著者
八木 宏 POKAVANICH Tanuspong 灘岡 和夫 白井 一洋 木村 俊介 下迫 健一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.956-960, 2010 (Released:2010-11-09)
参考文献数
11

Temporal and spatial variations of suspended particulate matter (SPM) in Tokyo Bay were investigated based on intensive field surveys and numerical simulation. Measurement results showed that the relative high turbidity appeared in the front of bottom high saline water and the middle turbid layer was generated corresponding to the middle hypoxic water generation induced by the intrusion of offshore oceanic water. The neutral tracer tracking simulation shows that bottom SPM have a characteristic to distribute along the front of bottom high saline water which forms the streak pattern from off Tama river mouth to off Chiba port in the south wind period and moves to the head region in north wind period. Furthermore the neutral tracer tracking and water quality simulations revealed that the bottom SPM can be moved upward by the intrusion of oceanic water in the bottom layer due to the change of wind direction or offshore water variations.
著者
貝沼 憲男 安田 登 神藤 健一 小熊 登
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.644, pp.149-159, 2000-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12

岩盤を対象とした止水工事の一種であるグラウチング工事の合理的かつ経済的な方法の確立が必要となっている. そこで, 我々はセメントにダム建設地点近傍に分布する自然発生材である土質材料 (細粒分の多いロームや粘土) を添加したグラウト (以下ソイルセメントグラウトと呼ぶ) を利用し, セメントの一部置換によるコスト削減と, 土質材料を使用することによるブリーディング防止や浸透性向上等のグラウトの品質向上とを目標に一連の研究を行った.そのうち本論文は, 室内実験から提案したソイルセメントグラウトの配合・計画方法を実際の岩盤を対象に適用し現場注入実験を行い, その有効性を検証したものである.
著者
木村 一裕 清水 浩志郎 伊藤 元一 冨士野 光洋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.841-848, 1998-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1

心身機能の低下した高齢ドライバーにとって、道路案内標識は、認知や判断の正確性、迅速性を最も厳しく求められる標識である。本研究では、まずはじめに実物の標識を用いて行われた既往研究との比較により、CGによる実験結果との対応関係を明らかにするとともに、CGの長所である複雑な交通場面における標識の判読性について考察し、高齢ドライバーが複雑な判断を伴う状況において、非高齢ドライバーよりも多くの時間を要することを明らかにした。
著者
竹林 征三 皆川 朋子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.221-228, 1995-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

本研究では、ダム湖における景勝地指定及びその効果を明らかにすることを目的に、景勝地を評価する手法の一つとして古来より用いられている「八景」に着目してダム湖水における指定事例を収集し、分析したものである。その結果、以下の2点が明らかとなった。(1) 古くより人々が自然景勝地を八景として価値を与えたのと同様に人工湖水であるダム湖水も八景として指定されている事例をみることができ、ダム湖が周辺の自然と調和した優れた景勝地を創造してきたことが把握できる。これは日本の文化の中にダム湖水が定着したものと受けとめることができるだろう。(2) 景勝地指定は、一つ一つのダム湖水景観に価値を与える。そして重要な観光資源となりこれを題材とした版画や歌の製作、歌碑の建立等、八景巡りの遊覧船などが生まれ、観光地としての湖水名を大きくPRすることとなる。さらに、町名をはじめ各種施設にダム湖水名が名付けられる等、景勝地指定が地域へ与える影響は大変大きいことが把握できる。
著者
福岡 捷二 昆 敏之 岡村 誠司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.238-248, 2007
被引用文献数
11

鶴見川多目的遊水地は2003年6月より運用を開始された.遊水地周辺には出水時の洪水調節量を測定するための観測体制を整備している.平成16年10月の台風22号による出水は運用開始後初めての大規模な出水であり,鶴見川多目的遊水地で約115万m<sup>3</sup>もの洪水調節がなされた.<br> この出水における鶴見川多目的遊水地の洪水調節量の確認と観測体制の検証を目的として,河道で観測された水面形の時間変化を解とした二次元不定流解析を行い,遊水地の洪水調節効果算定の新しい方法を確立した.また,今後検討すべきより弾力的な遊水地の計画と整備について本解析手法の活用について述べるとともに,遊水地を効果的,効率的に活用するための観測体制の改善案を示した.
著者
上用 敏弘 広浜 全洋 山脇 司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.95-100, 2002 (Released:2011-06-27)
参考文献数
3

CENTRAIR, the nickname of Central Japan International Airport, is under construction in the sea off Tokoname City, Aichi prefecture. It will open in March 2005, then will be a major air-hub in global network as a gateway of Japan. CENTRAIR is located 35km south of downtown Nagoya and the access time to that is 30 to 40 minutes by rail or car.In order to construct and operate CENTRAIR, Central Japan International Airport Co., Ltd. was designated as a commissioning entity by Japanese government.CENTRAIR is on a man-made island. Dredged soil from Nagoya port is unloaded by compressed air to the north part of the island. This system, “Pneumatic Flow Mixing Method”, enable us to prepare a certain strong ground in a short period, through the mixing and kneading of the soil and cement slurry in a pipeline.
著者
前川 宏一 福浦 尚之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.634, pp.209-225, 1999-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

本研究は, 著者らが提案し, 既にRC要素レベルでの検証を経た多方向ひび割れを有する鉄筋コンクリート構成モデルの, 部材レベルでの検証を行なったものである. 静載荷耐震壁実験との比較解析, 5層耐震壁の動的載荷実験と国際 blind ベンチマーク解析, 実構造物の縮小模型実験との比較解析, さらに, 構造物レベルで3方向以上の多方向ひび割れ状態が生じるケースについての試解析を行い, 本RCモデルが構造物の高非線形領域での挙動を求めるに必要な実用性を有していることを示した. あわせて, 使用したRCモデルの適用領域と, これが組み込まれた非線形応答解析の実用範囲を示し, なおもって技術的に不十分な点を明らかにすることで, 今後の課題を示した.
著者
藤井 郁夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.155-161, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
31

トラス形式の橋梁は日本には明治になって導入され日本の橋の長大支間化の役割を果たした。以後のこの形式の発展を支間長を指標にして振り返ってみた。結果として, 橋形式としては単純形式から, カンチレバー形式連続形式へと変遷をしている。そして又, 長大と言える支間長を明らかにることが出来た。また何故長大橋が架けられたかさらにはその架設法についてもみてみた。
著者
橋本 成仁 坂本 邦宏 高宮 進 久保田 尚
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.797-804, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

新たな面的な交通静穏化対策である「コミュニティ・ゾーン形成事業」の安全性と生活環境の向上に関して三鷹市コミュニティ・ゾーンを題材として詳細な交通事故データ分析や自動車走行速度の事前事後調査、当地区の居住者に対するアンケート調査形式の供用後調査などを行うことにより、評価・問題点の抽出を行った。その結果、当地区は交通事故の削減は進んでいるものの、住民がそれを実感できる安心感を醸し出すまでには達していないことが判明した。また、自転車・二輪車交通への対応、狭幅員の道路への整備手法の必要性など、今後、既存住宅地においてこのような事業を進める際に他の地区でも課題となるであろう問題点を抽出した。
著者
木内 豪 神田 学 栗城 稔 小林 裕明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.381-386, 1994-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4
被引用文献数
2 7

Growing cities have been deteriorating heat environment due to artificial coverage of the ground and artificial heat effluence. The authors focused on the watering on paved roads as one of elective and immediate measures against the situation and observed the elect on the micro climate in a city area in the last summer. The results showed that the difference in temperature and humidity at two points with and without watering were maximum 1.5 degree and 8%, respectively. In addition, the estimated heat balance at the points showed that the considerable latent heat and the lateral heat transport contributed to lower the surface temperature of the road due to watering.
著者
臼木 恒雄 寺野 隆雄 中村 秀治 栗原 千鶴子
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.416, pp.295-302, 1990-04-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12

Characteristic equations, such as stability equation and frequency equation in structural mechanics, are often reduced to transcendental equations, and the practically usable solver of the equations is anticipated.Although the DKA (Durand-Kerner-Aberth)-scheme is already established as a solution method of high order algebraic equations and appraised high in the field of numerical analyses, the scheme has been considered not to be applicable to transcendental equations. However, further improving a solver which one of the authors discussed and expanded the DKA-scheme earlier, the authors succeeded to obtain good solutions of transcendental equations in specified domain with sufficient accuracy.In this paper, the authors wish to describe the algorithm and the numerical examples of the proposed transcendental equation solver.
著者
泉 岳樹 岡部 篤行 貞広 幸雄 花木 啓祐 一ノ瀬 俊明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.171-178, 1999-10-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This paper predicts the effects of the capital relocation on a thermal environment using a meso-scale meteorological model. Five candidate cities, Tomakomai, Nasu, Hamamatsu, Toki and Ueno, are chosen for study areas.The simulation results show that temperature will rise in all the candidate cities after the relocation. The temperature rise averaged over a day is from 0.5 to 1.0 degree centigrade in each candidate city. In the coastal candidate cities, Tomakomai and Hamamatsu, the temperature will rise not only in new capital regions but also in the leeward regions because of the sea breeze.Relative contribution of land cover changes and anthropogenic heat to the temperature rise are also compared. The temperature rise in the daytime is brought mostly by land cover changes. At night the influence of anthropogenic heat becomes large, and in some candidate cities it becomes greater than that of land cover changes. These results imply the energy-saving at night is effective for controllingthe temperature rise in a new capital.
著者
島田 玄太 関 克己 野原 威一郎 小栗 保二 関本 恒浩 水口 優
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.586-590, 2002

本研究では (1) 汀線近傍の砂面高及び遡上波の水面変動を連続して捉えることが可能な観測システムを開発設置し,(2) それにより得られた台風接近に伴う大規模侵食のデータを基に, 地形変化の実態を報告し, その生じる原因を考察する.その解析から以下のことが分かった.(1) 大規模侵食が1時間強で生じること,(2) 侵食は満潮になる直前に生じていること,(3) 遡上波1波ごとに見た結果, 遡上域岸側では数波の遡上波によってのみ急激な砂面低下が生じていた.侵食の要因としては潮位を含む平均水位の上昇, 正の大きな水位変動を持つ長周期波と風波の3者のタイミングの良い合成によって, 遡上波がバーム頂を大きく超えることが引金となることが確認された.
著者
鶴谷 広一 中川 雅夫 木曽 英滋 古川 恵太
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.986-990, 2005
被引用文献数
4

鉄鋼スラグと浚渫土砂の干潟材料への適用性を調べるため, 水槽を用いて実験を行った. 水槽に鉄鋼スラグと底泥を適当な割合で混合して敷き詰め, ポンプで海水をくみ上げて, 底質の上に常時かけ流した. 底質の状況を調べるため, 表層の強度を貫入式強度計で測定し, 底質の間隙水を採取してそのpH, 全窒素, 全りん, 全鉄, COD, TOCについて測定を行った. 底質中の生物の生息状況を把握するため, メイオベントスとマクロベントスの分析を行った. 製鋼スラグを用いた底質では, 間隙水のpHが海水より若干高めであったが, 生息するベントスは自然材料と比べて特に大きな差は見られず, 干潟への適用に可能性が開けた.
著者
藤原 康雄 奥野 博久 松岡 義幸 萱原 瑞穂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.191-196, 1991

JR大阪環状線は戦後の復興の中から大阪市民の強い要望により1956 (昭和31) 年3月20日に着工され、1961 (昭和36) 年4月に完成した。しかしながら「の」字運転のためににそれほどの効果が期待されず、ほぼ同時に旧西成線の高架化も着工し、1964 (昭和39) 年に完成した。この年は東京オリンピック、東海道新幹線の開通と大きなプロジェクトが成功した。<BR>環状線の開通は種々の困難を乗り越え、最新の技術を酷使し、城東線と西成線をむすぶことによって旅客の流動の差を2倍程度に押さえ、大阪市の発展に多大な効果があった。
著者
安田 登 白木 渡 松島 学 堤 知明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.496, pp.41-49, 1994-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

近年, 日本各地でコンクリート構造物の早期劣化現象が指摘されはじめ, 維持管理業務の重要性が再認識されるところとなっている. コンクリート構造物の健全度評価を行い, 補修の要否を判断する場合, ひびわれ幅やひびわれパターンなどの劣化状況, 構造物の重要度を踏まえた耐用期間ならびに補修の難易度を総合的に判断する必要がある. 本研究は, 曖昧性を含む多くの評価項目を処理する必要のあるコンクリート構造物の健全度の判断に対して, ニューラルネットワークを適用し, 各要因の感度解析を行った.
著者
齊藤 剛彦 三神 厚 中野 晋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_861-I_871, 2013

著者らはこれまで南海地震の揺れの体験談を多数集めて,震源特性の推定を行ってきた.その際,常に問題となるのが体験談の解釈の不確実性の問題であった.本研究は,南海地震と同じく海溝型巨大地震である東北地方太平洋沖地震の強震観測記録とそれから推測される揺れの体感,さらに実際の体験談を併せて用いることで,昭和南海地震の体験談の解釈の方法について検討を行うものである.例えば昭和南海地震では「揺れが水平動から上下動に変化した」や「揺れが段々激しくなった」という体験談が複数得られ,著者らは多重震源理論に基づき解釈を試みていた.今回,東北地方太平洋沖地震で得られた強震記録を用いて標準的な体感を表す振動レベルを算出したところ,水平動から上下動への変化や揺れが段々激しくなったと体感したと思われる強震記録が複数の観測点で得られていることが明らかになり,これまで著者らが行ってきた体験談の解釈法がある程度確からしいことが確認された.