著者
髙橋 昂也 前田 幸嗣
出版者
九州大学大学院農学研究院
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:13470159)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.27-38, 2015-02

日豪EPAが2014年4月に大筋合意に至り,豪州産牛肉については,セーフガードを設定した上で,冷凍牛肉の関税率は19.5%,冷蔵牛肉の関税率は23.5%まで,それぞれ段階的に引き下げられることが決定した。また,現在,わが国が参加している環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では,日米の協議において,牛肉の関税水準およびセーフガードが争点の1つとなっている。以上のようにわが国では現在,関税削減などによる国産牛肉生産への影響が懸念されているところである。そこで,本稿では,わが国における牛肉の貿易自由化に関する計量経済研究のサーベイを行い,牛肉の貿易自由化の影響を計量経済学的に分析する際の課題を明らかにする。
著者
山本 伊都子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.71-82, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

本研究は,ICU看護師は看護実践においてどのような困難さを感じているのか明らかにし,看護実践に対する困難さと職務継続意思との関連を明らかにすることを目的とした. ICUで働く看護師199名(平均年齢31.8歳,ICU経験年数56か月)を対象に自記式質問紙調査を実施した.調査内容である看護実践に対する困難さ,職務継続意思については,ICU看護師33名からのインタビューデータから質問項目を作成した.因子分析を行ったところ,看護実践に対する困難さは5因子,職務継続意思は1因子となり,Cronbach αはそれぞれ0.8以上が得られた. 対象者の74.9%は自分の1つ1つの行為が患者の命を左右していることにこわさを感じ,71.3%は瞬時の判断が求められることに難しさを感じていた.また,重回帰分析の結果,看護実践に対する困難さの1因子である「緊迫した状況に身を置きながら看護を続けることの難しさ」とICU経験年数は職務継続意思に負の影響を及ぼしていた.
著者
平川 和 Hirakawa Nodoka
出版者
三重大学教養教育院
雑誌
三重大学教養教育院研究紀要 = Bulletin of the College of Liberal Arts and Sciences, Mie University
巻号頁・発行日
no.4, pp.43-52, 2019

\n2017年に逝去したデニス・ジョンソンは、小説家の他に、詩人・戯曲家・ジャーナリストなど多様な肩書きを持つ作家であった。短編集『ジーザス・サン』(1992)でカルト的人気を博し、長編小説『煙の樹』(2007)で全米図書賞をしたことで現代アメリカ作家として盤石の地位を築いたと言えよう。一方で、上記2作品以外には、それほどジョンソン作品の研究が進んでいないのが現状である。本稿では、ジョンソンが生前に発表した最後の長編小説『笑う怪物たち』(2014)に焦点を当て、彼のジャーナリストとしての横顔にも着目しつつ、作品のメタフィクショナルな読解を試みる。『笑う怪物たち』はアフリカを舞台にしたスパイ小説である。しかし、主人公のネアはスパイとしてはあまりにも無能で、何ひとつ任務を果たすことはない。ならば、『笑う怪物たち』は反スパイ小説なのだろうか。いや、この小説が極めてスパイ的性質を帯びるのは、物語内容においてではなく、むしろメタフィクショナルな次元においてである。この小説では、現実を偽るスパイの偽装工作を、虚構を生み出す作家の創作行為に重ね合わせて読むことができる。また、語り手ネアの語りが途中から「日記調」に変化することで、この物語が「書かれたもの」であるという意識が先鋭化する。さらに、とりとめのない内容を記述したネアの日記には、アフリカの暗部を伝えるジャーナリズム的な筆致も見られる。journal という単語が「日記」と「新聞」の両方の意味を持つことを鑑みれば、ネアの書く文章を「日記に偽装した新聞」として読み替えることが可能だろう。『笑う怪物たち』は、小説そのものが偽装するというメタ的なスパイ・パフォーマンスをしているのである。
著者
S. Durai Raja Singam
出版者
Archipelago
巻号頁・発行日
1980
著者
玉川大学 ミツバチ科学研究施設
雑誌
ミツバチ科学 (ISSN:03882217)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.117-128, 1997-07-30
著者
Okada Ichiji
出版者
松村 松年
雑誌
Insecta matsumurana (ISSN:00201804)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2-3, pp.91-98, 1938-03
著者
安部 力 森田 啓之
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.95-100, 2021 (Released:2021-04-15)
参考文献数
24

内耳(骨迷路)にある前庭系の末梢器官は耳石器と半規管で構成されている.耳石器(球形嚢と卵形嚢)は重力や頭位を,また半規管は回転加速度を認知する.これらの末梢器官は眼球運動(前庭動眼反射)や姿勢(前庭脊髄反射)を制御している.興味深いことに,末梢前庭器への刺激は交感神経を介した動脈血圧応答を引き起こすことも明らかになってきた(前庭動脈血圧反射).さらに,この応答性は重力環境変化による前庭系の可塑により低下することがわかってきた.本稿では,起立耐性に対する前庭動脈血圧反射の役割について説明する.また,高齢者や宇宙飛行士の前庭機能低下に対する末梢前庭器電気刺激法の可能性についても述べる.
著者
織田 晃嘉 Teruyoshi Orita
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.46-59, 2002-02-10
著者
倉田 実
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻国文 (ISSN:02870819)
巻号頁・発行日
no.26, pp.p1-19, 1995-03

1 0 0 0 兎のダンス

著者
野口 雨情[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1929-10

1 0 0 0 OA 集古十種

著者
松平定信 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[10],
著者
三谷 真
出版者
關西大學商學會
雑誌
關西大學商學論集 (ISSN:04513401)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3-5, pp.678-690, 1986-11-04

創立百周年記念 特輯
著者
浅見 克彦
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.299-313, 2003-12-16

マクルーハンは、晩年の著作、Laws of Media とGlobal Village で、彼のメディア理解をシフトさせた。第一に、72年前後から彼が採用した「図-地」の分析枠組の顕著化により、メディアとその社会的環境との相互作用、とりわけ「図」としてのメディアが、「地」である社会的環境に左右されつつ形成される関係が明確化された。メディアが人々の認識様式や文化環境を左右することを強調する それまでの理論的構図に、社会的環境がメディアのあり方に作用するという「裏の」関係が付加されたのである。第二に、誤解の余地なく技術決定論を否定する説明の図式が築き上げられた。とりわけ、人間のあり方を規定するメディアの作用を強調し、人間をテクノロジーの下僕と見なす理解が事実上否定され、メディアが「使用者の精神性」の所産であることが明確化された。第三に、右脳と左脳の共働という脳神経学の知見に触発されながら、聴覚的なニューメディアが視覚的な活字文化を駆逐してゆくという将来予測が、ニューメディアと活字文化の共存、並立を強調する理解へとシフトしていった。晩年の両著作は、マクルーハン理論への多くの誤解をとき、新たな理論的探求を可能にする刺激的な記述に満ちている。
著者
岡崎 俊太郎
出版者
生理学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,発声と聴覚(音声の聴取)の相互作用とその神経基盤に着目し,これまで吃音者の流暢性を増大させるために用いられてきた手法の作用機序を解明することである.特に発話が聴覚フィードバックに合わせて実行されてしまう「引き込み現象」について非吃音者および吃音者においてその特性を網羅的に調べた. 13名の非吃音者および吃音者5名において自声および他声を聴取したときの発話の音響特性を分析した.その結果,発話の途中における引き込み現象は非吃音者および吃音者双方に観測され,この現象によって,斉唱や遅延聴覚フィードバックが,吃音者の非流暢性低下させるメカニズムを説明できることが分かった.また発話の開始時においては非吃音者では引き込み現象が起こらず,能動的に発話を開始していたが,吃音者では発話の開始自体を聴覚フィードバックに対する引き込みに依存する傾向が見られた.この結果から,聴覚情報として自分の声が必要な遅延聴覚フィードバックよりも斉唱のほうが吃音者の非流暢性低減に高い効果を示す理由が説明できる.本研究の結果は,今後の吃音に対する言語聴覚療法に対して有用な情報を提供し,これまで健常者だけでは不明瞭であった発話制御機構の神経基盤解明につながるものである.