著者
廣津 匡隆 栫 博則 海江田 英泰 中村 俊介 今村 勝行 藤元 祐介 谷口 昇
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.409-411, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

近年critical shoulder angle(以下CSA)と腱板断裂及び修復後腱板再断裂に関する報告が散見される.今回当院で行った関節鏡下腱板修復術(以下ARCR)患者におけるCSAと臨床成績,再断裂及びimpingement徴候の関連を検討したので報告する.対象は当院でARCRを施行し,1年以上経過観察可能であった76肩とした.CSAが35度未満の群(以下under群)と35度以上の群(以下over群)に分けて,術前後のJOA score,修復腱板の再断裂率,impingement徴候の陽性率を評価したがいずれも2群間に有意差を認めなかった.Impingement徴候陽性率はunder群では術後有意に改善し,over群では改善傾向にあるものの統計学的有意差を認めなかった.以上の結果より術後のimpingement徴候の有無にCSAが関与する可能性が示唆された.
著者
武田 研 緒方 公介 原 道也 星子 一郎 江本 玄 城島 宏 西野 一郎 高岸 宏
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.480-485, 1997-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

We recognized 11 patients (9 males, 2 females) diagnosed as having Ostechondritis dissecans of the knee treated surgically from 4 months to 4 years and 2 months. Their ages ranged from 12 to 27 years old (average 16.6 years), and the sites of their lesion were medial femoral condyle 8 cases, lateral femoral condyle (patello-femoral joint) 2 cases, and patella lcase. Predisposing sports activities were recognized in 8 cases such as baseball soccer etc. We performed as surgical treatments, bone peg graft for 8 cases (included arthrosopic treatment for 5 cases), removal of loose bodies for 3 cases. We utilized MR imaging as one method of postoperative evaluation for bone peg grafted cases.
著者
依田 周 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 森口 昇 塚本 正紹 江頭 秀一 浅見 昭彦 仙波 英之 野口 康男 原 真一郎 前 隆男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.613-618, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

【背景】骨癒合評価時期について臨床現場や論文で医師間の認識に相違を感じることがあり,骨癒合と判定するタイミングを調査することとした.【方法】1.長崎大学,関連病院および佐賀骨折治療研究会所属医師103名を対象に,大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘を試行したレントゲンを経時的に提示.仮骨出現時期,仮骨架橋構造形成期,骨癒合時期,抜釘可能時期および整形外科経験年数についてメールアンケートを実施した.2.アンケートに用いたレントゲンを画像ソフトで処理し仮骨部の濃度,面積を評価.【結果】1.回答43名,経験年数は平均13.6年.いずれの時期においても医師間による相違が見られ,経験年数による差は見られなかった.2.仮骨部の濃度,面積は仮骨増生が強い時期に最大となり徐々に低下を認めた.【考察】レントゲンによる骨癒合評価は主観的要素や撮影条件により左右され,また整形外科医と放射線科医でも差を生じるとの報告もあり今回の調査でその傾向が認められた.
著者
今村 悠哉 藤本 徹 瀬井 章 谷脇 琢也 岡田 龍哉 水田 博志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.89-93, 2012-03-25 (Released:2012-06-26)
参考文献数
11

【目的】画像上著明な脊髄圧迫所見を認める頚椎椎間板ヘルニア症例において,保存的加療が可能であった1例を経験したので報告する.【症例】48歳女性.特に誘因なく後頚部から両肩にかけての激しい痛みと両手指のしびれ感が出現し,発症10日目に当科を受診した.筋力は保たれていたが,MR像にてC3/4正中型のヘルニアによる高度の脊髄の圧迫を認め,疼痛が強く手術を希望したが,2週間のカラーキーパー装着で疼痛半減したために,保存的に経過をみた.発症後2ヶ月のMR像でヘルニアは縮小し,7ヶ月後には完全に消退,頚部痛と両手指のしびれ感も消失した.【考察】腰椎椎間板ヘルニアの自然消退に対するメカニズムは明らかとなっているが,頚椎椎間板ヘルニアでの報告は少なく,本症例のように高度の脊髄圧迫を示した報告は限られる.短期間で症状の軽快を示すような症例の中にはヘルニアの自然消退が得られる可能性がある.
著者
中川 剛 糸川 高史 中島 康晴 山本 卓明 馬渡 太郎 本村 悟朗 大石 正信 秋山 美緒 岩本 幸英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.217-219, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
12

人工股関節全置換術(THA)後の脱臼は最も頻度の高い合併症の一つであり,多くの因子の関与が報告されている.そのうち,骨頭径は最も大きなインプラント因子であることとされている.32mm骨頭径の脱臼予防効果を明らかにする目的で,1998年以降の初回THA症例で1年以上経過観察し得た923症例1033関節の脱臼率を調査した.各骨頭径における脱臼率は22mm:194関節中9関節(4.6%),26mm:717関節中15関節(2.09%),32mm:110関節中0関節(0%)であり,Pearson単変量解析にて3群間に有意差を認めた.32mm径骨頭は有意にTHA後脱臼を減少させた.
著者
広松 聖夫 木下 斎 井上 明生
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.389-395, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
9
被引用文献数
1

[はじめに]変形性股関節症に対する各種温存手術の後,関節症変化が進行してきたときの対応には,いろいろの方法があるが,今回は特にわれわれが保存療法として勧めているジグリング(貧乏ゆすり様運動)の成績を検討した.[対象と方法]温存手術の後,関節症変化がいったんは良くなったものの再び悪化してきた症例,および術後3年以上たっても改善してこない症例を対象に,一日2時間以上のジグリングを指導し,6か月ごとに追跡し,関節裂隙の開大とともに症状,主としてJOA score疼痛点の改善で評価した.[結果]対象になったのはキアリ手術術後29関節,寛骨臼回転骨切り術後4関節,棚形成術術後3関節の合計36関節で,そのうち著明に改善したのは17関節47%であった.[結語]変形性股関節症に対するキアリ手術の成績向上のために考案したジグリングは,温存手術の成績不良例にも試しみる価値のある治療手段であることがわかった.
著者
弓指 恵一 福原 志東 赤星 正二郎 有田 忍 馬場 賢治 村上 忠誌 沖本 信和
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.325-327, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
7

偽痛風発作により発熱を伴う急性腰痛を生じた1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,3日前より誘因なく腰痛が出現し,徐々に悪化し発熱を伴ったため当科初診.単純X線像で変形性腰椎症を認めた.CTでは椎間関節包の石灰化,MRIではL4/5の両側椎間関節の液体貯留,傍脊柱筋内の異常信号を認めた.採血結果では炎症データ高値を認めた.椎間関節液1.5ml穿刺吸引した後,1日後に解熱し3日後に腰痛は改善した.穿刺液からピロリン酸カルシウム結晶と考えられる結晶が証明され,培養検査は陰性であった.発熱を伴う急性腰痛症に対してはまず化膿性脊椎疾患を疑うべきだが,偽痛風発作によるものも念頭に置く必要があると考えられた.
著者
猿渡 力也 北城 梓 柴田 英哲 密川 守
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.826-828, 2018-09-25 (Released:2018-11-12)
参考文献数
4

サーフィン中に腰部の違和感及び疼痛を認め,その後急速な下肢の脱力及び膀胱直腸障害を生じた症例を経験した.症例は23歳女性.2017年7月にサーフィン中に腰部の違和感及び疼痛を認めた.その後,急速な下肢脱力を認め,立位不可能となり近医受診.急速に進行する不全対麻痺にて直ちに当院紹介となった.初診時,両下肢の感覚異常,筋力低下及び完全尿閉を認めた.画像検査では,MRI T2強調像とSTIRにてTh10~L1の脊髄内に左右対称性に高信号を認め,脊髄の軽度腫大を認めた.理学所見および画像所見からsurfer's myelopathyと診断し,受傷翌日からステロイドパルス療法3日間(1 g×3 day)施行した.パルス療法開始翌日から筋力の回復を認め,6日目には自尿も可能となり,11日目に退院となった.Surfer's myelopathyは画像所見に乏しく,治療法は確立されておらず,文献的考察を含め考察する.
著者
辻 王成 岡元 勉 野村 一俊 前川 清継
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.634-637, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
7

新規骨粗鬆症治療薬のデノスマブ(プラリア)はRANKリガンドを標的とするヒト型モノクローナル抗体である.海外で椎体および大腿骨近位部骨折発生リスクを有意に減少させており,本邦でも期待がもたれる.主な副作用として低カルシウム(Ca)血症がある.2013年7月~9月の期間,骨粗鬆症患者に対し,デノスマブ60mgを皮下注射し,カルシウム,天然型ビタミンD配合剤を併用し治療開始前と投与後1,2,4週に血液検査を行い,血清Ca値と骨吸収マーカーを測定し,実臨床での副作用と早期の治療効果判定を行った.国内第II,III相試験での低Ca血症の発生頻度はそれぞれ0.6%,0.8%であったが,本研究では1週後に12%,2週後に7%であった.原因として,本研究の対象患者の平均年齢が79.4歳と高く腎機能低下の影響が推測され,超高齢者には活性型ビタミンDの事前投与が望ましいと考える.また,投与2週間でTRACP-5bは62.1%低下しており,BP製剤を超える強力な骨吸収抑制効果を確認した.
著者
堀川 朝広 久保田 健治 小田 勇一郎 原 慎太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.680-685, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【はじめに】内側開大式高位脛骨骨切り術(以下OWHTO)は術後に膝蓋骨低位が発生する問題点がある.我々は膝蓋骨低位にならない手術手技として近位骨片に脛骨粗面を連続させ骨切りを行う方法(distal-tuberosity osteotomy, 以下DTO)を施行してきた.本研究では従来の遠位骨片に脛骨粗面を連続させる方法(proximal-tuberosity osteotomy, 以下PTO)とDTOを比較検討した.【対象と方法】OWHTOを施行した59膝をPTO群(P群)30膝とDTO群(D群)29膝とに分けた.それぞれの骨切り開大角度,脛骨後傾角,術前術後の膝蓋骨の高さ,また鏡視下に膝蓋大腿関節面を評価した.【結果】平均開大角度はP群9.4°,D群12.0°であった.脛骨後傾角はP群で10.8°から11.8°,D群で10.1°から10.9°に増大したが有意差はなかった.Blackburne-Peel比でP群が術後に平均0.11(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし),Caton Deschamps indexではP群が術後に平均0.12(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし)低下した.また,P群では開大角度が増大するにつれて膝蓋骨がより低下したが,D群ではほぼ変化しなかった.膝蓋大腿関節の変性はP群で33.3%が進行したが,D群では9.1%のみが進行し86.4%は不変であった.【考察】DTOは術後の膝蓋骨低位や膝蓋大腿関節変性を抑えうることが示唆された.
著者
松本 大成 志田 純一 上ノ町 重和 濱田 貴広 山口 徹 弓削 英彦 有薗 剛
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.577-580, 2008-09-25 (Released:2008-11-20)
参考文献数
6

症例は70歳男性.草取りをした後に右前腕の疼痛が出現したため,クリニックを受診し,筋肉痛の診断でステロイドの局注を受けた.翌日,疼痛の増悪と前腕の腫脹を来たし,近医へ入院となった.抗生剤投与するも,腫脹は上腕まで広がり,Vitalの悪化と意識レベルの低下をきたしたため,受傷後2日目に当院紹介,救急搬送された.入院時,既に意識レベルの低下を認め,右前腕から上腕まで著明な腫脹と暗赤色調の紫斑と水泡形成を認めた.単純レントゲン,CTにて皮下から筋層内まで及ぶガス像を認め,ガス壊疽の診断にて緊急手術(上腕及び前腕切開排膿,デブリードマン)を施行した.培養にてKlebsiella pneumoniaeを認めた.全身管理の甲斐なく術翌朝永眠された.非クロストリジウム性ガス壊疽の死亡率は25.1% と生命予後不良の疾患である.いかに早期診断,早期治療,迅速な救命処置が必要か考えさせられる症例であった.
著者
米村 憲輔 加藤 悌二 土屋 立昭 阿部 靖之 西田 公明 高木 克公
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.642-645, 1994-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

Three treated groups totaling 60 patients with solitary bone cysts were evaluated. Curettage and bone graft, methylprednisolone acetate (MPA) injection, and curettagehydroxyapatite (HA) filling were performed in 20, 32, and 12 patients, respectively. Four patients were treated with two different interventions. The healing rates (complete healing plus incomplete healing evaluated by Campanacci's criteria) in the three groups was 85%, 83%, and 100%, respectively. Although the healing rate of HA filling appeared to be best in this series, the average duration of follow-up was less than two years. Therefore, MPA injection should be the preferred method for its greater simplicity and the absence of complications.
著者
清水 克時 粟屋 梧老 松田 文秀 脇田 重明 前川 正毅
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.722-725, 1985-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

There are an increasing number of reports of traumatic dislocation of peroneal tendones, formerly believed to be rare, as a result of sports accidents. Most of them are diagnosed late and treated surgically. Although conservative treatment for acute cases is described in standard orthopedic textbooks, few successful cases have actually been reported. There is no established theory as for how old injuries could be managed conservatively, as for the method and duration of immobilization and as for the necessity of non-weight-bearing. A case of traumatic dislocation of the peroneal tendons is presented in which immobilization was started on the twelfth day following injury and continued for 31/2 moths permitting weight-bearing. The patient, a 24 year-old dental student, who sustained a dorsiflexioninversion injury from skiing, returned to sports activities such as water skiing at 5 1/2 months and regained full ROM at 8 months. He was assymptomatic in the 16th month of follow-up. Several problems about conservative tratment of this condition are discussed.
著者
神中 正一
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.74-80, 1953 (Released:2010-02-25)

This short article is author's experiences during the war on the rehabilitation of the amputees from the viewpoint of orthopedic surgery.The author first deals with amputees' training in the use of the prosthesis and then describes the importance of proper guidance and encouragement. Long hospitalization without any fixed scheme and activity and to let the will to work remain dormant, is far more harmful to the patient than the amputation itself. The stronger the will power to work and for recovery, the quicker is the resumption of activitey and the development of the compensatory function of extremities. In such case the speed of attaining vocational skill is phenomenal too and he will soon resume his activity in the community to which he once belonged.According to the author's investigation on 409 war injured veterans, he found among them 12%, whose will for labor is very insufficient.The causes of this lack are classified as follows:1. site of amputation 51.9%2. character 48.7%3. short stump 13.4%4. severity of the disability 13.4%5. bad fitting of. prosthesis 30.8%6. insufficient vocational guidance 44.2%According to the author's investigation on 652 war injured veterans in 1943, the distribution of occupation was as following tables.
著者
田中 寿人 笠原 貴紀 秋山 菜奈絵
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.424-428, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
3

【目的】一般診療上にて椎間板ヘルニアは,交通外傷などの関連性を問われる機会が増えてきた.頚部椎間板ヘルニアの画像所見のうち,外傷性ヘルニアである事を示唆する所見が捕らえることが出来ないか検討した.【方法】平成20年度に当院において頚部椎間板ヘルニア疑いでMRI検査した症例を明らかな外傷歴のある外傷群(19例)と外傷歴のない非外傷群(16例)にわけてそれぞれの画像を比較した.【結果】外傷群では椎間板ヘルニアがT2で高輝度を示し,椎間板内部とヘルニアが連続して高輝度を示すものもあった.外力の程度によっては喉頭下軟部組織の腫脹を認めた.さらに屈曲損傷型は棘間靱帯部に出血を認めた.以上の所見は外傷の関与を強く疑わせる所見と考えられた.ただ,若年層は非外傷群でもT2*で高輝度を示す事があり,喉頭下軟部組織の腫脹は頚長筋炎の症例と紛らわしい事があるため注意が必要であった.
著者
原田 真一 伊藤 信之 衛藤 正雄 朝長 匡 岩崎 勝郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.1126-1130, 1996-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We report neuropathic arthropathy of the shoulder joint caused by syringomyelia and discuss the method of diagnosis and treatment.Three patients were treated and their ages were 41, 52 and 55 years respectively. In case No 1, there was swelling and the rapid destruction of the shoulder joint. Synovectomy was performed, however the ROM decreased markedly. Six months later, a shoulder joint replacement was carried out and a temporaly improvement of ROM was noticed. However it became worse gradually again and after ten years later she can abduct her arm only 40 degrees. In case No. 2, the synovectomy was performed, but the destruction of the joint progressed rapidly and the joint was dislocated anteriorly 6 months later. At present she has poor abduction of 60 degrees. In case No. 3, osteosynthesis was carried out for the humeral shaft fracture 5 years ago, however non-union and neuropathic arthropathy of the shoulder joint were diagnosed 3 years. later. Present ab-duction angle is 30 degrees.All these three cases had characteristics of massive swelling, rapid and progressive destruction of humeral head with slight pain.So far in Japan, 36 cases out of 42 cases of neuropathic arthropathy of the shoulder joint was caused by syringomyelia. However, the results of these cases were not satisfactory, even after performing synovectomy, prosthesis or arthrodesis because almost all the syringomyelia cases are slow and progressive and leads to the destruction of the joint.
著者
古賀 幹朗 西尾 淳 中山 鎭秀 山本 卓明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.721-724, 2022-09-25 (Released:2022-11-07)
参考文献数
8

【目的】当科で経験した7例の血管平滑筋腫の臨床像,MRI所見,病理組織像を検討する.【対象と方法】2016年1月から2021年4月までに病理組織学的に血管平滑筋腫と確定診断された7例(男性3例,女性4例,平均年齢60.1歳)を対象に発生部位,局在,疼痛の有無,チネル兆候の有無,自覚時から生検あるいは手術までの期間,術前X線所見,術前MRI所見,病理所見,再発の有無を調査した.【結果】発生部位は足関節・足部4例,下腿2例,膝部1例で,局在は全て皮下であった.疼痛があるものは6例,チネル兆候は全て陰性であった.MRI検査は全例で施行され,腫瘤はT1強調像で低~等信号,T2強調像で不均一な高信号を示した.造影MRI検査が施行された4例では全て強い造影効果を認めた.6例で辺縁切除が行われ,再発はなかった.1例は生検のみであった.病理所見において森本の分類では全例solid typeであった.【結論】血管平滑筋腫は下肢の皮下に発生する有痛性軟部腫瘤の鑑別診断として考慮すべき疾患である.
著者
山川 慶 金城 英雄 島袋 孝尚 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.813-817, 2021-09-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
6

我々は広範囲脊柱管狭窄および黄色靭帯骨化症を合併した軟骨無形成症の1手術例を経験した.症例は42歳女性で主訴は両下肢の筋力低下としびれである.神経学的所見では両側大腿後面から下腿外側のしびれ,前脛骨筋,長母趾伸筋でMMT 1と著明な低下,両側膝蓋腱,アキレス腱反射の減弱を認めた.画像所見ではMRIでTh10/11,L1/2,2/3,3/4,4/5に脊柱管狭窄を認め,CTでTh10/11に黄色靭帯骨化を認めた.術式はTh10/11に対し椎弓切除術を,L1/2-L4/5に対し棘突起縦割式後方除圧術を行った.L4/5は腰椎の過前弯と骨盤前傾により術野が非常に深く除圧に難渋した.術後3日目,ドレーン抜去後の硬膜外血腫による下肢の痺れの増悪を認めたが術後2週目で改善した.下肢筋力に関して術後6ヵ目の時点では明らかな改善は得られていない.今後,脊柱変形に注意して経過を観察する必要がある.
著者
安原 隆寛 多田 弘史 松崎 尚志 西島 毅志 増田 陽平 横田 忠明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.467-472, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

関節リウマチにおいて悪性リンパ腫の合併はまれに経験される.メトトレキサート(MTX),生物学的製剤治療中に発症した悪性リンパ腫の2症例を経験したので報告する.【症例1】55歳,女性.平成15年よりMTX 6 mg/ 週開始され,平成20年5月よりインフリキシマブ開始された.同年7月頃より左上腕に硬結,両手背に潰瘍形成出現したため,左上腕の生検を受け,悪性リンパ腫と診断された.インフリキシマブ中止後,腫瘍消失し,潰瘍も治癒した.【症例2】71歳,女性.平成12年よりMTX 6 mg/ 週内服中,H18右上顎の口内炎を自覚した.生検にて悪性リンパ腫と診断され,化学療法・放射線療法を受け,悪性リンパ腫は寛解した.【考察】RA患者の悪性リンパ腫発症は有意に高く,相対危険度は2倍という報告がある.そのリスクファクターとしてRAの病態そのものと,RAに対する治療薬との関連性が指摘されている.今回我々が経験した2例は,RAに対する治療薬が悪性リンパ腫の発生に関与したと推測された.
著者
林 哲生 喜名 政浩 入佐 隆彦 濱田 貴広
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.92-94, 2006 (Released:2006-05-23)
参考文献数
12

We retrospectively reviewed the results for seven patients who were less than twelve years old with eight discoid lateral menisci. The average age at the time of operation was 8.1 years, and the average duration of follow-up was 9.3 months. The state of meniscus and cartilage was evaluated with Watanabe's classification and Fujisawa's classification. The clinical results were rated according to the Japanese Orthopedic Association (JOA) Score for Meniscus Injuries. The mechanism of injury was not clear in all cases. The diagnosis of complete lateral discoid meniscus was confirmed in seven cases (88%) and the degeneration of cartilage was slight. Subtotal meniscectomy was required in the complete type (seven cases) due to prevalence of horizontal tear and hypermobility. The average JOA score at initial presentation was 50 points, and it remarkably improved to an average of 96 points at postoperative recent follow-up examination.