著者
杉山 信太郎 SINTH Sarobol TAWAN Hangsoongnern Shintaro SUGIYAMA Sarobol SINTH Hangsoongnern" TAWAN
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.13-18, 2005-03

フィリピンやタイでの作物や果樹の混植栽培で,病虫害が予想以上に抑制される現象に着目し,タイ国チェンマイ市郊外の堀割りや木立ちに囲まれた水田跡地に,各小面積に植えた野菜数種類を混作する栽培を年間3作,2年間継続して,病虫害をこみにした被害率が89%から2年後に6%に低下する事実を認めた.被害率が最初の20%まで低下した期間は1.5年(18カ月)で,これが東京付近で経験的に自他ともに認められる病虫害が減少する3年間の1/2であること,また年間平均気温がチェンマイで26℃,東京で16℃で温度差の10℃から,Q_<10>=2の温度反応式を満たすことを認め,有機農業の継続栽培による病虫害の減少が,地上・地下の多様な生物の集団の抑制作用によることを推定した.また,混作の継続により虫害が病害より早く減少し,雨期に乾期より病虫害が低下することを観察した.さらに生物多様性の進化の理論から,有機農業における生物多様性による病虫害抑制作用は養・水分が補給される限り,時間的に進行することを理解した.
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
雑誌
行動変容と社会システム
巻号頁・発行日
vol.1(2017), 2017-03-02

近年,都市部にて発生する交通渋滞は,ドライバーの時間的損失だけでなく,輸送の遅延や燃料消費の増加に伴う経済的損失を引き起こしている.さらに排気ガスによる大気汚染や騒音,追突事故等の主要な要因としても指摘されている.交通渋滞の解消における主なアプローチとして,適切なナビゲーションにより交通流の分散を図るアプローチや信号制御によりスムーズな交通流を生みだすアプローチがある.今回は後者について交通渋滞を解消する手法を提案する.信号制御の手法として,これまでにも GA やマルチエージェントなどによる手法が提案されている.いずれの先行研究も高次元な交通情報からあらかじめ必要な情報を定め,その情報をシステムの入力値として与えている.しかし,あらかじめ定められていない情報にも信号制御に重要な情報が含まれている可能性があり,交通に関する高次元な情報量から信号制御を行うために必要不可欠な特徴をいかに抽出するかが課題となっている.本研究では,道路交通画像という高次元な情報からエージェント自身が信号制御に必要な情報を抽出し,適切な信号機のパラメータ操作を出力することを目的とする.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習法と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習法を組み合わせた Deep Q-Network を用いた制御手法を提案する.その結果,エージェントに道路交通画像を与えると,エージェント自身が学習し,効率的に信号制御できることが確認された.
著者
野本 真広 矢倉 千昭
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences
巻号頁・発行日
vol.9, pp.9-16, 2014-03-31

〔目的〕本研究は,骨盤前傾および後傾座位での傾斜反応における内腹斜筋,多裂筋の筋活動の変化について検討した.〔対象〕健常成人男性8 名,平均年齢28.4 ± 3.2 歳であった.〔方法〕骨盤前傾および後傾座位にて右側方傾斜時の左右の内腹斜筋,多裂筋の筋電図積分値を測定し,安静時の筋電図積分値を100% として比較を行った.〔結果〕筋電図積分相対値は,骨盤後傾座位では有意差を示さなかったが,骨盤前傾座位において右内腹斜筋は,10°右側方傾斜時と比べ20°右側方傾斜時に有意に増加した.左内腹斜筋は,安静時に比べ10°右側方傾斜時に有意に増加した.右多裂筋は,有意差がなかったが,左多裂筋は安静時に比べて10°右側方傾斜,20°右側方傾斜で有意に増加した.〔結論〕座位で体幹筋群の筋活動を高める傾斜反応の誘導は,骨盤前傾座位にて誘導することが重要であることが示された.
著者
佐伯 弘治 Koji Saeki
雑誌
東京医科大学雑誌 (ISSN:00408905)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.497-498, 2004-09-25
著者
コンヴェール マクシム 深山 覚 中野 倫靖 高道 慎之介 猿渡 洋 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2018-MUS-120, no.1, pp.1-8, 2018-08-14

ニューラルネットワークは自動和声付けにおいて有望な技術である.膨大なデータセットを元に,入力と出力の複雑な依存関係を学習することができるため,旋律と和音の依存関係も扱うことができる.ニューラルネットワークの性能はその入力と出力情報の表現方法が強く影響する.しかし,従来の自動和声付け研究では,出力情報である和音の表現方法について深くは検討されておらず,テンションノートといった和音の詳細な構造が最大限活用されてこなかった.和音の表現方法を変えることで,旋律と和音の関係を更に細かく学習できると考えられる.そこで本研究では,和音の表現方法の違いが Recurrent Neural Network (RNN) による自動和声付けの性能にどれほど影響するかを調査する.従来の表現方法を含む 4 つの異なる和音表現方法に基づいて Gated Recurrent Unit (GRU) を用いたニューラルネットワークを構築し,それらの性能を比較した.実験の結果,和音の構成音を陽に表現した表現方法を用いると,従来の和音ラベル形式を使った場合に近い性能に達成するだけでなく,構成音の細かな違いに対応できる多機能な自動和声付けモデルの構築を可能とすることがわかった.