著者
新田 哲夫
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学文学部論集. 文学科篇 (ISSN:02856530)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A97-A116, 1985-02-25
著者
東川 浩二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

言論規制は、例え犯罪防止目的であったとしても、言論の自由の侵害であると捉えられる。本研究では、言論規制が言論の自由を侵害することによって生じる害悪について検討し、そのような害悪が生じない場合での規制可能性について検討を行った。その結果、言論規制の害悪を萎縮効果との関連で論じることが多いことから、萎縮効果が生じない場合、例えば話者が当該言論を犯罪行為の一部として行っている場合には、規制が許容される余地があることがわかった。このことは、名誉毀損法における現実の悪意の理論で紹介されているものであり、今後、この法理の発展・応用を検討する必要があると結論した。
著者
笹川 寿之 浜 祐子 島影 美鈴 井上 正樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

HPV16感染は子宮頚癌を誘発する。したがって、HPV16の感染予防ワクチンの開発が進められている。HPV16などの癌誘発HPVに感染する若い女性のほとんど(70-90%)は自然治癒するという疫学結果があり、HPV感染予防ワクチンの臨床応用に際して、どのような対象者にHPVワクチンをするのかという問題点がある。HPV感染防御は、治療法のない現在において、女性の健康にとって重要な問題であるため、より簡便で低コストのワクチン開発が期待されている。最近、鼻粘膜にHPV16VLPを免疫することで有効な中和抗体が誘導されるることを明らかになった。本研究では、我々が開発したHPV16VLPを産生する酵母をマウスに食べさせ、食べるワクチンによって有効なHPV抗体が誘導されるかどうか検討した。方法は、2系統のマウス(Balb C, C57BL)を用い、酵母またはHPV6型酵母を食べさせたものを陰性コントロール、精製したHPV16VLPを鼻粘膜に処置したものを陽性コントロールとした。6匹はHPV16酵母のみ食べさせ、あとの12匹はHPV16酵母とコレラトキシン(CT)(アジュバント)を食べさせた。HPV抗体はHPV-VLPを抗原にしたELISA法で測定した。その結果、HPV16VLPに反応する血清中IgG抗体は、陰性コントロールは陰性であったが、2匹の陽性コントロール、HPV16酵母のみ処置したマウスの50%(3/6)、HPV16酵母+CTマウスの30%(4/12)に誘導された。陽性例の抗体力価は、陽性コントロールとHPV16酵母処置群との間に差はみられなかった。膣粘液中の粘液のIgA抗体はHPV16VLP+CTマウスの17%(2/12)にのみ誘導された。これらの抗体は、変性したcapsid抗原には反応しなかったことから、中和能を持つと考えられた。より有効な免疫法を樹立するため、現在、実験条件を変えて追加実験中である。
著者
山本 健 坪川 恒久
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脳磁図を用いて意識・記憶・痛みによる脳活動の変化を観測し,その結果を脳波に応用することにより,周術期にベッドサイドで使用することができるモニタリング手法を開発することを目指した.MRIまたは脳磁図装置の中で被検者を全身麻酔により無意識状態として観察することは倫理委員会の許可が得られなかったため,睡眠による意識消失状態での観察をおこない睡眠時紡錘波,θ波,δ波の発生部位を明確にすることができた.記憶に関するモニタリングに関しては,記憶形成時,想記時ともに記憶に特徴的な脳の反応を捉えることができなかった.痛みに関しては,扁桃体や海馬,島皮質などに特異的な反応を見出すことができた.
著者
松田 真希子 林 良子 渡部 倫子 金田 純平
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では日本語教育のためのデータマイニング技術開発を目的に、[1]既存データマイニング技術の日本語教育研究への応用可能性の検討、[2]既存ツールのカスタマイズ、[3]ツール開発、[4]マニュアル開発を行った。その結果、[1]ではKh-Coder,SVtoolsなどを用いた日本語教育研究への応用研究を行い、有効性を示した。[2]では日本語学習者誤用換言対データを約3000対開発した。[3]では日本語学習者アクセントの自動評定技術開発を行った。[4]ではマニュアルを一部Web公開した。学術的成果としては、6件の学術論文の発表、11件の学会発表等を行った。
著者
沈 振江 川上 光彦 杉原 健一 黄 光偉 馬 妍 鈴木 克徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、2007 年から国土主体機能区計画における中国の環境問題の取り込みを明らかにした上、2009 年5 月から国家戦略として発足した海西経済区を取り上げ、発展計画の段階にCO2の排出量削減を計画し、地域開発の事業地区のエネルギ評価指標を事業評価にしていることを明らかにした。低炭素都市づくりの実現には、持続可能な開発モデル地区として選ばれた平タン実験区、アモイ市では、地域開発のフレームワークの検討には、国の21Agendaによって作成された持続可能な開発の評価指標を適用していること、都市空間戦略レベルでは、新材料、グリーン建築、公共交通などの面で計画基準を設けていることを明らかにした。
著者
辻 彰 寺崎 哲也
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、「種々の栄養物質およびその構造類似薬物の小腸、腎臓、肝臓、脳組織における細胞膜輸送機構」を解明し、「担体輸送系の基質認識特性」を検討することによって「組織選択的ドラッグデリバリ-システムの確立」を目指すことを目的とした。小腸上皮細胞膜輸送にはラット、ウサギ刷子縁膜小胞を、腎尿細管上皮細胞膜輸送にはラット側底膜小胞および刷子縁膜小胞の他にラット腎、肝組織抽出法を、血液脳関門輸送には、ウシ単離脳毛細血管、脳毛細血管内皮培養細胞および脳組織抽出法を、それぞれの目的に応じて用い、以下に示すように薬物の担体介在輸送を明らかにした。1)リン酸系薬物:リン酸構造を有するfosfomycinは、既に報告したfoscarnetと同様に、細胞内に向けられたNa^+勾配を駆動力として小腸刷子縁膜リン酸輸送系を介して二次性能動輸送される。2)モノカルボン酸系薬物:本系薬物の消化管吸収や脳移行は従来よりpHー分配仮説に従って単純拡散で進行すると解釈されてきた。これに対して本研究では、酢酸が小腸刷子縁膜をH^+との共輸送系あるいはHCO_3ーとの交換輸送系を介して二次性能動輸送される。いずれの輸送においても酢酸の取り込みはpH依存的であり、管腔側酸性環境で促進される。血液脳関門においても酢酸はH_+と共輸送系を介してpH依存的に脳内に取り込まれる。これらのモノカルボン酸輸送系はnicotinic acid,salicylic acid,valproic acidなどのモノカルボン酸構造を有する薬物のみを立体選択的に認識し、輸送する。3)塩基性薬物:thiamine,scopolamine,eperizoneなどの塩基性薬物は脳毛細血管内皮細胞コリン輸送系を介して脳内に取り込まれる。βーラクタム系抗生物質:腎臓と肝臓の血液側細胞膜および肝胆管腔側膜をprobenecidと共通の有機アニオン輸送系を介して取り込まれる。以上の知見は、生体膜輸送系の構造認識輸送特性を利用することによって、薬物を特定の組織にタ-ゲッティングし、または逆に移行性を回避させるなど、創薬に貢献するものと期待される。
著者
野口 昌邦
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

乳癌の発生率や死亡率は、欧米と日本では大きく異なっており、その原因の一つとして脂肪摂取の違いが上げられる。すなわち、前者ではn-6系の多価不飽和脂肪酸(主にリノール酸)、後者ではn-3系の多価不飽和脂肪酸(主にEPAあるいはDHA)を多く摂取することが知られている。実験的にもリノール酸は乳癌の発生、増殖、転移に促進的に働き、EPAあるいはDHAはそれらに抑制的に働くことが知られている。そのため、乳癌の多い欧米のみならず、増加しつつある日本でも、EPAあるいはDHAは乳癌の予防および治療の点から注目を浴びている。そこで、In vivoおよびIn vitroの研究でリノール酸、EPAおよびDHAの作用機序について研究し、次の結果を得た。(1)リノール酸は、マウスに移植したホルモン非依存性乳癌(MM48)の増殖および転移を促進し、EPAおよびDHAはそれらを抑制した。(2)リノール酸は、In vitroでヒト乳癌細胞(MDA-MB-231)のProstagland in EやLeukotriene Bの分泌、および細胞増殖を促進した。しかし、EPAおよびDHAはそれらを抑制し、EPAの抑制はn-3/n-6比が1:0.69、DHAのそれはn-3/n-6比が1:2.08以上で認められ、更にそれらの抑制は培地中のLeukotriene BよりもProstaglandin Eの濃度と相関することが明かとなった。(3)リノール酸は、In vitroでヒト乳癌細胞(MDA-MB-231およびMCF-7)の増殖を促進し、更にMCF-7乳癌細胞ではc-mycの発現を促進することが明かとなった。以上、リノール酸、EPAおよびDHAの乳癌に対する作用機序はアラキドン酸代謝産物やc-mycなど癌遺伝子が関与していることが示唆されたが、依然、不明な点が多い。しかし、EPAあるいはDHAは乳癌の予防および治療において重要な役割を果たすと思われる。
著者
中村 裕之 荻野 景規 長瀬 博文 吉田 雅美
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

低レベルマイクロ波の全身暴露によってもたらされる内分泌免疫系への影響を脳内神経伝達物質との関連において解明することを目的に、マイクロ波(周波数2,450MHz、強度2mW/cm^2、90分間)暴露による脾臓細胞中ナチュラルキラー細胞活性(NKCA)、血中の諸指標と下垂体と胎盤のβ一エンドルフィン(βEP)の変化を妊娠ラットあるいは処女ラットにおいて検討した。このレベルのマイクロ波は、処女ラット、妊娠ラットでそれぞれ、0.8と0.9°Cの温度上昇をもたらしたが、血中コルチコステロンへの有意な変化は引き起こさなかった。処女ラットでは認められなかったが、妊娠ラットのマイクロ波暴露群のNKCAは非暴露群に比べ有意に減少した。オピオイド受容体拮抗剤であるnaloxoneの前処置では、妊娠期におけるマイクロ波によって低下したNKCAと、上昇したPRL、低下した視床下部medianeminenceのCRHをreverseした。一方、CRH受容体拮抗剤であるα-helicalCRHのicv投与によっても同じく、マイクロ波暴露によって上昇した血中プロラクチン(PRL)と下垂体βEPと、減少したNKCAをreverseした。これらの結果から、妊娠中のマイクロ波暴露による免疫機能低下には、マイクロ波暴露に際して視床下部CRH神経系と、視床下部あるいは下垂体のオピオイド神経系が刺激され、その結果、下垂体PRLが活性化されるという中枢性機序が考えられた。その際のマイクロ波による生体影響は、マイク口波の温熱作用と非温熱作用の両作用によると考えられた。
著者
原田 憲一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原発性胆汁性肝硬変は中年女性の好発する自己免疫性肝疾患である。特に閉経後の女性に発症し、肝内の小型胆管が選択的に傷害を受け、消失する。胆管細胞はエストロゲン受容体を有しているため、胆管細胞に対するエストロゲンの関与について検討した結果、胆管細胞はエストロゲン受容体を介したエストロゲン作用の低下に加えて、エストロゲン関連受容体を介したエストロゲン作用の阻害も原発性胆汁性肝硬変の胆管傷害および消失に関与していることが明らかとなった。