著者
藤田 渉
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.121-200, 2013-09-25

Two-way and multi-stage trade of intermediate goods has been increasing rapidly. For example, fragmentation in trade corresponds to this. In these intermediate goods sectors, the hollowing out of industry is generally caused by a deviation from the center of international trade linkages. Progress of hollowing is not only appearing in the share of production value. Signs appear in import and export structure in advance. By evaluating the import induced by export and estimating the interrupted import shock in each sector, it is possible to measure the strength of the international linkage. These are the subjects of the input-output analysis. The former is a backward linkage effect, and the latter is a front linkage effect. Hollowing is characterized by these and changes in exports and imports. These analyses are used easily accessible competitive import type input-output tables.
著者
河野 功
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

日本産シキミおよび中国産シキミ科(Illiciaceae)植物の有毒成分検索の過程で,シキミ科に特有と考えられる化合物群が得られた.そこで,より系統的に特異な化合物群の存在を検討する目的で,幾つかのシキミ科植物について成分検索を研究を開始した.その結果 1)シキミ(Illicium anisatum)の果皮から得られるanisatin,pseudoanisatinの他に,新規なanisatinの誘導体を得た.また,anislactoneAおよびBと名付けた新規なanisatin由来の骨格を持つ化合物を単離した.2)大八角(I.majus)の果皮の成分としてmajucinおよびneomajucinと名付けたsesquiterpeneを得た.これらはanisatinと同じ骨格を持つものである.また,phytoqu-inoidと呼ばれるヤエヤマシキミから得られていた化合物群も得られた.このものの分布も非常に限られており,シキミ科に特異的成分と言える.3)紅八角(I.macranthum)の樹皮によりmacrantholと名付けたtriphe-nylneolignanが得られた.また,4)南川八角(I.dunnianum)の果皮よりこれと同じ骨格を持つdunnianolとその異性体isodunnianolが得られた.5)野八角(I.simonsii)より同種のsimonsinolを単離した.以上のtri-phenylneolignan類はモクレン科(Magnoliaceae)見られるbiphenylneo-lignanの存在と考え合わせると,シキミ科のケモタクソノミー的考察を加える上で重要な知見を与えた.また,野八角にも有毒成分のanisatin型sesquiterpeneが存在することが分かった.一方,民間的に漢薬として用いられている地楓皮(I.difengpi)からglycerophenylpropanoidやglyceroneolignanに属する化合物を数種得た.この種のものは野八角からも単離されているので,この種の化合物の存在はシキミ科に特有のものと言える.以上の結果,シキミ科の特有の成分としてanisatin型sesquit-erpeneやphytoquinoid,triphenylneolignan,glycelophenylpropanoidあるいはglyceroneolignanの存在が示された.
著者
中根 秀之 田中 悟郎 木下 裕久 一ノ瀬 仁志
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究の目的は、長崎でFEPの発生率を明らかにすることである。 我々は、1年の期間(2011年8月から2012年7月まで)の間、コホート研究を行った。 研究対象者は、キャッチメントエリアである長崎市近郊の精神科医療機関を受診した長崎市に在住する初診患者である。合計25人がFEPと特定された。 推定された年間発生率は、(概算にて)10,000人につき0.76であった。 精神病未治療期間の中央値は49日、平均値は1278日であった。 昭和53年~54年に長崎市で実施されたWHO共同研究DOSMeD Studyと比較したところ、概算では年間新規発症率が低い値となることが現在までの調査で推定された。
著者
丸山 真純
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.109-138, 2005-03-25

それにしても,地球化を語る上で,注意しておかなければならない点がある。それは,人種,民族,国民を歴史的に不変の単位としてあらかじめ想定する習癖である。この習癖に従うと,世界は「地方的(ローカル)」で永続的な人種や民族,国民といった特殊な同一性と「地球的(グローバル)」で絶えず変化する普遍的な国際的動向とに二極化され,地球化は国民の「外から」やって来ることになるだろう。地球化に反対するためには,国民の内側にたてこもり,「外から」やってくる地球化の波をいかに防ぎ止めるかという図式から発想することになり,地球化を批判的に倹討することは,不可避的に,国民主義擁護となってしまう。(論壇:「地球化」と国民幻想の逆説21世紀の入り口で2,酒井直樹,朝日新聞,2001年1月3日)人間が得る外部の情報の95パーセント以上が視覚によるものだといわれています。そのことを裏付ける文化がこの300年かけて築かれてきたのだといえます。これは,単に一生物の情報受容ということだけでなく,ヴィジュアルを利用した政治から文化にいたる「制度」の大問題でもありました。その制度基盤を端的に「近代」と呼ぶことができるように思います。(『表象の芸術工学』高山宏,55ページ,2002年)
著者
上野 清貴
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.31-68, 1999-06

Lee combines the sale price accounting and the cash flow accounting when he constructs accounting theory, and calls the accounting system as cash flow reporting system. In accordance with this thought, he proposes the following financial statements: cash flow statement (statement of realized cash flow) , income statement (statement of realizable earnings) , balance sheet (statement of financial position) and statement of changes in financial position. After examining these financial statements in detail, I concluded that his cash flow statement lacks in the idea of classification of business activities and that his income statement and balance sheet can not correctly recognize the concepts of profitability and financial position. But these are not real faults. Lee's great contribution to the accounting theory is to combine the sale price accounting and the cash flow accounting, and explain the accounting theory by the cash concept in the broad sense of the term. We have to start with this point in order to construct the general accounting logic in the future.
著者
高木 正剛
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.5-10, 2005-03

僧帽弁位機械弁装着した30才女性に対しワーファリンをヘパリンの自己注射(皮下注)に代替し妊娠前より妊娠36週まで約14ヶ月間を管理した. 妊娠15週までは良好な経過であったが以後は顕著に凝固能亢進しAPTTは正常値に近づいた. しかし全血凝固時間は38分以上に延長しており,D-ダイマーは正常妊娠時の範囲内でありFDPも正常値であったためヘパリンは最高2.3×10 単位に抑制出来た. 出産は妊娠38週に帝王切開で行なわれ正常男児が得られた. ヘパリンによる母親への副作用は特に認めずヘパリン抗体も認められていない. ヘパリン自己注射による妊娠管理は決して安全容易ではないが,それぞれの症例に応じて細やかに対応することで可能であり,入院期間の短縮につながると思われた.
著者
阪倉 良孝
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

脊椎動物で唯一自家受精を行うマングローブ・キリフィッシュ(Rivulus marmoratus)を材料とし、これまで知見の乏しい本種の初期生活史を明らかにするとともに、由来の異なるクローン株間での生活史戦略の比較および本種の増養殖研究の実験動物としての有用性の考察を研究目的とした。その結果、形態・組織・生理・行動の各種形質の解析により、本種の初期生活史は4相に分けられた(文献1)。由来の異なる2つのクローン株を同一環境で飼育し、先に得られた初期生活史パラメータと、繁殖パラメータを比較した。その結果、これらの株間で、初期成長と繁殖戦略(産卵数、性比)に有意な差が見られ、2株間には成長・繁殖形質に関わる遺伝的変異の存在することが明らかになった(文献2)。2クローン株間の生活史特性値の変異を決定する機構を調べるために、2株の初期成長の差に着目し、消化酵素活性および画像解析により摂餌行動と遊泳活動度を比較した。その結果、高成長クローンと低成長クローンの消化酵素活性は同等であるのに対し、高成長クローンは摂餌速度と遊泳活動度が低いことが明らかになった。このことから、2株間で摂餌効率が異なることにより、初期成長の差が生じることを示した。さらに、本種の初期生態と栄養要求を理解するために、異なる餌料プランクトンを与える飼育実験を実施し、餌料によって初期成長、魚体の脂肪酸組成、遊泳活動度に差が生じることを見いだした。また,本種の性ステロイドの動態を世界で初めて明らかにすることが出来た(文献3)。また,クローン株特異的な遺伝子マーカーを一部得ている。本研究の意義は、これまでガン研究や環境毒性評価などの実験動物として用いられていながら、手つかずであったマングローブ・キリフィッシュの初期生活史を、様々なアプローチによって詳細に明らかにしたことにある。さらに、成長や繁殖に関わる遺伝的要因と環境要因の相互作用機構に迫り、水産増養殖研究における飼育技法や遺伝・育種に対して様々な応用形態の可能性を示した。
著者
深見 聡 高木 香織
出版者
長崎大学
雑誌
地域環境研究 : 環境教育研究マネジメントセンター年報 (ISSN:1883373X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-38, 2013-06-15

In the present century, a new form of tourism, which is a landing-type tourism (optional tour) in contrast with a departing-type tourism, has been attracting attention. The landing-type tourism is that local communities take the initiative in using local resources as tourist resources, which is also regarded as one of the effective approaches for disaster recovery. In July 2012, the area of the Hoshino Village, Yame, Fukuoka Prefecture, sustained significant damage caused by the heavy rains in Northern Kyushu. Accordingly, the author conducted a questionnaire survey targeting the residents of the Hoshino Village, who experienced the heavy rains, with an aim to understand how they see the current issues of their local communities and how they think about the possibilities of realizing the landing-type tourism. Based on the acknowledgement, the author advances discussions with the goal of determining the ways of tourism in the village in the future.Findings from the questionnaires reveal that the residents of the village are concerned about the village's future as a tourism destination, after suffering from the disaster. In addition, as for the changes in the consciousness of residents, there is also a positive impact, as they rediscover the resources for tourism.From these findings, it is believed that the landing-type tourism will allow the residents of the Hoshino Village to rediscover their local areas and as a result, it revitalizes local communities, leading to achieve the disaster recovery.
著者
中尾 理恵子 田原 靖昭 石井 伸子 門司 和彦
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2007-10

A大学1年次生と2年次生の健康診断時に喫煙状況,ニコチン依存度(Fagerstrom Tolerance Questionnaire, FTQ),タバコに関連する疾患の知識,他の人の喫煙への認識を質問調査した。男子学生では「毎日喫煙する」者の割合は,1年次生15.5%(124/799),2年次生20.9%(127/607),女子学生では1年次生1.6%(10/639),2年次生2.4%(13/545)であった。18〜21歳の男子学生で「毎日喫煙する」242名のうち,94名(38.8%)は18歳未満で喫煙を開始していた。18歳未満開始群は,1日の喫煙本数が16.5(SD6.3),FTQが5.4(SD1.4)であり,18歳以降開始群の1日喫煙本数とFTQよりも有意に高かった(ともにp<0.05)。タバコ関連疾患の知識は,肺癌以外は低い認知であり,全項目で18歳未満開始群が高い認知であった。中学生や高校生の喫煙をやめるべきと考えているのは18歳開始群が高値であり,その他,将来の結婚相手や医師・看護師・教師などの喫煙をやめるべきと答えたのは18歳未満開始群が高い割合を示した。18歳未満開始群,18歳以降開始群ともに80%以上のものが将来的に禁煙を希望しており,大学としての禁煙教育と支援については,1. 18歳未満開始群をはじめとした喫煙者に対する禁煙支援対策と 2. 18歳以降開始群をはじめとした大学に入ってから喫煙を始める者への喫煙予防対策の両方が大切であることが明らかとなった。
著者
田中 謙
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学経済学部研究年報 (ISSN:09108602)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.53-88, 2004-03

日本は,先進諸国の中で突出して喫煙率が高い「タバコ汚染国」であるが,その原因として,(1)多くのタバコ訴訟における裁判所の原告敗訴の判断のほか,その前提として,(2)タバコをめぐる行政的規制(喫煙規制)が際立って弱いことが指摘できる。タバコ訴訟において,裁判所は,原告の請求を棄却する法的根拠として,(1)受動喫煙の重大さの不承認,(2)喫煙の社会的承認,(3)受忍限度論,(4)建物構造上の困難,といった理由をあげているが,理解に苦しむものが少なくない。一方,喫煙者と非喫煙者の利害の対立構造や,喫煙の自由と嫌煙権との関係を踏まえれば,喫煙規制の強化は不可欠である。今後の喫煙規制のあり方を考察するに当たっては,(1)非喫煙者の被害を防止し,健康を保護するという視点から,「受動喫煙防止施策」を充実させることはもちろんであるが,(2)現在,未成年者による喫煙が顕著であり,未成年者を保護するという視点から,「未成年者の喫煙防止施策」も必要である。さらに,(3)喫煙者も「やめたいけれどもやめられない」という面があり,喫煙者の健康を保護するという視点から「喫煙者減少施策」も必要である。具体的な法制的課題をあげると,(1)「受動喫煙防止施策」の視点からは,(1)公共の場所・共有する生活空間における喫煙規制,(2)職場での禁煙規制,(3)歩行喫煙(歩きタバコ)規制などが考えられる。(2)「未成年者の喫煙防止施策」の視点からは,(1)学校における全面禁煙,(2)タバコの宣伝広告規制の強化,(3)ドラマ・映画における喫煙シーンの禁止,(4)タバコの自動販売機の全面禁止,(5)タバコ税の大幅値上げ,などが考えられる。(3)「喫煙者減少施策」の視点からは,(1)タバコの宣伝広告規制の強化,(2)ドラマ・映画における喫煙シーソの禁止,(3)タバコの自動販売棟の全面禁止,(4)タバコ税の大幅値上げのほか,(5)タバコの有害表示の義務化が考えられる。In Japan, there are a lot of smokers compared with advanced nations. The plaintiff lost the tobacco suit. And the regulation against smoking is not strict. But the reasons for judgment is strange, and the Japanese Government should tighten regulations on smoking. The Japanese Government must take preventive measures against passive smoking. And the Japanese Government must regulate smoking with the view of minor protection and smoker protection.
著者
菅野 弘之
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学教育学部紀要. 人文科学 (ISSN:13451367)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.35-37, 2002-06-28