著者
安倍 隆二 田高 淳 日色 徳彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
舗装工学論文集 (ISSN:18848176)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-8, 2008
被引用文献数
1

積雪寒冷地の空港では, 冬期間, 滑走路の路面状態が雪氷等によるすべり摩擦係数の低下より, 航空機が着陸できない状況が発生し, 利用者の利便性を低下させている. 滑走路のすべり摩擦抵抗の改善を目的に, 舗装表面が粗面である機能性SMAに着目し, 滑走路用の表層用混合物としての適用性について室内試験や試験施工を行い検討した. 室内試験, および試験施工の結果, 機能性SMAは, 路面状態がスラッシュやブラックアイス時にすべり摩擦係数の改善効果が見られた. また, 積雪寒冷地特有の凍結融解や耐久性等を評価する室内試験においても空港用の標準表層混合物である密粒度アスコン (20F) と比較し, 同等以上の性能を有し, 空港舗装における冬期路面対策の一手法として, 効果があることが確認された.
著者
窪田 諭 森井 拓 三上 市藏 石川 知憲 松林 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.87-96, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2

道路を適切に維持管理するためには, 空間属性と時間属性を考慮した道路管理情報を一貫した履歴情報として保存・蓄積して一連の事業で活用する必要がある. 本研究では, 道路管理で発生する空間属性と時間属性を四次元情報として収集, 蓄積, 管理, 共有, 活用するために, 四次元情報の構築方法と情報を取り扱う道路マネジメントシステムを提案し, そのプロトタイプを構築した. プロトタイプシステムは空間データ基盤, 道路情報モデル, モデルライブラリ, 共通インターフェイス, システム共通機能, 道路データベース, 道路アプリケーションシステムの構成とし, 道路アプリケーションシステムとして四次元情報表示機能, シミュレーション支援機能, 進捗管理機能を開発した.
著者
小西 純一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.145-158, 1995-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
25

There are few papers or publishments on history of railway bridge substructure in Japan, especially up to 1912 (Meiji Era). The aim of the present paper is to overview the substructures of that period. Various types of foundations used are discussed briefly based on a register of railway bridges and tunnels in Japan issued in 1894 and quantitative distribution of various types of foundations is analysed. Structures and functions as well as connstruction methods of several types of foundations which are now historic are described.Various types of piers and abutments are also discussed and photographs of several examples of stil working substructures are shown.
著者
原田 隆典 田中 剛 田村 好文
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.209-217, 1995-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

確率過程理論に基づく強震動のシミュレーションモデルでは, 強震動の振動数特性や非定常性はパワースペクトル密度関数やその時間的変化を表わす関数によってモデル化される. 本研究では, 地震の物理に基づく理論的方法によってこれらの関数をモデル化する. 小地震による地震動モデルでは地震の物理に基づく理論的方法と経験的方法を併用してモデル化している. 大地震による強震動モデルでは地震断層を含む地盤における波動場の定式化に基づき, 地震断層の破壊伝播や観測点との幾何学的関係が考慮される. 計算例により, 強震記録が希薄な地域での強震動の予測に本研究のモデルを適用する方法を説明するとともに, 本研究のモデルの特徴を示す.
著者
北村 眞一 村越 正忠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47-53, 1988-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
15

甲府市街地の形成の変遷を街路空間と土地利用とに着目して概観し、都市形成の発想、社会や空間構造の変化などを考察した。武田時代から江戸時代へは、武田時代の町人街をとり込みながら、新しい城下町の形成をはかるニュータウン形成であった。江戸時代から明治時代へは市街地の大きな移動はなく武家地の官公庁用地と民間用地への転換が主で、中心部再開発であった。明治36年の中央線の開通は商業・業務の中心核を駅前へ転換し、街路網形成の中心が甲府駅となった。戦後の急成長による人口増加、基盤整備の不足、モータリゼーションは甲府盆地全域へのスプロール的開発による分散化と、幹線街路整備によって対応された。戦前戦後を通して市街地は拡大し、モータリゼーションと住宅地の郊外分散化は商業立地の分散化を促した。
著者
安田 幸司 大藤 武彦 秋山 孝正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.893-900, 1996
被引用文献数
1

都市高速道路の一般道路との適正分担を配慮した混雑緩和策として「乗り継ぎ制」の工学的利用が提案された。本研究では、まず従来の研究成果を踏まえ「乗り継ぎ制」のモデル分析方法について整理した。つぎに自然渋滞時 (平常時) の環状線の混雑緩和を目指した「乗り継ぎ制」について検討した。この結果・自律的な迂回現象が促進され、全道路網の効率的利用が可能となり有効性が検証された。つぎに緊急時の強制流出を踏まえて、環状線に閉塞が生じる場合の「乗り継ぎ制」実施効果を検討した。この場合には、乗り継ぎ交通を許容することによって、非常時の道路網の効率低下を緩和できることがわかった。
著者
井伊 博行 平田 健正 松尾 宏 田瀬 則雄 西川 雅高
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.594, pp.57-63, 1998-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

茶畑からの湧水には肥料からの硝酸イオン, 硫酸イオンなどの酸性物質と共にアルミニウムイオン, リンなどが多量に含まれている. 湧水が池に入ると, 光合成, 脱窒, 硫酸還元によって, 中和され, 場合によっては, アルカリ性にもなる. 池内での短期間のpHの大きな変化には, 窒素, リンによる池の富栄養化に伴って起こる光合成が大きく貢献していた. 年間通じての硝酸イオンの池内での消失には, 脱窒が関与していたと考えられる. 池の水が中和されることで, 湧水に含まれていたアルミニウムイオンは水酸化物として沈殿し, 硫酸還元によって硫酸イオンも池から除去されたと考えられる. リンは生物 (有機物) として池内に貯蔵された. 池内で, 有害なアルミニウムイオンや硝酸イオンの濃度が下がるため, 池の存在は重要と考えられる.
著者
仮屋崎 圭司 日比野 直彦 森地 茂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1001-67_I_1010, 2011

首都圏の鉄道は,高密度な鉄道網整備,列車の長編成化,高頻度運行,相互直通運転の実施,ホームドアの設置等により,広域かつ巨大な通勤需要を正確かつ安全に輸送可能とした世界に誇れるシステムである.しかし,現在,輸送障害に至らない慢性的な遅延が顕在化し,新たな問題として生じている.そこで本研究では,遅延の発生・波及の要因について,列車運行の実績値データを用いた分析を行うとともに,列車の運行挙動を再現するシミュレーションモデルを構築した.また,それ用いて列車間隔に起因する遅延の波及と拡大の現象を定量的に示したうえで,列車運行における遅延対策の課題を抽出する.最後に,遅延発生後における遅延拡大の抑制方法と,遅延の早期回復方法について得られた示唆を報告する.
著者
金井 昌信 青島 縮次郎 杉木 直
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.727-734, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

公共交通存続のためには自動車から公共交通への交通手段転換を促すことにより, 利用者増加を図ることが必要であるが, 増便や運賃値下げ等のLOSの改善のみでは人々の行動変化を促すためには十分とは言えないことが既存研究で明らかとなっている.本研究はその理由の1つと考えられる, 公共交通非利用者の認知的不協和に着目し, 公共交通としてバスを取り上げ, この認知的不協和がバス利用に対する態度, 及び意識構造に与える影響に関して実証的な仮説を措定し, その有意性を検討した.その結果, バス非利用者のなかでも特に青年層の方が, バスの移動制約に対する不満を強く持っており, そのために今後のバス利用意向が低下していることが明らかとなった.
著者
南 正昭 吉武 和徳 田村 洋一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.699-706, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

本論文は, 車椅子利用者の選択できる経路が, 街路網上に存在する路上障害物や施設整備水準によって限定されることに着目し, 車椅子利用者が自らの身体状況に応じて障害要素を回避し目的地へ到達することができるように, 経路選択を支援する方策について考察を行ったものである. 山口県宇部市の中心市街地を対象地域とし, 現地調査を実施して街路網上障害要素に関するデータを収集し, データベースの構築を行った. このデータをもとに, 車椅子利用者は自らの許容水準を満たさない街路網上障害要素を回避し, 所要時間が最短となる経路を選択することを仮定し, 推奨経路を地理情報システム上に提示する対話型の支援システムを開発した. 本システムの実行例を通して, 経路選択の支援策としての有用性を明らかにするとともに改善すべき課題をまとめた.
著者
田中 貢 井上 亮 飯田 恭敬 三星 昭宏 佐野 洋人 末績 和正 柳原 崇男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.715-724, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本研究では, 歩行者ITSのバリアフリーシステム構築を目的としている. この社会実験は大阪梅田地下街を対象として行なわれた. そこで, 健常者, 身体障害者 (肢体不自由者, 視覚障害者, 聴覚障害者) の歩行者ITSにおけるニーズや必要な要件を把握した. そして, バリアフリーの視点から歩行者ITSの考察を行なった.
著者
礒崎 総一郎 中村 宏 鈴木 智郎 植村 俊郎 若菜 弘之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.277-282, 1993

A new type of traffic terminal has been constructed at Yokohama bay recently. It is composed of 2-storied house on a floating pontoon and moored by pile-fender system. There are ticket counter and waiting lounge on the first floor and restaurant on the second floor. Since the floating type was applied to the passengers terminal station for the first time in Japan, We examined the relation between comfortability and motion of the terminal. Several interesting results, such as people who are easy to get seasick have tendency to estimate the motion of the structure excessively, are obtained.
著者
元野 一生 村永 努 八谷 好高 梶谷 明宏 加納 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.518-531, 2007

ブリスタリング等の破損が広範囲で生じた福岡空港の滑走路舗装に対して,航空機の運航に影響を及ぼすことなく,しかも日々の工事終了直後に大型航空機が高速,高頻度で走行するとの条件の下で,切削オーバーレイによる大規模補修を実施した.その補修方法ならびに施工管理方法については,一連の室内試験ならびに試験施工により定めた.すなわち,材料としてはアスファルト混合物に改質アスファルトII型と中温化添加剤を用いること,基層には大粒径骨材を用いること,さらに改質乳剤によるタックコートを使用することを基本とし,供用開始時刻の1時間前における舗装表面温度を60℃以下にするという施工管理方法を採用した.この方法により補修を行った箇所において,供用開始後に実施した舗装表面性状に関する追跡調査によりその有効性を確認した.
著者
藤井 聡 林 成卓 北村 隆一 杉山 守久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.851-860, 1997

本研究では, 交通網異常時における適切な広報活動を検討するために, そして, 交通網異常の交通需要予測を目指して, 個人の対応行動モデルシステムの構築を図った.本研究では, 交通網異常時では交通状態の認知についての異質性が顕著となるものと考え, 交通状況の認知と交通行動の双方を内生化した.モデルシステムの構築にあたっては, 阪神高速道路池田線通行止め規制中の個人の交通行動データを用いた.推定の結果, 個人が認知する交通状況の異質性を考慮することでデータへの適合度が向上すること, チラシ, フリーダイアルが個人の交通状況の認知の向上に貢献することが分かった.また, 京阪神パーソントリップデータを用いて感度分析を行った結果, 本モデルシステムを用いて広報活動政策を集計的な観点から評価できること, ならびに, 複数の情報媒体を組み合わせることが有効であることが分かった.
著者
松井 京子 島村 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_111-I_119, 2015

近年頻発する竜巻災害に対しレーダー観測等を用いた警報システムの開発が切望されているが,精度の経済評価および効率的運用の指針は欠如している.低頻度・局所事象警報の空振り削減は難しいが,誤警報は警報の信頼性を減じ事業者損失を発生させる.そこで,直前警報によって被害の軽減が可能な個人・事業者を対象に,竜巻警報の経済価値定式化を行った.これは,警報の精度特性と対象者の損益構造によって経済価値を最大にする捕捉率・誤警報率を導き出すものである.本研究の結果は,「警報には最適な誤警報率・捕捉率の組み合わせが存在し,これは受け取り手の損益構造によって異なる」「誤警報による損失が大きい場合には,『閾値を高く設定してカタストロフィックな災害は回避するが,弱い竜巻を見逃す』戦略が有効である」の2点を示唆する.
著者
市川 新 平岡 憲人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究 (ISSN:09150390)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.44-52, 1990-08-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
10

The auther's interests are focused on the necessity of natural spaces in urban areas for restoring and developing of a symbiotic relationship between man and nature. The purposes of this study are as follows: (i) clarifying characteristics of natural space in urban area through comparing with natural space in rural area or man-made space in urban area.(2) clarifying mechanism of degradation of natural space in urban area.(3) proposing appropriate system for maintaining it as recreation space.The results led through these analysises as follows: (i) man tends to forget the favor of nature and their lives, and loses natural spaces.(ii) In surburb area of metro-polis it is efficient to conbine obligation to conserve and inhabitants needs for recreation of natural spaces and be acknowledged sustainable continuation of natural spaces.
著者
黒澤 幸二 中村 玄正 高橋 幸彦 松本 順一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.111-120, 1997-11-28 (Released:2010-06-15)
参考文献数
9

From the view point of water supply stability, lakes and reservoirs are expected to be important water resources. Lake Inawashiro is the most important water resource not only for the Aizu districts but also for Koriyama city and the surrounding area. Lake Inawashiro has 104km2 of surface area, 3, 859, 000, 000m3 of volume and is classified as an oligotrophicated but acid-eutrophicated lake. The water quality of Lake Inawashiro has been at very high level. We considerthat the water quality of lake Inawashiro should be effectedby the Nagase river.Water quality was investigated at fifteen points of the Sukawa river and Nagase river. The pHvalue of the water is about 2-5 because of sulfuric acid flow out from out abandoned mind. As ferric, aluminium and phosphorus concentration decrease with flow down travel, it had been concludedthat the river had been undergoing self purification concerning to phosphorus. Sulfuric acidwater, which flows into Lake Inawashiro from the Nagase River has possibility of dissolving ferricand aluminium which have the ability of the flocculating and sedimenting of phosphorus.Thus, in the Nagase river, phosphorus concentration which causes eutrophication is very low, comparing to the other rivers which flow into Lake Inawashiro.
著者
宇野 宏司 高田 知紀 辻本 剛三 柿木 哲哉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_677-I_682, 2015
被引用文献数
2

国生み伝説で知られる淡路島の海岸から1km圏内には多くの神社が鎮座している.本島沿岸は2012年に公表された内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)で兵庫県下最大の津波被害が出ると予想されており,避難場所の確保が重要な課題のひとつになっている.本研究では,本島沿岸1km圏内に鎮座する神社の空間配置の諸情報(緯度経度・標高)と内閣府による津波被害の想定結果を用いて,将来の南海トラフ地震時における淡路島沿岸域の神社の津波被災リスクについて検証した.その結果,多くの神社が直接の津波被害を免れ,長い歴史をもつ神社の現在の空間分布は過去の大規模災害によって淘汰された結果を示しているという仮説を裏付ける結果が得られた.また,祭神による津波被災リスクの違いがあることも明らかにされた.