著者
大谷 英夫 藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 直道 越村 俊一 折下 定夫 辰巳 正弘 半沢 稔 藤井 裕之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1376-1380, 2005
被引用文献数
2

インド洋大津波は震源から2000km離れた環礁島モルディブにも大きな被害を残した. 空港島では, 護岸や建屋の被災, 10時間の空港閉鎖等の被害が見られたのに対し, それに隣接するマレ島では死者は無く, 建屋の被害もわずかと, 被災規模の差が大きい. また, マレ島では護岸が津波の被害を食い止めたと指摘されているが検証はなされていない. 本研究では, マレ島の浸水域, 空港島の津波痕跡高, 状況証言, 構造物破壊形態について現地調査を行い, 津波痕跡および被災状況の実態を明らかにした. さらに, 伝播計算を援用し津波の挙動を明らかにし, 被災メカニズム, 護岸・離岸堤の効果を検証した.
著者
陣門 謙一 神崎 正 三宮 崇 小森 光二 国峯 紀彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.221-233, 1998

本論文は、建設分野の市場の開拓と更新という観点で、21世紀への社会の変化を見据え、第1に「クリーンな、水力エネルギーの見直しについての提言」、第2に「鉄道を利用した廃棄物の広域輸送と処理施設の立地推進についての提言」、第3に「ライフラインの共同溝化による防災都市建設への提言」を行った。本論文では、さらに、第1の「クリーンな、水力エネルギーの見直しについての提言」でエネルギーコスト、エネルギー需給の観点から不安定な今後のエネルギー問題を取り上げ、水力エネルギーの見直しへの提言を行った。本提言では、大規則の堆砂除去技術、水利権の移転、CO2炭素税による財源の確保、水力発電建設技術による海外貢献という視点よりまとめた。第2の「鉄道を利用した廃棄物の広域輸送と処理施設の立地推進についての提言」では、スーパーフェニックス計画と規制緩和について提言した。第3の「ライフラインの共同溝化による防災都市建設への提言」では、共同溝整備理念の確立を提言した。さらに、本論文では、大規模堆砂除去プロジェクトについて取上げ、人工島建設による廃棄物処理の広域輸送と同時輸送した場合の事業評価、その他付帯効果について論ずるものである。
著者
小西 純一 西野 保行 淵上 龍雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.131-142, 1991

明治期に設計・製作されたトラス桁の歴史と現状を述べてきたこのシリーズの最終回として、日本人の手になるトラス桁について述べる。トラス桁の設計・製作は長らく外国人技術者の手によって行われてきた。標準桁が制定されていたこともあって、1909年以前は、日本人が設計したものはごく少ない。1880年代のものとしては、平井晴二郎による北海道入船町陸橋と原口要による官設鉄道の上路トラスがある。関西鉄道では1895-7年に白石直治、那波光雄の二人が英国流のトラス桁を設計した。宮設鉄道では杉文三設計の日川橋梁の上路トラス (1903年) があるのみで、あとは1910年以降の100ftクラスのものが数例あるくらいである。鉄道院が発足すると既存幹線の橋桁更新が急務となり、橋梁設計を専門とする部署が設けられ、新示方書による統一あるトラス桁の設計が精力的に行われるようになり、その後の発展につながって行く。明治末に相次いで電気鉄道が開業するが、電車荷重で設計した軽快な国産のトラス橋梁が各地に見られるようになる。
著者
阿部 宏史 谷口 守 中川 拓哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.653-659, 2001

本研究では, 岡山・東京間の空路利用促進に向けた課題を探るために, 岡山市と倉敷市の事業所を対象として, 東京への業務出張時の利用交通手段に関するアンケート調査を実施し, 航空便の利便性を中心とした利用者の意識を分析した。また, 空路利用促進策の一つとして, 岡山県内で要望の強い岡山空港での東京線ナイトステイの実施による運行ダイヤ改善が旅客増に及ぼす効果を推計するとともに, ナイトステイ実施後の利用促進課題についても検討した。まず, 評価意識の分析結果から, 岡山空港・東京線に対する評価では運行ダイヤの利便性に対するウエイトが高く, ナイトステイ実施によるダイヤの改善が評価の向上につながることを明らかにした。次に, ナイトステイ後の始発便への転換意向の集計結果から, 現在の交通手段からの転換率は30%-40%程度と推計され, ナイトステイは空路利用促進に効果が見込まれることを示した。また, 2000年10月のナイトステイ実施後の航空便利用状況から, 本研究による知見の有効性が検証された。
著者
小西 純一 田島 二郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.45-60, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
18

開通から100年、廃止から30年を経た、信越本線横川軽井沢間の旧線 (旧碓氷線) 線路敷に残る構造物の一部、5橋梁が、近代化遺産として、国の重要文化財に指定された。旧碓氷線の土木構造物は橋梁、トンネルとも、大部分が煉瓦造であることが特徴である。スパンの大きい橋梁を、アブト式急勾配鉄道ゆえに煉瓦アーチとしたのである。本論文では17橋あった煉瓦アーチ橋を従来ほとんど紹介されることのなかったものを含めて、その形態を側面図で示すとともに、現存橋の現況調査を踏まえて、技術的あるいは意匠上の特徴を明らかにし、わが国の近代橋梁史上の地位を論じた。また、トンネルについては、現存する坑門を中心に、考察を加え、旧碓氷線の構造物の、文化財的な価値について考察した。

1 0 0 0 OA 1本鉄筋のRC柱

著者
伯野 元彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.228-228, 2005 (Released:2010-07-30)
参考文献数
2

今回のスマトラ島沖地震による大津波は、30万人もの死者、行方不明者を出したが、ビデオカメラの普及によって、多くの動画が記録されたことでも特筆すべき災害であった. この多くのビデオ映像からわかった事は、津浪は普通の海の波ではなく、波長が長いため洪水と見たほうが正確であるという事である. 津浪は波の頂上が何時までも続き、水そのものが洪水のようにかなりの流速で流れる. したがって、50cmの津浪でも人は生き残れない. 海岸で強震を感じたら、津浪警報を待つまでもなく、近くの高台か何かに避難すべきなのだが、鉄筋ビルは避難先の候補になりうるのかどうか.
著者
芹沢 真澄 宇多 高明 三波 俊郎 古池 鋼
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.476-480, 2003
被引用文献数
1 4

従来のいわゆる3次元海浜変形モデルでは, 予測対象が暴浪時や季節変化など, 短期スケールの現象に限られており, また侵食域が下手海岸へ波及するという種類の汀線変化が容易には計算できないという欠点があった. 本研究では, 筆者らの等深線変化モデルを拡張し, x-yメッシュ上での水深変化量を算出可能で, かつ長期的な地形変化予測も可能な3次元海浜変形モデルを開発した. モデルは検見川浜の海浜変形に適用され, その有効性が確認された.
著者
有尾 一郎 池田 清宏 鳥居 邦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.513, pp.169-178, 1995-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13

近年構造物の対称性の利用法としてブロック対角化法が提案されている. 本研究はこの手法を減衰を持つ対称構造物の動的問題に適用するものである. 系の幾何学的特性に基づく座標変換を用いて, 剛性行列, 減衰行列, 質量行列, 制御系の行列等を同時にブロック対角化することにより, 運動方程式を複数の独立な式に分解する. 従来の方法と異なり, 対称構造物であれば任意の減衰行列に対して適用できる点がこの手法の大きな長所である. 数値解析例として各種の軸対称構造物を取り上げ本手法の数値解析効率と収束安定性の高さを示す.
著者
福島 二朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.313-321, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
28

近世から近代前期にかけてのわが国の内陸輸送の主体は、陸路の宿駅制度における人馬継立と舟運による河川交通であり、特に物資の大量輸送を担ったのは舟運であった。本稿では、近世から鉄道開通に至る間、栃木県の南西地域における大量輸送の動脈としての機能を担った渡良瀬川舟運を取り上げ、足利地域諸河岸の様相、輸送荷物の種類・集配等、足利地域を中心とした渡良瀬川舟運の大要を概観する中で、その果たした役割を整理・検討した。また、足利地域発展の大きな要因である織物産業に着目し、鉄道の開設に伴う織物輸送の舟運から鉄道への移行を踏まえ、渡良瀬川舟運の衰退過程について検討した。
著者
Masaharu FUJITA Yoshifumi SATOFUKA Shinji EGASHIRA
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
PROCEEDINGS OF HYDRAULIC ENGINEERING (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1003-1008, 2006 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2

So far huge sediment production due to the eruption of Mt.Kelud has given serious damage to the Brantas river basin. On the other hand the eruption has provided soil and sand for agricultural land and construction material. So, as a first step to establishing an advanced control system both of the sediment runoff and the sediment utilization, we have investigated the change of sediment transport properties after the eruption in 1990. The field survey result shows that the sever sediment deposition occurred immediately after the eruption, but 1 year after the eruption the bed aggradation changed into the bed degradation because of active sand mining. Also we obtained the sediment supply condition at the confluences with the tributaries after the eruption and presented a way to estimate the condition. Furthermore the field observation result on wash load indicates the wash load transport rate decreased rapidly after the eruption.
著者
佐藤 恵大 鈴木 美緒 細谷 奎介 宮之上 慶 屋井 鉄雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_773-I_784, 2015

自転車運転者のマナーが問題視されているにもかかわらず,パターン化した教育が一律に行われていることや,「交通ルールを知っているが遵守しない」自転車利用者に対する教育方法が確立されていないことなど,自転車安全教育の改善には重要な課題が存在する.近年,体験させる教育ツールとして注目されているのが自転車シミュレータ(CS)である.そこで,本研究ではCSの教育機会への導入可能性を検討するために,法令違反による事故の傾向を整理し,CSの主観的評価とCSでの事故経験および教育効果の関連性を考察した後,自転車の法令違反行為をCSで再現できるか実験を行なった.その結果,CS走行シナリオ内で法令違反を含む普段通りの走行挙動が観測され,「交通ルールを知っているが遵守しない」違反挙動を再現できる可能性が示された.
著者
秦 健作 辰巳 正明 大倉 幸三 大西 悦郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.279-289, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1

明石海峡大橋の主塔は海面からの高さが約300mにも達し, 風によって生じる振動の対策が設計上の重要な課題の1つであった. 主塔の空力特性を確認するため実施した風洞試験の結果から, 塔柱断面には耐風性を考慮して高さ方向に隅切幅の変化するテーパー隅切断面を採用するとともに, 架設系のみならず完成系においても設計風速以下の風で生じる渦励振に対して機械的な減衰を付加する制振対策を施した. 本稿では, 主塔架設時から吊橋完成時に至る主塔の制振対策について, その検討内容と対策の概要について述べる.
著者
月岡 康一 小西 純一 和田 林道宜
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.197-201, 1992-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10

Yodogawa bridge is rivet-connected Petited type truss bridge carrying double railway line with single span of 540ft, truss height 80ft and weighted 1, 810ton. Here, starting from historical background, basic shape (span, height), weight and design loads are compared with other railway truss bridge for the understanding of general feature of this bridge.On 1927, Yodogawa bridge was planned to cross the Uji river in the establishment of new railway line which would connect 2 old capitals Kyoto and Nara by the shortest route. For this crossing, initially, the combination of popular 70ft&40ft-span bridges is proposed, which is rejected by the army because the piers of the bridges interrupt the practice in the riverside. To solve this problem, single bridge spanning 540ft was proposed, which was almost double the maximum span of 300ft-standard bridge designed by T. Cooper of U. S.Each of the design loads (Live, Impact and Wind) applied on this bridge are compared with the corresponding loads specified in the present Japanese standard. The Combined design load-value of the most important load combination case (Dead+Live+Impact Loads) is proved to be appropriate even from the standpoint of present load conditions.After the detail inspection and planning, repair work mainly on the shoe was performed in 1983. And now, Yodogawa bridge is expected to keep working as the longest railway truss bridge of single span in Japan.
著者
小林 潔司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.449, pp.27-36, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
74
被引用文献数
1
著者
中村 泰広 日比野 直彦 森地 茂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_705-67_I_713, 2011

東京都市圏では,鉄道ネットワークの拡大と過密な運行ダイヤにより,駅の混雑という問題が顕在化している.本研究の目的は,鉄道駅の特にコンコースの混雑に関する評価指標を確立するために,混雑の感じ方と利用者数の関係について確認すると共に,データの取得が困難であり十分な分析が進んでいない旅客流動について簡易に調査・分析可能とする手法を提案することである.本研究の結論として,第一に,コンコースにおける混雑の感じ方は単位面積あたりの利用者数によって説明可能であるが,その関係性が各コンコースにより異なることを明らかにしている.第二に,加速度計を用いた歩行調査により旅客流動の特徴を把握し,混雑状況を簡易に評価する分析手法について,その適用性を確認している.
著者
五艘 隆志 草柳 俊二 角崎 由貴子 吉永 光太朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.249-260, 2008
被引用文献数
1

我が国の建設産業は, 国際的な市場開放, 国内建設投資額の減少, 指名競争入札から一般競争入札への変換, 談合決別宣言等により, 「協調の原理」から「競争の原理」へと変化している. 国内市場の国際化や, 海外市場への進出等, 我が国の建設産業には国際競争力を確保することが求められている.本研究では米国におけるプロジェクトマネジメント技術の実態を把握し, 我が国のプロジェクトマネジメント技術レベルの実態調査を実施し, これらの調査結果に基づき, プロジェクトマネジメント技術の観点から我が国の建設企業の国際競争力を検証し, 今後の方策を見出すことを試みた.
著者
矢吹 信喜
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.93-100, 2000

1980年代後半より、発展途上国においてBOT (建設・運営・譲渡) 方式によるIPP (独立発電事業者) の数が増加している。途上国におけるIPPの事業資金のうち、融資部分はプロジェクトファイナンスによって調達されることが多い。プロジェクトファイナンスでは、債務返済原資は特別目的会社であるIPPのキャッシュフローのみであり、担保はIPPの資産にのみ依存し、スポンサーには債務がほとんど遡及しない。そのため、レンダーは詳細なリスク分析を行い、十分なリスク軽減措置をスポンサーや関係機関に要求する。プロジェクトファイナンスによる火力IPPの多くは概ね成功し、稼動発電所数も増えているが、水力IPPの数は少ない。その理由としては、ダムや水力発電所は、自然環境の中に作られる巨大な構造物であり、河川の流量に発電量が依存していることから、環境リスク、完工リスク、水文リスクの3つのリスクがクローズアップされ、レンダーがプロジェクトファイナンスでは困難だと考えてしまうからだと考察される。本論では、水力IPPを促進するための一方策として、ダムの寿命の長さや多目的性から、ダムと発電設備を分離し、ダムについては援助的なプロジェクトファイナンスを設定するというイノベーティブなファイナンス・スキームを提案する。
著者
中島 正人 石川 裕 奥村 俊彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.121-124, 2001

本論文では, 亀田・石川により提案されている「確率論的想定地震」の概念のうち「地震活動域の貢献度」という独自の指標を用いて作成した二種類のハザードマップを示す。加えて, マップ作成時の計算格子大きさがマップの精度に与える影響について検討した結果を示す。活断層が密に存在する地域に対して計算したケーススタディーより, 著者らが提案するハザードマップと地震動強度の再現期待値分布図を用いることで, 地震動強度の再現期待値が等しいサイトでも, 地震動周期, ハザードレベルにより支配的な地震が複雑に変化する様子およびその順位が定量的に表現把握できることが分った。