著者
細合 晋太郎
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2016-EMB-43, no.7, pp.1-4, 2016-11-04

組込みシステムにおけるデバイスドライバ開発では,対象とするハードウェアデバイスに関する情報が必要となる.多くのハードウェアデバイスは PDF 形式のハードウェアデータシートが提供されており,ソフトウェア開発者はこのデータシートを元にしてデバイスドライバを開発する.PDF はどのような環境でも同一の表示を得ることができ,人が読むには適した形式であるが,文書構造に関する情報を持たないため,プログラムにより情報を抽出し自動処理等に用いることが難しい.本稿では,PDF の解析を行い,構造情報を再構成することにより,PDF から必要な情報を抽出する方法の提案と,利用方法の一例について述べる.
著者
磯田 達也 井上 創造 花沢 明俊 野原 康伸 白水 麻子 杉山 康彦 平田 真理 町田 京子 中島 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2197-2209, 2016-10-15

本研究では,看護師の業務分析のため,33日間にわたり看護師の業務行動データを収集する実験を行い,業務中の看護師の行動の激しさおよび,業務時間に影響を与える要因について分析を行った.データ収集実験では,38人の看護師を被験者に設定して,装着型の小型センサ端末を装着した状態で業務を行ってもらい,加速度データおよび看護師間の対面情報,看護師業務情報を収集した.また,赤外線を用いた情報通信機器によって看護師の位置情報も同時に収集した.本稿では,看護師業務中の行動の激しさを目的変数,看護師業務ごとの回数,対面回数,場所ごとの訪問回数などを説明変数に設定して,決定木(回帰木)を用いた要因分析を行った.その結果,他の看護師との対面回数が多く,病室に何度も訪れている看護師や,リハビリ介助業務や行動介助業務などの患者の介助に関わる業務を行う看護師ほど,行動の激しさが大きくなるという結果を得た.また,業務時間が業務効率に直結していると考え,各業務時間の長さに影響を及ぼす要因について回帰分析によって調べた.その後,単回帰分析により有意水準5%で有意となった説明変数の業務だけを抽出し,その業務に対して決定木を用いた要因分析を行った.単回帰分析の結果,14の業務において有意な結果が得られた.また,決定木による要因分析の結果,ほとんどの業務において他の看護師との対面人数が業務時間に影響を与えていることが分かった.また,食事介助業務中に特定の場所に訪れる看護師ほど業務時間が長くなるという結果を得た.
著者
縄田 晶裕 菅沼 明 牛島 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第47回, no.データ処理, pp.229-230, 1993-09-27

日本語文章推敲支援ツール『推敲』は日本語文章を字面だけで解析して、推敲に役立つ情報を書き手に提供することを目的として開発しているツールである。本論文では、科学技術文献を調査して、字面解析による連用中止法抽出のための判定条件を構築する。
著者
齋藤 歩記 小林 和人 平塚 三好
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-73, no.8, pp.1-4, 2016-08-26

近年深層学習 (ディープラーニング) の飛躍的な進歩により,人工知能 (AI) が日常生活の様々な場面で応用され始めている.一方で,これまで自然人の領分とされてきた創作活動をAIが行うようになり,それによる創作物の保護についても注目が集まっている.本研究においては,政府の検討委員会による見解を参考に,人工知能 (AI) が主体となって発明を行った場合についての発明の保護の在り方について検討する.特に AI の本質的な機能と役割,自然人と AI との関わりといった点に注目し,議論を行う.
著者
Luo Cheng Reiji Suda
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2011-HPC-130, no.19, pp.1-9, 2011-07-20

Even with a powerful hardware in parallel execution, it is still difficult to improve the application performance without realizing the performance bottlenecks of parallel programs on GPU architectures. To help programmers have a better insight into the performance bottlenecks of parallel applications on GPU architectures, we propose an analytical model that estimates the execution time of massively parallel programs which take the instruction-level and thread-level parallelism into consideration. Our model contains two components: memory sub-model and computation sub-model. The memory sub-model is estimating the cost of memory instructions by considering the number of active threads and GPU memory bandwidth. Correspondingly, the computation sub-model is estimating the cost of computation instructions by considering the number of active threads and the application's arithmetic intensity. We use ocelot1) to analysis PTX codes to obtain several input parameters for the two sub-models such as the memory transaction number and data size. Basing on the two submodels, the analytical model can estimates the cost of each instruction while considering instruction-level and thread-level parallelism, thereby estimating the overall execution time of an application. We compare the outcome from the model and the actual execution in GTX260; and the results show that the model can reach 90 percentage accuracy in average for the benchmarks we used.
著者
平井 弘一 Reijer Grimbergen
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.158-161, 2016-10-28

近年,ユーザーが見ている重要な情報をアイコンが覆い隠さないように,焦点付近からずらして表示する研究が行われている.今後,アイコン位置を動的に決定することもあると思われる.このようにアイコン等の表示位置を自動的に調節する場合,人間の視覚特性を理解したAIが行うことが有用であると考え,AIに人間の視覚特性を付与する.本研究では人間の視覚特性のうち,周辺視と呼ばれる部分における特性の一つである正確な位置や形が認識できないという特徴を再現することとした.研究の第一歩として単純な環境であるゲームを用いる.ゲームのジャンルは視野全体を使う弾幕シューティングを選んだ.弾幕シューティングをプレイするAIに人間の周辺視の特徴の一つである,位置を正しく認識できない特性をつける.AIは「ゲーム情報の認識」,「移動すべき位置の割り出し」,「移動方向の決定」を繰り返す.この三つの行動のうち,ゲーム情報の認識に関して,正しく認識できない処理を施す.ゲーム情報を正しく認識できないAIとゲーム情報を正しく認識できるAIの動きを比べ,正しく認識できないAIが人間的な動きを行うようになっているか評価する.AIの試験環境として弾幕シューティングゲームを作成し,AIの性能を評価する.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.100-107, 2016-10-28

「世界コンピュータ将棋選手権」(第10回までは「コンピュータ将棋選手権」)は1990年12月2日に第1回(1日制)が開催され,その後,時期を少しずつ後ろにずらしたため1995年には行われていないが,継続的にほぼ年に1回ずつ開催され,2016年5月3日~5日(3日制)には第26回が開催された.初期のころは上位入賞プログラムも弱いものであったが,2005年ころから急速に強くなり,今日に至っている.ここでは,初期のコンピュータ将棋選手権で活躍したプログラムの実力を検証し,今日への繋がりについて考察する.また,選手権に現れた長手数局について分析する.
著者
吉村 健志 宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.73-80, 2016-10-28

近年,将棋やオセロといった2人零和確定完全情報ゲームにおいて,トップ層の人間と同等の実力を持つプレイヤが実現されている.しかし,ポーカーや麻雀といった不確定不完全情報ゲームでは,そのようなプレイヤを実現することは難しい.本論文は4人零和不確定不完全情報ゲームである麻雀を取り上げる.そこで,本論文では,トップ層の人間に勝る麻雀プレイヤを実現するために,多人数不完全情報ゲームにおける最適行動の探索を検討する.ここでは,トップ層の人間の牌譜の知識を用いず,シミュレーションによって最適解の探索を行うタブーサーチを用いる手法を提案する.タブーサーチを適用するのは,打牌選択の局面と鳴きの局面である.提案手法を実現し,一致率実験とベンチマークプレイヤとの対局実験を行った.一致率実験によって,序盤の局面に対して,有効な和了形を最大$85\%$で見つけることができ,さらに,対局実験によって,提案手法がベンチマークプレイヤよりも優れているという結果が得られた.これらの結果から,タブーサーチによる最適解の探索が有効である可能性を示した.
著者
渡辺 順哉 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.141-148, 2016-10-28

近年,囲碁においてコンピュータプレイヤAlphaGoが世界トップ棋士の一人である李セドルに勝利した[11].囲碁を始めとする様々なゲームにおいてコンピュータプレイヤの強さはプロレベルに達し,個性に関する研究に期待が持たれている.本研究では,広く用いられている探索手法であるUCTの囲碁における個性の実現を目標とする.UCTでの個性の実現にはprior knowledgeとプレイアウト方策の調整が必要である.前者についてはどうぶつ将棋を題材とした先行研究がある[1].この先行研究ではprior knowledgeを用いることで指し手に特徴を持つプレイヤの実現に成功しているが,本来勝率が低いノードを高評価することでプレイヤが弱くなってしまう問題点がある.強さの調整には様々な手法が考えられるが,方策学習によって強さを調整し個性を実現する研究は行われていない.そこで,本研究ではUCTバランシング[2]という学習法とprior knowledgeを組み合わせ,探索全体でのバランスを調整し個性を実現することを提案する.また,強さの具体的な調整手法として,学習局面を調整することを提案する.実験結果から,prior knowledgeによって囲碁における打ち手に特徴が現れること,方策学習の局面数を調整することで強さが制御できることが確認された.また,提案手法で学習した方策を用いることで,対戦の段階でprior knowledgeを用いない場合においても着手が特徴を持つ傾向があることが分かった.
著者
野津 佑太 後藤 嵩幸 橋本 剛
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.123-128, 2016-10-28

コンピュータ将棋の評価関数は,Bonanzaメソッドの考案により機械学習で値を決めることが一般になり,格段にレベルが向上した.現在では,プロ棋士との対局で勝利するなど,トッププロの実力を追い越そうとしている.しかし,中盤以降に比べて序盤が弱いという弱点も抱えている.将棋プログラムの強さは評価関数の精度で決まる.40駒からなる将棋の盤面を評価する際,一般には局面を駒数個からなる部分局面に分割し,足し合わせて評価を行う.現在の多くのプログラムは,駒組み合わせ全てを保持する評価関数を用いているため,3駒程度の少ない駒数にしか分割できない.そのため,序盤で特に重要な盤面の細かな違いを認識することが出来ない.高次元組み合わせ評価を行うためには,重要な駒組み合わせのみを評価する評価関数が必要である.後藤は,重要な駒組み合わせのみを抽出する評価項目自動抽出法を提案し,高次元組み合わせ評価が可能となることを示唆した.しかし,学習や対局中の探索時間が大幅に増加し,まだ実用レベルには至っていない.そこで本研究では,評価項目自動抽出法の高速化手法を提案する.高速化手法を実装し,高速化前のプログラムと速度比較実験・対局実験を行い,性能向上を確認した.
著者
杵渕 哲彦 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.119-122, 2016-10-28

自然な指し手を選択する将棋AI実現のために,人間が用いる思考方法である流れに着目する.遷移確率を流れを表現するものとし,指し手選択の際に,既存のAIが考慮している評価値に加え,遷移確率も考慮することで,自然な指し手の選択を行う,ランキング学習を用いた手法を提案する.評価実験として,最善でない選択が一定数含まれる中級者の棋譜と提案手法の指し手の一致率を測定し,既存手法に比べて一致率の向上が確認された.
著者
原 悠一 五十嵐 治一 森岡 祐一 山本 一将
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.108-111, 2016-10-28

ソフトマックス戦略に基づくシンプルな探索方式を提案し,コンピュータ将棋へ適用した実験結果を報告する.本探索方式では探索木中のノードの評価値は子ノードの評価値を選択確率で重み付けした期待値であり,再帰的に定義される.選択確率は選択先のノードの評価値を目的関数とするボルツマン分布を用いる.探索は実現確率を良さの度合いとする最良優先探索であり,深さの制御には実現確率の閾値を用いた反復深化を用いる.各ノードへの実現確率はルートノードからの選択確率の積で定義する.したがって,将棋の有効な指し手に関するヒューリスティクスは使用せず,最終的には局面評価関数だけに依存する.本発表ではこの探索方式の詳細と評価実験の結果を報告する.
著者
近藤 久 栗原 正仁 大内 東
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第40回, no.データ処理, pp.974-975, 1990-03-14

一般に項書き換えシステムの停止性を検証することは決定不能な問題であることが知られているが、Dershowitzによって提案された単純化順序を用いることによって、特定のクラスの項書き換えシステムの停止性を検証することが可能である。本稿では単純化順序として辞書式経路順序を仮定するが、本稿の考え方は他の順序を仮定しても成り立つ。辞書式経路順序を用いるためには、項を構成している演算子の集合上の半順路を決定しなければならない。この半順路を決定する問題は、多くの不必要な探索、矛盾の再発見、不必要な推論を行う。これらの問題点を避けて効率よい問題解決を実現するためのアーキテクチャとしてATMSが提案されている。本稿では、ATMSを用いた停止性検証システムの開発について述べる。
著者
岩井大輔 三好力
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.333-334, 2012-03-06

ホームネットワークシステムは,住宅内の家電製品やセンサをホームサーバと呼ばれる家電を統括するシステムに接続することで,宅内外からの家電制御や,家電機器の連携,省エネなどのサービスを実現するシステムである.宅内では利用者がリモコン等を操作することで家電制御を可能としている.近年,TVゲーム機の非接触リモコンKinectの家電リモコンへの応用が注目されている.Kinectの特徴として人感センサや,対象物までの距離を測定する距離画像センサが搭載されている.しかし,人感センサにより人物を認識することが可能だが,人物特定は不可能である.本研究ではKinectのセンサを用いた個人識別システムを提案する.