- 著者
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長谷川 元洋
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.1, pp.29-32, 2013-01
2011年3月の福島第一原発の事故により,約900PBq(国際原子力指標尺度評価によって換算)の放射性物質が大気中に放出されたと推定されている(東京電力株式会社2012)。この放射性物質は,人体へ直接的に影響するのに加え,農業,畜産業,漁業を通した食品にまでその影響が拡大している。事故の起きた福島県は約70%が森林に覆われており,林産物をはじめ,森林生態系に住む各種の野生生物への放射性物質の影響が懸念されている。森林生態系では,落葉層及び土壌には高濃度の放射性物質が蓄積している事が明らかになり(農林水産省平成23年12月27日プレスリリース),落葉属及び土壌中にすむ菌食,デトリタス食(落葉落枝,腐植などを摂食する),土壌食の生物やそれを捕食するほ乳動物などへの影響が重要視される。本稿では,チェルノブイリ原発事故時における放射性物質の土壌動物への影響の知見を概観し,2011年8月よりはじめた,福島原発事故の森林に生息するミミズへの影響に関しての調査内容について報告する。