著者
真並 恭介
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1163-1171, 2012-12

東日本大震災による原発事故は,福島県の家畜やペットなど,人間とともに生活していた動物たちの暮らしを揺るがし,運命を一変させた。その変動は人間から遠く離れて生きている野生動物にも及んでいる。野生動物は人間の生活から離れているぶん,大地に近く,大地とともに生きている。その大地が2011年3月11日から数日のうちに変わってしまったのだ。人間はいなくなり,目に見えない放射能を帯びた里山や森が広がっている。この美しく豊かな土地が野生動物のねぐらであり,生活の場であることに変わりはない。以前と違うのは,生きものを養う土や水や空気の循環のなかに,放射性物質が取り込まれてしまったことである。東日本大震災発生から1年になる2012年3月11日の前後,私は車で計画的避難区域などを回った。6日間の滞在中,原発から半径20キロ圏内の警戒区域のなかにも入ることができた。殺処分(安楽死)を免れて生き延びている牛に会い,野生動物にも出くわした。人間が姿を消した動物たちの別天地では,生は死と隣り合わせだ。放れ牛の群れが猛然と駆け過ぎ,悠然と草をはんでいるそばで,まだ死んで問もないと思われる牛が全身泥だらけで横たわっていた。
著者
秋葉 和温
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.267-272, 2015-03

○和歌山市: (1) 近畿地区獣医師大会に出席した。宇治→京阪電車で淀屋橋→ここから御堂筋線で難波→南海線で和歌山駅→バスで県庁前の市民会館。終了後,和歌山城に登る。(2) 鳥取のクラス会が和歌山市の教職員宿舎で開かれ出席した。有馬先生も元気に出席された。その前に少し南の三井寺に参拝した。翌日,和歌の浦方面,北の根来(ねごろ)寺にお参りした。昼食後に解散となり,私は粉河寺,華岡青洲の家などを訪れ,五条→大和高田→奈良→宇治→黄檗下車,バスで帰宅した。○高野山: 陸軍獣医部の紫陽会主催の会合が高野山の宿坊であり,その世話を奈良県在住の小山方玄君がしたというので,出席した。宇治→近鉄特急で吉野口→ここからJRで橋本駅→ここで南海電鉄で高野山口下車→バスで会合の宿坊に行く。1泊した。何箇所かのお寺を拝観し,奥の院にもお参りした。ここで高野槙を購入した。500円だった。この木は今も我が家の庭にある。行きに吉野口でのJRへの乗り換えに時間がかなりかかったので,帰りはコースを変えた。このほうが,料金も安かった。南海電鉄で難波→御堂筋線で淀屋橋駅→京阪電鉄に乗り換え三室戸駅→バスで帰宅した。
著者
高倉 直
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.953-957, 2008 (Released:2011-12-19)

耕地からの蒸発散量を環境要因から算定するとき、そのすべてが耕地のエネルギー収支式から始まっていることは明らかである。すでにいくつかの手法が報告され、その改良法等も報告されている。歴史的に見れば、Penman-Monteithの式があまりにも有名である。50年以上も前にPenmanが植被のない状態での式を提案し、その後、Monteithが植被を含む場合にも適用できるように改良し、多くの論文や書籍等に紹介され、多くの研究に用いられてきた。このように、エネルギー収支式の残余項として求められることは明らかなことで、誰でも気が付くことであるが、最近放射温度測定が手軽になったにもかかわらず、この手法は意外に研究されていない。温室内や限られた面積の耕地の場合には、広大な面積に用いられる手法は適切とは言い難く、これまで水蒸気フラックスを測るPenman-Monteith法やボーエン比法が多く用いられているのが現状である。もう1点、重要なことは、蒸発散の算定は単に、耕地の微気象解析そのものが目的であるばかりでなく、それに基づく植物群落への灌水制御という側面があることである。そのためには、高価な測器を使うことなく、また限られた面積の植物群落にも適応出来る手法が望ましい。
著者
柳 京煕
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.598-602, 2009-06

2007年6月30日に米韓の両政府代表による米韓FTA協定書の署名が行われ、2007年12月に韓国の新大統領に当選した李明博氏は米韓FTAを強く支持していたことや、与党が国会の過半数を占めたことから、米韓FTAの国会批准は楽観的に思えた。しかし米韓FTAの推進の引き換えに、BSE問題で輸入が禁じられていた米産牛肉輸入の再開が進められたことが明らかになり、政権運営に大きな支障を来たしている。一方米国では民主党政権誕生により、米韓FTAの再交渉の話まで浮上しており、両国の国会での批准が遅れている。本稿ではこれら政治状況を含む最新の動向を紹介しながら、米韓FTAに伴う農業関連の交渉結果と、とくに畜産業へ及ぼす影響について考えたい。
著者
横手 新治郎
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.90, no.7, pp.734-739, 2015-07

・私の町には,大江高山(808m)が雄大にそびえています。大代のシンボルであり,誇りとする山,豊富な水をもたらしてくれる大切な山です。・写真1の中央部に柿田地区の集会所があり,下の黄色の帯状は荒廃農地で,菜種を栽培し,満開の時期ですが,今はこの風景の再現ができません。その理由は後ほどお伝えします。山好きの方からは,自然がよく守られておる自然豊かなこと,山野草も多く,4月の始めには,ギフチョウの乱舞がみられる山です。・ギフチョウが生息するには,カンアオイという食草がたくさんあることです。大代小学校での飼育観察は,延べ5回実施しましたが,統合により廃校になり,今後は統合された高山小学校で実施していただく予定です。・写真3は,ギフチョウの卵で,写真4は幼虫です。写真5は雌のギフチョウです。
著者
三浦 周行
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 = Agriculture and horticulture (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, 2015-08

精油目的のハーブなどの栽培では,得られる量が僅かであり,収穫の時期の他に,時刻が問題となる。Filhoら(2006)はブラジル北東部の温室で栽培したバジル'Fino Verde'の地上部を3月の満開日の異なる時刻に収穫し,そのままあるいは40~60℃で葉を乾燥後,精油を水蒸気蒸留した。8,12および16時区それぞれのha当たり平均精油収量は9.7,7.9および7.4L,GC/MS分析した主成分リナロール量の全成分量に占める割合は60.0,56.1および55.1%であった。4月に再生した地上部を8時に収穫後,40℃で0~16日間葉を乾燥した結果,リナロール割合は5日区で86.8%と最高であった。午前中に収穫し,5日間40℃乾燥後の抽出が良いとされた。Ramezaniら(2009)はリナロールを主成分とする精油を生成するコリアンダーを4月にイラン西南部の圃場に播種し,7月の果実が緑色となった日の4時刻に地上部を収穫後,乾燥した。乾物重100g当たりの精油収量は6,12,18および24時区それぞれ0.432,0.436,0.404および0.319mLであり,12時の収穫が勝った。
著者
佐々木 脩 伊藤 寛治 乳井 恒雄
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1061-1064, 2008-10

比内地鶏は秋田県農林水産技術センター畜産試験場と民間の種鶏場の秋田比内鶏を父親、ロードアイランドレッド種を母親として生まれる一代雑種で、肉色に赤みがあり、適度な脂肪を含み、風味と香気を持ち、秋田の郷土料理(きりたんぽ鍋)にかかせない地鶏であり、現在全国的なブランド鶏となっている。しかし、現在流通している比内地鶏の肉の大部分は雌に特化され、雄は肉が固い、肉色の赤味が濃い、脂肪量が少なく、雄臭が風味を損なうなどの理由で市場に流通することは少なく、素雛の段階でほぼ淘汰されている。一方、近年の比内地鶏の増加に伴う雌雛代や飼料価格の上昇による生産コストの引き下げが大きな経営課題となっている。そこで、雄の成長の速さを利用しつつ、肉質の改善と脂肪沈着を増加する方法として比内地鶏の去勢に着目した。著者らは比内地鶏の精巣の発達と去勢手術適期を調べ、手術による事故率と精巣再生率が低く養鶏農家への普及可能な去勢手術法について検討した。なお、鶏の去勢については外科的処置以外に、ホルモン剤の冠部皮下へのペレット埋没法や胸部筋肉への注射などによる化学的去勢法も知られているが、消費者のこれらの処置鶏への反応を考慮し今回は検討を加えなかった。
著者
水田 洋一
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.789-793, 1997-07
被引用文献数
1
著者
秋葉 和温
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.485-492, 2013-04

1906年(明治39年)の春,Lissabonで開かれたIntemationaler Medizinischer Kongressに出席し,たまたま重症を発して帰り,直ちにHamburgのEppendorf(エツペンドルフ)病院に入院した。その病気の原因は遠くさかのぼって,彼の自家実験にあったもので,激烈な肛門周囲炎を起こしたのであった。大腸の膿瘍は腹腔に溢れ,Notoperation(救急手術)のかいもなく,同年6月20日(1906年6月22日‐高田)昇天,彼の霊はこの世を去った。わずかに35歳の壮者は,わが学術界に大きな足跡を残して,昇天したのである。Hamburgの研究所より出版した615SeiteのSammelausgabeは,この天才的研究者の最後を飾るものである(1911出版)。この若い堅実な学者を失ったのは,測り知れぬ人類の不幸,かつ大きな損失で,世界の学界はみなこの不幸を悲しみ弔ったのであった。トーマス・D・ブロック著,長木大三・添川正男訳「ローベルト・コッホ」の236ページにはノーベル賞の項で,「1905年(明治38年)にはフリッツ・シャウディン(1871‐1906)が受賞者として指名されていた。シャウディンは原生動物について重要な報告を出していたが(その中のいくつかはのちに誤りとわかった),1905年春,エリッヒ・ホフマン(1866‐1959)と協力し梅毒の病原体としてスピロヘータ・バリダ(のちにトレポネーマ・パリドムと命名)を発見したと報告した。1905年4月末,当時パストウール研究所長であったエリー・メチニコフはシャウディンの指名についてノーベル賞委員会へ書簡を出した。私はシャウディンの仕事を高く評価はするが,ノーベル賞の候補者として支持することはできません。私は多年にわたりコッホを受賞者として推薦してきましたが,コッホが受賞しないかぎり,他の候補者を支持することはできません。私の意見では,ローベルト・コッホの医学への貢献は,他のすべての可能性のある候補者よりもはるかに超越したものであります。」と記載されている。そして「ノーベル賞委員会もついに決意した。1905年12月12日,彼の誕生日の翌日,コッホは受賞した。(当時の金額で15万ドイツマルク)。"ドイツ医学週報"には次のように記述されている。「"これ以上受賞にふさわしい人は考えられない"」と。
著者
秋葉 和温
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.303-309, 2009-02

鶏のロイコチトゾーン症と小倉喜佐次郎獣医学博士との関係、そして知り得た日本統治下の台湾の獣医畜産事情。今まで述べてきたように小倉先生や森下薫先生の台湾時代の様子が、少し明らかになったところで、次の疑問が湧いてきました。朝鮮総督府血清製造所(釜山)や満洲の獣疫研究所(奉天)などは、歴代所長や研究者名も、研究報告も、皆さん、かなり知っておられると思います。しかし、台湾に関しては、私自身は、板垣先生と、小倉先生との関係、石谷先生と台北帝大との関係などの、ほんの少ししか知っていないというのが実情でした。私はロイコチトゾーン症の調査研究を通じて、マラリアについての文献を読みましたが、その手懸りは森下先生の「マラリア原虫の生物学及び疫学に関する研究」(昭和38年)で、これから多くのものを学びました。その中には医学関係の研究者について、台湾医学会雑誌、その他に報告された文献が多数紹介されています。
著者
宮沢 正憲
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.1584-1588, 1969-12
著者
小林 克己
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.838-842, 2009-08

学生のための手計算とSAS JMPによる生物統計学へのいざない。前臨床試験および一般生物統計に関する統計解析Q&A。質問189:毒性試験でWilliamsの検定を用いたいと思っていますが、Dunnettの検定の方が良いのりでしょうか?回答:Williamsの検定は、毒性試験のように用量依存性を示す場合に応用できると自信は述べています。閉手順を利用しています。これは高用量に有意差がなければ全ての用量群に有意差がないとします。従って、被験物質の影響が良くでている場合は高用量**、中用量*、低用量というアスターリスクの表示となります。用量依存性を考慮したWilliamsの検定は、毒性試験のみに使用することと述べています。
著者
菅原 七郎
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.549-554, 2009-05

哺乳類の胚操作と畜産への応用と将来。ラクダのARTsと胚操作。世界の主要先進国では、ラクダ類は動物園動物やコンパニオン動物としてのみ活用されており、家畜として取り扱いはされていない。しかし、旧世界で本来ラクダが棲息していた地域の住民にとっては生活に必須な動物であったし、現在もその位置づけは一部の地域を除いて全く変わっていない。ラクダを家畜として生活を共にしている民は北アフリカ(ソマリア、エチオピアと周辺諸国)、中東諸国、アジア(インド、中国、モンゴル、ロシア)および南アメリカのアンデス山系の各国に分布しており、約2,000万頭を飼育している。アフリカ、ユーラシア大陸の旧世界に棲息するラクダは背にヒトコブとフタコブをもつ種類である。最近、これらラクダは中近東の石油産出国をはじめ、遊牧民が少なくなった諸国では飼養頭数が急激に減少している。中国、モンゴルでも交通革命や近代化の波に押されて減少に歯止めがきかなくなってきている。他方、新世界の南北アメリカ、とくに南米大陸に棲むラクダ属は、旧世界のラクダと比べ小型であり、ラマ、アルパカ、グアナコ、ビクーニャなどが生存している。アンデス山系のこれらのラクダも15世紀、スペインの侵攻と共にヨーロッパの家畜が移入されて徐々に減少してきている。現在、ビクーニャとグアナコは絶滅危惧種に指定されている。しかし、ラクダを家畜としている国や動物遺伝資源として活用する立場から、ラクダの改良増殖に家畜で実用化されている新技術や胚操作法を利用することが行われ始めている。本稿ではラクダの改良増殖法としての繁殖技術や胚操作法について最近の進展や利用状況などについて研究報告を紹介する。
著者
堀 兼明
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.60-69, 2010-01

中山間地の小規模野菜産地では、平坦地にくらべて法面や畦道等の比率が高いために、こうした場所に発生する雑草の処理が問題となっている。とくに除草剤を使いづらい有機栽培や減農薬栽培では、雑草処理の問題は一段と深刻である。露地圃場において雑草を土壌にすき込んだ場合、雑草種子等の発芽を抑制するため、夏季にビニルマルチを用いた太陽熱利用土壌消毒(以下太陽熱処理)が行われている。太陽熱処理は、ビニルハウス内では十分な地温上昇が見込まれるために、土壌生息性の病害虫や雑草に対して安定した効果を発揮するが、露地では地温が気象条件に大きく左右されるので、安定した効果が得られる条件を明らかにすることが求められている。そこで、未利用植物質有機物資源である雑草を有効利用するために、夏季の露地畑に刈り取った雑草を積極的にすき込み、ビマニルマルチを用いた太陽熱処理により雑草の種子の発芽を抑制すると同時に、粘質土壌の物理性改善をめざす技術の開発をめざした。
著者
米田 勝紀
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.432-436, 2009-04

独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場は、これまで県、民間等へ改良用基礎系統を配布することを主業務としてきたが、この度、持てる素材と環境を活かして新しい鶏種「岡崎おうはん」の作出に成功した。これまで80年の歴史を持つ岡崎牧場では、牧場独自に改良種を作出したことはなく、今回が初めての試みである。岡崎おうはんは、卵肉兼用種にも関わらず、外国卵用鶏を凌駕する産卵性能を示すとともに鶏卵は黄身が大きくおいしいという特長や非常においしい鶏肉が楽しめるという二重にも三重にも優れた特性を持っている。粗食にも耐えるという特性も併せ持っており、今日的な鶏としても注目を集めている。現在の岡崎牧場は、平成9年の移転後、飼養規模が飛躍的に拡大するとともに、飼養環境が著しく向上した。各種疾病の撲滅も達成され、原種鶏牧場として最高の水準に到達しており、こうした環境の改善が岡崎おうはんの開発に結びついている。岡崎牧場が長い年月をかけて独自の育種改良を行ってきた肉がおいしい横斑プリマスロックの雄と高い産卵性能を持つロードアイランドレッドの雌を交配することによって作出した岡崎おうはんは、生産者、流通業者、消費者、食鶏処理業者、行政サイドなどから熱い視線が注がれている。現在、全国8カ所の農場で約10千羽が試験的に飼育されており、各農場からは高い評価が順次報告されている。平成20年度中に、飼養管理マニュアルの整備や経営モデルの作成を行うとともに商標登録なども行う予定である。普及。
著者
阿部 亮
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.969-972, 2009-10

飼料構造論。濃厚飼料と粗飼料。日本標準飼料成分表では飼料を、「生草」、「サイレージ」、「乾草」、「ワラ類および殻類」、「穀類、マメ類およびイモ類」、「植物性油粕類」、「ヌカ類」、「製造粕類」、「動物質飼料」、「非蛋白態窒素化合物・単体アミノ酸」、「酵母類」、「油脂類」、「糖類」、「リーフミール類」、「木質系飼料」、「その他」と分類している。しかし、このような区分での呼び方はあまりしない。日常的には飼料は粗飼料と濃厚飼料の二つに区分され、呼称されてきた。この日本語の由来はおそらく、Concentrate(濃縮)とRoughage(粗)からであろう。行政でも、産業界でも、試験研究・普及組織でも、飼料をこの二つに分断し、それぞれ独自の歩みをさせながら、それぞれの世界を構築し、両者の接近・融合を考えることが少ない環境の中に日本の畜産が置かれ、そのことによってある種、不幸な局面がもたらされてきたのではないかと筆者は考えている。
著者
佐藤 衆介
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Animal-husbandry (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.113-116, 2012-01 (Released:2012-12-03)
著者
太田 恵美子
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Animal-husbandry (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.126-132, 2012-01 (Released:2012-12-03)