著者
志毛 ただ子
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学十全医学会雑誌 (ISSN:00227226)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1744-1785, 1958-12-20
著者
太田 嗣人
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、異所性脂肪蓄積から生じるインスリン抵抗性や慢性炎症を病態基盤とし、肝硬変・肝がんへと進行する。本研究では、身近な食品素材で強い抗酸化作用を持つカロテノイドのβ-クリプトキサンチンとアスタキサンチンに着目し、NASHへの有効性と安全性を検証した。独自に開発したモデル動物に対し、β-クリプトキサンチンは、肝臓のクッパー細胞やT細胞の浸潤抑制という炎症への作用を主として、アスタキサンチンは肝臓の脂質過酸化の抑制を主たる作用として、NASHを抑制した。カロテノイドは治療法の確立されていないNASHを予防・抑制する新たなNutraceuticalとして期待される。
著者
杉本 和宏
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

エピジェネティック制御と男性不妊症との関係に関するエビデンスは増えている。今回我々は、プロモーター領域にTDMR(組織特異的メチル化可変領域)をもつGTF2A1L遺伝子に注目して研究を行った。86症例の非閉塞性無精子症の中で17症例がhypospermatogenesisの組織型であった。この中で、5例がTDMRの高メチル化群、12例が低メチル化群であった。TDMRの高メチル化は、GTF2A1L遺伝子発現の低下と関連していた。しかし、両群とも精子回収率、受精率、妊娠率、出生率に関して比較的好成績であり、GTF2A1L遺伝子発現の異常は妊娠率へは影響を与えていなかった。
著者
道上 義正 神林 康弘 中村 裕之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

黄砂やPM2.5などの大気粉塵による健康影響が社会問題となっている。本研究では、大気粉塵中の重金属が成人慢性咳嗽(気管支喘息、咳喘息、アトピー咳)患者の目のかゆみや咳の悪化に関連していることを示した。重金属による症状の悪化は、血清IgEレベルの低い患者で強かった。重金属による影響は、アレルギー症状が弱い患者で強いことが示唆された。また、総浮遊粒子状物質とPM2.5で重金属の構成が異なっていた。特に、黄砂日では、総浮遊粒子状物質の重金属濃度は高くなったが、PM2.5では濃度があまり変わらない重金属もあった。粒子状物質による健康影響を考える上で、構成成分を考慮することが重要である。
著者
松中 哲也
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

日本海において底層水の水温上昇と貧酸素化が観測され、地球温暖化によって深層循環が弱まりつつあることが示唆されている。深層循環停止と貧酸素化に伴う海洋生態系変化が懸念されている。本研究は地球温暖化に対する日本海深層循環の応答性を検知できる底層水の滞留時間評価法を確立する。日本海におけるI-129深度分布を広域的に明らかにし、I-129を深層循環トレーサーとして用いて底層水の滞留時間を推定する。
著者
鈴木 啓太
出版者
金沢大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

慢性疼痛の発症とビタミンDの関連については、一貫した結果が得られていないのが現状である。その要因として、ビタミンD受容体遺伝子の一塩基多型によって、生体内におけるビタミンDの作用発現が変化することが考えられる。本研究では、慢性疼痛の発症と生体内のビタミンD濃度の関連を、ビタミンD受容体遺伝子の多型別に検討する。それにより、ビタミンDを用いた慢性疼痛のテーラーメイド型アプローチの発展に寄与する。
著者
日比野 由利
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究は、生殖ツーリズムと呼ばれる現象に着目する。本研究は、生殖ビジネスの最前線として、生殖ツーリズムの「利用される側」であるグローバル・サウスにおける現状を正確に記述することによって、この問題を検討するための基礎的な資料を提供する。東南アジア、東ヨーロッパ地域、中南米、ラテンアメリカ地域、アフリカ地域を対象として、包括的に情報収集を行う。文献収集、及び現地のインフォーマントにインタビューを行い情報を得る。本研究を行うことにより 、身体の商品化や子供の人権に直結する喫緊の問題に関して、国際秩序形成に向け議論を深化させることができる。
著者
吉田 栄人 水上 浩明 伊従 光洋 山本 祐太朗 小川 良平 水野 哲志
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ワクシニアウイルスワクチン株LC16m8deltaとアデノ随伴ウイルスAAVよりなる独自のワクチンプラットフォーム(LC16m8delta/AAV)を技術基盤とし、三日熱ワクチンを開発する。三日熱マラリア原虫の感染防御・伝播阻止標的抗原遺伝子を導入したLC16m8delta/AAVワクチンを作製。動物免疫-感染チャレンジ実験(マウスモデル)および感染者血液を用いた人工膜蚊吸血実験を実施し,3年間のマイルストーンとして感染防御効果>90%、伝播阻止効果>90%の数値目標を設定するアウトブレイクが危惧される新興・再興感染症に対しても,汎用的な純国産ワクチンプラットフォームを提案する。
著者
樫見 由美子 福本 知行
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究によれば、不法行為責任の加害者が責任無能力者である場合に、損害賠償責任を免責する制度趣旨は、法命令の意味を理解できず、また自らの行為の結果を認識できない者、その多くが精神的にも経済的にも自立できない弱者に対して、その者の将来の成長や生活を著しく脅かすことのないように損害賠償責任を免除することにあると解釈する。そして、その趣旨からは加害者の賠償責任に関して、交通事故のように自賠責保険等による責任の補てんが可能であるか、加害者である被用者個人から賠償責任が使用者に転嫁される使用者責任の場合には、加害者の責任能力の有無を問うことなく、運行供用者及び使用者の免責が認められるべきではないとする。
著者
北村 和哉 飯田 宗穂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

潰瘍性大腸炎は原因不明の腸管の慢性炎症性疾患であるが、その一因に腸内細菌叢の乱れが存在する。この乱れを是正する方法として糞便細菌叢移植がある。糞便細菌叢移植を成功させる要素として、移植細菌の患者粘膜への生着が重要である。本研究では、移植細菌が患者粘膜に生着する免疫学的機序を明らかにすることを目的とした。今研究の結果、糞便細菌叢移植の移植細菌の生着に、ステロイドが負の役割を果たすことが明らかとなった。このステロイドの作用は、主に粘液中のMUC2の発現抑制によるものであり、外的に粘液を投与したり、内的な粘液分泌を促すレバミピド投与で、移植細菌叢の生着が改善することが明らかとなった。
著者
小嶋 芳孝 岩井 浩人 中村 亜希子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ロシア沿海地方の渤海(698-926年)時代の遺跡から出土した土器・瓦・金属器の製作技法や形状などを調査し、C14年代測定結果や中国の唐代の紀年名資料などを参照して遺物の編年を作成する。研究は国内での検討会と、ロシア沿海地方の渤海時代の遺跡から出土した遺物の調査をおこなう。ロシアでの調査は、ウラジオストクに所在するロシア科学アカデミー極東支部歴史学考古学民族学研究所の協力を得て実施する。
著者
谷内 通
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,ワーキングメモリ過程の起源について明らかにするため,爬虫類(リクガメ),両生類(アカハライモリ),硬骨魚類(キンギョ)に放射状迷路課題を共通して実施すること,および比較基準としてのラットにおける検討を進めることを目的とした。その結果,リクガメにおける放射状迷路の自由課題,および強制-自由選択法の学習,キンギョにおける放射状迷路遂行を確認した。アカハライモリについては,安定した報酬訓練を実現した。ラットでは,放射状迷路を用いた指示忘却現象を確認することに成功した。これらの知見は,爬虫類,両生類,硬骨魚類におけるワーキングメモリ研究を可能にするものである。
著者
所 正治
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

途上国の健常学童の糞便内に存在する細菌叢、原虫叢、真性菌類などによる腸内微生物叢の種構成の豊かさを定量的に評価し、遺伝子レベルでの多型をも評価することで、先進国ではすでに失われてしまった腸内原虫叢の存在が、宿主であるヒトにもたらす有益な効果を明らかにし、その臨床応用の可能性を探索する。これは、人類がこれまでの共進化をとげてきた本来の腸内環境を明らかにするアプローチであり、衛生仮説におけるX因子として、非病原性の種を含む腸内原虫叢を仮定した試みでもある。
著者
野村 真理
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ナチ・ドイツによるユダヤ人迫害(ホロコースト)は、一般によく知られているが、その最大の犠牲者は東ヨーロッパのユダヤ人であり、また、そのさい東ヨーロッパ現地の住民が迫害に加担した事実は、ほとんど認識されていない。本研究の成果である著書『ガリツィアのユダヤ人--ポーランド人とウクライナ人のはざまで』(人文書院、2008年)は、現在ではウクライナに属する東ガリツィアを例に、文献資料の他、回想録や同時代の日記史料を用い、現地住民とホロコーストとのかかわりを人びとの心性にまで立ち入って解明した日本ではほとんど唯一の著作である。
著者
太田 嗣人
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

肥満による炎症とインスリン抵抗性の誘導にMCP-1-CCR2非依存性の未知のケモカインシグナルが関与している可能性がある。肥満モデルの脂肪組織では野生型マウス(WT)に比し、CCR5とそのリガンドの発現が増加していた。高脂肪食を摂取したCCR5欠損マウスは、耐糖能異常と肝脂肪蓄積に抵抗性を示した。肥満モデルの脂肪組織におけるCCR5+マクロファージ(ATM)細胞数は著明に増加していた。一方、肥満のCCR5欠損マウスははWTに比しATMの総数は減少し、M1からM2優位へとATM表現型の転換を認めた。肥満により脂肪組織ではCCR5+ATMの浸潤・集積が増加する。また、CCR5欠損によるインスリン抵抗性の減弱にATMの量の低下のみならず質的変化、つまりM1からM2へとダイナミックなATMの表現型シフトが寄与しうる。