著者
中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.2917-2928, 2006-10-15

シソーラス辞書は,情報検索や自然言語処理,対話エージェントなどの研究領域において幅広くその有用性が実証されてきた.しかし,自然言語処理などによる従来のシソーラス辞書自動構築では,形態素解析や同義語・多義語の処理など,語の関連性を解析する前段階の処理において精度低下を招く要因がいくつかある.また,辞書作成時と利用時のタイムラグにより最新の語や概念への対応が困難であるという問題もある.そこで本論文では,これら2 つの問題を解決するために,ここ数年で急速にコンテンツ量を増加させたWiki ベースの百科辞典である「Wikipedia」に対し,Web マイニングの手法を適用することでシソーラス辞書を自動構築する方法を提案する.
著者
大越 匡 野崎 大幹 フリアン ラモス 中澤 仁 アニンド Kデイ 徳田 英幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1944-1958, 2015-10-15

来たるべきスマート社会においては,多種多様なアプリケーションやサービスが生まれ,ユーザはモバイル/ウェアラブル端末を含む多様なデバイスを複数併用してそれらを利用し,ユーザに対する情報は増える一方,ユーザの「注意」(アテンション)は貴重な資源となり,コンピューティングにおけるボトルネックとなる.本研究では,コンピュータシステムから多種多様な情報通知が行われる状況において,ユーザの認知負荷上昇を抑制できる情報通知のタイミングを検知する基盤技術「Attelia」を提案する.Atteliaはユーザの様々なモバイル/ウェアラブルデバイス上で,生体センサを必要とせず,多様なサービス・アプリケーション側への改変を必要とせず動作し,実時間で情報通知タイミングを検知する.本稿ではスマートフォン上でのAtteliaプロトタイプ実装に基づき,その有効性を示すため被験者30人による16日間の研究室外ユーザ評価実験を行った.その結果Atteliaが検知したタイミングでの情報通知は,ユーザの認知負荷を33.3%減少させる効果を確認できた.
著者
井上 良太 白松 俊 大囿 忠親 新谷 虎松
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.2011-2021, 2015-10-15

発表中における発表者と聴衆とのインタラクションを想定したプレゼンテーションに対する支援が求められている.発表中のフィードバックは,聴衆の理解を支援する反面,発表の妨げになる可能性がある.本研究では,発表中のプレゼンテーション資料上において,発表者および聴衆間のリアルタイムなインタラクションを可能にするための新たなプレゼンテーション支援システムを試作した.本システムにおいて,(1)発表中のプレゼンテーション資料上でのリアルタイムなフィードバック共有,(2)プレゼンテーション資料へのフィードバックの保存,および(3)既存プレゼンテーションシステムへのWebブラウザによるフィードバックが可能の3点を実現した.本論文では,本システムにおけるインタラクティブなプレゼンテーションのための要件および実装を示す.さらに,評価実験により本システムの有効性を示す.
著者
土田 修平 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.193-196, 2015-09-18

移動ロボットがある特定の動作を実際に行っていなくても,その動作を行っているように見せる手法について調査を行う.例えば,球体型LED を移動ロボットに搭載し,移動ロボットの移動に合わせて球体が転がっているかの如く光らせる.これにより,単に球体が転がっていると錯視させられるかどうか調査する.このような錯視を起こすことができれば,俊敏性と特定の動作の二つの機能を備えた移動ロボットが実現できる.
著者
森 哲彦
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-11, 2008-06-25

カントは、1760年代前半の独断的、論理的形而上学期において、伝統的なドイツ形而上学に依存しつつも、真に自立した形而上学者の立場を表明する。統いて1760年代半ば以降の経験的、懐疑的形而上学期では、ドイツの伝統的哲学と関わりながらも、研究に社交的文明精神を導入することにより、人間学的観察と道徳的原則の探究を行うものとなる。このようなカントの新しい思想的「変化」は「カントにおける一つの革命」と評される。本論で取り上げる著作『美と崇高の感情の観察』1764年においてカントは、当時ドイツで紹介されていたイギリス道徳哲学、とりわけハチスンの道徳感情論を取り上げ、伝統的な哲学者としてよりも観察者の眼をもって「美と崇高の感情」に現れる様々な諸相を、美学的、人間学的に分析する。だが文明化した社会の「多様性のただ中の統一性」を観察するイギリス道徳感情論にカントは満足せず、文明化した人間社会を批判するルソーの思想に出会い、新たな転向を迎えるものとなる。カントがルソーの思想を取り上げる著作は『美と崇高の感情の覚書』1765年である。この著作は、前著作『観察』の余白にカント自身によって書き込まれた種々の断片的な文章により構成されている。そこにおいてカントは、ルソーがいうように堕落した文明を批判し、単純で自足した自然にもどることを、提唱するのではなく、文明化した社会を人間、自然、自由、および意志の完全性により啓蒙し、新しい道徳的原則を、志向しようとするものである。
著者
金 明哲 田中 栄一 丁 光躍
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第40回, no.人工知能及び認知科学, pp.480-481, 1990-03-14

近年,中国語の計算機処理の研究が進んでいる.中国語を併音で計算機に入力したり,中国語音声の機械認識をするとき,中国語の言語情報を有効に利用しなければならないことは疑いない.そこで中国語の性質を知るために文献2)の中国語高頻度単語6321語について,声母,韻母の出現頻度,声調分布,字数による単語長,声母数に基づく単語の分布,同字数単語中に占める近距離単語数などの調査を行なった.
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.12, pp.1-4, 2015-10-03

2014 年 9 月より英国 (イングランド) の公立小学校の全学年にこれまでの教科 「ICT」 に代わり,新教科 「Computing」 が導入された.この 「Computing」 に関しては,national curriculum では児童が教わるべき内容は,非常に簡潔に記載にとどまり,具体的なカリキュラムについては小学校に任された.本報告書では,現在最も多くの小学校で採用されている教材集である 「SWITCHED ON Computing」 から,プログラミング教育に関する内容を抽出して,その内容の概略を紹介し,3 回に渡って継続的に調査したロンドン市内の小学校での実施状況も含めて報告する.
著者
LEON-GONZALEZ Roberto
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.15-17, 2015-10

This paper develops a novel and efficient algorithm for Bayesian inference in inverse Gamma Stochastic Volatility models. It is shown that by conditioning on auxiliary variables, it is possible to sample all the volatilities jointly directly from their posterior conditional density, using simple and easy to draw from distributions. Furthermore, this paper develops a generalized inverse Gamma process with more fl‡exible tails in the distribution of volatilities, which still allows for simple and efficient calculations. Using several macroeconomic and fi…nancial datasets, it is shown that the inverse Gamma and Generalized inverse Gamma processes can greatly outperform the commonly used log normal volatility processes with student-t errors.
著者
柳井孝介 やないこうすけ Kohsuke Yanai
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-38, 2014-11-12

This paper discusses architecture for artificial intelligence (AI) that can debate problemswith humans. The proposed architecture is composed of (1) offline system which createstext annotations over large amount of text data in advance, and (2) online system which runsvarious algorithms asynchronously in real time. We built a prototype of debating AI system basedon the architecture and evaluated it over 50 discussion topics extracted from a popular debatewebsite. The AI system outputs three opinions per a discussion topic; each opinion is composedof 7 sentences. Thus, it outputs 150 opinions for 50 topics in total. We found that in 61 opinionsout of 150 the argumentations are understandable. We plan to develop a feature of combinatorialoptimization of algorithms onto the architecture as a future work.
著者
八上 全弘 江本 豊 菊地 徹 相馬 英智 青山 岳人 山本 裕之 富樫 かおり Masahiro Yakami Yutaka Emoto Toru Kikuchi Hidetomo Sohma Gakuto Aoyama Hiroyuki Yamamoto Kaori Togashi
雑誌
SIG-AIMED = SIG-AIMED
巻号頁・発行日
vol.001, 2015-09-29

To facilitate the meaningful use of medical record and report, we propose a new concept that can enhance expressiveness of structured medical records and reports. A medical record or a report based on the proposed concept is composed of entries and links, while a conventional one is composed of predefined sections, such as “FINDINGS” and “IMPRESSION” or such as "Subjective", "Objective", "Assessment" and "Plan", containing narrative sentences, respectively. Each entry can be an image annotation or a unit of description such as findings of a lesion, a possible diagnosis, or a recommendation. Links express relationships between pairs of entries, such as causation and correspondence. Links are characteristic components of such a record or report, and play an important role to provide a perspective on it. The proposed concept was implemented in a prototype reporting system that can cooperate with a PACS viewer. Using the system, 27 radiologists interpreted 54 CT studies including 27 follow-up ones. After the interpretation, they responded to a questionnaire on the system. According to the response, most of the radiologists thought that the prototype system was superior to conventional ones in many aspects.We believe, the proposed concept will be implemented in many hospital information systems, then play a pivotal role in linking various kinds of medical data among different departments to facilitate big-data utilization.
著者
貝谷渚
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.11-12, 2013-03-06

Twitterでは、個々のツイートの文章だけでなく、どれぐらいの頻度でツイートし、どんな人をフォローしているのか、ユーザの状況を知ることは、新たなフォロワーを探す上で重要である。そこでTwitterでツイートする度に花が咲くシステムを提案した。このシステムでは、1ツイートするごとに、リプライ(返信)、リツイート(RT)、#タグ等の状態に応じた花が咲く。これにより、ユーザがどの程度ツイッターを利用しているか、花を通して一目でわかる。また、花壇をつくる楽しみや、他人の花壇をきっかけに興味を持たせ、新しいコミュニケーションが期待できる。
著者
樋渡仁 岩村相哲 新井克也
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.227-234, 2011-07-15

本論文では,我々のクラウドコンピューティング環境において,多数のHDDが故障した事例を取り上げ,故障実績を調査した.この故障実績をもとに,HDDの寿命分布を求め,代表的な寿命分布をあてはめた.赤池の情報量基準(AIC)を用い,適合度を評価すると,ワイブル分布(形状母数α=1.508)が最も良くあてはまることが分かった.この結果から,交換用HDDの必要数を推定する手法を提案した.さらに,RAIDコントローラが保持するHDDの状態とHDDの平均寿命について調査した.コマンド中断数,メディア故障数,接続失敗数とHDDの平均寿命に有意な相関関係があり,幾つかの仮定の下で我々のHDDの故障物理が速度過程モデルに従うことが分かった.この結果から,メンテナンス時にHDDの余命を推定し,予防的に交換する手法を提案した.
著者
カオタン 和田康孝 近藤正章 本多弘樹
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2013-HPC-141, no.20, pp.1-8, 2013-09-23

将来の HPC システムでは,消費電力がシステム設計や実効性能を制約する最大の要因の一つになると考えられている.運用時のピーク消費電力が電力制約を超えないことを保証する従来の設計思想では,アプリケーションを今後の大規模システムに対してスケールさせることは難しいとの認識のもと,我々は,ピーク消費電力が制約を超過することを積極的に許容し,適切に電力性能ノブを調整しつつ限られた電力資源を有効に使用して高い実効性能を得る電力制約適応型システムと,その実現に必要となる電力マネージメントフレームワークの研究開発を実施している.このような電力制約適応型システムにおいては,アプリケーション実行時の電力消費状況を観測し,また柔軟に電力制御を行える環境が必須となる.近年の Intel 社のプロセッサには RAPL (Running Average Power Limit) と呼ばれるプロセッサと DRAM の消費電力を観測・制御するインタフェースが備えられている.本稿ではこの RAPL を用い,アプリケーションを実行させた際の消費電力計測と制御を行い,HPC システムに用いられる計算機の電力計測特性について調査する.また,ノード全体の電力の柔軟な計測を可能とするべく,RAPL の計測値を用いてノード全体の電力のモデリングを行う.実験の結果,RAPL により高い精度でプロセッサや DRAM,またノードの消費電力を観測できることがわかった.
著者
四津谷 孝道 Kodo Yotsuya
出版者
国際仏教学大学院大学
雑誌
国際仏教学大学院大学研究紀要 = Journal of the International College for Advanced Buddhist Studies (ISSN:13434128)
巻号頁・発行日
no.3, pp.354-333, 2000-03-31

The Middle Way may be, roughly speaking, understood from the philosophical point of view that things are neither existent nor nonexistent(非有非無). Nagarjuna seems to assume that this philosophical understanding of the Middle Way is taught so as to cancel any discursive knowledge whatsoever, including discursive knowledge of existence and that of non-existence, both of which pertain to the most fundamental categories by which to comprehend phenomena. Tsong kha pa gives two sorts of interpretations of "neither existcnce nor non-existence." In a context which concerns "the four alternative positions" (catuh-koti) along the same lins as Nagarjuna does and assumes that one should negate any discursive knowledge whatsoever that presupposes hypothesized entitics, namely, not only hypothesized existence (有), but hypothesized non-existence (無) as well. However, unlike other Madhyamaka followers, including Nagarjuna, he thinks that mental activities should be classified as virtuous (prajna) viz. the understanding of non-substantiality (vicious). We must not discard the former. In another context, he gives another interpretation of it in terms of the "two truths theory" (satya-dvaya). It shows that the hypothesized entities are denied on the uhimate level(非有), but everyday things must remain undenied(非無)on the conventional level.
著者
澤田 敬治 手塚 太郎 木村 文則 前田 亮
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.データベースとメディア, pp.563-564, 2009-03-10
著者
後藤 昭雄
出版者
成城大学
雑誌
成城国文学 (ISSN:09110941)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-14, 2013-03