著者
田邊 真理子 中山 正 加藤 睦子 清井 理恵子 寺石 友美子 渡邊 正樹
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.655-661, 2017-06-05

多発消失性白点症候群(MEWDS)は,近視眼の若年女性に好発し,主に片眼の視力低下や光視症,視野欠損をきたす1)。検眼鏡的には眼底に白点病巣が多数出現するが,2 週間程度で消失し,症状も1 か月程度で自然に回復する2)。MEWDS は症状が軽微であることが多く,症状出現から受診までに時間が経っている症例が多いこと,自然治癒傾向があることから,白点病巣がどこに初発し,経過中にどのような広がりや消失過程をたどるのかということについての検討はなされていない。
著者
伏木 弘 吉本 英生 種部 恭子
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.295-300, 2020-03-01

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による子宮頸部異形成63例に対して,HPV感染の疣贅治療に用いられるヨクイニンエキス製剤を投与し,細胞診,組織診,HPV消失をもとに,NILMまでに要した期間とHPVの型との関連性および有効または無効な症例のHPVの型を検討した。その結果は,評価症例が38例で,NILMとなった例は27例,NILMまでの期間は平均4.8カ月で短期間にNILMとなり,ハイリスク型,ローリスク型で差は認められなかった。以上より,ヨクイニンエキス製剤はHPVの型によらず子宮頸部異形成を改善し,もしくは進行を抑え,NILMまでの期間を短縮している可能性が示唆された。
著者
山本 和奈 岩島 覚 西尾 友宏 塩澤 亮輔 久保田 晃 三牧 正和
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.967-973, 2019-05-01

ブラインドやカーテン留め等のひも状部分が偶然,子どもの頸部に絡まり,縊頸をきたす事故が報告されている.この事故は世界的にも問題になっており,判明しているだけでも世界15か国で250件以上の死亡事故が報告されている.残念ながら,本邦でもブラインドひもによる小児縊頸事故は発生している.ほとんどの事故死は,啓発により予防することができると考えられるが,本件に関しては発生件数が減少していないのが現状である.われわれ小児科医は保護者や企業,行政と協力し,小児縊頸事故の予防,対策に徹底的に取り組む必要がある.最近,われわれは「ブラインドひもによる縊頸の1例」を経験した.本稿では,小児縊頸事故についての現状を把握し,この事故を防ぐために,現状ではどのような問題が存在し,事故を予防するにはどのような対策が必要なのか,具体例を交えて考察する.
著者
若松 美智子 佐野 遙 伊藤 亜希子 中村 和子 松倉 節子 蒲原 毅
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.160-163, 2020-02-01

64歳,女性。初診時,右拇指に爪甲の肥厚,粗糙化,破壊と爪甲下の膿疱が認められた。病理組織学的にKogoj海綿状膿疱がみられたが,当初は皮膚カンジダ症が合併していたことなど,診断に苦慮した。無菌性膿疱が慢性に繰り返してみられたこと,再度皮膚生検を施行し病理組織学的にKogoj海綿状膿疱が確認できたことからHallopeau稽留性肢端皮膚炎と診断することができた。エトレチナート20mg/日内服で膿疱は速やかに消失し,ほぼ正常な爪甲の再生がみられた。これまでエトレチナート減量や中止で汎発化した既報告例が散見されるため,今後も注意深い経過観察が必要であると考えられた。
著者
光嶋 勲
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.45, no.13, pp.2327-2330, 2004-12
著者
石原 理
出版者
金原出版
雑誌
産婦人科の実際 (ISSN:05584728)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.1067-1075, 2005-07
著者
若倉 雅登
出版者
金原出版
雑誌
眼科 (ISSN:00164488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.13, pp.1975-1981, 2003-12
被引用文献数
5
著者
原田 晋 森山 達哉 上塚 弘
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1257-1262, 2019-07-01

25歳,女性。過去に数回,ウズラの卵摂取後に発熱・咽喉異和感・全身のしびれ感・呼吸困難などのアナフィラキシー症状を発症した。プリックテストで,ウズラの卵の卵白・卵黄ともに(4+)陽性であったため,自験例をウズラの卵によるアレルギーと診断した。ただし,鶏卵の摂取は日常的に可能であり,また鶏卵の卵白・卵黄の特異的IgEおよびプリックテストはともに陰性かつImmuno Solid-phase Allergen Chipで鶏卵の主要アレルゲンコンポーネントもすべて陰性であったことより,鶏卵に対する感作は有していないと考えた。鶏卵との交叉反応性を示さないウズラの卵による即時型アレルギーの報告は過去に数例しか認めておらず,極めてまれである。
著者
坂井 翔太 小澤 憲司 犬塚 将之 矢ヶ﨑 礼香 矢野 大仁 大江 直行 安江 志保 遠渡 沙緒理 小関 道夫 望月 清文
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1481-1487, 2020-12-05

急性に出現した複視の神経学的検査によってびまん性正中グリオーマと診断された小児の後天性内斜視症例を報告する。症例は11歳,女児。急性に複視を自覚し,近医を受診。急性内斜視が疑われたため,精査目的で当科を紹介初診した。初診時矯正視力は右1.5,左1.2で,両眼とも前眼部,中間透光体,眼底には特記すべきことなかった。対光反応には両眼とも遅延はなく,眼振はなかった。眼位は,近見30Δ,遠見35Δの共同性内斜視であり,明らかな眼球運動制限は認められなかった。Hess赤緑試験でも,両眼とも内方偏位していたものの,眼球運動の制限はなかった。頭部MRIにおいてびまん性正中グリオーマが疑われたが,神経学的には意識は清明で髄膜刺激症状や脳圧亢進徴候もなく,運動障害,感覚障害は伴っていなかった。直ちに局所放射線治療を行い,腫瘍は縮小してきたが,現在ニムスチン塩酸塩を用いた髄内局所薬剤送達による化学療法を追加して治療中である。内斜視は,びまん性正中グリオーマによる開散麻痺によって急性に発症したものと推定された。脳腫瘍を起因とする小児内斜視の発症頻度はまれなものと思われるが,急性発症の後天性内斜視は頭蓋内腫瘍によって発症する可能性があるため,頭部画像診断を必ず行い鑑別診断をすべきである。
著者
河端 由佳 狩野 俊幸 浅見 暁子 古田 淳一
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1926-1929, 2016-12-01

61歳女性。15年前より躯幹や四肢にそう痒を伴う紅色丘疹が出現し、春と夏には掌蹠にそう痒さを伴う漿液性丘疹が出現するようになった。受診時、汗疱状湿疹が遷延する臨床像と大豆の多量摂取歴から全身型金属アレルギーが疑われた。金属パッチテストでは亜鉛と白金が+?(ICDRG基準)であった。多量に摂取していた大豆を1ヵ月間制限したところ、掌蹠や躯幹、四肢の皮疹は軽快した。軽快後、ポラプレジンクの内服による亜鉛負荷試験を実施したところ、亜鉛による全身型金属アレルギーと診断された。管理栄養士の協力を得て、亜鉛摂取を控えるよう指導し、皮疹は寛解した。
著者
新井 麻子 中川 栄二
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.961-965, 2016-06-01

症例は4歳女児で、生直後より筋緊張低下、および特異顔貌多発奇形を認めた。吸綴が不良なため経管栄養管理となった。生後3ヵ月頃より体幹、四肢にリング状の襞を認め、ミシュランタイヤ児症候群と診断した。徐々に襞は顕著になり、2歳頃最も著明になったが、以後次第に軽快した。1歳まで経管栄養を施行したが、その後経口摂取可能となった。運動発達の遅滞を認め、2歳で座位可能となったが、つかまり立ちなどは認めていなかった。また精神発達の遅滞もあり、有意語はなかった。FISH解析を行ったところ、46,XX,ish del(1)(p36.3)(D1Z2-)と染色体異常を認め、1p36欠失症候群と確定診断した。4歳時に朝食中に突然無呼吸、チアノーゼが出現、脳波検査にて両側後頭部に高振幅徐波、右前頭・中心部に棘波を認めた。てんかんによる無呼吸と診断し、抗てんかん薬内服となった。4歳になり、つかまり立ち、伝い歩きを認めるようになったが、有意語は出現していない。
著者
吉村 英哉 仁賀 定雄
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.391-398, 2020-04-01

要旨:ハムストリング近位肉ばなれⅢ型損傷は,股関節屈曲膝関節伸展位の特徴的な肢位で受傷する。このうち完全剝離損傷は,ハイレベルアスリートにおいてパフォーマンス回復が困難な場合が多い。一方,不全剝離損傷は坐骨結節と仙結節靱帯の連続性が保たれ,損傷した筋腱の短縮は生じない。スポーツ継続可能な例も多いが,診断されないままパフォーマンスレベルを落としていることが多い。完全剝離損傷11例および不全剝離損傷7例に対して腱修復術を行い,それぞれ術後平均8カ月および7カ月で全例競技復帰した。受傷から2カ月以上経過した完全剝離損傷の例で腱断端が遠位へ転位し手術操作が困難であった。ハイレベルアスリートのⅢ型完全剝離損傷は,受傷後2週以内に診断,手術を行うことが肝要である。また不全剝離損傷は存在自体が周知されておらず,このような病態があることを念頭に置く必要があり,パフォーマンス低下のみられる例に対して手術は有効な治療法である。
著者
信澤 宏
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.399-408, 2020-05-10

川崎幸病院救急科は年間約1万人の救急搬送患者と年間約2万人のwalk-in患者を受け入れている。CTに関する患者緊急度は,造影CTを至急で行うべきと医師が判断する患者群から非造影CTで一応スクリーニングしておこうと判断される患者群まで様々である。医師の造影剤に対する考えは,積極的に投与する医師からそうでない医師まで様々である。既往歴や腎機能が不明のため,まず非造影CTを撮影することも少なくない。本院に併設されている4つの一般外来クリニックでも,患者重篤度や医師の造影剤に対する考え方は様々である。川崎幸病院と併設4クリニックでの2017年のCT総件数40,055件のうち造影検査は17.2%である。併設4クリニックの画像診断は川崎幸病院で行っている。
著者
加來 浩器
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1917-1924, 2018-12-01

マスギャザリングは,「一定の期間,限られた地域で,同じ目的の人が多く集まる状態」と定義され,さまざまな健康危機管理事態を想定した備えが重要である.マスギャザリングによって公衆衛生基盤の一部が破綻すれば,① 病原体の増加,② 非土着の病原体の侵入,③ 空間環境による感染リスクの増大,④ 感染経路対策の不徹底,⑤ 外来種節足動物による感染,⑥ 土着種節足動物による感染,⑦ 感受性者層の増加,などが起こり,感染症の発生のリスクが増加する.国際的なマスギャザリング時には,① 輸入感染症の発生,② 国内の流行疾患の発生,③ イベント会場から国内の他地域への拡散,④ 輸出感染症,などの影響が発生する.
著者
長田 枝利香 三谷 麻里絵 江原 和美 本田 尭 荒木 耕生 後藤 正之 楢林 敦 津村 由紀 安藏 慎 番場 正博
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.405-408, 2016-04-01

症例は5歳女児で、26日前にインフルエンザワクチン2回目を接種、14日前に日本脳炎ワクチンを追加接種した。右下腿前面に紫斑が出現し、翌日は左下腿前面と体幹に紫斑が拡大した。血液検査で血小板数は6000/μLと減少、他の2血球系は正常値であった。凝固系に異常はなかった。PaIgGは軽度上昇を認めた。骨髄像は正形成、巨核球数・赤芽球・顆粒球の数と形態は正常であった。血小板数は、翌日には2000/μLまで低下を認め、はじめて口腔粘膜出血を認めた。免疫性血小板減少症(ITP)の診断で、大量免疫グロブリンを投与した。血小板数は速やかに改善を認め、粘膜出血と紫斑の消失を確認した。その後も重篤な出血症状の合併はなく、入院9日目に退院した。退院後、外来で通院し、半年後の血小板数は17万/μLを維持している。
著者
小谷 信行
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.375-382, 2012-03
被引用文献数
2