著者
荻 慎一郎
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

秋田藩領には阿仁銅山をはじめ院内銀山など、近世日本を代表する鉱山があった。本研究では、秋田藩領北部の阿仁銅山をはじめ、八森銀山、大葛金山などに関する基本史料を各所蔵機関等において調査し、写真撮影で収集した史料をデジタル化と出力化して整理した。本格的な研究がなかった八森銀山研究に着手し成果があった。また個別鉱山研究に加えて鉱山相互の関係や交流、鉱夫の葬送など鉱山社会史研究の面でも多くの知見を得た。
著者
三浦 収
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

社会性を持つ二生吸虫は、繁殖を担うカーストと繁殖個体を敵から守る兵隊カーストに分業することで効果的にコロニーを維持している。本研究では、これらの2つのカーストの比率がどのような要因により決定されているのかを検討した。その結果、二生吸虫のカースト比率は外敵との競争圧の影響をあまり受けていないことが明らかになった。おそらく、コロニー内の個体密度や栄養状態または遺伝的要因等の他の要因がカースト比率に影響を与えているものと考えられる。
著者
椛 秀人 奥谷 文乃 村本 和世 谷口 睦男
出版者
高知大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

雌マウスに形成される交配雄フェロモンの記憶のシナプス機構、鋤鼻ニューロンと副嗅球ニューロンの共培養によるニューロンの成熟分化、シナプス形成、及び幼若ラットの匂い学習機構を解析し、以下の結果を得た。1.フェロモン記憶の基礎過程としてのLTPの入力特異性と可逆性スライス標本を用いて、副嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのグルタミン酸作動性シナプス伝達に誘導される長期増強(LTP)に入力特異性と可逆性が認められた。2.僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達のalpha2受容体を介した抑制のメカニズムノルアドレナリンは僧帽細胞のG_<i/o>を活性化して電位依存性Ca^<2+>チャネルを抑制するほか、Ca^<2+>流入後の放出過程をも抑制することが判明した。3.alpha2受容体の活性化によるシナプス伝達のハイ・フィデリティの達成alpha2受容体の活性化は副嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達のハイ・フィデリティを達成させた。これがLTP誘導促進の鍵となっているものと考えられる。4.副嗅球ニューロンとの共培養による鋤鼻ニューロンの成熟と機能的シナプスの形成副嗅球ニューロンとの共培養によって鋤鼻ニューロンが成熟分化し、3週間の共培養により両ニューロン間に機能的なシナプスが形成されることが判明した。5.幼若ラットにおける匂いの嫌悪学習とLTPとの相関匂いと電撃の対提示による匂いの嫌悪学習の成立には電撃による嗅球のbeta受容体の活性化が不可欠であった。スライス標本を用いて、嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのグルタミン酸作動性シナプス伝達に誘導されるLTPもbeta受容体によって制御された。この知見は、このLTPが匂い学習の基礎過程であることを示唆している。
著者
近藤 康生 延原 尊美 松原 尚志 佐々木 猛智 栗原 行人 中尾 賢一 菊池 直樹
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本沿岸海域に分布する軟体動物の現生種(トリガイ, タマキガイ, ダンベイキサゴ, キサゴ)およびそれらの祖先種4系統のペアについて比較した結果,子孫である現生種の化石記録は,(1)更新世ジェラシアンからカラブリアンにかけての寒冷化期に,(2)分布域北縁付近に現れる;(3)子孫種は温帯性であるのに対して,祖先種は亜熱帯性であり,(4)祖先種に比べて大型である;(5)子孫種は祖先種に比べて沿岸寄りに分布する,という傾向が明らかとなった。これらは,現在,日本列島南岸に分布する貝類の一部がこの気候寒冷化期に分布域北縁付近の沿岸域で種分化したことを示唆する。
著者
加賀美 英雄 徳山 英一 小玉 一人 満塩 博美
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

南千島海溝と南海トラフの付加体を調べ、海洋地殼が破壊される深度に相違があることが分かった。それは10ー15kmの深度を境として、それより浅い脆性的変形領域とそれより深い準延性的変形領域に区別された。10ー15kmより浅いところで海洋地殼が破壊される南海型の付加体では、破断面に多数の微小クラックが非定向に集中して破壊されることから余震域の拡大率が大きな値を示す。また、海洋地殼がこのように浅いところで付加体に下付けされると、組み込まれた付加体の密度は比躍的に増加することになり、このことが南海マイクロプレート(前弧スリバー)が九州にむかって沈み込んでおり、豊後水道が形成されている一つの原因となっていると考えた。室戸岬西方の安芸海底谷断層は土佐沈降帯と室戸隆起帯を分ける構造線であることが明らかとなった。これより西側では更新世中期以降の竜王層群が堆積しているが、東側では基盤岩類が北東ー南西の高角逆断層によって変位している。室戸隆起帯の東側の野根海底谷断層から安芸海底谷断層までの35kmの間は一連の構造単位であり、繰り返し発生した歴史地震の境界が室戸隆起帯を形成したのだと考えると、西南日本にみられる波曲構造は地震断層の境界が原因であるとして理解できる。興津隆起帯も土佐湾を分割する地震断層の境界であることが明らかになった。この東の土佐沈降帯にある竜王層群の堆積盆の位置は下位の土佐湾層群のに比べて約10°も反時計回りに移動していた。興津隆起帯の隆起軸も時間変化に伴う移動がみられた。これは、更新世中期後にフィリピン海プレートの沈み込みが、北西へ転移したために南海トラフに対して斜め沈み込み運動をしたことに伴う諸々の変動;南海マイクロプレートの形成、西国山脈の隆起、モラッセ性堆積物の広範な分布、そして土佐湾では竜王層群の新しい堆積盆形成などの一つと考えられる。
著者
浜口 惠治
出版者
高知大学
雑誌
高知大学学術研究報告. 人文科学 (ISSN:03890457)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-21, 2004-12-31

The Lipps XY figure (Figure 2) was decomposed six line elements. Thirty two Lipps variation figures (Figure 3) contained the principal line x in the refracting line X were constructed. The apparent directions of x in these figures were estimated with parallel matching method by ten university students. The assimilation illusory effects of the accessory lines attached to x were found. These results were discussed in relation to the Metzger's theory, the apparent direction of the principal lines in the refracting lines are assimilated by the direction of the accessory lines attached to the principal lines.
著者
中田 道孝
出版者
高知大学
雑誌
高知大学学術研究報告 自然科学編 (ISSN:03890244)
巻号頁・発行日
no.21, pp.135-139, 1973-03
著者
山本 秀人 月本 雅幸 松本 光隆 山本 真吾 土井 光祐 矢田 勉
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、和歌山県紀の川市の真言宗寺院興山寺所蔵文献の調査・研究を中核とする、和歌山県における真言宗寺院所蔵文献の実地調査と、それに基づく国語史的立場の考察・研究を主要目的とする。以下の調査研究活動を実施し、各成果があった。1.紀の川市興山寺の調査は、研究代表者・研究分担者・研究協力者の総勢13名で興山寺聖教調査団を組織し、経箱全94箱を分担して、文献毎(総計約6千点)の調書(書名、時代、装幀、寸法、訓点、奥書等調査)を作成する作業を行った。具体的には、15〜18年度に、原則4〜7日間の調査を計11回実施し(本科研支弁以前の14年度実施予備調査1回、15年度4月実施1回を含める)、18年度7月までに全94箱の調査を完了した。並行して、主要文献のデジタルカメラ撮影も行った(計129点)。これらに基づく、パソコンデータベースも18年度9月までに完成し、その冊子版文献目録も同10月に刊行した(私家版)。2.紀の川市興山寺のほか、田辺市高山寺、高野山(高野山大学図書館等)における調査も重点的に実施し、田辺市高山寺については主に主要文献の撮影を行い(計67点)、更に冊子版文献目録(本科研以前に一応の調査了、全73箱)を再調製して刊行した(私家版)。高野山においては注目される文献の実地調査を行った。ほか、京都(栂尾高山寺、仁和寺等)や東京(尊経閣文庫等)などにおける真言宗関係文献の調査も適宜実施した。3.以上の調査に基づく研究・考察は今後の課題とすべき点も多いが、例えば、平安時代書写を含む興山寺蔵大般若経写本六百帖は、仏教史上極めて貴重であることが判明した。国語学上重要な文献は高野山に多く、特にその数点について国語学上の研究を行い成果があった。更には和歌山県相互間の比較、京都地域等との比較の一層の進展も必要であり、今後の課題であるが、その基盤の構築は完了したと言って良い。
著者
石田 健司
出版者
高知大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012 (Released:2016-04-26)

要介護者(障害者)の中には、体の回旋はできなくとも、支えがあれば立位可能な症例は多い。その残存機能である立位能力を最大限活用し、要介護者(障害者)の自主性や自尊心を失わせることなく、安全に移乗動作が行える機器を開発・試作し、開発機を元に、移乗動作介助機器の実用化を目指し、その有用性をアンケート調査した。 結果として、走行は比較的良好との評価であったが、動き始めと回転時にまだ改良の余地がありと評価された。また自分が介護される際には、本機器の有効性の理解は得られたが、機器の金額面で、5~10万円までに価格を落とす工夫が必要であった。今後ベッドと一体型で、ベッドの柵の回転バーと一体になるものを作成したい。