発現が増減するものにBCL-2, c-Myc, TP53などが含まれる。また、2,669種のmiRNAのうち、GO-Y030で28種、GO-Y078で11種の発現増強を認めた。GO-Y078によって血管内皮細胞株で発現が変動するmRNAは200%以上の発現増強が470種、50%以下の発現低下が243種あった。GO-Y030でhas-miR-19b-3pの発現が亢進した。また、GO-Y078によって5種類のmiRNAの発現が低下した。
著者
吉野 裕顕 田村 真通 蛇口 達造 加藤 哲夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

[方法]正常羊胎仔群(N=6):胎令125〜140日の羊胎仔に対し、頸動静脈を介し、膜型肺を用いたV-A ECMOを施行、臍帯を遮断後、胎仔を人工羊水槽へ移し、6〜24時間保育した。横隔膜ヘルニアモデル群(N=3):胎令75〜80日に横隔膜ヘルニアを作成、胎令135日にV-A ECMO下に横隔膜ヘルニアを修復後、正常羊胎仔と同様に人工子宮にて6〜24時間保育した。上記2群について、ECMO前、臍帯遮断後人工子宮内保育時、肺呼吸開始さらにECMOからの離脱時と経時的に血液ガスの変化を測定するとともにドップラーエコーにて動脈管径と肺動脈の血流量を測定し、正常羊胎仔群ならびに横隔膜ヘルニアモデル群について胎児循環より新生児循環への適応状況について検討した。[結果]1、頸動静脈V-A ECMOを用いた人工子宮内保育では正常羊胎仔、横隔膜ヘルニアモデルとも動脈管の径は減少し両方向性のシャントを呈したが、胎仔の循環動態は良く保たれていた。2、肺呼吸により、正常羊胎仔では動脈管の右-左シャントは、左-右優位となり、肺動脈の血流量は増加したが、横隔膜ヘルニアモデルでは有意な肺動脈血流量の増加は認めなっかった。3、胎令135日以上の胎仔では肺呼吸後の循環動態の適応は良く、人工子宮からの離脱が可能であったが、135日未満の胎仔および横隔膜ヘルニアモデルではPaO_2の上昇は不良でECMOフローを低下させると容易に胎児循環遺残へと移行し、早期のECMOからの離脱は困難であった。4、人工子宮内保育羊胎仔の肺組織には出血、無気肺、肺硝子膜症などの所見はなく、人工子宮内保育による明らかな傷害は認めなかった。[まとめ]V-A ECMOによる人工子宮内保育は胎児期の動脈管の変化の影響が少なく、肺呼吸後は胎児ECMOから新生児ECMO管理へと速やかに移行でき胎児治療の上で有用と思われた。また横隔膜ヘルニアモデルでは今後、修復後の人工子宮内保育による肺の発育、成熟に関する検討が必要である。
著者
竹田 正秀
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今回我々は、細胞膜エストロゲン受容体であるGPR30の喘息病態への関与を検討した。喘息マウスを用いた研究では、GRP30アゴニストであるG-1投与によって、アレルギー性の気道炎症や気道抵抗の抑制が認められた。この現象は、IL-10ノックアウトマウスでみられず、GPR30がIL-10を介して喘息病態に関与することが示唆された。一方でヒト好酸球を用いた研究においては、G-1投与によって、IL-5非存在下では、好酸球の生存延長、IL-5存在下では、生存抑制的に作用した。今後さらなる検討の余地を残してはいるが、GPR30が喘息病態において機能的な役割を果たす可能性が本研究によって示唆された。