著者
太田 恭子
出版者
首都大学東京 人文科学研究科
雑誌
人文学報 = The Journal of social sciences and humanities (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.467, pp.1-26, 2013-03

本稿の目的は,近代日本の性教育論の分析を通して,大正期の母親による性教育モデルの形成過程を描き出すことにある.なぜなら,性別アイデンティティの確立に寄与したと思われる近代日本の性教育の推進に母親が積極的に関わっていることを明らかにすることで,近代日本のジェンダーの再生産過程を明らかにすることができると思うからである.そこで,明治から大正にかけて産出された性教育論において,性教育の担い手についての言説と大正末期に登場した母親たちの性教育実践報告を分析した.明治期の性教育論では性教育の対象は男子であり,担い手は教師か学校医が想定されていた.大正期になると家庭では母親が幼児期の生活全般に関わる性教育を行い,学校では教師がそれぞれの年齢に見合った性知識を与えるという性教育言説が形成された.そうした言説が流布する中,母親たちは子どもとの相互行為を通じて,子どもが貞操や純潔を重んじ性差に基づく行為を生み出していくような,母親にしかできない性教育を構築した.母親による性教育言説は大衆的なメディアを通じて広く流布し,多くの母親に参照されるモデルとなって性教育に取り組む母親を生み出していったと思われる.こうして,母親による性教育は,結婚するまで貞操を守り「男は仕事,女は家庭」という性別分業に適合的な次世代を世に送り出して,近代日本のジェンダーを再生産していったと考えることができると結論した.
著者
渡辺 ともみ
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.108-115, 2005-01-01
参考文献数
34

The traditional steel manufacturing (Tatara) of Japan which developed in the early modern times fell into the decline in the Meiji Period. On the other hand, because it is being made by reducing iron sand with charcoal, the amount of phosphorus and sulfur of Tatara iron is low. Therefore it was adopted as a raw material of the alloy steel at Naval Arsenal of the Meiji latter period. The purpose of the main subject is to explain that process.<BR>The quality which the navy demanded was limited to the speck of the low phosphorus. Then, the navy never tried to admit the cost which corresponded with that quality. The makers of Tatara iron had efforts to cope with a naval requirement. But, they had to give up their Tatara business suddenly. That was because naval warship manufacture stopped observing Washington disarmament treaty. They advanced all together to charcoal industry after that.
著者
岡崎 正道 OKAZAKI Masamichi
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
人間・文化・社会
巻号頁・発行日
pp.347-366, 1997-03-28

「国体」と言えば,戦後世代には「国民体育大会」の略称としか伝わらない。しかし戦前においてはこの言葉は,天皇を神聖不可侵の絶対的存在と位置づげ,これに対する無限の忠誠を日本人の崇高な責務として強要する,イデオロギーの表現にはかならなかった。大戦末期には,「国体護持」に固執するあまり戦争終結の方策を誤り,ついに原爆の惨禍を阻止することもかなわなかった。すなわち「国体」と引き換えに,幾十万の無筆の生命が奪われたのである。アジアの無数の民にはかり知れぬ痛苦を与えた侵略行為の根底にも,この「国体」の妄想があったことは言を持たない。そしてこの観念に対し異を唱える者は「国賊」「非国民」の罵声を浴び,疑念なくこれを信奉すべく大多数の日本人が徹底的に精神を呪縛された。まさに一億総マインドコントロールの恐怖である。だがかかる「国体」の観念は,実は戦時中の軍国主義の特産物ではない。その淵源は,幕末期のナショナリズムの高揚の中で唱導された,国家独立の希求のスローガンにある。本稿では,そうした前史をふまえつつ,近代日本における国体観念の諸相について論じてみたい。
著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.21-64, 2016

はじめに第1章 学校教育体制創始期における世界史教育(1872、明治5~1879、明治12) 1.『史畧』(明治5)と『萬國史畧』(明治7)2.グッドリッチ『パーレー萬國史』3.普遍史型万国史教科書とその原典第2章 学校教育体制模索期における世界史教育(1879、明治12~1886、明治19)―啓蒙主義的世界史への傾斜― おわりに
著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-52, 2016

はじめに第1章 近代教育体制確立期における世界史教育 (1886、明治19~1893、明治26)1. 中学校令(1886、明治19)と世界史教育2. 帝国大学と史学科の発足3. 天野為之『萬國歴史』(1887、明治20) ―「初期文明史型万国史」―4. スウィントン『世界史概説』と木村一歩『萬國歴史』(1891、明治24)5. 文明史型万国史教剰書の二つのタイプ6. 中国史の革新 〈以上、本号)第2章 近代教育体制整備期における世界史教育 (1894、明治27~1902、明治35)1. 「完成期文明史型万国史」2. 国史・東洋史・西洋史「三分科制」の提起3. 「官学アカデミズム史学」の形成と近代ドイツ歴史学4. 万国史教科書の消滅と東洋史教科書、西洋史教科書の分立へ (第2章は次号)おわりに
著者
渡辺 悦子
出版者
同志社大学歴史資料館
雑誌
同志社大学歴史資料館館報
巻号頁・発行日
no.9, pp.7-21, 2005

京都市上京区に所在する本学新町キャンパスの地には明治以前は摂関家の一流・近衛家の別邸「桜御所」があったことはよく知られている。この「桜御所」の名称は近世以降のもので、現存最古の洛中洛外図屏風では「近衛殿」と称され、さらにそれ以前は、近衛家代々の御影を祀る施設をもつ「御霊殿」と呼ばれていたようである。(「御霊殿」には近衛家代々の嫡女が居住し、御影を祀ったと考えられている。本稿は、『後法興院記』をはじめとする近衛家当主の日記等より、近衛室町に所在した近衛家の本邸が焼亡した応仁・文明の乱以降、「御霊殿」は近衛家当主の住む邸宅「近衛殿」となるが、以降も御霊殿の称を持つ近衛家の女性は戦国期を通して存在し続け、その消滅は戦国期から近世初頭であること、また同時期に皇族から近衛家に養子に入った近衛信尋が「御霊殿」に居住する頃を前後して「近衛殿桜御所」との名称に変化することを明らかにした。
著者
岩橋 瑠伊 矢吹 太朗
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.113-114, 2018-03-13

デマゴギー(デマ)が拡散されることを防ぐために,デマツイートをリツイートしているユーザーの特徴抽出を行う.そのために,現時点でデマだとわかっているツイートを過去に拡散したユーザの活動履歴を収集・分析する.分析結果をランダムサンプリングしたデータと比較することで,デマを拡散するようなユーザに共通する特徴を抽出し,その結果を報告する.