- 著者
-
細谷 圭助
- 出版者
- Osaka Urban Living and Health Association
- 雑誌
- 生活衛生 (ISSN:05824176)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.2, pp.70-75, 1990-03-10 (Released:2010-03-11)
- 参考文献数
- 10
市販魚類中のビタミンA含量の冷蔵・冷凍貯蔵中の変化を調べるために, ハマチとサバを試料とし, その変化の原因についても検討した。1. ハマチを4℃及び8℃で冷蔵貯蔵したとき, 血合肉及び普通肉中のレチノール含量は, 貯蔵期間が長くなるほど残存率は低下し, 10日後では冷蔵4℃のとき残存率が, それぞれ42.7及び49.0%であった。サバの場合も同様に減少し, 12日後では冷蔵温度4℃のとき血合肉及び普通肉の残存率は, それぞれ70.4及び52.0%であり, ハマチよりも高く, しかも冷蔵温度の影響が明らかであった。2. 冷凍貯蔵中のハマチのレチノール含量は, 貯蔵期間とともに減少し, 貯蔵温度が-18℃で30日後の血合肉及び普通肉中の残存率は, それぞれ15.6及び19.0%であった。サバの同条件下での血合肉及び普通肉中の残存率は, それぞれ38.5及び21.0%となり, ハマチとは異なり冷凍温度差が残存率にも影響した。3. サバを塩蔵し, 4℃で貯蔵したとき, 11日後のレチノールの残存率は, 62.1%であり, 冷蔵のみの残存率に比べわずかに高くなり, 18日後でも腐敗の兆候はみられなかった。4. ハマチの冷蔵 (4℃) 及び冷凍 (-18℃) 貯蔵中のTBA値は, いずれの場合も期間が長くなるに従い上昇した。冷蔵の場合は, 早期に急速に上昇し, 血合肉の方が普通肉より高い値であった。TBA値の上昇時期と魚肉中のレチノールの減少時期がほぼ一致していることから, 過酸化脂質の増加がレチノールの減少の原因の1つになっている可能性が示された。