著者
溝上 章志 橋本 淳也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.731-739, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
被引用文献数
1 1

本稿は, 熊本電気鉄道を対象にした中心商店街と協働による社会実験の経緯とその成果について報告するものである. 本社会実験は熊本電気鉄道のサービス改善計画の擬似体験と中心市街地の活性化への効果を検証することを目的としたものである. また, 熊本電鉄沿線では住民を対象にしたモビリティ・マネジメントも実施している. これらの社会実験や利用促進施策の影響について利用実態調査の結果から考察を行った. その結果, 一連の調査・研究と社会実験などの実績の積み重ねによりサービス改善計画の実行可能性が認知され, 行政および関係機関での検討が行われることになった.
著者
大成 博文 前田 邦男 松尾 克美 山原 康嗣 渡辺 勝利 石川 並木
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1163-1168, 2002-02-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2 7

New techniques for oyster cultivation at Hiroshima bay are investigated using sea water micro-bubbles.The present results indicate some new aspects that the device of sea water micro-bubble generated about 51/min air discharge. under the water depth of 10-15m. By generating micro-bubbles, the salinity of sea water in the surface layer increased about 13% and the water temperature decreased about 2°C in the oyster farm in summer. Finally, the oysters which had been named “Waka” about thirty years ago were restored to the original state by using sea water micro-bubble technique.“Waka oyster” grew up rapidly for about a half year and had a rich constituent of glycogen.
著者
西野 保行 小西 純一 中川 浩一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.321-330, 1993

明治期のわが国の鉄道用橋梁として主力を占めたものは、プレートガーダー (鈑桁) であって、径間15ftから80ftに至る領域は、これが主力を占めており、早くから標準設計 (定規と称した) が確立していた。しかしながら、その中でも主力を占める官鉄に関するものはかなり詳細が解っていたが、それ以外の私設鉄道のものや、全部を通じての架設状況などは系統的な記録に乏しい。そこで、かなり現物が減少してきたとはいえまだそれが存在するうちに、実証的な裏付けをもとに一連の研究を行って行きたいと考えるもので、今回はその導入部とし概説を述べるものである。
著者
吉井 匠 池野 正明 松山 昌史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.441-445, 2008-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
3

The sediment transport caused by tsunami was measured by a simple experiment. We measured the velocities and suspended concentrations caused by one solitary wave which is assumed as tsunami passing on the plane sand bed without breaking and splitting. It was found that there are phase lag between peaks of suspended concentration and velocity, and the time variations of vertical distribution of suspended concentration are in good agreement with approximated curve with exponential function. We found that the Brown's formula is inconsistent with the time variations of sediment flux measured in the experiment because it can't explain the phase lag between velocities and total sediment flux. The bed load formula by Ashida-Michiue shows a close agreement with amount of bed load.
著者
田原 保二 国広 哲男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1955, no.29, pp.66-73, 1955

本文は部材の変形にともなうPC鋼線の付加的な影響を考慮に入れた場合のプレストレストコンクリート門構ラーメンの計算を示したものであり, さらにこれらの計算値を本邦最初のプレストレストコンクリートラーメン橋である御祓橋における測定値と比較し, この計算法の妥当性を指摘したものである。
著者
田原 保二 猪股 俊司 南 俊次 宇野田 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.60, pp.b1-b44, 1959

わが国のプレストレスト コンクリート橋梁は1954年以降急速に発展し, 1955年に至り支間40mの上松川橋の出現を見るに至つたが, 更に1956年末に至り大阪府金剛大橋においてわが国最初のプレストレスト コンクリート箱桁の施工に成功した。本論文は大阪府土木部によつて企画し実施されたこの箱桁の設計, 施工並びにこれに伴つて行われた一連の試験および実験に関するものである。本橋は径間30.40m, 桁高1.10mでその比は1:27.6であり, 径間に比し桁高を特に小さく制限される場合の一解法として特に価値あるものと考えられる。
著者
宇野 宏司 中野 晋 粕淵 義郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_23-I_28, 2011

南九州・霧島連山の新燃岳(標高1,421m)では,平成23年1月に52年ぶりの爆発的噴火が起き,宮崎・鹿児島両県で降灰や噴石による被害が報告された.先行きの見えない噴火活動が住民の生活や企業活動に与える影響は大きく,また長期化することが懸念される.本研究では,各種公表資料,自治体や企業でのヒアリング調査結果をもとに,本災害による事業所や自治体の被災状況と当時の対応,今後の対策について整理し,長期化する恐れのある火山災害時における企業の事業継続に必要な観点について整理した.<br> 突発的な今回の火山噴火は,当該地域の火山災害に対する防災体制の不備な点を明らかにした.今後,火山災害の影響を受けない地域をも含めたより広域的な連携関係を構築しておくことや,風評被害を防ぐための復旧過程での積極的な報道の利用等が重要であると考えられる.
著者
杉野 尚夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.639-646, 1998

本研究は、バス輸送システムの改善のために、名古屋市において導入した基幹バスシステムおよびガイドウェイバスシステムの開発目的、開発の経緯および開発効果などをとりまとめたものである。1982年および1985年に運行開始した基幹バスシステムについては、運行実績、運行効果測定調査などに基づき、平面分離による専用走行路確保の効果と限界を示した。基幹バスシステムの延長線上に位置づけられ、現在建設段階にあるガイドウェイバスシステムについては、開発目的、システムの概要をのべるとともに、技術面および制度面における開発課題とその解決方向を示した。
著者
佐藤 朱美 牧田 佳巳
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1276-1280, 2007 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

The disposal of a large amount of scallop shell becomes a problem in Hokkaido. Authors developed the artificial reef that used the scallop shell as a measure ofwater pollution and sediment contamination in ports and harbors. Experimental reefs were installed at a port, then the species swarming the reefs were identify, counted and analyzed. In this study, the organic removal capacity of detritivorous organisms and their purification rates in the area were estimated. The organic removal capacity per 1-gram biota was found to be 20.0 mg-C/gDW/day for organic carbon and 0.327mg-N/gDW/day for organic nitrogen. It can be explained thatthe reef creates the biotope for the species to the space between the shells andthat it is useful for the removal of organism in the port.
著者
戸塚 誠司 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-16, 1998-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
38

Many bridges have been constructed over the Shirakawa river which runs across the Kumamoto city from east to west. Because of swift-moving waters of the Shirakawa river during the rainy seasons, these bridges were demolished and reconstructed repeatedly. The writers investigated the development of these bridges from the view point of flood history. This paper describes the design concept and the process of its deveropment in bridge construction over the Shirakawa river. It is concluded that the understanding of disastrous history as well as technological, regional and sociological history is very important criteria for the evaluation for civil engineering structures.
著者
多谷 虎男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1961, no.76, pp.31-40, 1961-09-25 (Released:2009-12-18)
参考文献数
1

従来, 緩和曲線の形状についての理論では, 車両運動をその重心運動で置き換え, かつこの質点が軌道中心線上を軌道面に密着しつつ走行することを暗に仮定していた。しかし実際には車両重心は平面的にはボギー中心を結んだ弦の中点の画く軌道上を運動し, かつ立面的にはカントの存在のために, さらに軌道中心線よりもかなり曲線内側に偏った曲線上を走行する。従って軌道中心線と車両重心の運動軌跡とは異なるものとして取扱うべきであり, 緩和曲線の形状の探究は車両重心の運動が円滑となるような軌道中心線の形状を求めることでなければならぬ。しかしながら他方, 一般に曲線半径Rはきわめて大きく, 仮に車両重心がわれわれの想定した軌道中心線より10~20cm程度偏った曲線上を走行しても, その曲率半径と元の曲率半径Rとの相違は, Rに比してきわめて小さいように考えられ, 従ってこのために生ずる遠心力の変動はほとんど問題とするに足りないのではないかという疑問が生じる。しかし十分に考察検討すれば決してそうではない。本稿では上述のような主旨にもとついて, まず重心軌跡緩和曲線 (重心の運動軌跡を円滑ならしめる軌道中心の緩和曲線) の一般式を誘導し, これをカントが直線てい減の場合, 半波長正弦曲線てい減の場合, 一波長正弦曲線てい減の場合, などに適用してこれらの諸種の場合に対応する重心軌跡緩和曲線形を求め, さらに変化平均速度の場合におけるカント直線てい減方式および円滑てい減方式の重心軌跡緩和曲線形を求めた。次にさらに進んでカント連続てい減の場合の重心軌跡緩和曲線を, 直線てい減, 円滑てい減の両方式についてかつ定速度および変速度の両方の場合について, 上述の単一重心軌跡緩和曲線の拡張組合わせとしてとして誘導した。なおまたこれらの緩和曲線に対するカントのつけ方として従来のわが国の慣行に対して合理的改革案を提案した。
著者
藤木 修 藤田 公典
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.451-458, 1996-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
7

今後の道づくり、地域づくりを考える上で, 道路が今まで果たしてきた役割について知ることも必要と思われる。古代の道は蝦夷に対する軍事補給路であり, また貢ぎ物の道でもあった。しかし, 同時に諸文化をも運んできた.戦国の峠は軍事上の押さえとなり, 政治, 経済の玄関口として重要な位置を占めた.近代は交通の発達に伴い急速に整備が進みました。今また時代の背景を受け「エコロード」など新たな道路整備が進められている。本調査は、秋田県の政治・経済・文化に対し重要な役割を果たして来た雄勝峠、鬼首峠の歴史的背景を調べ、21世紀の道づくりへのひとつのヒントとするものである。
著者
井上 純哉 堀井 秀之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.654, pp.63-75, 2000-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
30

本研究は不可逆過程の熱力学を出発点として, 変形の局所化現象, 特に構造物規模で発生する局所化現象において変形が局所化して行く過程を解析する手法を提案するものである. 解析はまず, 簡単な一次元の亀裂モデルからスタートし, 解析手法の概要の説明を行い, 更には現実的なコンクリート梁の亀裂進展問題に発展する. このコンクリート梁の解析により, 構造物の破壊現象においては本解析手法のような分岐現象を物理的に解析しうる解析手法の必要性が示された.
著者
小野 一良
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.33, pp.23-30, 1956 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

種々の構造物に関してその基準振動の形を求める方法は従来多く発表されているが, この振動振幅は外力の性質ならびに初期条件によつて異り, かつその計算が煩雑なるためあまり求められていない。本文においては Lagrange の運動方程式をいくらか変形して一つの公式を導いたが, この公式を使えば構造物が衝撃を受けたときに, この構造物に発生する各種の運動についてその運動速度または振動振幅を容易に決定でぎる。この公式に重畳の原理を適用することによつて種種の型式の外力が作用する場合にも拡張することができる。
著者
山口 晴幸 横山 芳春
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.269-278, 1998

In this report, the present authors discussed on the coastal pollution by foreign drifted garbages. The field investigations were carried out at the points of 224 in Japanese seashore-lines. The type and classification of foreign drifted garbages were investigated. It was points out from the results of field investigations that the coastal pollution by foreign drifted garbages was very important environmental problem in Japan.
著者
星野 裕司 萩原 健志 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.339-348, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

本研究では、事象を含めた景観を考察するためには、事象の想起とそれへの参画を主要な機構とする場所論的把握が必要であると考え、そのモデル化のための1つのサンプルとして明治期につくられた沿岸砲台から得られる眺望景観に着目した。九州内の3要塞 (下関・佐世保・長崎) を対象に、各砲台から得られる眺望景観を事象パターンの相違に着目し、4パターンに分類した。それらのパターンに対して、場所論的な考察を行い、現在公園化が進んでいない「疾走型」、「斜行型」は、観察者・事象・眺めの関係の中で何れかに不備があり、公園化の進んでいる「擦過型」、「周流型」は、事象の想起あるいは参画の何れかが優れていることを明らかとした。
著者
吉永 誠 竹田 欣弘 松永 千晶 属 国権 角 知憲
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.463-469, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本研究では, 単一出発地・目的地における同一交通目的を持った歩行者を対象とした経路選択モデルを提示した. 歩行者は経路を選択する際, 距離の短い経路を選択することを基本とするが, その他にも路上障害物, 安全性に影響する直接干渉交通量, 快適性に影響する間接干渉交通量, 歩道の有無, 信号交差点など要因から決定される非効用が最小となる経路を選択する. ここで本研究は間接干渉交通量の感じ方に個人差のばらつきを与え, 実際に歩行者の通行経路を調査し, モデル中のパラメータを推定した. その結果, 適合性の高いモデルが得られた. さらにこのパラメータをもとに, 各要因の影響度, 経路選択行動の誘導可能性を検討した.
著者
古澤 勝 永井 護
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.187-194, 1989-12-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

The Nikko highway is famous for its avenue of cedar trees. But more than a hundred trees wither a year and the number has a tendancy to increase year by year. We think that the program to protect them need to be intensified more perfectly. The content are as follows.(1) Through historical review of material on the management of the Nikko highway, we point out problems on the protective policy of them.(2) Analisys is done to clarify the relation between the number of withered trees and environments of the road and the roadside.(3) From the result we recommdnd programs to protect them.
著者
神谷 大介 赤松 良久 渡邊 学歩 大槻 順朗 二瓶 泰雄 上鶴 翔悟
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_87-I_94, 2014
被引用文献数
1

本論文では近年増加してきている局地的豪雨災害に対し,小規模集落での課題と適切な支援方策を検討するため,2013年に発生した山口・島根豪雨災害における萩市須佐川を対象として,調査・分析を行った.この結果,避難勧告の発令基準は雨量と水位によって規定されているが,実際には水位のみで判断されていた.雨量を基に判断すれば,1時間以上早く避難勧告が発令出来たことを示した.住民は周囲の状況を見て避難を判断しており,膝上以上の水位の中,危険な避難行動を行っていた.安全な避難を促すためには,事前のリスクコミュニケーションと雨量を基にした避難準備情報の発表が必要であることを示した.