著者
森田 信博
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育学部研究紀要. 教育科学 (ISSN:03870111)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.25-34, 1998-03

The porpose of this study was intended to investigate a establishment-process of Akita Amateur Sports Association and it's activities in the taisho era. The association was established in april 1923which had aims to spread and promot sports and gymnastics as private enterprise in Akita. The association had 10 sport sections (ski, skate, tennis, baseball, swimming, moutain-clumbing etc) andencoraged positively following kinds of sports and gymnastics.1. Akita olympic game.About 350 persons who attended from whole prefecture took part in a first game.2. A course meeting for gymnastics and sports.About 500 persons took part in a meeting that had the contents of theory and practice under the guidance of famous lecturers.3. A 10 days marathon between Tokyo and Akita.4. A movie tour and exhibition of sports meeting (ski, baseball)But all activities had more clumsiness than succes,especially a 10 days marathon. The association was criticized gradually loudly, so enterprise was extremely stagnant. The association started hastenan system and finance reform, but the result was not only insufficient but also caused necessity of a new reform on a lage scale.
著者
久保田 広志
出版者
秋田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

ポリグルタミン病は、特定のタンパク質中のポリグルタミン鎖が遺伝的変異により伸長し、構造異常により凝集を起こすのにともなって、神経細胞死を引き起こす疾患である。ポリグルタミン病には原因タンパク質により異なる症状を示すが、その具体例として、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、球脊髄性筋萎縮症などが知られている。しかしながら、なぜポリグルタミンタンパク質の凝集過程で神経細胞を障害するのか、なぜ原因タンパク質の違いによって異なる種類の神経細胞が障害を受けるのかなど、その本質は今もなお不明なままである。本研究では、ポリグルタミンのコンフォメーション異常と神経細胞毒性との関係を明らかにすることにより、ポリグルタミン病の発症メカニズムの本質解明をめざした。このため、ポリグルタミンタンパク質の細胞内における凝集過程を、蛍光ライブイメージング技術を中心として解析し、タンパク質凝集をともなう別の神経変成疾患である筋萎縮性側索硬化症の原因タンパク質、変異SOD1の凝集過程と比較した。その結果、昨年度までに、ポリグルタミンリーピートをもったハンチントン病原因蛋白質ハンチンチンの凝集状態は、ポリグルタミンのみの凝集状態と大きく異なることが示唆された。具体的には、ポリグルタミンの凝集は不可逆なのに対し、変異SOD1のそれは可逆性であった。そこで、その原因を調べるため、免疫沈降法による可溶性画分の結合タンパク質の解析を行ったところ、ポリグルタミンに結合しているタンパク質は、変異SOD1に結合しているタンパク質に比べて、種類が少ないか、あるいは、量的に少ないものと考えられた。この結合タンパク質の違いが、細胞内における凝集の可逆性に違いをもたらすのかもしれない。
著者
吉田 倫子
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

助産師の経験知の中に、乳腺炎を起こす予兆として乳児が授乳を拒否する行動があり、その理由の1つには母乳の味の変化があると言われている。そこで本研究は、第1に、乳児が示す授乳拒否と乳房トラブルとの関係を明らかにすることを目的に母乳育児の経験を持つ母親に対してアンケート調査を行った。その結果、乳児の授乳拒否と乳房トラブルには関連があり、授乳拒否は乳房トラブル発症の予知として重要であることが明らかとなった。第2に、味覚センサによる母乳の味分析により、母乳の味の基本情報と、乳腺炎に関連した母乳の味の変化、乳児が示す授乳拒否に関連する母乳の味の変化を検討した。その結果、母乳の味の基本情報として、乳房トラブルのない正常な母乳において、左右の母乳の味は相関していること、母乳の味は初乳から成乳となる過程で、苦味が増加し、塩味と旨味は低下するが、成乳となった後は味の変化はみられないことが明らかとなった。乳腺炎時の母乳では、塩味や旨味の増加、酸味や苦味、渋味の低下があった。乳児が授乳拒否を示す母乳の味は、授乳拒否を示さない母乳に比べて、旨味が増加し、苦味や渋味が減少する傾向が認められた。本研究により乳腺炎に関連した母乳の味の変化が示唆された。今回の研究で乳腺炎群の8割の児に授乳を拒否する行動が観察され、児は鋭敏にこのような味の変化を認知していると推定される。
著者
毛利 春治 林 信太郎 浦野 弘
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.105-112, 2005-04-28

サイエンス・パートナーシップ・プログラム事業の教育連携講座として,「チョコレートマグマを使った火山実験教室」を実践した.講義形式の授業,演示実験,実物標本の提示,噴火映像,キッチン火山学実験など,多彩な方法を導入し,生徒参加型の授業を構成した.生徒の設問への解答や実験ノート,感想について分析した結果,今回の教育連携講座は短時間にも関らず十分な成果を上げることができたと評価できる.
著者
稲場 斉 大友 和夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

はじめに:大腿骨頸部骨折は高齢者では転子間骨折が多く、比較的若い年齢層では内側骨折が多いと言われている。また、Fankelらは大腿骨頸部への合力の方向により、骨折部位が異なるとしているが、年齢による骨折部位の差異は明らかになっていない。そこで大腿骨頸部近傍の骨密度を測定し、荷重試験による大腿骨頸部の骨折の部位との関連を調べた。材料および方法:秋田大学医学部解剖学教室にて、解剖用屍体10体(54-91歳、平均73.7歳)の両側より採取した大腿骨20本について、それらの単純X-Pにて骨稜構造を検索し、さらにQCTにて骨頭部、骨頭下部、転子部、転子間部および転子下部での皮質および骨髄の骨密度を測定した。その後、大腿骨を骨ホルダーに石膏にて固定し、インストロン荷重試験機8501にセットして骨折が生じるまで圧縮荷重をかけた。結果:各部の骨密度の平均値は骨頭中心部、骨頭下部および転子部の骨髄でそれぞれ、417.9 127.2、371.9 182.5および97.3 54.2(mg/cm)、転子間部および転子下部の内側の皮質骨でそれぞれ1155.0 172.6 1237.9 170.3(mg/cm)であった。それらの値の間には転子部を除いて比較的良い相関関係が見られ、特に骨頭中心部、転子間部および転子下部の骨皮質の骨密度の間に強い相関がみられた。骨折が生じた時の荷重は178.3kgから849.6kgで、それらの平均値は556.4 224.2kgであった。骨折部位は骨頭下8、転子部10および転子間2であり、骨密度と骨折部位との関連は明らかでなかった。考察:今回の実験より、大腿骨頸部骨折の部位は単純な荷重方法では骨密度と関連しないことがわかった。したがって、骨折部位は作用する外力の種類にも影響されると考えられ、さらに荷重方法を変えて研究を進めてゆきたい。
著者
吉永 慎二郎
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.13-22, 2006-03-31

This report has discribed the working of Mojia's Fei Ming on the history of thought in the age of the Warring States and that of Chinese thought.The model of hierarchy of Ming (命) in Zhou (周) dynasty that had been stabilized by substantiating the idea of Tian Ming (天命) resulted from Heaven's Will not only had justified the royal power of Zhou,but also had obstructed the emergence of another King to surpass Zhou Wang (周王).But Mojia's logic of Fei Ming that denied the real existence of Ming and Tian Ming let lose the justice of the model of the hierarchy of Ming ,that school brought up the new model of the hierarchy of Yi (義) that meant the principle of public profit. Therefore we can say what let the feudal lords at the age of the Warring States who had been the subjects of Zhou Wang be able to call King (Wang (王)) was just this logic of Fei Ming.The logic of Fei Ming on the alternation of royal powers has been working as the theories of Shan Rang (禅譲) and Fang Fa (放伐). furthermore has composed the idea of Qi Yi (起義) that means founding Yi (義) began to conquer the world of Tian xia (天下). This idea of Qi Yi is able to communicate with thatof Revolution
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 佐々木 昌博 小泉 昭夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病:hereditary hemorrhagic telangiectasia ; HHT)は,1)遺伝的発生,2)皮膚・粘膜,内臓の多発性末梢血管拡張,3)各部位からの反復する出血を3主徴とする疾患である.本症は,末梢血管拡張,その部位からの出血が種々の臓器に出現する多臓器疾患であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,外科,耳鼻咽喉科,皮膚科,歯科など極めて多くの科を初診する.さらに,合併する脳動静脈奇形あるいは,肺動静脈奇形の破綻により致死的となることも希ではない.本研究は,日本におけるHHTの発生頻度・罹病率について遺伝疫学的に検討を行い,本疾患による合併症の予防,治療を呼吸リハビリテーション(リハビリ)という観点から考案し,さらに将来的には遺伝子治療の足がかりを探ろうとするものである.日本におけるオスラー病の遺伝子異常は下記のごとくであった.A G to C transvertion at the splicing donor site of intron 3 (Inv3+1G>C) in one family, one base pair insertion (A) at nucleotide 828 (exon 7) of the endoglin cDNA in two large families (C.828-829 insA), and a four base pair deletion (AAAG) beginning with nucleotide 1120 (exon 8) of the endoglin cDNA (c.1120-1123 delAAAG) in one family. The insertion of A in exon 11 (c.1470-1471 insA) mutation found in one familyHHTに合併した肺動静脈奇形に対する呼吸リハビリは,そのプログラムがないことより実際には行われていない現況にある.また,肺動静脈奇形に対して肺動脈塞栓術が施行された後の呼吸リハビリ・プログラムも示されていない.佐竹は,高齢COPD患者に対する運動療法プログラムを考案した(佐竹他,COPD FRONTIER, 2006).上述の55歳男性HHT症例に対して佐竹の呼吸リハビリ・プログラムを施行したところ非常に有用で患者は通常の日常生活に復帰した.この呼吸リハビリ・プログラムはHHTに合併した肺動静脈奇形に対して応用可能であると考えられた.
著者
田中 元志
出版者
秋田大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成12年度は,足音のパワースペクトルの包絡線形状が歩行者,及び履物によって異なることに着目し,その形状をニューラルネットワーク(NN)に学習させることにより,足音の識別を試みた。本研究では,簡単な構成である入力層,中間層,出力層からなる3層の階層構造NNの適用を検討した。学習アルゴリズムにはバックプロパゲーション法を用いた。学習・認識用足音については,11年度と同様に,本学学生に協力して頂き,木造家屋内で歩行時の足音を採取した。履物条件は,家屋内で一般的なスリッパ,靴下,裸足とした。マイクロホンを床上に設置して,歩行時の足音をDATレコーダで録音し,インターフェースを介してパーソナルコンピュータ(11年度に購入)に取り込み,足音データベースを作成した。周波数解析により足音波形のパワースペクトルを求め,その包絡線を求めた。そして,可聴周波数帯域である50Hz〜18kHzの範囲から3〜45点を取り出し,これを特徴パラメータとした。処理プログラムは全てC言語で開発した。特徴パラメータの数によって学習回数,及び教師信号と出力結果の誤差が異なり,試行錯誤の上,NNの入力層のノード数を34,中間層のノード数を47とした。また,結果を0と1の組合せで識別できるように(例えば,歩行者Aのスリッパの足音が00,靴下が11),出力層のノード数を識別したい足音の種類(歩行者,あるいは履物)に応じて2(4種類まで)または3(8種類まで)とした。歩行者を特定して履物を識別した結果,約99%の認識率が得られた。また,履物を特定して歩行者を識別した結果,約91%の認識率が得られ,NNの歩行認識への適用の可能性が示された。
著者
ウッド ドナルド
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

This project focused on the life and writings of Akita farmer Yoshida Saburo (1905-1979) who, despite his humble beginnings in a small village on the Oga Peninsula of Akita Prefecture, became an amateur ethnographer, earned the patronage of Shibusawa Keizo (grandson and heir of Shibusawa Eiichi) and mingled with the leading figures of .Japanese ethnology and sociology while living in Tokyo from 1937 to 1945.
著者
茆原 順一 小林 佳美 萱場 広之
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

気管支喘息に代表されるアレルギー性疾患は,アレルギー性炎症疾患として捉えられている.古典的な炎症の定義から考察するとアレルギー性炎症として「発熱」という現象に対する検討はまだされていない.そこで,気道炎症の「発熱」を呼気温度の測定にて捉え得るのではないかと着目し,基礎的検討を行った.フローボリウム測定と瞬時に温度変化を捉えられる高感度温度計を組み合わせ,はじめに安定した測定条件の検討を行った.最大吸気から呼出までの条件,最大呼気条件による呼気測定の温度センサーの位置をマウスピースの中央,マウスピースより咽頭側,鼻マスクで検討を行った.この結果最大吸気後ゆっくりとゆっくり呼出させる方法で,温度センサーをマウスピースを咽頭側で測定した際,最も安定した測定値が得られた.次に単位面積当たりの熱エネルギー量(W/cm^2)を表す呼気熱流速と呼気温度のピーク値の体温補正値(呼気温度測定値と体温の比で表したもの)を健常者の各条件で比較した.その結果,呼気熱流速は呼気温度に比べて温度変化に敏感な値を示した.さらに呼気温度のピーク値は性別や喫煙の有無で差が認められたが,熱流速には差を認めなかった.呼気温度と呼気熱流速の両方を用いることで気道炎症の新しい指標になりうると考えられた.
著者
林 信太郎
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ジオパークで活用可能な地学教育教材としてキッチン・ジオ実験を開発した。(1)ヒアリングにより各ジオパークのニーズを明らかにした。(2)「コンデンスミルクのアア溶岩実験」,「砂糖の黒曜石実験」など,各ジオパークの地学現象を実感を持って理解させるための実験を11種類開発した。(3)さらにジオパークに所在する学校で実践的検証を行った。その結果,これらの実験は小学校高学年児童に理解可能であり,大きな教育効果を持つことが明らかになった。
著者
眞壁 幸子
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

寒冷地において、人工股関全節置換術(THA)を受ける患者のQOLを検証した。質的調査では、THA患者において、冬の寒さによる痛み、転倒、日常生活における困難、身体活動量の低下がみられることが明らかになった。これをふまえて、北日本と南日本でアンケート調査を行った。また、身体活動量尺度も開発し、信頼性・妥当性が確認された。
著者
立花 希一
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.103-118, 2013-03-31

19世紀における科学と宗教の衝突は,もはや取って代わられたように私には思われる。「無批判的な」合理主義は矛盾しているので,科学と宗教の衝突の問題は,知識(knowledge)と信仰(faith)との間の選択ではありえず,ただ単に二種類の信仰の間の選択にすぎない。こうして生まれた新たな問題は.どちらが正しい信仰なのか,どちらが誤った信仰なのかである。私が明らかにしようと試みたことは,われわれが直面している選択は,理性に対する信仰(faith in reason)および人間性を備えた個々人に対する信仰と,人間を集団に統合する人間の神秘的諸能力に対する信仰との間に存するということである。そしてこの選択は同時に,人類の統一を承認する態度と,人間を友と敵,主人と奴隷とに分断する態度との間の選択でもある。私が言いたいのはただ,〔宗教と科学の衝突の〕問題がもはや存在しないこと,あるいは,この問題は,とにかく,われわれが直面している全体主義や人種主義といった邪悪な宗教(evil religions)の問題と比べれば些細なものであることを,われわれは今ではすっかり学んだということである。I had written a paper in 1989 entitled ''Karl Popper on Christianity". It was renamed ''Karl Popper's Views on Religion: Judaism, Christianity, and Critical Rationalism" and published in 2001 in the collection of papers entitled Critical Rationalism, vol. 1, edited by the Japan Popper Society. At that time I was unaware of any publications by Popper whose main theme was religion, and I had based my position on sporadic remarks made by Popper in his various writings. However, in light of the 2008 publication of a collection of papers by Popper (After the Open Society: Selected Social and Political Writtings, eds. Jeremy Shearmur and Piers Norris Turner), which includes Popper's papers on religion (e.g., "Science and Religion"), I present a reappraisal of Popper's views on religion.
著者
高橋 毅
出版者
秋田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究目的 : 表情・感情認識技術は高度なマンマシン間コミュニケーションを実現するために重要である。そこで本研究では, 情動と身体の生理的変化に伴う顔の表面温度変動に関する知見を得ることを目的とし, 受動的刺激により喚起した“悲しみ”の生起・消失時における顔面温度変動の計測・解析を行い, “悲しみ”の情動検出に関する検討を行った。○実施内容ならびに研究成果 :・データの取得 : 被験者7名に対して情動喚起映像(映画)を用いた受動的な“悲しみ”の情動喚起を行い, 赤外線サーモグラフィ用いて時系列顔温度データを取得した。映画視聴後2日以内に, 強い悲しみを喚起する場面を再度視聴させ, 顔面をサーモグラフィで約9分間(視聴5分, 前後2分の安静)撮影した。撮影後はアンケートを用いて情動の程度や体調などを被験者ごとに調査し, 解析データを取得した。・対象領域の自動設定処理の開発 : 温度データから顔面のグレースケール画像を生成し, Haar-like特徴量とAdaboostを用いた顔面領域の検出手法の開発を行った。各被験者100~600フレームの顔面領域の正解画像をオペレータ1名が手動で作成し, 機械学習で全被験者共通ならびに個人別の検出器を生成した。その結果, 被験者共通・個人別検出器何れも顔領域を検出可能であることを明らかにした。また, 共通検出器はより多くの学習データを必要とし, 350フレーム以上の場合に良好な検出率が得られた。・情動と顔面温度変化の関連解析 : 対象領域における情動の生起と顔面温度の関連について検討を加えた。その結果, 悲しみの情動が喚起された場合, 特定の被験者において頬領域温度の緩やかな上昇ならびに呼吸変化に伴う鼻根付近の温度変動が認められた。また, 悲しみの情動の場合, 情動喚起で上昇した頬領域の温度が比較的長時間保持される傾向を認めた。この頬温度変動の傾向が“喜び”と“悲しみ”の情動判別に有用な指標となるか更なる検討が必要である。
著者
八月朔日 泰和 後藤 薫 渡辺 雅彦
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中枢神経系において、野生型と比べDGKbノックアウト(KO)マウスの線条体投射ニューロン樹状突起における棘突起数が減少していた。また、DGKbとAMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットの1つであるGluA2は、DGKbのカルボキシル端で結合していた。さらにDGKb-KOマウスの線条体において野生型に比して減少する分子が認められ、DGKbはGluA2を介して棘突起形成に関与する可能性が示唆された。次に、中枢神経系におけるDGKeの機能解析を行い、DGKeがプルキンエ細胞の樹状突起形質膜直下の滑面小胞体であるsubsurface cisterns(表面下槽)に局在することを明らかにした。
著者
藤田 幸司 本橋 豊 金子 善博 佐々木 久長
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、ヘルスプロモーションの手法であるコミュニティ・エンパワメントの自殺予防対策における有効性を検討するために実施した。積極的な社会参加を促す地域づくり型の介入プログラムを実施した。前後に実施した悉皆調査の結果、コミュニティ・エンパワメントを実施した地域の認知的ソーシャル・キャピタルの向上が認められた。高齢者においては、コミュニティ・エンパワメントによる積極的な社会参加と住民同士の信頼を高める地域づくり型プログラムの実施は、地域のソーシャル・キャピタルを醸成させ、地域力を向上させる可能性が示唆された。
著者
金子 善博
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

日本の自殺高率地域において、自殺の社会的影響の拡がりの評価可能性を検討するために、地域の保健福祉関係者に対する質問紙調査を行った。回答者の自殺予防への関心は低くなかったが、近隣の自殺者の存在は対策の費用と関連しなかった。社会コストに関する要因は明確ではなかった。自殺の心理社会学的な外部不経済の評価は明確にならなかった。自殺予防の促進に際して地域住民に参画を求めるためには、自殺にフォーカスする対策だけでなくより幅広い学際的な戦略を検討する必要があるだろう。
著者
篠原 ひとみ 兒玉 英也
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

乳児の夜泣きへの看護介入方法を探索するために、児の唾液中のメラトニン濃度が睡眠-覚醒リズムの発達の有効な指標となり得るかどうかを明らかにすることを目的に児の唾液中のメラトニン濃度を測定した。そして起床時刻、就寝時刻、最長持続睡眠時間、総睡眠時間、昼寝回数、昼寝時間、保育環境との関係を分析した。対象は生後3-15ヵ月の児(平均7.6±3.2ヵ月)67名(男児36例、女児31例)とその母親である。唾液は母親が1日4回、朝起床時(6時-9時)、昼(11時-13時)、夕方(15時-18時)、夜就寝前(20時-23時)に採取した。67名の唾液中のメラトニン濃度の平均値(SD)は朝起床時40.1(35.3)、昼13.6(21.7)、夕方14.6(24.7)、夜就寝前23.2(28.4)であり、昼や夕に高濃度(10pg/ml)を示す児は生後3-5ヵ月に多く認められた。児の1日の総睡眠時間、最長持続睡眠時間、夜間の覚醒回数、昼寝回数との関係では、昼と夜のメラトニン濃度は昼寝回数と正の相関、昼のメラトニン濃度と最長持続睡眠時間に負の相関、朝のメラトニン濃度と総睡眠時間に負の相関が認められた。また夕と夜のメラトニン濃度は1週間当たりの外気浴日数と負の相関が認められた。生後3-5ヵ月の乳児では昼や夕でもメラトニン濃度が高値を示す例が多く認められたが、月齢と伴にその頻度は減少した。昼のメラトニン濃度が高値の場合昼寝回数が多く、最長持続睡眠時間が短縮する傾向がみられたことから、生後5ヵ月以降、月齢が進んでも日中のメラトニン濃度が高値の場合、睡眠-覚醒リズムの発達の遅れを検討する必要があると考えられる。