著者
高須賀 俊輔
出版者
秋田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

ホスファチジルグリセロールリン酸(PGP)は、カルジオリピンの前駆体として知られるミトコンドリアにあるグリセロリン脂質の一つである。我々は、このPGPの独自の生理機能の解明を目的にして、PGP結合タンパク質の同定を試みた。その結果、既知の脂質結合ドメインを有するミトコンドリアタンパク質は、いずれもPGPに結合しないことが明らかとなった。PGP結合タンパク質は新規のリン脂質結合ドメインを有している可能性が示唆された。
著者
神林 崇
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1)傍正中視床下部の脱髄性病変により2次性にオレキシン神経が障害された過眠症の報告は多くなされているが、なぜ視床下部の正中部が特異的に障害されるのかが非常に不可解であった。2004年にMSのサブタイプであるNMO(OSMS)に特異的に検出される自己抗体(NMO-IgG)が発見された。その後NMO-IgGの標的抗原は脳内の水分子チャネルであるアクアポリン4(aquaporin-4, AQP4)であることが見出された。Pittock(2006)らはNMO-IgG陽性患者の脳病変についても検討しており、間脳・視床下部と第四脳室周囲の病変の分布が、AQP4の高発現部位に一致すると報告している。当初は視床下部脱髄の7症例の血清を検討したところ、3例でAQP4抗体が検出された(Kanbayashi2009)。視床下部の病変はAQP4抗体の免疫反応により引き起こされたものと考えている。その後も継続的に症例の集積を進めて、10例以上のAQP4抗体陽性例を集積しており、傍正中視床下部脱随による、2次性の過眠症の一つの疾患概念を確立しつつあると考えている。(2)ナルコレプシーでの脳内鉄代謝とむずむず脚(RLS)/周期性四肢運動障害(PLM)の病態の検討:PLMの有病率はナルコレプシーでは25-50%と非常に高率に認められる。加えてRLS/PLMでは脳内の鉄イオンの減少が原因のひとつであり、髄液中のフェリチンが低値でトランスフェリンが高値と報告されている。PLMの合併の多いナルコレプシーでの、鉄代謝の変化を調べるためオレキシン欠損のナルコレプシー患者のCSFでフェリチン、トランスフェリン、鉄イオンの測定を行った。RLSの患者の場合とは異なり、フェリチンは健常群と差が無いが、トランスフェリンと鉄イオンはむしろ有意に高値であった。特に約3割の患者では大幅に逸脱した数値であった。脱力発作の有無やHLAタイピングは鉄代謝には関連が認められなかった。オレキシン神経系が脱落することによって、脳内の鉄代謝の調節機構が機能不全に陥るのではないかと考えている。
著者
成沢 富雄
出版者
秋田大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1985

研究目的:プロスタグランジン合成阻害剤が化学発癌剤誘発ラット大腸発癌のプロモーション期を阻害して、その発生を阻止する。大腸粘膜におけるプロスタグランジン産生の阻害が原因であると考えているが、その確証はない。プロスタグランジン合成阻害剤の抗プロモーター作用の機序を追求する。研究計画:ラットを用いた発癌実験でプロスタグランジン合成阻害剤インドメサシンの抗プロモーター作用の病理学的解析を、ラット大腸粘膜のオルニチン脱炭酸酵素活性を指標として胆汁酸デオキシコール酸のプロモーター作用、インドメサシンの抗プロモーター作用、プロスタグランジン【E_2】のプロモーション誘発作用を解析する。研究成果:発癌剤N-ニトロソウレア注腸投与による発癌イニシエーションを終了したラットにインドメサシン水溶液を飲水として実験終了まで自由に摂取させた。インドメサシン非投与ラットに比べテ、大腸癌発生率、発生個数は有意に減少した。インドメサシン投与は、大腸粘膜の注腸投与デオキシコール酸誘発のオルニチン脱炭酸酵素、プロスタグランジン産生を有意に低下させた。プロスタグランジン産生阻害の代償としてプロスタグランジン【E_2】を注腸あるいは皮下投与したラットでは、本酵素活性はデオキシコール酸注腸投与のみのそれに近い値まで回復、上昇した。以上の結果から、胆汁酸が大腸粘膜におけるプロスタグラン産生とオルニチン脱炭酸酵素活性を亢進させ、プロスタグランジン合成阻害剤が前者を阻害することによって、後者の発現の抑制と大腸発癌のプロモーションを阻止することが明らかとなった。すなわち、プロスタグランジン【E_2】がプロモーション誘発に直接介在していると推論できる。
著者
吉永 慎二郎
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

吉永の本研究は、春秋経は春秋左氏経が原型で(公羊経や穀梁経はこれより派生)、その「春秋左氏経」は、解経と凡例等以外の史伝文として今本左伝に残存する「原左氏伝」テキストから、抽出・編作の手法に拠り成立したものであるとの仮説を提示する。この仮説では全春秋左氏経文は、(1)抽出文、(2)抽出的編作文、(3)編作文、(4)無伝の経文という四種類型文に分類し得る。隠公~文公期の全経文の分析では抽出系即ち(1)抽出文(23.9%)と(2)抽出的編作文(25.9%) とが約49.8%、編作系即ち(3)編作文(17.7%)と(4)無伝の経文(32.5%)とが50.2%との結果となった。この結果は吉永の仮説を傍証するものと言える。またこの「原左氏伝」と「春秋左氏経」との関係は、『資治通鑑』と『資治通鑑綱目』との関係に比定し得ることを明らかにした。
著者
上村 佐知子 下田 裕子 近藤 直樹 津曲 良子 佐々木 誠
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13478664)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.52-57, 2005-03-31

本研究の目的は,身体活動能力の低下を伴う痴呆患者における愛他的行動の出現頻度や出現内容を観察するとともに,愛他的行動の出現が痴呆の重症度・症状類型やセルフケアの自立度と関連するかを明らかにすることである.一般総合病院で理学療法を受けている入院痴呆患者39名を対象に,1ヶ月間の愛他的行動の出現を観察し,また,改訂版長谷川式簡易知能評価スケール(以下HDS-R)と高齢者用多元観察尺度(以下MOSES)を用いて,痴呆の重症度と社会活動性を評価した.愛他的行動の出現頻度は1〜45回,1回も出現しなかった患者は2名であり,総数では605回の愛他的行動が観察された.愛他的行動の出現頻度は,HDS-Rとの間に相関関係を認めなかったが,MOSESの総点との間に有意な相関関係を認めた.愛他的行動の出現頻度に最も影響するMOSESの下位尺度は「引きこもり」と「イライラ感」であった.結果より,痴呆患者においても少なからず愛他的行動が残存し,それは引きこもりやイライラ感が少ない者で多く観察されることが示された.
著者
柴山 敦 WILLIAM Tongamp
出版者
秋田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

近年,銅鉱石中の不純物(ヒ素、アンチモン、フッ素など)が世界的に増加する傾向にある。本年度の研究では,選鉱プロセスで広く用いられる浮遊選鉱法(浮選)と,アルカリ浴で硫化剤を用いた浸出処理,さらに浸出后液からのヒ素やアンチモンの沈殿晶析の可能性を検討し,不純物を選択的に除去する技術の調査研究を行った。まず浮選では,pH4,捕収剤アミルキサントゲン酸カリウムを50g/t-ore,起泡剤メチルイソブチルカルビノールを200g/t-ore添加することで,鉱石中に含まれるヒ素の93%を浮上分離することができた。これらについては、ヒ素を含む主要鉱石の硫砒銅鉱が、他の鉱石に比べ疎水性並びに浮遊性に富むことが影響し、比較的早い浮上速度で分離されていることを究明した。一方、浸出法および沈殿法による高ヒ素含有銅鉱石からのヒ素の選択除去を行った結果,パルプ濃度1,000g/L,NaOH100g/L,NaHS200g/L,80℃での浸出により,鉱石中に含まれるヒ素の95%を浸出することができた。また,浸出后液に固体硫黄S^0を添加することで,液中に含まれるヒ素の約70%を沈殿物として回収することが可能であり,沈殿物はNa_3AsS_4として晶析することが確認された。またアンチモンが共存する四面銅鉱(Tetrahedrite: (Cu,Fe)_<12>(Sb,As)_4S_<13>)に対して同様のアルカリ浸出を行った結果、ヒ素に比べアンチモンの方が浸出速度が速く、浸出初期では浸出率が上回ることを確認し、チオアンチモンナトリウム塩の沈殿生成の可能性を見出した。これらの実験結果を通じ,浮選におけるヒ素含有鉱石の分離効果と影響因子,あるいはヒ素およびアンチモンの選択浸出の可能性と沈殿生成条件を論考し,化学的あるいは反応論的考察のもと、不純物除去につながるプロセス技術を究明することができた。
著者
肥田 登
出版者
秋田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

主たる研究対象域を秋田県六郷扇状地・39°25′N, 140°34′Eに置いて実施した。成果等は次のとおりである。1.地下水熱を利用して,居住空間の内,玄関周辺の生活道路に積もる雪と屋根の雪下ろしによって軒下に山積した雪の双方を同時に除排雪するための小実験を実施した。2.熱利用を終えた地下水と融雪によって生じた積雪水量の一部を地下水人工涵養池へ還元することが可能である。3.地下水位,地下水温の観測記録を蓄積した。4.本研究の応用範囲の可能性を日本に限らず東南アジアを含めて検討した。5.研究の成果,学実的及び社会貢献的な意義は有効であり,成果の一部はすでに複数の国際会議で公表済みである。
著者
吉岡 尚文 石津 日出雄 勝又 義直 塩野 寛 中園 一郎
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

旭川、秋田、名古屋、岡山および長崎の5地域につき、自殺者と対照群(現在健康に生活している男女)を対象にセロトニンレセプター1A遺伝子(5HT1AR)多型およびトリプトファンハイドロキシレース遺伝子(TPH HTH)イントロン7の2つの多型(HTH A779C、A218C)検索を行った。これら多型の出現頻度は対照群において地域差や性差は認められなかった。各地域の自殺者サンプル数が少ないため、地域ごとの統計解析は行わず、5地域全体をまとめた2群間の解析を男女別、年齢区分別に行った。5HT1AR型では、男女別、年齢区分別に観察したが、自殺者群と対照群との間で有意差は認められなかった。HTH A779Cでは男性には両群間の有意差は認められなかったが、女性において自殺者群のUU型が有意に多く、UL型が有意に少なかった。また、60歳未満の女性自殺者群ではUU型が有意に多かった(P=0.017)。HTH A218Cでは、男性には両群間の有意差は認められなかったが、女性において自殺者群のAA型が有意に多かった(P=0.038)。HTH A779C型とA218C型のハプロタイプでみると、地域による差は見られず、男子での両群間の差は認められなかった。しかし、女性では自殺者群にIL-AC型が有意に多かった。また、女性を年齢区分でみると、60歳未満では自殺者群にUU-AC型が有意に多かった(P=0.02)。以上の結果から、男性には遺伝子型による両群間の差は見られなかったが、女性の自殺者群と対照群とを比較すると、HTH A779C型ではUU型が、A218C型ではAA型が自殺者群に多く見られた。また、ハプロタイプでも女性の自殺者群でLL-AC型や60歳未満でUU-AC型が対照群に比べ有意に多くみられた。本研究により、脳内アミンの遺伝子が何らかの形で自殺行動と関連性を有していることが示唆された。
著者
吉岡 尚文 津金澤 督雄 石津 日出雄 辻 力 山内 春夫 鈴木 庸夫 高浜 桂一
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

自殺率の高い県、低い県あるいは全国平均並みの県等、14県を対象に、平成元年から7年までの7年間の自殺者の総計約31500例(男性19800、女性11700)につき、各県警察本部の協力を得て、個々の内容を詳しく調査し、統計学的に分析、考察した。その結果以下の点が明らかとなった。*秋田県、新潟県、岩手県はどの年も自殺率が極めて高く、交通事故による死亡者の2〜3倍の数である。一方、石川県、滋賀県、三重県、岡山県の自殺率は常に低い。*男女とも高齢者群での自殺者が多い。また、男性では働き盛りの年代での自殺も多く、経済的要因が背景となっている。*高齢者の自殺の背景は病苦とされているものが大部分である。しかし、それが真の動機となった例は少ない。壮年〜中高年では精神疾患を有する人の自殺が多い(女性で顕著)。*自殺の手段はどの年齢層でも縊頸が多く、特に高齢者で顕著である。*自殺者の内、独居者の占める割合は極めて少ないが、独居者の自殺は独居5年目以降で多くなる。*季節的にみると、春から初夏にかけて多く、冬期間はむしろ少ない。以上より、差し当たり着手すべきは、高齢者ならびに精神科的疾患を有する人に的を絞り具体的な防止対策を講ずることであろうと考える。例えば、高齢者の相談にのるシステムの徹底と情宣、市町村単位での自殺防止運動の展開、精神科医を含め医療関係者の自殺防止への積極的な取り組み、マスメディアの自殺防止キャンペーンへの協力などの他、優先されるべきこととして、家庭内、家族内での内面問題の解消が挙げられる。これらと併行して老人自身の自立心向上、精神面の教育がなされる環境を整えることも肝要である。
著者
土岐 仁 廣瀬 圭
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では実滑走におけるスノーボーダーの運動計測とターンのメカニズムを解明するためのシミュレーションモデル開発のために運動解析を行った.慣性センサ・地磁気センサを搭載した運動計測システムと6軸力センサを搭載した雪面反力計測システムを用いてスノーボーダーの運動計測と動力学的解析を行い,スノーボーダーが発揮している力について明らかにした.さらに,スノーボーダーの拘束感を軽減するために,小型力センサを搭載した新しい雪面反力計測システムの開発を行い,異なるスキル(初級者と上級者)のスノーボーダーによるターン中の雪面反力計測を行うことによりターンのシミュレーションモデルを開発するための重要な要素を得た.
著者
篠原 秀一
出版者
秋田大学
雑誌
秋田地理
巻号頁・発行日
vol.23, pp.12-21, 2003-03

東アジアにおけるサメ類の水穫資源としての多面的な利用を探る研究の一環として、香港におけるフカヒレ流通の地域性を概観する。統計資料を参考にしっつ、フカヒレ商業の中心地である上環・西営盤地域を野外調査の主要対象地域とした。原資料は、2001年12月と2002年9月から12月までの断続的な実質約10日間の地域調査によるC サメ類およびフカヒレに関する統計資料は実態把握率が低いと一般に言われるが、大まかな地域傾向を知る手かかりとした。
著者
宇野 力 平田 賢太郎 鈴木 正明
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

統計的な推測の問題の中には、あらかじめ定めた標本の大きさでは解決できないものがある。例えば、ある母集団の平均に対する信頼度95%の幅一定の信頼区間を構成する問題がそれに該当する。この場合には、標本の大きさを確率的に与える逐次標本抽出法により問題を解決できる。本研究では、分散の下限情報が与えられたとき、二段階法という推定方式の性能を評価することに取り組み、先行研究よりも精確に評価する理論を構築できた。
著者
五十嵐 隆治
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

現在重要なインフラとなっているインターネット上で悪意あるトラフィックが疎通した場合、これは異常トラフィックとして検知できる。インターネットトラフィックはランダム時系列であり、異常トラフィックが混在していないときには2次の自己相似過程に従っている。R/Sポックスダイアグラムはこの自己相似パラメータ推定に用いられるものであるが、異常トラフィック混在時には独特な散布形状を呈する。 本研究ではこの散布形状を異常トラフィック検知に援用し、異常トラフィックを検知し得ることを見出した。
著者
大口 健志 石山 大三 水田 敏夫 林 信太郎 佐藤 比呂志 石川 洋平 佐藤 時幸
出版者
秋田大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.脊梁山地,出羽山地,男鹿半島域などに分布する台島-西黒沢期火山-堆積岩相について層位学・火山地質学的研究を行った結果,つぎのことが明らかになった;(1)新庄盆地北端部の模式地に露出する及位層から台島型に属する可能性の高い植物化石が発見され,さらに,秋田県南部の層序との連続からしても及位層の大部分は台島層に対比できること,(2)東北日本内帯における台島-西黒沢期末期の生層位学的対比基準面として扱われ,同時異相と考えられていた須郷田層と大森層は,互いに上(大森層)・下(須郷田層)関係にあり,石灰質ナンノ化石分帯のNN4-5帯に須郷田層が対比されること,(3)秋田一庄内油田域に伏在する西黒沢期玄武岩類は須郷田層の形成期間内に急激に噴出したこと,(4)寒河江川流域の大規模珪長質火山作用は大森層と同様,NN6/5境界以降に出現した陥没域で始まったこと,(5)男鹿半島の台島層(藤岡,1959)は下位から上位へ,帆掛島石英安山岩,館山崎玄武岩,館山崎緑色凝灰岩,台島層主部に4分され.広域火砕岩である帆掛島部層を不整合に被う館山崎玄武岩部層以降を台島層として扱うのが妥当であること。2.背弧海盆拡大期に活動した砂子淵層玄武岩類の層相解析から,多量のマグマ水蒸気爆発起源の火砕物質によって特徴づけられる砂子淵層は,乾陸から半深海性の海進にともなう堆積環境下において,当時の汀線付近で継続的に行われた火山作用によって形成されたものであることが判明した。3.北鹿・黒鉱鉱床形成期前後の玄武岩類と,砂子淵層玄武岩類は共通した岩石化学的性質を示し,back arcbasaltと類似している。黒鉱鉱化溶液の生成には玄武岩類からの金属元素の抽出が寄与したらしい。砂子淵層および新潟平野・七谷層の水冷玄武岩のrim部における発泡度は,由利原油・ガス田のものとくらべて低い。
著者
野堀 潔
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Double transgenic mice crossed GFP-LC3 transgenic mice with alphaMyHC-mCherry-LC3 transgenic mice are a new and useful tool to examine the role of autophagy in the heart. Terada M, Nobori K, et al. Circ J. 2010 Jan;74(1):203-6.上記論文にて報告した我々が作製したalphaMyHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスを、理化学研究所・バイオリソースセンターに寄託した。C57BL/6-Tg(Myh6-mCherry/LC3)1Acvmという名称で登録となり、2011年5月のRIKEN BioResource Center Mouse Mail Newsにて、Mouse of the Monthとして取り上げられた。alphaMHC-mCherry-LC3トランスジェニックマウスとGFP-LC3トランスジェニックマウスとのダブルトランスジェニックマウスを利用した上記論文に記載したオートファジー解析方法により、心不全を発症するデスミン心筋症モデルマウスα-β-crystallin R120Gにて、オートファゴゾームとライソゾームとの融合障害が起きているかについて検討した。
著者
上田 晴彦
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03651649)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.23-30, 2013-03-31

佐藤信淵の天文学の書である『天柱記』には天体に関する独自の考えがちりばめられているため,江戸時代の日本天文思想を考察するうえで重要である。特に地動説については極めて斬新な見方をしているが,その事実がこれまであまり指摘されてこなかった。そのため本論文では「天柱記」の地動説に関する記述に注目し,佐藤信淵の天文思想のどの部分が重要なのかを,他の天文書と比較し考察した。またデカルトの渦動説との関係については,その類似性を指摘した。最後に『天柱記』刊行本の太陽図が違っている理由について,現在までの調査で判明したことを報告する。As Noburiho Sato's original idea about a heavenly body is inlaid into "Ten-tyuu-ki", it is important to know astronomical thought of Japan in Edo period. Although original descriptions about the Corpenican theory in "Ten-tyuu-ki" are very important, this fact has not been pointed out clearly until now. We therefore focus on descriptions about the Corpenican theory in "Ten-tyuu-ki", and examine the important idea of Nobuhiro Sato by comparing with other astronomical documents. Moreover, the similarity is pointed out between Nobuhiro Sato's idea and vortex theory of Descartes. We finally report the reason of the difference of solar figure between publication books of "Ten-tyuu-ki".
著者
西田 眞 景山 陽一
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,口唇の動き特徴を利用した汎用性の高いヒューマンマシンインタフェースの構築を目的とし,口唇情報の解析およびシステム構築のための要素技術の開発を行った。その結果,(1)口唇の局所形状情報を用いて口唇形状のグルーピング,ならびに対象者の絞り込みが可能であること,(2)口唇の動き特徴のばらつきに着目することで喜びの情動の有無を検出可能であること,(3)発声が口唇の動き特徴に影響を及ぼし,発声状態を考慮することでコマンドの認識率を向上可能であることなどを明らかにした。
著者
北島 英樹 武田 篤
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.75-87, 2009-05-30

近年,AAC(AugmentativeandAlternativeCommunication)が注目されるようになり,自閉症児に様々なAAC手段を活用したコミュニケーション指導が行われるようになってきたそこで本研究では,特別支援学校の教員を対象に,自閉症児のコミュニケーション能力を高めるために,どのようなAAC手段を活用しているか,また,指導にあたる教員のAACに関する意識について調査をすることとした.結果は以下の通りである.1)自閉症児へのコミュニケーション指導は,小学部・中学部・高等部のいずれの学部でも,特定の時間を設けて指導するよりは学習全般をとおして行っていた.2)教員が有効と思うAAC手段としては,絵や写真カードは多かったが,マカトンサインやVOCAは少なかった.有効と思うこれらのAAC手段について,学部の問に差を認めなかった.3)自閉症の教育を推進する特別支援学校では,他の学校に比べ,教員のAACに関する知識や理解も高く,積極的な活用が行われていた.これらの結果をもとに,AACを活用した自閉症児へのコミュニケーシヨン指導のあり方と課題について検討した。"In recent years , the Augmentative and Alternative Communication(AAC) technique is drawing increasing interest , and various communications training programs applying this technique are gradually being carried out for autistic children. In this study , a survey was conducted on special support schools teachers to investigate the AAC methods applied to enhance communication skills in autistic children , and the views of teachers on AAC. The following are the results.l)In elementary , junior high , and high school , communication training for autistic children is generally carried out in all classrooms , instead of setting aside a special class for such training.2)ACC methods which teachers consider effective mostly use drawings , photos , and character cards. Not many gave Makaton sign and Voice output communication aid as effective . No significant differences were found between the different grades regarding the ACC methods which the teachers consider useful.3)Compared to other schools , teachers at special support schools which promote education for autistic children have better knowledge and understanding of AAC , and carry out AAC related activities keenly.Based on these results , the ideal methods of teaching communication skills to autistic children using AAC and the tasks involved were reviewed."