著者
田代 隆良 浦田 秀子 山崎 真紀子 入山 茂美 岩永 喜久子 松本 正
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.21-25, 2007
被引用文献数
1

2002年から2006年に長崎大学に入学した看護学生348人(女性321人,男性27人,平均年齢18.5歳)のHBs抗原およびHBs抗体陽性率はそれぞれ0.00%と2.30%だった.338人に1クール3回のB型肝炎ワクチン接種を行い,HBs抗体獲得率と抗体価幾何平均は98.5%と1696.6mIU/mL,性別ではそれぞれ,女性99.0%,1743.2mIU/mL,男性92.3%,1225.8mIU/mLだった.1クールでHBs抗体を獲得しなかった3人に第2クールの追加接種を行った.2人がHBs抗体陽性となり,HBs抗体価は273.OmIU/mL,788.8mIU/mLだった.1年次のワクチン接種によりHBs抗体を獲得した学生の5.1%が3年次に陰転した.3人に2回の追加接種を行い,HBs抗体価は320.OmIU/mL,56.5mlU/mL,236.OmIU/mLと再上昇した.1クールのワクチン接種でHBs抗体価が10mIU/mL未満のものに対しては追加接種して抗体価を上げておく必要があるが,一度高い抗体価を獲得したものは,その後陰転しても追加接種により直ちに再上昇することが示された.
著者
高野 泰邦
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学留学生センター紀要 (ISSN:13486810)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-21, 2003
著者
松山 睦美 中島 正洋
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

放射線誘発甲状腺癌でのAutophagy(AP)の関与を調べるため、ヒドロキシクロロキン(HCQ)200mg/kgを6週齢雄性Wistarラットに照射前3日間経口投与し、4Gy全身/局所照射後、非照射非投与群、非照射HCQ群、照射非投与群、照射HCQ群に分け、甲状腺の急性期放射線応答と慢性期の腫瘍発症率を調べた。急性期では増殖細胞数の低下とAP関連遺伝子の低下が認められた。腫瘍は、非投与照射群が14/15(93.3%)、HCQ群は9/13(69.2%)で、HCQ群が低値だった(p=0.097)。HCQ前投与により腫瘍発生の抑制の可能性が示唆されるが、さらなる検討が必要である。
著者
松本 逸郎 土屋 勝彦
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.抗卵白アルブミン抗体で受動感作した後に、アルブミン抗原でイヌの脳内肥満細胞を刺激した。脳内肥満細胞の刺激でACTHを介して副腎皮質ホルモンが、交感神経を介して髄質ホルモン分泌が亢進した。Compound 48/80で脳内肥満細胞を刺激しても副腎髄・皮質ホルモンが上昇し、抗利尿ホルモンやレニン分泌も亢進した。これらの反応は正中隆起部の肥満細胞が脱顆粒しヒスタミンを放出し、CRF分泌をへて下垂体-副腎皮質系と交感神経-副腎髄質および腎傍糸球体細胞系を活性化するとともに、下垂体後葉をも賦活した結果であり、脳内肥満細胞が抗原センサーとなり得ることを示唆している。2.副腎の肥満細胞は内包するヒスタミンやPAFを放出し、副腎皮質ホルモン分泌を高めるので副腎の肥満細胞はI型アレルギー発症時に亢進した皮質ホルモン分泌により炎症を抑制し、生体防衛に働く可能性がある。腹腔内の炎症ではエンテロクロマフィン細胞と肥満細胞に含まれるセロトニンやヒスタミンが内臓求心性神経を介して炎症情報を脳へ伝え発熱し、摂食や行動を抑制し体力の温存と炎症からの回復を計り生体防衛に寄与していることが分かった。3.GlucocorticoidはLPS誘発の発熱、摂食抑制などの炎症を抑制する。脳内でも末梢にでも居住する肥満細胞はアレルゲンに反応して脱顆粒し、Chemical mediatorを放出しストレスホルモンを分泌亢進する。このことは肥満細胞誘発のアレルギー症には皮質ホルモン分泌亢進で、アナフィラキシーショクに対してはカテコールアミン、レニン、ADH分泌亢進で、呼吸不全に対してはEpinephrineと皮質ホルモン分泌亢進で対抗し,ネガティーブフィードバック的に炎症の進行を抑制する可能性が明らかになった。
著者
谷山 紘太郎 上園 保仁 林 日出喜 貝原 宗重
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

消化管におけるGABAの作用を生体位(丸ごと)イヌの小腸で検討したところ、摘出小腸を用いて得られた結果と同様にGABA-B受容体を介した反応に加えてGABA-A受容体を介した反応も見られたが、総合的にはGABA-B受容体を介した反応が優勢で、結果としてGABAは消化管のコリン作動性神経からのアセチルコリン(ACh)の遊離を抑制して腸管運動を低下させた。GABA-B受容体拮抗物質でACh遊離の促進して腸管運動が亢進した結果も得られ、生体では、GABA-B受容体が優勢に作動していることが明らかになった(論文1と2)。GABA受容体のうちGABA-B受容体はG蛋白質と共役する受容体である。他のG蛋白質共役型受容体とは異なり、ヘテロ二量体(GABA-B1サブユニットとGABA-B2サブユニット)を形成してはじめて受容体機能を発揮する。GABA-B1サブユニットにはGABAの結合部位が存在し、7種類のタイプがある。GABA-B2サブユニットはG蛋白質との共役部が存在し、1種類のみである。腸管におけるGABA-B受容体の形態を検討した。RT-PCR法でこれらサブユニットのメッセンジャーの存在を調べたところ、GABA-B1とGABA-B2の両サブユニットともにイヌ、ヒトの腸管に存在し、GABA-B1サブユニットではGABA-B1dをのぞくGABA-B1aからGABA-B1gまでの6種類のサブタイプが存在していることが明らかになった(論文3)。かくして、腸管においてGABA-B受容体はヘテロ二量体として存在するものと想定される。GABA-B2受容体がヘテロ二量体を形成し、存在しているのか否かを、二つの発現系、すなわちアフリカツメガエルの卵母細胞とハムスター腎細胞(BHK細胞)を用いて検討した。(1)GABA-B1あるいはGABA-B2のサブユニットをそれぞれ単独に発現した卵母細胞ではGABA-B受容体としての機能を表現することがなかったが、両サブユニットが共発現した卵母細胞ではGABA-B受容体としての機能を表現した(論文4)。(2)2種類の蛍光蛋白標識とそれぞれのサブユニットとの複合体を作成し、BHK細胞に導入、発現させ、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、GABA-B2サブユニットにG蛋白質が共役していること、GABA-B1aサブユニットはGABA-B2サブユニットと複合体を形成していることを形態学的にも証明できた(論文4)。GABA-B2サブユニットと組み合わせた7種類のGABA-B1サブユニットの性質を検討したところ、GABA-B受容体機能の強さは、1a=1b>1c>1dの順であった(論文投稿中)。また、ヒト食道下部括約筋においても、GABA-B1とGABA-B2の両サブユニットが蛋白質として存在することが判った。二重免疫染色法で食道下部括約筋に分布する神経細胞膜上に両サブユニットが二量体として存在することを見出した(論文投稿中)ので、GABA-B受容体作用薬を逆流性食道炎の治療薬として応用できるものと考えられる。以上の成果から、GABA-B受容体作用薬の消化管運動機能改善薬への用途について、その可能性大であることが明らかになった。GABA-B1サブユニットの組織特異性の解析によって、消化管選択的GABA-B受容体作用薬の創製が可能になる。
著者
田代 隆良 諌山 有葵奈 川原 享子
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.7-14, 2011-08

2009年,新型インフルエンザA(H1N1)が全世界で大流行した.長崎大学は,発症者は医療機関を受診し,診断結果を大学に報告すること,自宅療養することなどの感染対策情報を掲示板と大学ホームページで発信した.本研究の目的は,長崎大学における新型インフルエンザ流行と学生の行動を解析することである.2009年7月から2010年2月の間に全学部学生7,489人中841人(11.2%)が感染者リストに登録された.2010年6月に3年次学生721人を対象に実施したアンケート調査では,インフルエンザ様症状のあったもの226人(31.3%),新型インフルエンザと診断されたもの164人(22.7%),診断結果を大学に報告したもの120人(16.6%)だった.新型インフルエンザ罹患率はマスク着用率の低い学部で高かった.学生は新型インフルエンザと感染防御に関する情報を主に友人から得ており,掲示板やホームページからは少なかった.大学は全学生に確実に情報を提供すべきであり,学生は適切な感染防御対策を実行すべきである.

1 0 0 0 OA 長崎大学学報

著者
長崎大学総務部
出版者
長崎大学
巻号頁・発行日
no.(号外155), 2002-03-31
著者
山本 耕平
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、人獣共通感染症の可能性のない魚コラーゲンを足場材として用い、歯髄除去後の歯髄を再生する、真に細胞生物学的な歯髄治療法の可能性を多面的に解析し、新たな歯髄再生療法の開発を図ることを目的とする。再生医療を推進する上で基礎となる組織再生工学には、細胞、成長因子、足場の3項目が不可欠である。歯科保存学領域において特に歯内療法分野において今回、再生医療の原理・原則を導入した。確実で早期に歯髄欠損修復を進めることで歯の延命化が可能となり、臨床上極めて重要である。具体的な研究項目は、①ヒト歯髄幹細胞の特性の確認②魚コラーゲンを使った足場材の有効性・安全性の証明をin vitro、in vivoの系で検証する。予定であるSCIDラットが入手が難しくその代替実験を考える間、令和元年度秋季学術大会にて魚由来コラーゲンペプチドによるヒト歯髄由来幹細胞の骨芽細胞分化誘導能の解析を共同実験者としてポスター発表した。しかし、SCIDラットは入手困難であり代替としたSCIDマウスでは歯髄再生には困難であった。令和元年度は歯髄組織由来歯髄幹細胞膜分取の研究に着手している。
著者
Jelvas Maina Mwaura
出版者
長崎大学
巻号頁・発行日
2017

学位授与報告書のタイトル: Effect of multiple stressors on coral reef communities and its implication on the management of marine protected areas in Kenya, 学位授与報告書の並列タイトル: ケニアサンゴ礁の生物群集への複合的なストレスの影響把握と海洋保護区施策への提言
著者
半澤 節子 石原 和子 永田 耕司 黒岩 かをる
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.75-80, 2002-06
被引用文献数
1

従来,模擬患者(Simulated Patient=SP,以下SPと略す)を導入した演習は,医学生による医療面接や看護学生による看護場面など個別に試みられてきている.今回本学では,SPを導入した看護学生と医学生による合同演習を初めて試みた.SPの面接場面には,父親の癌について母親から情報を受けた長女が,医療スタッフに父親の病状を確認する場面を設定した. 演習終了後アンケート結果の自由記載欄の記述から,看護学生は長女の気持ちを汲み取り,理解のある態度で接することが大切であると記載したものが多かった.一方,医学生はその場面を観察し,家族の気持ちを理解しながらも,データに基づいて現時点での治療方法について科学的に説明する必要があると記載したものが多かった.
著者
中村 嘉男
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学教養部紀要 人文科学篇 (ISSN:02871300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.p79-90, 1994-07
著者
鈴木 啓司
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故後の小児甲状腺超音波検査で、極めて高い頻度で甲状腺がんが報告されている。これらの甲状腺がんの放射線起因を判断する一助として、細胞に残る放射線痕跡の同定が極めて重要である。本研究では、甲状腺がんのdriver変異であるキナーゼ遺伝子融合変異が、放射線分子痕跡であるかどうかを検証するための、定量的遺伝子変異検出系の樹立を試みた。その結果、differential RT-PCRの実験条件を決定し、甲状腺乳頭がん細胞株に存在するRET/PTC1を高感度に検出し、本遺伝子変異検出系が、放射線照射による融合型遺伝子変異生成評価に有用である事を示した。
著者
前田 英雅
出版者
長崎大学
巻号頁・発行日
2001

長崎大学学位論文 学位記番号:博(海)甲第217号 博士(学術) 学位授与年月日:平成14年3月31日
著者
石橋 大輔
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、宿主の自然免疫機構に着目し、プリオン感染との関係について検討した。結果として転写因子IRF3がプリオン感染に重要な役割を果たしていることを明らかにした。本研究により、自然免疫機構をターゲットにしたプリオン病の予防・治療薬の開発が進むと考えられる。
著者
齊藤 信夫
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

インフルエンザ流行防止策として学級閉鎖の効果を解析するため、閉鎖状況の情報収集を行ったが、解析に十分な閉鎖回数、期間がみられなかった。今後、他地域でも情報収集を行う必要がしめされた。流行防止対策として、最も重要であるワクチンの効果について解析を行った結果、ワクチンの発症防止効果は2011/2012~2013/2014シーズンでインフルエンザAに対して32%、Bに対して13%と低い防御効果であった。ワクチン効果が低い要因として、毎年、連続してワクチンを接種するとワクチン効果が用量依存的に下がるということを統計学的に示すことが世界で初めてでき、感染症領域で最も権威ある国際誌で発表した。
著者
分部 哲秋 長島 聖司 佐伯 和信
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

形質人類学的側面から九州地方から出土している弥生人骨の地域的特性に関する研究を遂行した。調査対象人骨は長崎大学に保管されている資料を用い、縄文時代と同様に漁労・採集に生活基盤をおいていた西北九州地域の弥生人骨、南九州離島群出土の弥生相当期人骨と大陸からの渡来系と考えられる北部九州地域の弥生人骨について骨計測、頭蓋小変異観察を行い、次の結果を得た。1.西北九州及び南九州離島弥生人の計測的特徴(1)西北九州弥生人は、北部九州弥生人と比較して脳頭蓋がやや小さく、特に高径が小さい。頭型は西北九州弥生人の方がやや短頭に傾く。顔面頭蓋では幅径はほぼ同じであるが、顔高、上顔高の高径にはかなりの差が見られ、北部九州弥生人よりも著しい低顔傾向を示す。また、西北九州弥生人の顔面は平坦ではなく、立体的である。(2)南九州の弥生相当期人は、大局的には西北九州弥生人と同類で縄文系の弥生人と考えられるが、頭型が短頭に傾くことと顔面の平坦性がやや強い点で西北九州弥生人とは違いが見られる。(3)各遺跡ごとでの男性の平均推定身長値は、北部九州弥生人が162cm以上あるのに対し、西北九州及び南九州弥生人は160cm以下であり低身長である。2.西北九州及び南九州弥生入の頭蓋形態小変異形質の特徴(1)西北九州弥生人の出現頻度は、北部九州弥生人と比較して眼窩上孔が低頻度で出現し、逆に舌下神経管二分、翼棘孔、頬骨後裂、横後頭縫合残存は高頻度で出現する。この傾向は縄文人に酷似している。(2)南九州弥生人の出現傾向は西北九州弥生人に類似するが、舌下神経管二分と顎舌骨筋神経管が低頻度である点でこれと異なる。(3)外耳道骨腫は、西北九州及び南九州弥生人に高率で出現しており、形質のみならず生活様式が北部九州地域の弥生人と異なっていたことが示唆された。
著者
辻野 彰 松本 武浩 前田 隆浩
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

遠隔医療への期待が高まっている昨今、ビデオカンファレンス方式による遠隔診療の診断精度や治療効果(質)に及ぼす影響については十分に検討されていないのが現状である。本研究では、専門医が不在の離島にカメラ付きスマートグラス(MOVERIO Pro:エプソン)を利用したDoctor To Doctor To Patient(D to D to P)のバーチャル専門外来を開設して、その有用性を質に重点を置いて検討するものである。本年度は離島の基幹病院にバーチャル神経専門外来を開設し、慢性神経疾患診療、特にパーキンソン病における治療効果に重点を置いて、D to D to Pの遠隔診療支援の有用性を検討する。専門診療介入前後でパーキンソン病の治療効果や診療満足度が向上するかどうかの評価を開始した。診察プロトコール:1ヶ月に一度の外来受診(年12回)を基本として、同意取得後の6カ月間は通常診療を行う。この期間の診療をコントロール期間として、その後に引き続いてバーチャル神経専門外来を実施する。通常診療時とは別の現地の専属医師が大学の専門医のアドバイスを受けながらパーキンソン病患者を診療して抗パーキンソン病薬の薬物調整を行う。評価項目:PD統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)、ウエアリング・オフ現象のオンとオフ状態の時間、ジスキネジアの有無、PD特異的QOL尺度質問票(PDQ-39)、臨床的全般印象度の変化(CGI-C)、認知機能(MoCA)、レボドパ換算総薬物投与量、入院回数、併存合併症(骨折など)、慢性疾患患者ケアシステム評価(PACIC)、アンケート調査を開始前から3カ月ごとに評価する。
著者
Yoshito Hamada Yasuyuki Ohta
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-8, 1996-03
被引用文献数
1

DSM-ⅢRの基準で診断された分裂病者100例に対し,1988年4月~1992年4月の期間に行われた継続的治療を臨床的に評価した.1988年4月から始まった観察期間4年間を外来のみで経過したのは53例(A群),入院を必要としたのは47例(B群)であった.B群はA群より教育水準は有意に高いが,就業率は低く,生活保護費受給率も高かった.この特徴は男性に顕著に現れていた.B群の精神症状や社会適応度もA群より悪かった.1988年4月以前は100例の約80%が入院歴を有していたが,観察期間内の入院率は47%に低下した.B群の入院理由を検討すると,家族の治療的意欲が大きい入院希望や患者自身の短期入院など,精神科施設の積極的な利用が目立った.交通の便が悪い離島においては,精神科医・精神科作業療法士・保健婦の三者による訪問リハビリテーションの実施が臨床的に有効であることについても言及した.We clinically evaluated continuous treatment of 100 patients diagnosed as having schizophrenia according to DSM-III-R for four years from April 1988 to April 1992. During the four-year investigation period, 53 of the patients (Group A) received treatment by visiting as outpatients, while the remaining 47 patients (Group B), required hospitalization. In Group B compared to Group A, the level of education was significantly higher, but the employment rate was lower and the rate of receiving social welfare benefits was higher. These differences were stronger for male patients. Psychiatric symptoms and social adjustment were poorer in' the patients of Group B than those of Group A. Prior to April 1988, 80% of the 100 patients had had the experience of hospitalization, but in the investigation period the rate of hospitalization decreased to 47%. Examining reasons for hospitalization in Group B, positive attitudes towards for the use of psychiatric institutions, such as hospitalization, together with family members' strong hopes for successful treatment and patients' own desire for short-term hospitalization, were seen. We also discuss the clinical advantages of on-visit rehabilitation by a group of a psychiatrist, a occupational therapist and a community nurse on offshore islands where the public transportation system is not very adequate.
著者
岩田 修永
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

先行研究で、アルキル鎖の導入で脂溶性を付与したカテキン誘導体が、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβペプチド(Aβ)の主要分解酵素であるネプリライシンやAβ産生を抑制するαセクレターゼ、さらにAβ産生酵素βセクレターゼの遺伝子発現をそれぞれ上方・下方調節する能力があることを見出した。本研究では、これらの発現制御に関わるカテキン結合タンパク質をカテキン結合ビースによる精製とLC/MSMS法を用いて二種類同定した。これらのカテキン結合タンパク質過剰発現細胞では、mock細胞に比較して脂溶性カテキン誘導体処理によるネプリライシン活性増強効果がさらに増大し、βセクレターゼ活性の減弱を引き起こした。