著者
橋本 力 黒橋 禎夫 河原 大輔 新里 圭司 永田 昌明
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.175-201, 2011 (Released:2011-09-28)
参考文献数
22
被引用文献数
5 7

近年,ブログを対象とした情報アクセス・情報分析技術が盛んに研究されている.我々は,この種の研究の基礎データの提供を目的とし,249 記事,4,186 文からなる,解析済みブログコーパスを構築した.主な特長は次の 4 点である.i) 文境界のアノテーション.ii) 京大コーパス互換の,形態素,係り受け,格・省略・照応,固有表現のアノテーション.iii) 評価表現のアノテーション.iv) アノテーションを可視化した HTML ファイルの提供.記事は,大学生 81 名に「京都観光」「携帯電話」「スポーツ」「グルメ」のいずれかのテーマで執筆してもらうことで収集した.解析済みブログコーパスを構築する際,不明瞭な文境界,括弧表現,誤字,方言,顔文字等,多様な形態素への対応が課題になる.本稿では,本コーパスの全容とともに,いかに上記の課題に対応しつつコーパスを構築したかについて述べる.
著者
加川 義久 高 義礼 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.107, pp.45-50, 2007-06-15
被引用文献数
1

帯電人体からの放電電流の発生機構解明を目的として,1kV以下の帯電電圧において,金属棒を握った帯電人体からの放電電流を50ΩSMAコネクタを介した6GHzディジタルオシロスコープで測定し,放電電流波形のピークと立ち上がり時間の帯電電圧依存性を調べた結果,600V以下の帯電電圧では金属棒の接近速度に拘わらず,電流ピークは帯電電圧にほぼ比例すること,電流波形の立ち上がり時間は70ps程度とほぼ一定となること,などを先に報告じた.本文では,引き続き帯電人体の指先接触で生ずる放電電流を12GHzディジタルオシロスコープで測定し,電流波形の帯電電圧依存性を明らかにした.まず,観測電圧波形と測定系に注入される放電電流波形との関係をあらわす伝達インピーダンスの測定法を示し,300kHzから18GHzまでの周波数特性を測定した結果,100MHz付近までは(50+jO)Ωとみなせるが,7GHzと15GHz付近に共振現象が現れることがわかった.しかしながら,この伝達インピーダンスからターゲットへの注入電流を推定すると,その波形は,観測電圧波形を50Ωで除した波形とほぼ一致することを確認した.つぎに,人体の指先接触で発生する放電電流を帯電電圧との関係において測定した結果,数百ボルトの帯電電圧では多重放電が頻繁に観察されるのに対して,1kVを超えると金属棒の場合と同じく1回の放電で終了する傾向がみられたこと,電流ピークは1kv程度までは帯電電圧とともに上昇するが,それ以降ではなまること,立ち上がり時間は帯電電圧と共に緩やかになること,接近速度が大きいほうが電流のピークは高く,立ち上がり時間は短いこと,などがわかった.
著者
植原 健人 増田 税
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1)国内のジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはHeroA遺伝子を保持することが明らかとなった。2)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはタバコシストセンチュウ抵抗性である。3)F1抵抗性品種の分離試験を行った。接種試験で抵抗性と感受性の分離比は3:1と考えられる。すなわち単一優勢遺伝子により支配される。4)マイクロアレイ解析を行った。抵抗性品種にタバコシストを接種して3日目と7日目のアレイ解析で、PR1が誘導されており、典型的なサリチル酸系の誘導抵抗性と考えられた。5)抵抗性品種による線虫密度低減試験を行った。抵抗性品種で土壌中のタバコシストの密度が減少した。

2 0 0 0 OA 東京市街明細

著者
伊藤佐太郎 著
出版者
ルテール社
巻号頁・発行日
1915
著者
渡辺 美樹
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

王権神話における王と道化の関係を軸にして作り上げられたファンタジー『指輪物語』はファンタジー文学の嚆矢であるばかりかジャンルの支配的なテクストとして存在している。架空の世界を構築するファンタジーのジャンルの特徴として、対立する概念をすり抜ける存在を主人公に持つ必要がある。また特に王権神話にまつわる物語の場合には王権の起源への回帰を果たすことで読者に慰めや郷愁を与えたりするという特徴を持つ。
著者
水谷 年惠子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.49-54, 1930-07
著者
横島 公司
出版者
札幌大学
雑誌
地域と経済 (ISSN:13491725)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-119, 2005-03-31

2 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正 著
出版者
本草図譜刊行会
巻号頁・発行日
vol.5 (山草類5 56種), 1921
著者
TSUNODA Nobuyuki
出版者
Graduate School of Humanities and Social Sciences, University of Tsukuba
雑誌
Inter Faculty (ISSN:18848575)
巻号頁・発行日
vol.1, 2010

Even today, in the twenty-first century, the tendency towards centralization of power is strong in France. Now, however, at least in Europe with the creation of the EU, the framework of the unitary state itself is in question. Therefore, in such an environment is centralization as can be seen in France still acceptable? In order to answer this question, we shall examine the French people's understanding of the state through a study of the French Revolution; the cradle of the French nation state. For this research, we will examine the concept of the one and indivisible republic and federalism from both the philosophical and the linguistic points of view.21世紀を迎えた現在においても、フランスでは中央集権的志向が強い。しかし、現在はヨーロッパ統合の時代であり、少なくともヨーロッパにおいては、単一国家という枠組みは試練を受けようとしている。このような環境において、フランスのような中央集権体制は望ましいのであろうか。この問いに答えるためには、フランス国民国家形成の契機となったフランス革命にまで遡り、フランス人の国家に関する、一にして不可分の共和国の観念と、それに対比されるフェデラリスムについて調査することが、有効であると思われる。本論文はそれらに対し、言語学的研究、思想史的研究を試みるものである。
著者
Yuuichi Nakano Mitsuo Iwadate Hideaki Umeyama Y-h. Taguchi
出版者
一般社団法人 情報処理学会
雑誌
IPSJ Transactions on Bioinformatics (ISSN:18826679)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2-15, 2014 (Released:2014-01-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Type III secretion system (T3SS) effector protein is a part of bacterial secretion systems. T3SS exists in the pathogenic and symbiotic bacteria. How the T3SS effector proteins in these two classes differ from each other should be interesting. In this paper, we successfully discriminated T3SS effector proteins between plant pathogenic, animal pathogenic and plant symbiotic bacteria based on feature vectors inferred computationally by Yahara et al. only from amino acid sequences. This suggests that these three classes of bacteria employ distinct T3SS effector proteins. We also hypothesized that the feature vector proposed by Yahara et al. represents protein structure, possibly protein folds defined in Structural Classification of Proteins (SCOP) database.
著者
李 嗣堯
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.49-61, 2013-02-21

台・中間に2010年6月に締結された「両岸経済協力枠組み協議(Economic Cooperation Framework Agreement: 略称ECFA)」は台湾経済・産業にもたらす影響が極めて大きいということで注目が集まった。これまでのECFAに関する研究は, 「ECFAの必要性」, 「ECFAの政治的リスク」そして「ECFAの台湾経済への影響」等をめぐってそれぞれの内容を検討したうえ, その賛否についての見解を述べるという形式が主であった。これに対して本稿は, ECFAの歴史的背景, ECFAの内容, そして台中双方にとってのECFAの狙い所の三つの側面に注目して馬英久政権が新たに展開した「台中経済連携強化」の意義を明らかにする試みである。 本研究の検討によって以下の5点の結論にまとめられる。(1)ECFA は特殊なFTAではあるが, 両岸経済の統合に寄与することに違いないこと。(2)経済統合といって台湾経済に与える影響は必ずしもプラスばかりでなく, マイナス面もあること。(3)ECFAは決して単なる経済的な議題ではない認識が必要である。(4)ECFAは台湾と他の国とのFTA調印を保証するものではないこと。(5)ECFA調印にともなう市場開放の圧力を直視すべきであり, 最終的に両岸貿易正常化の実現に帰さなければならなく台湾側もそれに対応できるように施策を検討すべきである。
著者
野村 大成 中島 裕夫 藤堂 剛
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.マウス胸腺リンパ球Apoptosisの放射線感受性を決定する優性および劣性遺伝子群:凍結切片を用い微量放射線(0.01-0.5Gy)によるApoptosisを鋭敏に検出する方法を開発した。この方法を用い、中程度の放射線感受性を示すN4系マウスと抵抗系のC3H/HeJマウスとの遺伝交配により、単純にメンデル遺伝する1つの優性遺伝子(Apo-1)があることを証明した。従来のlinkagetestに加え、PCR法を用いた染色体標識遺伝子(マイクロサテライト)による全染色体マッピングを行った。その結果、第4染色体に連鎖を認めた。更に、高感受性のC57BL/6Jマウスと抵抗性C3H/HeJマウスのRecombinant inbred(RI)マウス(BXH)を用い、2つの劣性遺伝子(apo-2,3)を見つけ、マッピングを行い第9染色体Mod-1、第12染色体Ighの近傍に存在することがわかった。2.胸腺リンパ球の集団自決機構:本来、胸腺リンパ球のApoptosisは単一の細胞死によるとされていたが、本法により一定数の細胞が集団で死亡することを判明した。この集団死は、2時間後には観察され、4時間でピークに達する。12時間を過ぎると死細胞は排除され、単一の死細胞が散在して観察されるため、誤解されていたのかもしれない。また、胸腺の器官培養により放射線誘発Apoptosisは、低温処理およびcyclophosphamideで抑制されることがわかった。3.リンパ性白血病との関係:マウスリンパ性白血病発生に関する放射線感受性にも系統差が見られ、Apoptosis高感受性マウス系統は白血病高感受性であることを証明した。しかし、RIマウスを用いて検討したところ、異なる遺伝子によることが判明した。
著者
本行 忠志 野村 大成 青笹 克之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

膿胸関連リンパ腫(PAL)と甲状腺リンパ腫(TL)のp53,K・rasの遺伝子変異をPCR・“Cold SSCP"法,Direct sequencing法にて解析した。TLは、microsatellite instability(MSI)も検討した。PALでは、21症例中14症(67%)にp53遺伝子の変異を認めた。13個の点突然変異のうち12個(92%)にG:C→A:T transition、2個(15%)にCpG siteのtransition,10個(77%)にdipyrimidine siteのtransitionを認めた。これは、PAL以外のリンパ腫や放射能被爆した人に発生した肺癌における変異のパターンと大きく異なっている。K・rasの変異は、3例(14%)で、p53の変異との関連性は見られなかった。TLでは、21症例中2例(9.5%)にp53の変異を認め(codon190.codon272)、K・ras変異は4例(19%)(2例codon12、2例codon13)であった。次に21例のTLに対して16個の異なったmicrosatellite repeatsをPCR法にて解析した。21例のTLは病理学的にdiffuse large B cell lymphoma(DLBL)10例、follicle center lymphoma6例、marginal zone B cell lymphoma of extranodaltype3例、lymphoplasmacytic type2例に分類され、DLBLのみに5例microsatellite instability(MSI)が見られ、他のタイプに対して有意(p<0.05)に高い頻度であった。これら5例中4例(80%)がK・ras遺伝子の変異を伴っており、replication error(RER)とK・ras変異の関連性を示唆した。また、これは、“遺伝的不安定さ"がTLのlow gradeからhigh gradeへのprogressionに関与している可能性を示唆している。PALとTLの遺伝子変異には明らかな違いが見られた。PALではEBV感染(PALは100%)の影響や、長期にわたる治療薬や細菌やウイルスの産物がp53遺伝子に特殊な変異を引き起こした可能性が、TLでは慢性甲状腺炎に加え、EBV感染の影響や、免疫異常によりRERが起こった可能性が考えられる。今後、さらに各リンパ腫に影響を及す因子について追求していきたい。
著者
梁 治子 中島 裕夫 野村 大成
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

電離放射線のヒトへの継世代的遺伝リスクを、人類の通常の被曝形態(低線量・低線量率による被曝)で調べるのが本研究の目的である。チェルノブイリ核施設崩壊による被曝は、人類が放射線曝露を受ける被曝形態そのものである。共同研究者K.G.Yelisseeva博士により被曝者群(ベラルーシ共和国に居住し事故後、除洗作業に携わった父親とその配偶者および子供から構成されている家族)、非被曝者群(同国内の非汚染地区に居住している家族で被曝者の子供と年令、性別をマッチさせた子供をもつ家族)のリンパ球を冷凍保存し、大阪大学医学部放射線基礎医学講座で保存している。遺伝リスクの検出には、マイクロサテライト変異検出系を試みた。リンパ球は約10^7個まで培養増殖させた後DNAを抽出し変異を検出した。最終的に変異検出可能な対象としてのF1子孫は、被曝者群62人、非被曝者群85人である。用いたマイクロサテライトは常染色体由来21、X染色体由来1、Y染色体由来19種である。マイクロサテライト変異頻度(/locus/gamate)は、被曝者群、非被曝者群について、常染色体由来が0.64%(12/1858)と0.80%(19/2362)で統計学的にも差はみとめられない。Y染色体由来については、被曝者群、非被曝者群で、0.44%(3/675)と0.23%(2/835)で被曝者群で変異頻度が高い傾向がみられたが、有意差はない。被曝者群については、父親の精細胞の照射時期から分類すると、F1子孫はspermatogonia期40、post spermatogonia期22人である。両精子期についての、変異頻度はpost spermatogonia期におけるほうが低い頻度であった。