著者
井上 大介 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2489-2501, 2002-08-15

ステガノグラフィは真に伝えたい情報を見せかけの媒体の中に埋込み伝送すると いう方法で,通信行為の存在を秘匿することを目指す研究分野であり,画像,音声,テキストなど様々な媒体を用いたステガノグラフィ方式が研究され てきている.本論文では,楽曲の演奏データとして広く利用されているスタンダードMIDIファ イル(SMF)を媒体とするステガノグラフィ方式 ---SMFステガノグラフィ--- を提案し,それが媒体の演奏音をまったく変化させるこ となく,ファイルサイズに対して平均約1[%]の情報を埋込むことができる能力 を持つことを実験的に実証する.また,クォンタイズと呼ばれる音の時間情報 の操作を適用することで,SMFに埋込むことのできる情報量が向上することを実 証する.さらに,SMFステガノグラフィの安全性についての議論を行う.
著者
川内 見作 末田 航
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.92-99, 2017-09-09

ドローンによる空撮カメラ操作やVR機器の基幹部品の一つである格安なヘッドトラッカーを開発した。簡単に入手可能なセンサー等を使用し、全部品を5米ドル以下で調達可能な構成としたオープンソース(各種設定用GUIとファームウェア)・オープンハードウェア(使用コンポーネントを簡易に接続できる回路基板)のヘッドトラッカーとして開発実装及びGithubへ公開した取り組みを紹介する。今後の展開として、現在ヘッドトラッカーやカメラ操作用ジンバルの需要の高い空撮ドローンのコミュニティに向け公開することで、有志の開発者による改善や応用アプリケーション開発促進をめざすだけでなく、簡易に制作導入可能なヘッドトラッカーの激安化によって、必要としながらも従来導入を躊躇していた用途への導入促進もめざす。
著者
市川 孝一
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.123-130, 2003-01-01

The purpose of this paper is to review books, articles and essays on youth and youth-culture in post-war Japan. People born after World War Ⅱ are divided into four generations, according to the time when they become adolescent.— 1960’s: Dankai-no-Sedai (first baby boomer in post-war period), 1970’s:Shirake-Sedai (apathy generation), 1980’s:Shinjinrui-Sedai (new-species generation), 1990’s:Dankai-junior Sedai (second baby boomer in post-war period). \nCharacteristics of each generation are described as follows: Dankai-no-sedai: spirit of resistance and protest, Shirake-Sedai: apathy and moratorium, Shinjinrui-Sedai: super-individualistic, ego-centric, Dankaijunior-Sedai: indifferent to others, lack of imagination. \nThese characteristics and traits have been gradually generalized as those of common Japanese in later times. And Japanese mass-culture has been influenced by youth-culture. Youth and youth-culture is a significant indication of future images of people and culture in general. It is the reason why we examine the changes of these features.
著者
金子 卓弘 平松 薫 柏野 邦夫
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-208, no.36, pp.1-8, 2017-09-08

本稿では生成的属性制御と呼ぶ新しい問題に取り組む.生成的属性制御では,画像の生成または編集を,属性内多様性 (例えば,笑顔属性であれば微笑み,大笑い,にやり笑いなどの様々な笑い方) を直感的に制御しながら行えるようにすることを目指す.これを実現するためには,画像の表現空間があった時に,(1) 個人性と属性が分離され,さらに,属性に対して (2) 高い表現力と (3) 高い操作性が得られていることが必要になる.これらを満たすために,本稿では Conditional Filtered Generative Adversarial Networks (CFGAN) と呼ぶ Conditional GAN (CGAN) の新しい拡張モデルを提案する.CGAN は GAN を条件付き設定に拡張したもので,属性の観測変数を生成器と識別器の入力に組み込むことで,表現空間内で個人性と属性を分離することを可能にしている.一方で,表現力と操作性は観測変数に強く制約されており,例えば,観測変数が属性の有無を表すバイナリであればオン ・ オフの制御しかできなかった.これに対して,CFGAN では新たにフィルタリング構造と多次元の隠れ変数を導入し,属性の観測変数の値に応じて隠れ変数のフィルタリングを行う.これにより属性は多次元的に表現されるため表現力を高めることが可能であり,さらに,フィルタリング構造と隠れ変数の分布形状を工夫することで様々な制御を実現することが可能である.実験では,CFGAN を MNIST,CUB,CelebA データセットに適用し,様々なデータに対して属性内多様性を制御しながら画像を生成または編集できることを示す.さらに,本手法を属性転写と属性に基づく画像検索の二つのタスクに適用し,本手法が属性の表現学習にも有用であることを示す.
著者
西田 友是
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2015-CG-161, no.22, pp.1-7, 2015-10-30

コンピュータグラフィックスの研究が始まり 50 年が経過した.著者はこの分野の萌芽期の 1970 年から研究を開始し,隠面消去や陰影処理などの基礎的な研究からはじめ,照明効果から自然物の表現,NPR など広範囲の研究に携わった.本年度の SIGGRAPH ASIA での Pioneers Panel (CV,VR,CG各分野のパイオニア) のパネリストの 1 人が,西田の CG 画像は 「照明効果のみでもリアリティを表現してるので感激した」 と数年前言ってくださったのがヒントなり,物体の複雑さのみでなく半影や相互反射など照明モデルのリアリティへの挑戦を講術する.特に,筆者がパイオニアである光源の種類による半影,相互反射計算,粒子による散乱による光跡 (ボリュームライト),天空光のような環境光源など CG の技術要素を紹介する.
著者
望月 正弘
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:21888590)
巻号頁・発行日
vol.2015-BIO-43, no.4, pp.1-2, 2015-09-05

コンピュータによる予測で医薬品候補化合物を選別する技術バーチャル・スクリーニングは,創薬の効率化に重要である.発表者は,並列生物情報処理イニシアティブが主催するオープン創薬コンテストへの参加を通じて,提案手法の有効性を検証した.本手法は,(1) スクリーニング対象化合物とターゲットを阻害する既知化合物の物理化学的性質の類似性を定量的に評価し “薬らしさ” に欠ける化合物を排除する段階と (2) 化合物の構造情報に加えてアッセイの実験条件を特徴量として用いた機械学習による薬剤活性予測の段階の 2 段階から構成される.最終的に医薬品候補として予測した化合物のうち,182 化合物が実際にアッセイの対象とされ,9 個のヒット化合物を得た.
著者
天沼 香 Kaoru Amanuma
雑誌
東海女子大学紀要 = Bulletin of Tokai Women's University (ISSN:02870525)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-30, 1986-01-01

In this thesis, I want to notice Jugo Sugiura's Thought on the Emigration. He was a ultra nationalist in Meiji and Taisho era. Especially he wrote so many nationalistic theses, articles and essays in his middle age in the middle of Meiji era. Sugiura wrote several articles about the emigration and emigrants in newspapers in that term. From these articles, I analyzed his thought on them. He wanted to promote the emigration from Japan to the foreign countries just to invade the foreign countries to get cnlonies and to enhance the national nrestige of Janan.
著者
中野 由章 中山 泰一
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.441-442, 2017-03-16

高等学校で新教科「情報」が2003年度から必履修となり,その教員養成が現職教員を対象として2000年度から3ヵ年に亘って行なわれた。また,大学の情報科教員養成課程も数多く設置された。しかしながら,情報科が新設されて十数年が経過したにも関わらず,情報科の教員採用は極めて限定された都府県市でしか行なわれていない。また,採用試験の受験条件に,他教科には見られない「複数免許保有」を付しているものが多い。それゆえ,教育現場では情報科教員が不足し,非常勤講師の需要が極めて大きい。そればかりか,免許外教科担任や臨時免許状交付などの非常手段に頼らざるを得ないという状況にある。筆者らは全国の都道府県と政令指定都市の教育委員会に情報公開請求を行ない,その実態を明らかにしたのでそれを報告し,その危機的現状の改善を訴える。
著者
小林 正英 Masahide KOBAYASHI 尚美学園大学総合政策学部 Shobi University
出版者
尚美学園大学総合政策学部総合政策学会
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 = Shobi Journal Of Policy Studies,Shobi University (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.19-32, 2017-12-25

EU-NATO関係は「死に体」と化していると言われる。そうであるとするならば、いつ、どのようにしてそうなったのだろうか。冷戦後、EUが安全保障政策分野に乗り出したことで、NATOとの競合の種は蒔かれていた。しかしながら、ベルリン・プラス合意策定によって競合は回避され、分業と協調の欧州・大西洋安全保障ガバナンスの枠組みが構築されるかに見えた。本論は、ソマリア沖海賊対策作戦に焦点を当てながら2008-2012年のEU-NATO関係の転機について分析するものである。
著者
坂田 静香
出版者
国立女性教育会館
雑誌
NWEC実践研究
巻号頁・発行日
vol.8, pp.111-126, 2018-02-28
著者
小林 亮太 岡本 洋 山川 宏
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.33, 2018-07-01
著者
山下 澄奈 石川 由羽 髙田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.16, pp.1-6, 2017-02-20

本稿では,DCGAN を用いてイラスト画像の自動生成を行う.日本におけるキャラクタービジネスは以前から盛んであり市場規模は増加し続けている.最近では,企業や地方自治体の独自のキャラクターが宣伝活動を行う例も多い.また,SNS のプロフィール写真を独自のキャラクターのイラスト画像にする者も多く,独自のキャラクターを生成し使用する需要が増加している.しかし,知識や技術を持たない者がイラスト画像を 1 から作成することは困難である.そこで,本研究では DCGAN を用いてイラスト画像の生成を行う.また,生成されたイラスト画像を別のニューラルネットワークに入力し変換を試みる.最初に生成された画像と処理を加えた画像の比較をし,考察を行う.