著者
佐藤 得志 佐藤 雄介
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.55, pp.105-120, 2021-01-29

現代数学において, 選択公理は必要不可欠な重要な公理である. しかし, これを仮定することにより, 直観的には受け入れ難い数学的な事実が導かれることがある. 本稿においては, その代表的な例として, 3 次元における Banach-Tarski の定理を取り上げる. 特に, 選択公理を用いることによってHausdorffの定理が導かれること, 及び, これを用いて Banach-Tarskiの定理を証明できることについて, その詳細を解説する.
著者
永溪 晃二
出版者
佐賀大学全学教育機構
雑誌
佐賀大学全学教育機構紀要 / 佐賀大学全学教育機構 [編] (ISSN:21880875)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.83-93, 2021-03

近年、様々なメディアでコンピュータ・グラフィック(以下CG)を目にする機会が増えた。技術の発展に伴い、実物よりも魅力的に見せたり、現実では考えられない表現方法を用いることで、広告やエンターテイメントを中心とした幅広い業界でその需要が拡大している。動画配信サイトYouTube では、2013年頃から自ら制作した動画を配信するYouTuber が登場し、一般にも広く認知されるようになったが、それに対して2017年になると、バーチャルYouTuber(以下VTuber)と呼ばれる、CG のアバター(1)と音声を組み合わせた動画が登場し、ひとつのムーブメントとして定着した。 本研究ではCG アバターの制作とそれを利用したコンテンツの活用を試みた。制作には一般的なスペックのPC 環境でも対応できるフリーのソフトウェア(以下ソフト)を使用した。アバターの動作は、フェイストラッキングソフトで実現した。本稿ではCG アバターを利用した広報戦略や映像教材を目的としたコンテンツへの活用事例について報告する。
著者
宮谷 友香 別宮 史朗 谷 杏奈 松井 寿美佳 岩佐 武 猪野 博保 小倉 理代 日浅 芳一
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-42, 2009-03-25

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)は肺血栓塞栓症の原因の1つとして重要であり,近年急速に増加している.特に,妊娠中は凝固能亢進や増大子宮による静脈圧排のためにDVT が生じやすくなっている.今回,妊娠後期にDVT を発症し,治療に苦慮した症例を経験したので報告する.症例は22歳の初産婦.妊娠37週に左大腿腫脹と疼痛を認め,左外腸骨静脈のDVT と診断し入院.ヘパリンの持続点滴を行ったが血栓の増大を認め,肺血栓塞栓症予防目的で下大静脈一時フィルターを留置した.フィルター留置後1日目に陣痛発来し,2日目に分娩となった.フィルター留置後もさらに血栓は増大し,ウロキナーゼも効果がみられず下大静脈にも血栓が及んできたため,一時フィルターを抜去し恒久的下大静脈フィルターを留置した.分娩後はワーファリン内服を開始し,産褥13日目に退院となった.
著者
藤本 ますみ フジモト マスミ Masumi Fujimoto
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.11, pp.79-97, 2003

パラリーガルとは、1960年代からアメリカにおいて弁護士と働く法律秘書からはじまった法律事務専門職の名称である。わが国においても近年、国民に良質で適正価格の法律サービスの提供が求められるようになり、法律事務所と弁護士業務の改革をめざす日弁連弁護士業務改革委員会は2003年1月、「日弁連公認パラリーガル制度」についての答申を発表した。本稿ではこの答申にもとづいて、日弁連公認パラリーガル構想からその職務内容を再検討し、昨年、著者の発表した「法律専門秘書養成教育課程」を見直し、新しく教育課程および資格認定課程を提案した。
著者
宮木 孝子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:21896364)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.(1)-(13), 2016-03-20

本稿は、北原白秋の近代幽玄体(新幽玄体)の形成をたどるささやかな試みとして、歌集『渓流唱』の短歌作法への管見をまとめるものである。その理念が白秋自身明瞭に作品上の表現となったとする作品中にあって、白秋の社会詠として、よく取り上げられる「秋夕夢 小河内三部唱」の「獅子舞の歌」から、その短歌作法を探り、考察する。その方法として、白秋の「新幽玄体」の表現にかかわる「写生」と「象徴」の意味を知る手がかりを、白秋が奥多摩で体験した神事の実際の記録に求め、照合して検証する。
著者
江口 祐輔 植竹 勝治 田中 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.13/14, pp.178-182, 2007-03-31

近年我が国ではイノシシによる農作物被害が増加している。農作物被害を防ぐためには,イノシシの行動を把握することが重要となるが,イノシシの行動学的研究は少ない。そこで本研究では,イノシシの行動制御技術開発のための基礎的知見を得ることを目的として,超音波を含む音刺激およびブタ由来のニオイ刺激(唾液フェロモンおよび発情・非発情時の尿)に対するイノシシの行動を調査した。実験1(音刺激に対する反応)では,飼育下のイノシシ4頭(雄2頭,雌2頭)を供試した。実験時は個別飼育檻に入れて1頭ずつ音を提示した。中-高周波数で10k~80kHzの8種類,中一低周波数で2k~5Hzの9種類に設定したサイン波の音を,超音波発生装置を用いて発生させた。音の提示時間内の反応を記録した。超音波に対してイノシシは,「静止」,「スピーカー定位」,「スピーカー探査」の反応を示した。500Hz及び200Hzで忌避反応と思われる「逃避」,「身震い」を示した。その他の中-低周波数の音に対しては忌避反応は見られなかった。これらのことから,イノシシは超音波を嫌うことは無いが,特定の周波数の音に対して忌避反応を示し,音による農作物への被害防除に有効である可能性が示唆された。実験2(ブタ由来のニオイ物質に対するイノシシの反応)では,飼育下のイノシシ7頭(雄2頭,雌5頭)を供試した。ニオイ物質には,アンドロステノンと雄ブタの唾液,雌ブタの発情期の尿と非発情期の尿,対照として蒸留水を用いた。ニオイ物質はイノシシの鼻の高さに調節した提示装置に入れて設置した。提示後30分間のイノシシの行動を記録した。雄イノシシのニオイ嗅ぎ行動は,雌ブタの発情尿において他のニオイよりも多く発現し,雌イノシシでは雄よりもニオイ嗅ぎ行動の発現割合が高かった。雌のニオイ嗅ぎ行動は,特に雄の唾液において他のニオイよりも多く発現した。雄イノシシでは,発情尿と非発情尿を提示した時,ニオイ物質に近いエリアに滞在する割合が高かった。飼育個体が,異性のフェロモンを含むニオイに強い反応を示したことから,ニオイによるイノシシ誘引効果が示唆された。
著者
浅沼 圭司
雑誌
美學美術史論集
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.3-38, 1984-08
著者
清 愼一 川嶋 俊明
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.98(2000-GI-004), pp.69-76, 2000-10-26

通常の碁盤(十九路盤)よりも小さい碁盤(4×4以下)における、囲碁の必勝法を探索プログラムにより求めたので報告する。なお本プログラムは、日本ルールである日本囲碁規約に基づいて作成した。プログラム実行の結果、四路盤では持碁(引き分け)、三路盤では先番の勝ち、二路盤では持碁であった。