著者
福島 敦樹
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

実験的アレルギー性結膜疾患発症における抗原提示細胞の役割を解析した. 結膜に存在する抗原提示細胞の表面に発現している共刺激分子が結膜炎誘導能を持つT細胞を活性化し, 結膜炎発症に関与している可能性が示唆された. 抗原提示細胞としての機能を持つマクロファージにはF4/80やCD11bが発現している. これらの分子はマクロファージのみならず好酸球にも発現しており, 結膜好酸球浸潤に重要な働きを持つことが判った.
著者
八幡 俊男 清水 惠司 中林 博道 梶 豪雄 政平 訓貴
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

癌幹細胞は、悪性腫瘍を根治するために重要な標的として考えられている。本課題では、悪性脳腫瘍の細胞株から分離培養した癌幹細胞が、薬剤を細胞内から排出することで化学療法に耐性となる遺伝子(多剤耐性遺伝子)を高発現し、抗癌剤に対して低い感受性を示すことを明らかにした。また、癌精巣抗原遺伝子は、癌幹細胞においてエピジェネティックな因子の制御を受けて高発現することを見出し、免疫療法の標的分子となる可能性が示唆された。
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

河川湖沼の水質浄化については、その必要性が理解されていながら、河川の環境基準達成率(BOD)は81%と前年同様で、湖沼の環境基準達成率(COD)に至っては僅か40.9%に過ぎず、過去25年間ほぼ同レベルに低迷しており、早急な浄化対策が望まれている。浄化対策で除去された汚泥の処理技術は確立されていない。今までの研究で、セルロースとリグニン主体の製紙スラッジの特性を生かし、それを成型した土壌還元型育苗ポットを開発した。また江の口川と石手川の脱水汚泥を培土とした各種植物の栽培試験より、植物の成長と発育には異常が認められないばかりでなく、むしろ成育が促進される傾向が認められた。脱水汚泥土壌にはもろもろの有機、無機の成分が含まれており、また土壌細菌検査による結果より、土壌消毒の必要が無いほどに有害土壌微生物は少なかったが、それらが植物成育に有利に作用したものと思われた。しかしながらCaやNaに見られる土壌中に含まれる塩類の上昇と汚泥土壌から流亡する同種塩類が周辺土壌へ流れ込み、注意を怠ると塩類集積を招来し植物の成育に悪影響を及ぼすようになる懸念がある。また培土としての利用に当たり、施肥も汚泥土壌に含まれている要素は減じて行う必要がある。今回使用した江の口川と石手川の脱水汚泥土壌に含まれる有害な重金属は微量であったが、これらは今回の2つの川の汚泥土壌でも認められたように、河川によりその含有されている物質と含有量が異なるものと思われるので、利用に当たり事前の化学調査は欠かせない。脱水汚泥は名前からは想像できないほど匂いも無く、見栄えは普通の腐食に富んだ土壌と遜色はない。道路工事現場への入れ土としての利用には未耕地山土より抑草作用が劣ったため、利用上問題が認められたが、逆に植栽度あるいは土壌改良をともなった畑土への客土としての利用の可能性が強く示唆された。
著者
宗景 志浩 吉田 徹志 益本 俊郎 バクタ ジャティンドラナース
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

鹿沼土や赤玉土等を素材に熱処理を行ってシリカセラミックスを作成した。これを使って環境汚染物質(重金属類、富栄養化物質、抗生物質)の吸着能・分解能を調べ、その応用に関して検討した。ここではシリカセラミックスの物理・化学的特性とその改良法、活性化法、有害重金属(Hg^<2+>, Cd, As, Cs)の吸着除去能、カラムを用いた実用化への展開に限って取りまとめる。
著者
川田 勲 山本 誠 日浦 啓全 塚本 次郎 西村 武二 有光 一登 細田 豊 岩神 正郎 中山 義雄
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本年度はこの研究の最後の年であり、各分担者は各自の研究成果の作成に取り組んだ。研究成果に付いては別途製本済みの報告書を提出するが、その内容は森林機能、とりわけ水源環境機能の分析を始め、樹木の下層植生と土壌の関係、森林の管理・施業と林道、地域の経済構造とりわけ山村振興の為の賞品作目の開発、さらに木材をめぐる産地構造や渇水を背景に水資源をめぐって都市と山村との関係等、多岐にわっている。高知大学ではこれまでの成果を地域に還元するため、本研究の対象地域である嶺北において関係者約250名の参加をへてシンポジュウムを開催した。これらの内容・成果も本研究の成果として印刷・公表する。
著者
曵地 康史 木場 章範 大西 浩平
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

Ralstonia solanacearumは傷口等の根の開口部から宿主植物に侵入し、まず、細胞間隙にコロニー化する。コロニー化後、細胞間隙で著しい増殖を行う。細胞間隙での増殖の有無が、宿主植物に対する病原性の質的な決定因子であり、この増殖は、hrp遺伝子群にコードされるタイプIII分泌系から菌体外へ分泌するタイプIIIエフェクターを介した宿主植物との侵入直後の相互作用により決定されていた。細胞間隙での増殖が可能となったR.solanacearumは、タイプIIIエフェクターの働きにより宿主植物の遺伝子発現の変化を誘導し、病徴である青枯症状の誘導の有無を決定した。その後、R.solanacearumは、タイプIII分泌系を介して分泌する植物細胞壁分解酵素(CWDE)の働きにより、導管壁を分解し、その結果、導管へ侵入することが可能となった。R.solanacearumは、導管を通じて全身移行し、導管内に病原力因子である菌体外多糖類(EPS)を分泌し、導管閉塞をまねくことで植物の水分通道能を阻害した結果、感染植物は青枯症状を呈すると考えられた。hrp遺伝子群の発現制御タンパク質HrpBによって、CWDEであるPhcBの発現は部分的に正に制御されており、タイプII分泌系とタイプIII分泌系の分泌能は相互に制御しあうことが明らかとなった。さらに、hrp遺伝子群やPhcAなどの一部のCWDEの発現は、EPS合成の正の制御タンパク質であり、クオラムセンシングにより活性化されるPhcAによって、負に制御されていた。これらの結果から、R.solanacearumの病原性に関わる遺伝子は、宿主植物への侵入過程に応じて制御されており、R.solanacearumの増殖を介した一連の制御系に存在することが明らかとなった。
著者
西村 安代
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

園芸地帯の地下水は、施肥量や頻度、栽培作物の影響を受けており、肥料特性も水質に反映されていた。肥料流亡試験では、堆肥からも肥料成分が多量に流亡していた。養液栽培では、かけ流し式でなくてもEC値を基準とした循環式の簡便な方法で同等以上の生育と収量が得られ、養液土耕では、従来の元肥施与栽培よりも大幅に肥料を削減でき、カニガラ等の資材も肥料として十分な効果が得られた。生理障害に関しては肥料の過不足よりもそのバランスが重要であることが明らかとなった。これら結果を活かすことで、肥料施与量や肥料流亡を削減でき、環境保全型農業に寄与できると考えられた。
著者
飯国 芳明 岩崎 貢三 櫻井 克年
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.山地酪農の「塾畑化」の経営学的考察:経営の立ち上げ期にはシバ草地の「熟畑化」が伴わないため,濃厚飼料(購入飼料)に大きく依存した経営を強いられる。しかも この時期には牛の馴化の遅れによって搾乳量や乳脂肪の低下が起こるために収入が低下する。また,借入金返済の資金繰り等の問題も重複して現れる。このため,造成後3年から4年目までは通常の経営主体では維持できない水準にまで収益が低下することが明らかとなった。今後一層の普及をはかるためには「芝草地活用肉用牛放牧促進事業」型の数年にわたるシバ草地に対する政策的支援(補助体系)が不可欠である。また,今回の研究を通じて家畜を扱う有機農業の場合には「熟畑化」ばかりでなく,家畜の「馴化」の重要性も明らかになった。今後は「馴化」のプロセスについても学際的な研究を行う必要があると考えられた。2.山地酪農の「熟畑化」の土壌学的考察:高知県南国市の斉藤牧場において,造成10年後の新しい草地と25年後の古い草地を比較することによって以下の知見を得た。古い草地では表層・下層ともに,肥沃度および団粒構造の発達による保水性・透水性の向上が顕著であった。一方,新しい草地の表層での肥沃度の向上は下層にまでは及んでいないことに加えて,牛糞由来の有機物添加の履歴が短く表層での排水性がやや不良であった。低分子有機酸の蓄積量は排水性の不良な新しい草地の表層で最も多かった。新しい造成地の荷電ゼロ点が低いのは,非晶物質が少なく有機物や酸性の強い粘土が多いためであることがわかった。ただし,数十年後には低肥沃度でもバランスのとれた安定した草地へと変化するものと考えられた。また,草地内・外の水を分析した結果,系外よりも系内が,また古い草地よりも新しい草地のほうが溶存イオンの量が多くpHも高かった。しかしながら新しい草地においても,日本シバ利用の山地酪農は水系の富栄養化を引き起こしておらず,環境保全型畜産業であるといえよう。
著者
江口 卓
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

屋久島の気候環境とその原因を3次元的に明らかにするため,総合的な気象観測を山岳部で行い,収集したデータを中心に解析を行った.特に鹿児島の高層観測データと屋久島の観測データの比較から,自由大気の鉛直構造と屋久島における温湿度の標高による変化を,気圧配置および自由大気の成層状態を中心に解析を行った。その結果,気圧配置やそれにともなう自由大気の成層状態の違いによって気温および湿度の標高による変化に違いが認められた。特に,標高1800mの山頂部に位置し,森林限界より上にある黒味岳と標高1360mの森林地域に位置する淀川との間では,気温の顕著な逆転がしばしば起こるとともに,山頂部に向かって相対湿度の急激な低下が認められた。このような現像は,移動性高気圧に覆われ,1000-1500mの高度帯に逆転層が発達する場合に出現頻度が高かった.また,自由大気の鉛直構造との比較から,山頂部では同高度の自由大気の気温や湿度との対応がよかったのに対し,その下の森林帯では,自由大気の気温や湿度の変化と異なった変化をしていた.このことから,自由大気の温湿度状態の変化に対し,樹林帯では,森林そのものが温湿度の変化を防ぐ役割をはたしているのに対し,樹林帯から抜ける山頂付近では,自由大気の変化と対応した気温や湿度の変化が起こっていることが明らかになった。以上の結果により,屋久島の高標高域の温湿度環境は低地部とは大きく異なることが明らかになり,その変化は,被覆している植生の状態と自由大気の成層状態との関連によって生み出されていることが明らかになった。
著者
國本 景亀 山本 信也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度から平成17年度までの3年間の研究の総括は次のとおりである。(1)全体論的数学教育の数学観、子ども観、学習観、教授観などを明らかにしいくつかの教授原理を解明した。「全体性の原理」、「内容や関係豊かな学習の原理」、「活動的・社会的学習の原理」、「漸進的数学化の原理」、「科学論的見方の原理」、「歴史性(数学史)の原理」などである。これからの数学教育はオープンな精神で行われるべきである。特に、子ども達に本質的な数学的現象に出合わせるべきである。(國本)(2)ワークショップを2回行う。熊本大学教育学部において、2回のワークショップを行った。参加者は2004年は58名で、2005年は43名であった。(山本)(3)ビットマン氏らの著書『算数・数学 授業改善から教育改革へ("Jenseits von PISA : Bildungsreform als Unterrichtsreform")』を翻訳した。(國本、山本)(4)現場との連携(小学校での授業を3年間で約20回行った)高知県南国市の2つの小学校と連携し、学生の教師養成と現場教師の再教育に携わった。連携した学校の1つが高知県の学校表彰(算数科)を受けた(平成17年度)。(國本)(6)『数の本』(1〜4学年)を翻訳し、各都道府県の教育長へ謹呈した。そのため平成17年度の予算の内インク代にかなりの経費がかかった。(國本)(7)イギリスの数学教育雑誌"Mathematics Teaching"に「数の石垣」の実践報告が掲載された。(藤田)
著者
上野 行一 坪能 由紀子
出版者
高知大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

平成16年度は、研究課題の第一に関して、平成15年度に引き続き実地調査(東京都現代美術館、ポーラ美術館、宇都宮美術館等予定)を行い完了させた。英国における創造的な芸術教育プログラムの調査結果を考察した結果、1989年に学校教育に導入されたナショナル・カリキュラムの目的・内容を忠実に採り入れたものであることが明確となった。これまで英国の社会教育は、インフォーマルな教育の場として学校教育とは峻別してとらえられがちであった。そのことが英国の教育の特質という見方が濃厚でもあったが、ナショナル・カリキュラムの導入による学校教育の基準化は、意外にも社会教育の場にまで浸透しているということである。研究課題の第二(プログラムの構築と検証)に関して、平成16年度は、研究成果を報告書にまとめるとともに、各地の公立文化施設におけるテキストとしての実際的な活用を考慮し、CD-ROMによる映像記録を中心にした創造的な芸術教育プログラムを作成した。プログラムは美術館が所蔵する作品を基本とした美術鑑賞教育用のものとした。創造的な芸術教育プログラムを実施する公立文化施設は高知県立美術館とし、11月12日第1回の実施がされた。一階のギャラリーを専用スペースとして借り、横尾忠則、クレメンテの作品を高知大学教育学部附属小学校5年生が鑑賞学習した。これは、第46回高知県造形教育研究大会の公開授業とも位置づけられた。学校教育における研究・公開授業が公立文化施設でおこなわれ、学校教育と社会教育が融合した事業となった。
著者
大西 三朗 西原 利治 高橋 昌也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

TRAILレセプターのdeath domainに対する単クローン性抗体は、腫瘍細胞特異的な細胞性免疫を惹起して、腫瘍細胞の排除を行う。しかし、副作用として時に胆管上皮細胞障害を誘発し慢性胆管炎に移行する。同様の免疫応答による慢性胆管肝炎はvanishing bile duct症候群として知られ、移植肝の急性および慢性拒絶反応の表現型である。TRAILレセプターのdeath domainにアミノ酸置換を伴う遺伝子多型がマウス存在することを見いだしたので、この抗原決定基に対する免疫応答が難治性の慢性胆管肝炎vanishing bile duct症候群を惹起する可能性があると考え、RT-PCRを用いて各種マウスstrainのTRAILレセプターのdeath domainにつき、遺伝子配列を決定した。
著者
荒川 良 福田 達哉 伊藤 桂
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1995年頃に日本に侵入したオオミノガに特異的に寄生するオオミノガヤドリバエは日本各地でオオミノガをほとんど確認できないほどに個体群を絶滅状態に追い込んだ。高知県においてもオオミノガはかつてほど見られなくなったが,絶滅にまでは至らないまま今日に至っている。オオミノガヤドリバエの侵入から15 年経過した段階で,高知県におけるオオミノガの生息状況を10年前の研究と比較し,オオミノガが絶滅しない要因を検討した。
著者
池添 隆之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

一つの細胞が分裂し、全く同じ二つの細胞が創られることで細胞は増殖を続ける。この分裂の過程は分裂期キナーゼという酵素群によって精密に制御されている。これらキナーゼの機能破綻により細胞が無秩序に増殖しがん化が引き起こされていることが予想される。この度我々は分裂期キナーゼの一種であるポロ様キナーゼに注目しその白血病化への関与について検討を行った。ポロ様キナーゼは正常の造血細胞と比べて、急性白血病細胞で異常にその発現が亢進していた。そしてこのキナーゼを阻害剤を用いて不活化すると白血病細胞の増殖は抑制された。これらのことから、ポロ様キナーゼは白血病細胞の増殖に関与しており、格好の治療標的分子となり得る可能性が示唆された。
著者
笹原 克夫 田村 圭司 恩田 裕一 土屋 智 小山内 信智 石塚 忠範
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2004年3月26日にインドネシア共和国南スラウエシ州ジェネベラン川源流部のバワカラエン山で巨大崩壊が発生し,ジェネベラン川源流部に堆積した.本研究では衛星画像と現地調査により堆積土砂の地形変化を追跡し,流出土砂量の経年変化と侵食ガリーの発達状況を把握した.また流出土砂の放射性同位体分析により土砂の流出源を探り,洪水時の土砂と平常時の土砂は異なる土層から流出したことを把握した.
著者
村田 文絵
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

モンスーン低気圧はインドモンスーンの雨季(6-9月)にベンガル湾〜インド北西部に現れる1000km(総観規模)スケールの擾乱であり、擾乱の通過はしばしば多量の降水をもたらして洪水の原因となる。しかしモンスーン低気圧をターゲットとした観測は1970年代後半に実施されたMONEX国際観測プロジェクト以降あまり活発でなく、現在のより高い高度分解能(100m 以下)をもつ測器を用いて、またこの気象擾乱の構造を得るのに必要な時間間隔(12時間間隔或いはそれ以上)で観測を行う集中観測がほとんど行われていなかった。そこで本研究は2007年雨季に洪水災害で知られるバングラデシュの首都ダッカにおいて、高層気象観測の集中観測をバングラデシュ気象局の協力の下で実施し、(1)モンスーン低気圧がバングラデシュに及ぼす効果及び(2)モンスーン低気圧の内部構造について解析を実施した。集中観測によって4つのモンスーン低気圧を観測することができた。このうち2つはダッカの南のベンガル湾上で発生しダッカの西を通過した。他の2つはダッカ近傍で発生し西に進んだ。観測されたモンスーン低気圧に伴う活発な雲分布は顕著な非対称の構造を示し、低気圧中心の南〜南西象限に降水活発域が集中していた。(1)観測地点ダッカはモンスーン低気圧の中心より北及び中心付近を観測したため強い降水が観測されなかった。その一方でバングラデシュでは7月中旬〜下旬にかけて大洪水が生じたが、これはモンスーン低気圧によるものではなくモンスーントラフの北上という現象によって生じていた。(2)熱力学的な大気鉛直構造はモンスーン低気圧が南に発生している間バングラデシュではむしろ対流が抑制されたことを示した。また過去の研究においてモンスーン低気圧の中心付近の気温の観測結果に不一致があるが、今回観測された中心付近の気温は台風に似て周囲より暖かいという結果が得られた。
著者
高橋 美美 川井 八重 川島 美保 刈谷 苗美 朝生 美智 竹本 美佳 安部 多恵 国本 美和 中平 稚奈
出版者
高知大学
雑誌
高知大学学術研究報告. 医学・看護学編 (ISSN:03890473)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.41-46, 2004-12-31
被引用文献数
1

The purpose of this study was to understand the life situation of elderly people who show only a small age-related decline in their motor abilities. A quantitative analysis of body abilities was carried out on 16 elderly people who participated in a fall prevention class. Three years later, the same analysis was carried out again on the same people. The following criteria were measured; (1) the length of their maximum step, (2) the time it takes to walk 10 meters, and (3) a functional reach test. As a result, the participants were classified into two groups. People who showed no change or improved in two or more criteria were assigned to the first group, and people who worsened in two or more criteria were assigned to the second group. Next, the researcher interviewed the district public health nurse about the lives of the subjects, and carried out a qualitative analysis. After analyzing all of the date, the following features were found in "the improved group"; (1) they have some roles in their homes and communities, (2) they were highly interested in their health, (3) they had social gatherings, and they had been leading active lives. In "the worsened group," the following feature was found; they had been leading inactive lives for the three years of the observation period.