著者
山内 保典
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.33-48, 2010-02

Not only technology which natural science offers, but also one which social science offers can be an object of participatory technology assessment (pTA). In this paper, "World Wide Views on Global warming (WWViews)" which is the globe-encompassing democratic deliberation was assessed by citizen participants. The participants of WWViews are little interested in global warming. Therefore, their assessment is useful to develop a participatory method which can involve wider range of public. This paper is based on questionnaire survey and free description which addressed adequacy of information provision and supports for discussion, satisfaction of the WWViews and motivation to participate in other technology assessment. As a result of questionnaire, majority of participants showed a high level of satisfaction with them. Their free descriptions are grouped into five lessons. 1. Avoid the bias. 2. Give consideration to group dynamics. 3. Reduce the anxiety of making remarks. 4. Make the connection between pTA and real life. 5. Focus on satisfaction of participants.
著者
早岡 英介 郡 伸子 藤吉 亮子 池田 貴子 鳥羽 妙 川本 思心
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-55, 2015-07

福島第一原子力発電所の事故以降,主に放射能リスクをテーマとしたリスクコミュニケーションの取り組みが各地で進められてきた.だが,多くは啓蒙的な説明会にとどまっており,専門家と一般市民との間に十分な双方向の対話の場を生み出せていない.こうした状況を克服するためには, リスク情報を正確かつ受け手側に配慮しながら発信できるリスクコミュニケーターの育成が急務である.北海道大学CoSTEPでは2014 年度にリスクコミュニケーション選択実習という新しい実習を設け,福島の農業と放射能リスクをテーマに活動した.最終的に2015 年2 月から3 月にかけ,三つの対話イベントを実施した.本実習では,「コンテンツの制作能力」「コミュニケーションの場を生み出す能力」「適切なフレームを協働構築する能力」の三つの能力を育成することを目指し,TV番組等を活用して実習中に何度もリスク問題を取り上げて議論を重ねたこと.実際に福島で調査したこと.現地取材した映像を実習メンバーで編集してサイエンス・カフェ等で映像レポートとして上映したことの三つが大きな特徴である.これらの実践を通して「当事者性」「主体性」「多様な価値観」を獲得することができ,上記三つの能力にポジティブな効果がもたらされた.
著者
梶尾 悠史
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.105-115, 2018-11-30

This paper examines the validity of the theory of values clarification (VC) from a philosophical perspective. The first two chapters present some ethical stances of VC such as “emotivism” and “virtue ethics,” and compare this theory with Kohlberg’s cognitive development theory, which accepts “autonomism” as its moral, philosophical standpoint. The next two chapters discuss the inseparable relationship between emotion and reason in moral judgment by considering Hume’s discussion in A Treatise of Human Nature. The last chapter emphasizes the importance of linguistic activities as indispensable elements in the valuing process, and presents a more persuasive model of the theory of VC.
著者
森本 洋介
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.137-148, 2018-10-12

本稿では教科書会社発行の教材(副読本)を用いた授業と,同テーマにおける自作教材を用いた授業実践の検討を通じて,その編成の在り方,特に教材の選定と発問の設定の方法を明らかにするため,実践を通じて検証作業を行った。その結果,教科書会社発行の教材(副読本)では副読本に記載された発問を扱わなかったにもかかわらず,副読本に記載された発問に対する答えのような記述をしている児童も少なからず見られた。一方で自作教材を用いた授業では教材を発問について考えるための知識や情報を与える資料として位置づけることで,児童は話し合いや「道徳ノート」のなかで綺麗事ではない意見を出すことにつながった。教材のつくり方,さらに言えば教材の内容が子どもの実感に則したものであるかということと,発問がその実感を問うものになっているかどうかが「考え,議論する道徳」を実現するためのポイントになると考えられる。
著者
山本 美恵
出版者
富山大学比較文学会
雑誌
富大比較文学
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-11, 2012-12-12

本論稿では、まず第一章で、「歌舞伎」の沿革を淡い、従来の研究における「歌舞伎」の評価をまとめた。第二章では、同時代評と、「歌舞伎」の先行研究でも指摘があった、竹二の新派・旧派に捉われない姿勢が、どの程度「歌舞伎」誌面に反映されているかを考察した。作成したグラフから、実際に、竹二の新旧に公平な姿勢は「歌舞伎」誌面にも表れていることがわかった。第三章では、劇界の新しい動きを歓迎する竹二の姿勢の一つである、海外の脚本や演劇界を、どの程度「歌舞伎」に紹介していたのか、また、その紹介記事は誰によって行われていたのか、調査を行った。従来、「歌舞伎」における海外紹介記事については、鴎外の寄稿記事について指摘されることが多かったが、今回の調査で、鴎外以外にも多様な寄稿者がいることがわかった。加えて、従来注目されてこなかった地方演劇界に関する記事にも言及した。地方紹介記事は、数は多くなく一定した傾向も見られなかったが、「歌舞伎」五九号では地方特集号とでも言うべき編集形態がとられ、竹二が地方演劇界にも関心を配っていたことがわかった。また、編集者が一方的に関心を持つのではなく、地方からの投書や、劇評の寄稿といった、レスポンスが見られることも特筆される評価の一つであると言える。以上、本論考では竹二の「歌舞伎」編集方針として、新派・旧派にとらわれることなく劇評を掲載したこと、同時に海外・地方それぞれの演劇に目を配り、記事を掲載したことの二点に注目して考察した。このような編集方針をとったことで、「歌舞伎」は、歌舞伎と言う雑誌名を持ちながらも総合演劇雑誌として扱われ、当時の劇壇では屈指の存在であり続けたのであろう。
著者
山本 美恵
出版者
富山大学比較文学会
雑誌
富大比較文学
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-14, 2013-12-12

本論稿は、近代劇評家、三木竹二(一八六七~一九〇八)主幹の雑誌「歌舞伎」の編集方針の調査を行うものである。前集の「富大比較文学論集」では、「三木竹二研究(上) -雑誌『歌舞伎』の編集方針 内容的特徴①」と題し、「歌舞伎」に掲載された新派・旧派の記事と、海外・地方に関連する記事の考察を行った。今回は「三木竹二研究(下) -雑誌『歌舞伎』の編集方針 内容的特徴②」と題し、前回のアプローチの視点に加えて、脚本と寄稿記事執筆者、という二つの視点から「歌舞伎」を考察したい。
著者
関 宰
出版者
低温科学第76巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.135-144, 2018-03-31

近年,極域氷床の融解が急速なペースで進行中であることが明らかになり,温暖化によって海水準が大きく上昇する懸念が高まっている.産業革命前よりも僅かに温暖な最終間氷期(13万~11.5万年前)には,6~9mもの急激な海水準上昇があったとされる.これが事実なら,現在と似た気候状態で,南極氷床の大規模な崩壊を誘発する臨界点が存在することになる.現在の平均的な気候状態はすでに最終間氷期のレベルに達しており,南極氷床の大規模な崩壊が将来に起こり得る可能性の検証は喫緊の課題と言える.本稿では最終間氷期の気候状態や海水準変動,南極氷床の安定性についての最新の知見を解説し,将来,南極氷床の大規模融解が引き起こされる可能性について考察する.
著者
山崎 明日香 YAMAZAKI Asuka
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.85-93, 2015-03-30

本稿は19世紀のなかばに活躍した演劇評論家ハインリヒ・テオドール・レッチャー(HeinrichTheodorR・tscher,1803-1871)の著書『劇的演技術(DieKunstderdramatischenDarstellung)』(1841-46)において提唱された俳優のための音声論を、18世紀以降のドイツの標準語形成運動と俳優の語り言葉についての問題に関連づけて考察するものである。レッチャーは、同時代の演劇界で広範な影響力を及ぼした著名な人物であり、1844年以降プロイセン政府の委託を受けて公的に演劇評論活動を行った。本稿で取り扱うレッチャーの『劇的演技術』は、演劇、俳優、そして演技術全般について包括的に論じた理論書であり、国民の道徳機関としての劇場機能の強化も併せて説いている。本稿の第一章は、18世紀以降のドイツの標準語形成運動と、それに並行して議論されてきた俳優の語り言葉に関する問題を取り扱った。その際に、レッチャーの音声論が、ドイツの標準語形成運動において、俳優の語り言葉の統一化と純粋言語への模範化に際して理論的な後ろ盾となったことを指摘した。そして第二章は、レッチャーの標準語と方言をめぐる考察をいくつか抜粋し、それを言語ナショナリズムに関連付けて論じた。レッチャーの音声論は、ドイツの標準語形成運動におけるナショナルかつ言語教育的な芸術言語の認知の流れを強めた一つの理論書であった。
著者
水田 功
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.20, pp.249-262, 2000-03

ユネスコ(UNESCO:United Nations Educational Scietific and Cultural Organization)というと、日本では、最近は世界遺産の保護のイメージが強いように思えるが、いうまでもなく、ユネスコは、パリに本部を置く、教育 ...
著者
山本 藍子
巻号頁・発行日
2017

筑波大学修士(図書館情報学)学位論文 ・ 平成29年3月24日授与(37751号)