著者
畑 安次
出版者
金沢大学法学部
雑誌
金沢法学 (ISSN:0451324X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.1-28, 2008-03-30
著者
松尾 一四
出版者
九州工業大学
巻号頁・発行日
2009-03-01

九州工業大学博士学位論文 学位記番号:工博甲第279号 学位授与年月日:平成21年3月25日
著者
辻(川瀬) 千春 TSUJI (KAWASE) Chiharu
出版者
名古屋大学博物館
雑誌
名古屋大学博物館報告 (ISSN:13468286)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.63-78, 2017-03-31

植民地朝鮮(1910–1945)の釜山に移住した郷土玩具の愛好家である清永完治(1896–1971)は,釜山郷土玩具同好会の機関誌に玩具表現の手段として版画を多用し,会員に創作版画を広めていった.清永はそこで形成した趣味家や版画家のネットワークを礎に,時局下に日本本土や朝鮮の日本人の版画家や玩具の愛好家からなる趣味家のネットワークによって朱美之会を発会し,創作版画誌『朱美』を刊行した.それは植民地朝鮮における,創作版画の普及に主眼を置いたものではなく,郷土玩具の普及活動と表裏一体の活動であった.This paper reported the development in light of the political climate at the time of the Sosaku Hanga magazine‘ Shumi’ which was issued by Kanji Kiyonaga (1896–1971) in Pusan, and the network of hobbyists formed around him. Kiyonaga dispersed the use of woodblock prints to his colleagues through his local toy’s fellowship journal. He also personally solidified the network of woodblock artists in mainland Japan through creation of Sosaku Hanga. In this way, he realized the publication of‘ Shumi’ with the support of the network of hobbyists in the wartime regime. But the activities by Kiyonaga and his associates were not focused on the dissemination of the Sosaku Hanga in colonial Korea; they were from cooperative efforts to promote local toys.
著者
中村 一
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.190-197, 1965-11-15

造園計画の哲学的側面は2つの問題に関して顕著にあらわれる。第1に造園が他の物的諸計画 (建築, 土木など) と協同して有機的生活環境を作り上げるための統一的な理論はないだろうかという問題がある。そのような理論的体系のひとつとして哲学そのものがある。ただしその哲学は科学との明確な相違点を自覚しつつ, しかも科学の諸成果を価値領域にもちこんで, 人間の未来を実験的に築いていくための理論を提供するものでなければならない。第2に専門化した造園計画の特色はなにかという問題がある。その特色は造園が扱う自然的材料にみられるが, ここで自然という言葉の哲学的内容が問題化する。私は自然の本質的特性である安定性と不安定性に注目して, 不安定性要因をより多くもつものとして, 「みかけの自然」の概念を仮説的に使用することによって造園計画の特色をより深い意味でとらえようと試みた。
著者
奥田 智樹
出版者
名古屋大学オープンコースウェア委員会
巻号頁・発行日
2014-10-27

日本語の形式名詞や複合動詞の特質を観察することにより、日本語における語彙と文法の接点、さらには意味論と統語論の接点について、受講者の方たちと議論を深めたいと思います。
著者
森 亘
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.71-83, 2018-03-30

本稿は二つの目的を持っている。一つ目は、ある転倒の後に私たちの世界を位置づけること、およびこの移行過程について論ずることである。本稿ではこの転倒を超越した世界の当たり前化と呼ぶ。二つ目は、神的なものや聖なるものを別の世界にイメージするプラトン以後の哲学者たちを、この転倒の後に位置づけることである。主要な論点は、「事物性(超越性)--内奥性」の運動を生きていた内奥秩序から、内奥性の放棄と人間中心主義の起源でもある超越した世界の当たり前化を導いた現実秩序への移行を捉えることである。この点は、原始的な意味での供犠を有していた社会から軍事秩序(帝国)への移行とも表現されうる。この転換点以後神的なものは、超越や理性の価値とのみ結びつくことになる。哲学史を視野におさめながら、原理的には軍事秩序と結びついて誕生したこの道徳を乗り越えていく準備作業を行うこともまた、本稿の目的である。
著者
佐野 誠子
出版者
名古屋大学人文学研究科中国語中国文学分野・専門
雑誌
名古屋大学中国語学文学論集 (ISSN:03875598)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-58, 2018-02

本稿は、公益財団法人豊秋奨学会及び科学研究費助成事業基盤研究(B)(一般)「前近代東アジアにおける術数文化の形成と伝播・展開に関する学際的研究」(課題番号 16H03466 研究代表者水口幹記)の助成を受けた研究成果の一部である。
著者
横井 敏郎
出版者
北海道大学大学院教育学研究院 教育行政学研究室・学校経営論研究室
雑誌
公教育システム研究
巻号頁・発行日
vol.18, pp.127-135, 2019-09-30

2018年11月21日、北海道大学大学院教育学研究院において公開研究会「高校内居場所カフェ実践は学校に何をもたらすか―2つのカフェ運営の事例から―」を開催した。この研究会は、科研費「拡散・拡張する公教育と教育機会保障に関する国際比較研究」(18H00970、代表:横井敏郎)のメンバーである高橋寛人氏(横浜市立大学)がこの間、NPO や高校教員、行政職員等の方々とともに進めてこられた研究活動を基礎として提案いただいた企画である。 高橋氏には、過去の科研費研究会で高校内居場所カフェについて研究報告をしていただいていたが、今回、高校内居場所カフェの中でも先導的な役割を果たしている2つの運営団体の方々を招いて講演をいただき、議論を行う公開研究会を開催した。スピーカーとしてお招きしたのは、一般社団法人officeドーナツトークの田中俊英氏、NPO法人パノラマの石井正宏氏・小川杏子氏である。田中氏は大阪府立西成高校で「となりカフェ」を、パノラマの石井氏と小川氏は神奈川県立田奈高校の「ぴっかりカフェ」を運営されている。現在、高校内居場所カフェは全国で50ヶ所に上るが(朝日新聞 2019年8月19日)、その最初が西成高校の「となりカフェ」であり、次いでそれを参考に開設されたのが田奈高校の「ぴっかりカフェ」であった。今回、居場所カフェをスタートさせた2つの団体の方を招くことができたわけである。そのせいもあって、本研究会には学外者含めて30名ほどの参加を得た。 3人のスピーカーには、高校内居場所カフェの活動内容や理念、そして活動の運営上の課題や行政との関係に焦点を当てて話をしていただいた。小川氏にはふんだんに写真を用いながら、「ぴっかりカフェ」が開設された経緯とカフェの様子や役割、居場所カフェのソーシャルワーク等へのつながりなどについて話していただいた。田中氏には、「となりカフェ」が開設された経過を行政とのやり取りや高校教員との関係づくりなどの点から話していただいた。最後に石井氏には、居場所カフェを作るに当たって高校内における居場所カフェ(運営団体)の立ち位置のポイントについてお話しいただいた。その内容は、本誌の研究会記録の通りである。 高校内居場所カフェに対する関心は少しずつ高まってきているようであり、数も増えてきている(『朝日新聞』2019年8月19日)。本研究会の後になるが、高校内居場所カフェを実践してきたり、応援してきた人々の手になる書籍も刊行された。居場所カフェ立ち上げプロジェクト編『学校に居場所カフェをつくろう! 生きづらさを抱える高校生への寄り添い型支援』(明石書店、2019)には、その成り立ちからコンセプトや活動の内容、居場所カフェを作るためのポイントなどが分かりやすく書かれている。 しかし、高校内居場所カフェは始まって間もない取り組みであり、まだ十分な社会的認知を得ていないし、その実践の特質や社会的あるいは教育的な意味についてはこれから議論が本格化していくであろう。ここでは本研究会の記録の解題を兼ねつつ、高校内居場所カフェに対する認識を深めるため、それはいったいいかなるものか、その意義はどのように捉えられるのかを考えてみることとする。