著者
堤 英俊 TSUTSUMI Hidetoshi
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.31-54, 2016

本稿の主要な目的は、ある知的障害特別支援学校に転入学した<グレーゾーン>の生徒の適応過程の分析をもとに、知的障害特別支援学校の学校文化の特徴に関して考察することにある。本稿を通して明らかになったことは、次の3 点である。第一に、知的障害特別支援学校の教師が、能力差を前提にした「共同体化」と就労を意識した「障害者化(軽度障害者化/中重度障害者化)」を両立させるという職責を担っていること、第二に、<グレーゾーン>の生徒に対して「差異化の後押し」戦略や「学校外資源の活用」戦略を行使することで、知的障害特別支援学校の秩序維持と生徒たちの近い将来の社会的自立の同時達成をねらっていること、そして第三に、知的障害特別支援学校は、社会の「周辺化」のメカニズムの一端を担う装置でありそれに強く規定されながら教師と生徒の応酬が行われていることである。知的障害特別支援学校においても教師たちだけでなく「障害児」とされる生徒たちもまた能動的・創造的に生活しているのであり、通常学校となんら変わりなく教師と生徒の「せめぎ合い」としてその学校文化を捉えていくことの必要性が確認された。
著者
西 教生 北垣 憲仁
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.129-145, 2011

里山環境の保全のための基礎資料を得ることを目的に、都留市十日市場および夏狩において2008年4 月~2011年3 月までの3 年間に鳥類の生息状況の調査を行なった。環境の異なるA コースおよびB コースの2 コースを設定し、月1 ~ 3 回、ラインセンサス法によって出現した鳥類の種名、個体数、出現環境、行動を記録した。その結果、A コースでは44種、B コースでは51種の鳥類が確認された。重複している種を除くと、2 コースで61種が確認された。これは、山梨県内で記録されている鳥類の23.5%にあたる。61種の内、ハイタカ、サシバ、クマタカはそれぞれ環境省および山梨県の、クロジは山梨県のレッドデータブックに記載されていた。スズメ、ヒバリ、ツバメ、タヒバリ、コジュケイの5種は興味深い出現パターンを示した。多くの鳥類が記録された理由としては、農耕地(Aコース)と樹林帯やススキ草原、河川(B コース)といった多様な環境が隣接した場所にあること、樹林帯は孤立した林ではなく、河川に沿って帯状に連続して広がっていることが推測された。また、河川、ススキ草原、樹林帯といった環境が帯状に広がるという地形が、多くの鳥類に生息地を提供していると思われた。繁殖期と非繁殖期の種類数に有意な差はないが、非繁殖期のほうが多い傾向を示すことが当調査地の特徴であり、年間を通して種類数が大きく変化をすることはなく安定していた。月別平均出現種類数は有意な差があり、その要因は夏鳥が少ないことであると考えられた。周辺環境の変化を示す可能性のある種として、A コースではサシバ、コチドリ、ノビタキ、コムクドリなどが、B コースではサシバ、ビンズイ、ヤブサメ、エゾムシクイなどの旅鳥が挙げられる。
著者
大谷 杏 OTANI Kyo
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要
巻号頁・発行日
no.85, pp.165-182, 2017-03-01

This article considers the requirements that enable a public library to implement events forimmigrants by analyzing the outcomes of participant observation and interview with thelibrarians at Entresse Library in Espoo, Finland. As a result, some factors; employment offoreign citizens as librarians, cooperation with civic associations, facilities for enjoying musicand eating, and introduction of the latest equipment, are thought to be necessary for publiclibraries to function as the learning institutions for immigrants.
著者
邊 英浩
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.159-169, 2011

朝鮮王朝は朱子学によって建国され、その思惟様式と対外観は16世紀に登場した李退溪(名は滉、字は景浩、退溪は号1501~70年)、李栗谷(名は珥、字は叔獻、栗谷は号 1536~84年)によって代表される。しかし朝鮮王朝が末期に近代に遭遇したとき、その基本的な思惟様式と対外観は大きく変容していた。それは、夷狄の中華への上昇可能性の肯定、儒教文明化以外の文明化への視野の拡大、この2 点である。こうした思惟様式と対外観の変容が起きつつあったときに、朝鮮王朝は近代を迎えることとなった。そのため高宗政権は、自ら近代化を進めながら、これらの近代的な夷狄との外交交渉、同盟関係を適宜構築していく政策を推進し、一定の成果をあげていくことができたのである。これらは国際関係を単に力関係から見るという次元では理解できないものであった。
著者
邊 英浩 BYEON Yeong-ho
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
no.76, pp.87-96, 2012-10-20

1860年に水雲・崔済愚(1824~1864年水雲は号)によって創始された東学は韓国固有の生命思想、神観念を基軸としつつ、儒教を中心とし、老子思想、仏教思想、キリスト教的な要素をも取り込みつつ集大成したものである。崔済愚は漢文とハングルとでその思想を書き残したが、韓国固有の人格神ハヌルニムを漢文史料では、天、上帝などと記した。しかしそれは中国思想における天、上帝などではなく、ハヌルニムを漢文で記すときに生じる現象であるため、あくまでも韓国固有の神観念であるハヌルニム信仰を内容としている。東学は人間の心はハヌルニムの心であるとし、人間と神との距離を圧縮的に接近させ、当時存在した身分差別を否定的に見る内容を持っていた。そのため東学は以後中下層の農民層を中心として急速に信徒を獲得すると共に、朝鮮王朝や当時の支配層である士族(両班)からの弾圧を受け始めた。 崔済愚は朝鮮王朝により1864年に処刑されたが、東学は第2 代教祖の海月・崔時亨(1827~1898年海月は号)に伝授され、経典と教団の整備に尽力し、東学は一層民衆生活の中に浸透し大勢力に成長していった。そのため東学は中下層の農民層を中心とした信徒を獲得すると共に、朝鮮王朝や当時の支配層である士族(両班)からの弾圧を受け始めた。その弾圧に反発したのが1894年に勃発した東学農民戦争である。当初東学農民軍は朝鮮王朝に抵抗し南部地域を中心とした独立王国的な勢力となっていったが、そこに日本軍が介入することにより壊滅的な打撃を被った。 東学農民革命以後、風前の燈火のようになった教団を継承したのは、第3 代教組の義菴・孫秉(1861~1922年義菴は号)であった。孫秉は日本からの弾圧を逃れるために、1905年東学の名称を天道教と改称し、教団を近代的な宗教組織体系に整備した。だが、孫秉は日本からの独立運動を放棄したわけではなく、1919年の3・1 独立運動を主導し、獄中死することになる。 東学は韓国固有の神観念の集大成的なものとして韓国ではしばしばその画期的な意味が触れられてきた。しかし、日本では東学は相当誤解され、天道教という名称さえ知られていない状態である。日本における東学・天道教への一般的な受け止め方は、恨みと民衆反乱、あやしげな民衆呪術といった反応に要約できる。思想内容に関心が薄い歴史学者、文化人類学者たちにより研究されてきたためであろう。 著者の金容暉氏(高麗大学校研究教授、ハヌル連帯事務総長)は、2011年10月に日本の一般市民向けに「東学・天道教の霊性と生命平和思想」という講演原稿を作成された(肩書きは講演当時のもの)。訳者は、日本ではあまり知られていない東学のエッセンスとでもいうべき生命思想、神観念を簡潔に整理したこの原稿を日本語で紹介する意義が小さくないと考え、ここに訳出した次第である。なお翻訳にあたり朴源出氏(天道教布徳師2011年当時)による翻訳原稿草案があり、邊英浩がそれを活用しつつ訳文を完成させた。そのため、翻訳の責任はすべて邊英浩にある。
著者
張 東宇 邊 英浩 鄭 宰相 JUNG Jae-sang
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.45-68, 2013

これまでの朝鮮思想史の叙述において、17世紀は「礼学の時代」と性格づけられてきヒョン・サンユンた。この説を最初に言い出したのは、おそらく玄相允の『朝鮮儒学史』(1949)であろう。玄相允の『朝鮮儒学史』は、植民地時代以降のものとしては、最初の朝鮮儒学通史であるが、そこでは朝鮮儒学の流れを「至治主義儒学→性理学→礼学→経済学(実学)」と述べている。この捉え方は、後の研究に大きな影響を与え、朝鮮時代の儒学は「16世紀=理学、17世紀=礼学、18世紀=実学」のように展開したもの、という「理解・知識」として定着テゲユルゴクする。つまり、16世紀における退渓学派と栗谷学派の性理学に対する見解の差が、17世紀において礼学に対する見解の差を生み出し、栗谷学派に属する西人は『朱子家礼』を中心とする礼論を、退渓学派に属する南人は古礼中心の礼論を展開した、という見方が朝鮮思想史ないし礼学史の叙述においてほぼ通説となっているのである。例えば、韓国精神文化研究院で刊行された『韓国民族文化大百科事典』(全28冊)の「礼訟」の項目をみると、「栗谷学派である西人=家礼中心=守朱子学派」対「退渓学派である南人=古礼中心=脱朱子学派」という図式で説明がなされている。『韓国民族文化大百科事典』は研究者をはじめ一般人もよく利用する事典であるため、この図式的な理解は一般的な認識として根強く広まっている。17世紀の思想史・礼学史に対するこのような理解は、18世紀の朝鮮思想史の理解にもつながり、18世紀を「実学の時代」と規定し、「南人」系列の学者に焦点を当てながら、実学を「脱朱子学的」学問として位置づける言説と密接に結び付いている。このような状況の中で、17世紀の朝鮮思想史・礼学史に対する従来の研究に問題を提起し、新しい見方を提示する研究者たちが近年現れている。本稿の著者である張東宇氏(韓国、延世大学校国学研究院研究教授)もその一人である。氏は、朝鮮時代の代表的な思想タサンチョン・ヤギョン家の一人である茶山、丁若 の礼学の研究で博士論文(『茶山礼学の研究―『儀礼』「喪服」篇と『喪礼四箋』「喪期別」の比較を中心に』延世大学校、1997年)を著して以来、長年朝鮮礼学の研究に取り組んできた韓国の学者であるが、特に近年は朝鮮時代の『朱子家礼』関連著述の研究を精力的に行っている。本稿で氏は、朝鮮時代の『朱子家礼』関連著述に対する書誌学的な調査・分析を通じて、朝鮮における礼学の展開は、『朱子家礼』の研究が始まった16世紀後半から18世紀にいたるまで、「古礼による『朱子家礼』の補完」という共通の問題意識をもとに、学派の相違を超えて「蓄積的に進展された単一な流れ」であると結論づける。また「礼学の時代」といえるのは、17世紀であるというより、むしろ18世紀であるという見解を示す。これまでの朝鮮礼学の研究は、主に17世紀の服制論争(礼訟)史料を中心に行われてきたわけであるが、著者は朝鮮礼学史における家礼関連資料の持つ重要性を提示し、朝鮮礼学史の叙述は礼訟にとどまらず、もっと広い見地から捉えるべきであることを示唆しているのである。朝鮮礼学史への新しい視点を提供し、従来の朝鮮思想史の理解に反省をうながしている点で、著者の問題提起と結論は非常に大きな意味を持つものと思われる。また本稿で整理された膨大な量の『朱子家礼』関連著述リストは、朝鮮礼学史の研究のみならず、今後、中国・日本・ベトナムなど、東アジア各地における家礼文化の比較研究の基礎資料として活用できるものと期待される。翻訳は鄭宰相(京都大学講師)が草案を作成し、邊英浩(都留文科大学教授)が点検し責任を負うこととした。なお本稿は筆者が、科学研究費補助金(基盤研究(A))研究「東アジアにおける朝鮮儒教の位相に関する研究」(研究代表者:井上厚史島根県立大教授)の一環として弘前大学で行なわれた国際ワークショップ(2012年8月29~30日)において報告したものを加筆、修正したものである。It has been said that the two opposite stances exist in Choson scholars' studies on FamilyRituals of Master Zhu (Zhuzi Jiali 朱子家禮). Unlike the previous understanding of theirreconcilable difference between Yulgok 栗谷school and T'oegye 退溪school, this articleunveils their common consent that they endeavored to complete Zhuzi's Family Rituals inaccord with the ancient ritual principles. On the ground of such agreement, Ritual Studies ofthe two schools had interacted with each other, mainly in respect of three aspects : practiceof rituals (haengnye 行禮), interpretations or exegeses on those practices, and provisional/^ extraordinary rituals without clear manuals in the canonical scriptures (byollye 變禮).^ Through exploring extant 198 works of Choson Ritual Studies in the 15th to 19th centuries,this article shows the patterns of their evolution and interrelationship.
著者
伊香 俊哉 永井 均 林 博史 芝 健介 内海 愛子 福永 美和子 粟屋 憲太郎 高取 由紀 宋 志勇 戸谷 由麻
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の主な目的は、第2次大戦後の連合国による対日対独戦犯裁判を解明するための資料調査・収集である。調査・収集は日本、中国、台湾、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フィリピン各国の公文書館や図書館など約30ヵ所で実施した。また日本、中国、フィリピンではヒアリング調査も実施した。収集資料の成果は資料紹介・論文・著書として発表されている。戦犯裁判研究の国際交流のため2014年にドイツ研究者とワークショップを開催した。
著者
中地 幸
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究はアメリカのジャポニズム文学とアフリカン・アメリカン・モダニズムの関係を探ることを目的とするもので、アフリカ系アメリカ人が「日本」をどのように受容したのかといった問題を『ホット・ミカド』や『スイング・ミカド』などのアフリカ系アメリカ人による演劇やリチャード・ライトの俳句を中心に調査を行い、そこに現れる人種とエキゾチシズムの問題を明らかにした。成果として関連トピックの雑誌論文10本、学会発表を14本、図書5冊を5年間に生産した。
著者
西 教生 北垣 憲仁 西丸 尭宏 NISHI Norio KITAGAKI Kenji NISHIMARU Takahiro
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.17-26, 2014

都留文科大学附属図書館に隣接しているビオトープは、周辺の山の自然とキャンパスをつなぐ「生きものの回廊」として機能するようなビオトープとして設計された。今後の管理計画や活用方法を考え、本学ビオトープの機能を評価するためには現状を把握する必要がある。そこで、2012年10月および11月、2013年8 月に本学ビオトープに生育している樹高50 cm 以上のすべての木本を対象とした調査をおこなった。確認された樹木の内、植栽以外の方法で本学ビオトープに持ち込まれて定着しているものは全体の33.6%を占めていた。本学ビオトープは風や鳥類の採食行動という作用によって周辺の山の生態系とつながっていると考えられ、これは「生きものの回廊」が十分機能していることを示すものである。また、本学ビオトープは身近な自然を対象としていることから、自然に親しむ入り口としても重要な意味を持つと考えられる。
著者
西 教生 北垣 憲仁 西丸 尭宏 NISHI Norio KITAGAKI Kenji NISHIMARU Takahiro
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
no.79, pp.17-26, 2014-03-20

都留文科大学附属図書館に隣接しているビオトープは、周辺の山の自然とキャンパスをつなぐ「生きものの回廊」として機能するようなビオトープとして設計された。今後の管理計画や活用方法を考え、本学ビオトープの機能を評価するためには現状を把握する必要がある。そこで、2012年10月および11月、2013年8 月に本学ビオトープに生育している樹高50 cm 以上のすべての木本を対象とした調査をおこなった。確認された樹木の内、植栽以外の方法で本学ビオトープに持ち込まれて定着しているものは全体の33.6%を占めていた。本学ビオトープは風や鳥類の採食行動という作用によって周辺の山の生態系とつながっていると考えられ、これは「生きものの回廊」が十分機能していることを示すものである。また、本学ビオトープは身近な自然を対象としていることから、自然に親しむ入り口としても重要な意味を持つと考えられる。
著者
山口 博史
出版者
都留文科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

この研究は、ベルギーの首都ブリュッセル周辺地域を主たる対象とした。この地域は元来オランダ語話者の居住が多い地域であった。ブリュッセルの拡大にともない、都市中心部から周辺部に人口の移動が生じた。この移動人口にはフランス語話者が少なくなかった。この研究ではこうした移住者の状況把握につとめた。そしてこの地域への移住者のライフヒストリー、とりわけオランダ語話者とフランス語話者の間に立つ形で市民活動に取り組む人びとに聞き取りを行なった。その結果、蘭仏語の区切りとは違う区切りによることで、両言語集団間のつながりが維持されていることが明らかになった。
著者
依藤 道夫
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.61-74, 2003

This paper is a study on Gabriel Garcia Marquez's great masterpiece One Hundred Years of Solitude, which is a very famous "magical realism" novel. Garcia Marquez is a Nobel Prize winning author of Colombia and he wrote novels, both long ones and short, the background of which was an imaginary village (town) "Macondo". It was very smilar to Aracataca, Garcia Marquez's hometown in northern Colombia. The images of not a few characters and episodes of this novel were from his real hometown. Thus One Hundred Years of Solitude, a very eventful and amazingly fantastic story, is based on Garcia Marquez's own memories of his native place. Realism and fantasy are mixed up in the world of this novel, and even supernatural phenomena are seen in its many pages. Readers can meet even ghosts and monster. The Buendia family history of 100 years is told generation after generation in this story and not a few queer or eccentric characters appear one after another. Most of them are possessed with deep solitude. Through the 100 years of the Buendia family Garcia Marquez tries to clarify the true and deep meaning of human solitude. This paper tries to analyze such a dynamic but fantastic and strange world of this novel and to pursue what Garcia Marquez wished to say on human solitude through the Buendia family by considering "magical realism" and William Faulkner's influence upon him.
著者
山本 芳美
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本課題では、19世紀末から20世紀初頭に、欧米や東南アジアに出稼ぎや移民した者を含めた日本人彫師の活動を研究した。各地の研究機関、大学、図書館、博物館などで、新聞や雑誌、古写真、公文書のデータベースや所蔵資料を調べ、香港、シンガポール、フィリピン、タイ、インド、イギリス、アメリカ、カナダで複数の日本人彫師が活動したことを解明した。本研究により、英米に渡った彫師Yoshisuke Horitoyo、香港の野間傳の足跡が判明した。また、船で渡航した当時、客を彫師のもとに効率よく送りこむ、ホテル、古美術商、写真師、彫師間のネットワークが横浜、神戸、長崎に形成されていた可能性も明らかとなった。
著者
植村 憲治
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.43-65, 2006

The teaching method of mathematics and/or arithmetic essentially does not depend on language or culture. Succeeding to the previous paper which treated a Kindergarten text book, we introduce and investigate an American arithmetic text book and the teacher's book for Grade 1, named "Mathematics" published by McGraw-Hill Company. And we point out the difference of Japanese teaching methods from those of the U.S. including addition and subtraction strategies.
著者
大平 栄子
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

現在までに出版されているインドとパキスタンとの分離、および、パキスタンとバングラデシュとの分離を扱う分離独立文学テクスト、それに関連する映画・テレビドラマ、民謡などを網羅的に収集・分析し、分離独立文学の全体像を明らかにした。「分離独立」という視座から南アジア英語文学を総体的に把握することを目指し、今回の研究により、南アジア英語文学の体系的把握に向けた第一歩を踏み出すことができた。
著者
山本 安夫 櫻木 弘之
出版者
都留文科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

研究代表者(山本)と海外協力研究者Th.A.Rijkenによって中間子論的SU3不変模型Extended Soft Core model (ESC)が開発された。この模型においては、従来のeffective scalar mesonsに代わってtwo meson exchange (pair term)の寄与が直接取り入れられ、極めて良い精度でNN散乱位相差のデータを再現すると同時に、ハイパー核のデータとの全体的に整合する。本研究において、ESC模型より導かれるG行列相互用G_<XX>(r;ρ,E)を用いたfolding modelによる核-核散乱の解析が大きく進展した。特にESC模型で核物質の飽和性を保証するために取り込まれている3体斥力の効果が系統的に現れることが示された。ESC模型のSU3不変性を踏まえ、G行列folding modelはハイペロン-核間相互作用の解析に適用された。旧来のESC模型には実験が示唆する強いΣ-核間斥力が出せない問題があったが、今年度に完成したESC08においては、クォーク・クラスター模型で与えられるPauli forbidden statesの影響を現象論的に取り入れることでその問題が解決された。N-核の場合と同様の枠組で得られるΣ-核相互作用を用いてΣ-核散乱の微分断面積を計算し、得られる角度分布のパターンがΣN相互作用の特徴を反映することを示した。また準自由(π^-,K^+)反応の強度関数を計算し、ESC08より導かれる斥力的Σ-核相互作用の結果が、引力的相互作用による結果よりも実験データの現象論的解析の結果とよく整合することを示した。以上の成果はHyp-X国際会議(2009年9月、東海村)において発表された。