著者
國廣直樹 長谷川智史 穴田一
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.379-380, 2011-03-02

文章の書き方には人それぞれ特徴がある.一番特徴が表れるのは文字の筆跡であるが,電子テキストの普及等から,筆跡以外の特徴を用いて解析を行い,著者不明の作品や文献等の書き手を識別する研究が行われている.<br />既存の研究では,読点直前の品詞や単語の出現頻度等に著者の特徴が表れると考え,主成分分析や類似度等を用いて比較することで著者の識別が行われてきた.しかし,比較文章における文字数の統一や,短い文章を使用できないという制約があるものが多い上,未だに著者の特徴がどこに表れるか明確になっていない.そこで,本研究では,文章の文字数に依存しない著者の特徴を抽出する方法を提案し,その有効性を検討する.
著者
アン デービス
雑誌
長野県看護大学紀要 = Bulltein Nagano College of Nursing (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-10, 2017-03-31

アン・デービス名誉教授の看護師および看護学者としての半生記である.英文学と哲学で身を立てるよう勧める親に背いて看護を選んだこと,その動機はアフリカでシュバイツアーと働くためだったこと,大きく人生を決定づけたのは,自身の選択とともに,さまざまな偶然や人との出会いであったこと,シュバイツアーの自伝を読んで以来,常に旅に憧れ,実行に移した大小の旅が人との出会いや人生の転機をもたらしたことが述べられている.具体的なエピソードを通して,臨床で体験した精神看護の面白さや,カリフォルニア大学や長野県看護大学での教員生活につながった自身の選択,重要な人々との出会い,自身を有名にした生命倫理の著書執筆の学術的・時代的背景,長野県看護大学に来た経緯とそこで見藤学長と一緒にした仕事,アイデアの提案と実現に関する日米間の社会文化的差異の観察などが語られている.
著者
鳥海 不二夫 松澤 有 鈴村 豊太郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1277-1286, 2017-06-15

ソーシャルメディア上で頻繁に見られる意見と,世間一般における多数派の意見とは必ずしも一致しない.このような現象が発生する原因の1つにヴォーカル・マイノリティがあると考えられる.本研究では,ヴォーカル・マイノリティ現象が発生する要因を明らかにするために,ソーシャルメディア上でのユーザ行動のマルチエージェントモデルを提案した.提案モデルを用いたシミュレーションによってハブエージェントの影響がヴォーカル・マイノリティが発生する要因の1つであると考えられることを明らかにした.さらに,ソーシャルメディアの実データを用いて分析を行い,本シミュレーション結果が実データでも支持されることを確認した.
著者
阿部 和敬 中野 圭介
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.14, 2019-05-21

マクロ木変換器(MTT)とは,入出力を木構造とする累積引数付き再帰関数のモデルである.複数のMTTの合成として表現される関数を,1つのMTTで表現することをMTTの融合という.一般にはMTTを融合できるとは限らないが,特定の条件下では融合手法が知られている.VoigtländerとKühnemannは,入力木のコピー回数に関する条件を満たす2つのMTTの融合手法を示した.ただし,1つのMTTで表現できるにもかかわらず,彼らの手法を繰り返すことでは融合できない3つ以上の合成も存在する.Manethは,任意の個数のMTTの合成が最終的な出力木のサイズに関する制約を満たすとき,合成に相当する1つのMTTが構成できることを証明した.しかし,彼の研究は融合可能性の証明が目的のため構成は煩雑である.そこで本発表では,高階木変換器(HTT)を用いてVoigtländerとKühnemannの手法を一般化し,Manethの証明に実用に向いた別証明を与える.HTTとは,MTTの一般化として提案された高階関数のモデルである.本融合は,まずMTTの合成を1つのHTTとして表現し,HTTに現れる高階関数のオーダを下げていくことで,MTTへの融合を実現する.理論上融合が不可能な場合でも,本融合は合成に相当する1つのHTTを得ることができる.
著者
乾 吉佑
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.11-22, 2013-03-15

本論考は,日本心理臨床学会大会での学会賞受賞講演を基に作成されたものである。本邦でも自閉症児(者)との長期的な心理療法は経験されているであろうが,未だカナータイプの自閉症との40年間の治療経過の報告は見られていない。40年間の治療経過のまとめと,そこから学んだことを取り挙げ,臨床心理学専攻の若き後輩の臨床活動に益するものとなることを願って報告する。
著者
冨平 準喜 山下 晃弘 松林 勝志
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.539-540, 2018-03-13

近年SNSにおいてユーザーが爆発的に増えているため,それらのマーケティングへの活用が期待されている.様々な趣味,職業,性格を持つユーザーの中から,ターゲットとなるユーザーを絞り込むのは重要な課題となっている.しかし一般的にプロフィールの基準が厳格化されていないため,その情報だけでユーザーの属性を判断するのは困難である.語彙を抽象化してカテゴリ化するツールであるLIWC(Linguistic Inquiry and Word Count)はユーザーの属性推定に適しているとされている.LIWCの日本語版は公開されていないため,英語版を半自動翻訳し,日本語のLIWCを用いたユーザー属性推定の方法を提案する.
著者
石田 亨 西村 俊和 八槇 博史 後藤 忠広 西部 喜康 和氣 弘明 森原 一郎 服部 文夫 西田 豊明 武田 英明 沢田 篤史 前田晴美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2855-2865, 1998-10-15

本論文では,国際会議におけるモバイルコンピューティング実験の報告を行い,その役割と効果について分析する.約100台の携帯電話付き携帯端末を用いて,実際の国際会議の参加者に通信/情報サービスを提供し,その際得られたログデータを解析した.ログデータのみでは十分知ることのできないユーザの使用感などは,事後アンケートにより調査した.以下の使用状況が観察されている.(a)ユーザは会議場ばかりではなく,会議後ホテルの部屋へ戻ってからも携帯端末を利用した.携帯端末は通常のデスクトップ型端末と比べて頻繁に使われ,かつ1回の使用時間は短かった.(b)情報サービスは,会議の進行を反映して利用にピークが現れるが,電子メールサービスは会議の進行にかかわらず定常的に利用された.