著者
本多 朔郎 長尾 敬介 山元 正継 北 逸郎 高島 勲 秋林 智
出版者
秋田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

タイの地熱は、ヒマラヤ造山帯の後背地の安定地塊上に発達するもので、火山活動を伴っていない。しかし、高い地殻熱流量で特徴づけられ、沸騰泉を含む多数の温泉が認められる。そのような非火山性の地熱活動の熱源・湧出機構等を解明し、火山性地熱で発達した探査法の有効性を検証するため、以下のような項目の調査・研究を行い次のような成果を得た。(1)温泉・土壌ガスの分析ーー第1次の調査では、主要地熱地域について研究を行い、地熱貯留層に関連するとみられる断裂付近では、CO_2ガス中の^<13>C同位体の異常およびラドンガスの濃集が認められ、地下の高温を示すH_2ガスも一部の地域の温泉に伴ってみられるのみで、全体としては少なく、火山性地熱とは異なった傾向を示した。第2次の調査では、広域的なガス特性を求めるため、北部地域全体の約40ケ所の温泉付随ガスを採取し、He同位体比(^4He/^3He)を主体に検討した。分析は現在進行中であり、詳細な議論はできないが、深部断裂が発達する花崗岩体の周辺部でHe同位体比が高いことが確認され、同時にマントル物質の寄与の可能性が指摘された。(2)ガンマ-線による探査ーータイの地熱貯溜層を構成する花崗岩は放射性元素の含有量が高く、地熱流体の上昇通路となる断層の位置検出には最適である。また、典型的な岩相については、地下の地質を推定することもできた。(3)新期火山岩の解析ーー第四紀後期の玄武岩溶岩について、アルカリ元素等の分析を行い、マグマの形態、深さ等の情報の推定を行った。その結果、マグマは基本的に深部の独立したマガマ溜まりからもたらされており、熱源としての寄与はそれほど大きくないと推定された。しかし、層序的な解析から、年代値は既存の70万年(KーAr年代)より若く、年代的に熱の寄与を無視することはできないと思われる。(4)岩石中の放射性元素の分析ーー花崗岩を中心に約100個の試料を採取し、放射性元素(U,Th,K)の分析を行った。その結果、日本の花崗岩の5ー10倍という非常に高い含有量が記録され、その値から計算された発熱量として8ー18HGUが得られた。この値は、地下3ー5kmで300℃という高温を可能にするものである。(5)変質岩の年代測定ーー変質岩は石英脈、方解石脈を主体に年代測定を行い、現在の地熱徴侯地以外では数10ー100万年を超える古い年代が得られ、非火山性地熱が長期間継続することが確かめられた。(6)流体包有物の測定ーー年代測定を行ったのと同じ石英脈、方解石脈試料について測定を行い、ボ-リング・コアでは現在の地下温度とほぼ同じ値が得られた。(7)貯留層モデルの作成ーー最も開発の進んでいる地域について、坑井位置、水位、温度、圧力などのデ-タをもとに貯留層のコンピュ-タモデリングを行い、510,3510,8610年後の貯留層の状態を推定した。また、より広域的なモデル計算のため、可能な地下温度分布、岩石物性の変化等のデ-タを収集した。以上の結果および昭和63年度に実施した現地調査のデ-タを総括すれば、タイの地熱は主として放射性元素の崩壊熱による高温部を通過した水が熱の供給を受け、高温になったものと思われるが、He同位体や、若い玄武岩の存在から火成起源の熱の寄与もあるものと思われる。探査法については、非火山性地熱でも火山性地熱とほぼ同じ手法が利用できることが明らかとなったが、放射能探査が特に注目された。残された問題として、異常に高いHe同位体比の原因、流体包有物から予想される地下温度が地化学温度計で求められた温度より低いことなどがあるが、今回の調査が本研究の最後であり、今後の室内実験結果により最も適切な成因を提示したい。
著者
佐藤 猛
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、15・16世紀フランス王国において、いくつもの高等法院(王国の最高裁判所)が設立された過程を検討することを通じ、当時の国王支配の特質を明らかにするものである。時々の王権はパリからの距離、王領編入時における当該地域と王権との関係、そして裁判組織に関する在地諸身分の要望などを考慮して、地方高等法院導入の是非を決定した。こうして王は、各地で長い伝統をもつ裁判慣行を維持、調整しながら、統一的な裁判体系の確立を目指したことを明らかにした。
著者
外池 智
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.11-24, 2012-05-31

本研究は,2009-2011年度の採択された科学研究費補助金基盤研究(C)「地域における戦争遺跡の複合的・総合的アーカイブと学習材としての活用」の総括の一部を報告するものである.本研究では,2007・2008年度の報告を踏まえ,まず現在の全国における戦争遺跡について,特に文化庁を中心とした「近代化遺産総合調査」による取り組みを整理するともに,全国における戦争遺跡の指定・登録の現状とその類型的分析を試みた.さらに現在は文化財としての指定・登録が全くなされていない秋田県を事例として取り上げ,県下の戦争遺跡を抽出するとともにその類型的分析を行った.また,今回は戦争遺跡を活用した実践的取り組みとして,秋田大学における「社会科巡見」で取り組んでいる実践事例を紹介した.This research is 2009-2011 Auxiliary gold research adopted in fiscal science research (C) in "utilization as a complex and comprehensive archive of the war-related sites in the region and learning materials" part of the summary report. In this study, 2007-2008 Modernization of legacy general survey based on the report of the fiscal year, first with cultural affairs especially about the war-related sites in the current national efforts to organize at least, tried to present the war-related sites in the country of registration and its typological analysis. More featured registered and designated as important cultural assets was not made at all now Akita Prefecture as an example, went to extract the war ruins of the prefecture with its typological analysis. Also introduced practices working in "social studies fieldwork" in Akita University as a pragmatic approach this time utilizing the war-related sites.
著者
ヨハネス・ハルミ ウィルヘルム
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は僻地・離島を含む日本沿岸社会において深刻な「高齢化」や「過疎化」と呼ばれている現象が自然界の資源利用へどのような影響を与えているかである。つまり、従来より地元住民による生業の基盤を成してきた海と陸、及びその中間にあるエコトーン(磯など)の自然資源利用が若手を始めとする住民不足とどのように関わっているかである。二年間にわたる本研究の構造は大きく(a)「情報収集」(b)「分析」(c)「まとめ」の三段階からなっており、研究は全体として計画どおりに実行できた。特に(a)「情報収集」の展開が予想外に豊富であった。その為、本年度計画していた(b)分析過程の基盤となる問題提起の視点と意識に影響をあたえた。この中、戦略的な面で二通りにそろえてみた。それは、(イ)情報収集を持続している中、特に歴史や社会と関わる地理学派による長期研究を可能にすると考えた山口弥一郎などの貴重な調査録を取り組み、(ロ)最近は成果を調査できる行政側の諸プロジェクトの観察に取り組んでみた。つまり、一例をあげると(ロ)はグリーンツーリズムや地域社会の再建であるが、その際は各地の自然や社会状況が異なるため、グランドプラン的な行政対応ができない結果となることである。(イ)に関しては、同じ東北地方とはいえども秋田からは交通機関のふべんと研究者は自動車免許書を所有していないために大変遠い地域であった三陸北方から金華山周辺の牡鹿半島まで75年ほど前に歩いて調査をした山口氏の実地を運転手をしてもらえる機会があったため短期間ながら調査してみた。天候など時期的に厳しい調査であったが、特に諸地域性や地元住民のアイデンティティーに注意を計った結果、上記の「社会状況」の違いが顕著になった。例えば、U集落の住民が隣のO町に対する偏見や噂などを毎日の会話などの話題にしていることや、集落外者にたいする意識を維持する無形制度を持っていることである。全体的に言い換えてみれば、「沿岸地域の過疎化と社会高齢化が水産資源利用に与える影響」は自然環境にみならず、特に社会面で個々の違いを見せているため、資源利用や社会変動への取り組みが異なることである。今後の取り組みは地元住民に対する注意深い事前調査が必要出ると確信している。
著者
對馬 達雄 今井 康雄 遠藤 孝夫 小玉 亮子 池田 全之 山名 淳
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、戦後ドイツを通底する課題である「過去の克服」という課題に、これまで等閑視されてきた精神史、文化史、広く人間形成の側面からその本質に迫ることを目的としている。本年度は、7名の分担者が交付申請書記載のそれぞれの研究テーマに則して、文献・資料の分析を進め、2回の全体研究会を通じて、共同研究としての統一性を保ちつつ研究を進めた。より具体的には、まず遠藤は、州憲法及び基本法の制定を通して、ナチズム克服の理念としてキリスト教の復権が行われたこと、小玉はナチズムにより解体の危機に瀕していた家族の再建に関する議論と施策が行われたこと、渡邊はナチ教義の注入手段と化していた歴史教育の再建において、ヴェーニガーの「政治的歴史教育」の理念が重要な役割を果たしたことを明らかにした。また、池田は20世紀ドイツを代表する哲学者ハイデガー、リット、ヤスパースの「過去」に対する思想的対応の相違を腑分けし、今井は「政治的成人性」の理念を中核とするアドルノの教育思想の特質を「過去の克服」との関連で明らかにし、對馬は反ナチ運動の復権を司法界において最初に宣明した「レーマー裁判」の意義を検事ブリッツ・バウアーの思想と行動に関連づけて明確にした。そして、山名は「追悼施設教育学」の成立経緯とその今日的意味を「記憶文化」と関連づけて明らかにした。これらの研究成果は、平成23年3月に上梓された對馬達雄編著『ドイツ過去の克服と人間形成』の各論文として収録された。
著者
市嶋 典子
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学国際交流センター紀要 (ISSN:21869243)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.43-52, 2012-03

本稿では,対話的読解授業を通して,学習者は,「文化」という抽象的な概念をどう解釈したのか,学習者の書いたレポートの分析を行うことによって明らかにした。その上で,本授業の意義と課題を主張した。学習者のレポートを分析することによって,学習者の文化観,(1)集団の傾向性とて捉える視座,(2)文化相対主義的な視座,(3)可変的で多様なものとして捉える視座,(4)体験の中で作られていくものとして捉える視座,(5)他者との関係性によって作られていくものとして捉える視座が明らかになった。また,様々な読み物を読み,対話を重ねることによって,学習者の間に文化を集団の傾向性として捉えることに対する批判性が生まれ,文化を可変的で多様なもの,他者との関係性によって作られていくものとして捉える視座が生成されていったことを示した。
著者
上田 晴彦
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03651649)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.17-24, 2012-03

江戸時代後期の秋田県の庶民が記した『夜籠雑談噺』は、当時の庶民の暮らしぶりや自然観が見て取れる貴重な史料である。とりわけこの中には太陽・月・惑星の距離・大きさに関する天文数値と地球に昼夜がある理由に関する挿絵が記載されており、大変興味深い。本研究ではこれらの天文数値・挿絵がどのような由来を持っているかを、当時の天文学書に記載されている数値・図と比較することで検討を加えた。その結果、天文数値については江戸時代中期の書物『和蘭天説』に依存していることが判明した。また挿絵については、江戸時代初期の書物『天経或問』に影響を受けている可能性があることが分かった。これらの結果を踏まえて、江戸期の秋田県地域における庶民の自然観についての考察をおこなった。
著者
田村 オリエ
出版者
秋田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、風車併用型防風柵の実風況下における特性を把握することを目的として、屋外に設置可能な防風柵を製作し、主に発電特性を調べる実験を行った。風車併用型防風柵は、クロスフロー型風車(直径100[mm]×幅435[mm])を2つ直列に接続して水平方向に設置した高さ1000[mm]×幅1400[mm]の大きさを持つ。この柵には、入り口高さが風車の5倍(500[mm])ある集風装置が取り付けられている。さらに、風車の回転軸には歯車を介して発電機が取り付けられている。この柵において、水平方向から流入した風は集風装置内部で増速されながら風車に入り、発電させながら上方へと吹き上げられる。この柵の風車は設計風速を5[m/s]とし、集風装置入り口は現地の気象状況を考慮して敷地内の西向きに設置した。実験は、発電量と風向風速計による風況データの測定が行われた。その結果、設計風速以上で風向が西向きの場合に発電することが確認された。その一方で、真西以外の風向では設計風速以上であっても発電が行われないことも確認された。このことから、風が集風装置入り口に正対しない場合には集風装置内部で流れが乱れ、風車に風のエネルギーがうまく伝わらないものと考えられる。実際の風況や道路の設置状況を考えた場合、必ずしも集風装置入り口が流入する風に対して正対できるわけではないことから、集風装置入り口にガイドベーンや整流格子を取り付け、風車に流入する風を整えることが必要である。なお、本研究では当初、一般的な防風柵との比較も行う予定であった。しかし、製作した風車併用型防風柵の集風装置が防風柵の高さに対して占める割合がかなり大きくなり、本来柵に要求される機能が一部不足していることが明らかであったため、この比較実験は行われなかった。この点についてはまた別の実験が必要である。
著者
肥田 登 新見 治 HIRAOKA Mari MAIA Jose Gu 西田 眞 JOSE GUILHERME Maia
出版者
秋田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

平成8年度の研究成果の概要については,リオ・ネグロ川の水位の年変化特性を中心に述べる。第1に,マナウス地点におけるリオ・ネグロ川の水位は,6〜7月頃に最高となり,10〜11月頃に最低となる。水位は11月頃から上昇に転じ,約8か月間を要してゆっくりと最高値に近づき,7月頃から約4か月間という短い期間の内で再び最低値にもどる。このように各年の水位は,主要因としては流域の雨季と乾季の降水量に反映されて,滑らかなサインカーブのように見える規則的な年変化をくり返す。この規則性は,20年平均のカーブで示すことによってより明瞭に見てとれる。第2に,年間を通しての最高水位の出現日は,1975年から1995年までの21年間の平均を算定した結果,6月22日となった。この間,最高水位の出現日の頻度は,10日間の間隔ごとに見ると次のようにほぼ正規分布を示す形で現れる。5月中:1回,6/01-6/10:3回,6/11-6/20:4回,6/21-6/30:8回,7/01-7/10:4回,7/11-7/20:1回。最高水位の出現日の最も早かったのは,5月20(1992年)であり,最も遅かったのは,7月16日(1986年)である。この間の開きは,約2か月である。なお,最高水位に達する日数は,多くの年の場合,2〜4日間程度は続くので,その間の第1日目を最高水位の出現日として採用した。第3に,年間を通しての最低水位の出現は,1975年から1995年までの21年間の平均を算定した結果,11月7日となった。この間,最低水位の出現日の頻度は,10日間の間隔ごとに見ると次のように現れる。10/01-10/10:1回,10/11-10/20:3回,10/21-10/31:5回,11/01-11/10:4回,11/11-11/20:2回,11/21-11/30:4回,12/01-12/10:1回,それ以降1回。最低水位の出現日の最も早かったのは,10月08日(1980年)であり,最も遅かったのは,暦年を越えた01月16日(1989年)であった。この間には,3か月余りの幅がある。最低水位の出現する期間の幅は,最高水位の出現する期間の幅よりも約1か月延びく。しかも,最低水位の出現日の頻度は,最高水位の出現日の頻度に比べてバラツイており正規分布を示す形ではない。上に示したとおり,最低水位が比較的多く現れる時期は,10月
著者
小松 芳成 後藤 正治 麻生 節夫
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学工学資源学部研究報告 (ISSN:13457241)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.19-25, 2003-10-31

Small-sized "Tatara-buki" furnace and "Oroshigane" furnace were made for laboratory working. Iron sand mined from Mukaihama beach in the city of Akita was applied to "Tamahagane" making based on combined use of the Tatara-buki process and the Oroshigane process. After washing in water and magnetic dressing, the iron sand was smelted by means of the "Tatara-buki" process and Kera (iron bear) with lower phosphorous and surfur contents was made in reproducibility of 20 % yield. The carbon content of the Kera was 2.43〜3.04 mass% which was significantly lower than that in blast furnace process. Next, the Kera was refined by the Oroshigane process to make Tamahagane which was a high quality iron containing 0.63mass%C, 0.04mass%Si, 0.048mass%S and 0.075mass%P. The microstructure of the Kera and the Tamahagane was well understood from the carbon contents. A series of the experiments mentioned above was conducted as an appropriate practice on an education program "Creative Techno-Craft" for the undergraduate course in the Department of Materials Science and Engineering, Akita University.
著者
小山田 一 守時 由起 茆原 順一 植木 重治
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

プロスタグランジンD2(PGD2)はアレルギー炎症の形成に重要な役割を担っている。PGD2の作用は細胞表面受容体であるCRTH2/DP1、もしくは核内受容体を介していることが知られていたが、これまでの検討から未知の細胞表面受容体の存在が示唆された。われわれはPGD2がケモカイン受容体CCR3の発現を抑制し、これが通常リガンド刺激で認められるinternalizationによるものであることを見いだした。そこでPGD2がCCR3を介して機能している可能性を、トランスフェクション細胞を用いた受容体結合試験やカルシウムシグナルによる検討を行ったが、いずれにおいても否定的な結果が得られた。
著者
大佐賀 敦 近藤 克幸
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、PCの位置をリアルタイムに把握する手段として、ロケーションサーバとアクティブ型電子タグを採用し、その応用可能性を検討した。位置情報を利用し、1)診察室や研究室、院外等へモバイルPCを持ち運んだ際、各場所に応じたファイル・セキュリティを自動適用し、利用者が意識することなくデータ保全を行う仕組み、2)PCを診察室等へ持ち込んだ際には、持ち込んだPCと診察室の端末が自動的に互いを認証し、シームレスなデータ交換が可能となる機能を開発した。これらのシステムを医療場面での利用に合わせた最適化を行い、実用的な性能が得られることを評価した。
著者
守時 由起
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

炎症抑制機能を有する可能性が示唆されているCD5陽性B細胞の局在を免疫組織化学的にCD20, CD5の二重染色を行い原発性胆汁性肝硬変患者およびC型慢性肝炎患者の肝臓組織にて検討した。両疾患において門脈域内の濾胞様細胞集簇におけるB細胞にはCD20CD5共陽性B細胞を認める一方、原発性胆汁性肝硬変患者にて見られる胆管浸潤B細胞にはCD20CD5陽性B細胞を認めなかったことから、原発性胆汁性肝硬変患者肝臓組織において胆管上皮傷害へのCD5陽性B細胞の直接的関与は否定的と考えられる結果を得た。
著者
川上 洵 南寿 礼次郎 大森 淑孝 杉本 博之 加賀谷 誠 徳田 弘
出版者
秋田大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

1.膨張コンクリ-トを鉄筋コンクリ-ト管に適用し、そのひびわれ強度の改善を計った。1)膨張コンクリ-トの材料特性を明らかにした。2)普通コンクリ-トと膨張コンクリ-トの複合化を行うことによりケミカルプレストレスを導入した。このとき、管を多層円柱とモデル化し応力解析を行いプレストレスの分布を示した。3)外圧試験により膨張コンクリ-ト使用(ケミカルプレストレス導入)によるひびわれ強度の上昇を定量的に示した。2.PC鋼材を用い、鉄筋コンクリ-ト管に機械的プレストレスを導入し、外圧強さの向上を計った。1)PC鋼を鉄筋コンクリ-ト管の外壁に巻き緊張・定着して機械的プレストレスを導入した。2)機械的プレストレスとひびわれ強度の関係を明らかにした。3.鉄筋コンクリ-ト管の内壁にライニングするポリマ-モルタルの材料特性を検討した。1)ケミカルアタックに対する抵抗性、2)遠心力ライニング時の親水性、3)鉄筋コンクリ-トとの付着特性、4)外圧試験におけるひびわれ強度が明らかにされた。4.高強度耐酸コンクリ-ト複合管の設計及び製作を行った。1)複合管を構成するポリマ-モルタル、膨張コンクリ-ト、普通コンクリ-トの打込み厚さ、鉄筋及びPC鋼の量及び配筋などに関し、その材料特性及び価格を考慮し、できるだけ大きな外圧強度が得られる最適設計を行った。2),1)の結果に基づき、実用管の試作を行い、その外圧試験を行った。
著者
内田 昌功
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

秦漢期から唐代にかけての都城について、主として東西軸構造に注目しながら、空間構成の変化とその意味について検討した。従来、不明な点の多かった北周の長安の空間構成を復元し、漢唐間における都城史の展開の中に位置づけ、その画期性を明らかにした。また曹魏の業や北斉の業、あるいは北魏の洛陽からの影響が重視されてきた隋唐長安の形成について、北周の長安が直接の前身であるとする理解を提示した。
著者
本橋 豊 金子 善博 佐々木 久長 藤田 幸司
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

社会格差が自殺に及ぼす影響について、1)無職者の自殺の実態に関する統計学的解析研究、2)域自殺対策緊急強化基金の効果に関する研究(都道府県別の自殺率格差に影響を及ぼす要因)、3)域住民を対象としたソーシャル・キャピタルと心理的ストレスの関連性に関する研究(食事への配慮と教育歴に注目して)、4)東日本大震災被災地住民の地域の絆づくり支援と心の健康に関する研究、について検証した。無職者の自殺率ほど高率だった。基金の効果は自殺対策の先進地域の東北地方で大きかった。また、ソーシャル・キャピタルは心理的ストレスと有意に関連し、地域の絆を重視した自殺対策が重要と考えられた。
著者
外池 智
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-31, 2008-05

今日,戦後60年を越える年月を経て,「ヒト」から「モノ」へ,確実に戦争の記憶や記録,痕跡が移行していく中,体験者の持つリアリティーに迫る理解・共感可能な学習をどのように展開していくのかは歴史教育の重要な課題となっている.本研究では,戦争遺跡に注目し,まず現在の全国における戦争遺跡について,特に文化庁を中心とした「近代追跡調査」による取り組みを整理するともに,その類型的分析を試みた.また,秋田県を事例に,同様の類型的分析を試みた.さらに,そうした戦争遺跡のその学校教育における学習材としての活用について,秋田県を事例に取り上げ,特に土崎空襲を題材にした小・中・高校のそれぞれの実践,すなわち,文化祭において戦後60年(土崎空襲60年)を機に全面的に取り上げた秋田中央高校,沖縄への修学旅行と関連させ,沖縄と土崎との比較研究を取り入れた下浜中学校,「総合的な学習の時間」で体系的に取り組んでいる土崎南小学校と港北小学校について検討した.Under the cicumstances that the number of people with wartime experiences is decreasing, it is an urgent task to establish the teaching of history in which students can share the experiences of those people. As a first step toward this aim, the research under discussion collected data on some of the war sites across japan, especially those related to investigations into modern historical remains, and analyzed them through categorization. Then, the research examined how such data are being used in actual teaching by focusing on the cases of Akita Chuo High School, Shimohama Junior High School, Tsuchizaki Minami Elementary School, and Kouhoku Elementary School, where the Tsuchizaki Air Raids was taken up as a topic of teaching.
著者
濱田 陽
出版者
秋田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

2年間の研究を通し、最終的に英語学習動機減退防止基本方針として、以下の6点があげられた。(1)学習者中心(2)情熱を持つ(3)教師主導(4)言語自体以上の事項提供(5)個に応じた教育(6)将来的使用。(1)と(3)は一見矛盾しているように思えるが、教師が主導した上で学習者中心の授業を行うということであり、(4)(5)は学習指導要領においても強調されている点であり、指導要領に沿った指導を行う事によって、動機減退が防止できる事も示唆している。
著者
山木 邦比古 近藤 功 中村 秀夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

私達は当該の科学研究費の交付を受け、melanocyteの不溶性抗原の解析をおこなってきた。この中で、melanocyteに特異的に発現しているtyrosinase family proteinの免疫によって白色ラットに実験的Vogt-Koyanagi-Harada(VKH)病を惹起させることができることは既に報告したが、今回は有色ラットに実験的VKH(EVKH)を惹起させることができた。有色ラットのEVKHは臨床的にはVKH diseaseに特徴的とされる夕焼け状眼底を呈するものも認められた。組織学的にはやはりVKH diseaseに特徴的とされる著名な脈絡膜の肥厚、Dalen-Fucks noduleなど肉芽腫性の炎症も広範にみられ、EVKHが惹起されたものと考えられた。またVKH患者リンパ球を分離し、melanocyteの不溶性抗原を抗原としてlymphocyte proliferation assayを行った。この結果tyrosinase family proteinを含む複数の不溶性成分に対して、VKH患者リンパ球が反応性を有していることが判明した。またVKH患者リンパ球をclone化し、VKH病に関与している免疫反応について更に検索すべく実験を行っている。これらの結果は現在投稿準備中である。