著者
河口 和幸
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-22, 2017

近年、わが国では企業による粉飾決算や偽装工作等の不正が頻発するようになってきている。こうした企業倫理の低下を象徴するような事態が発生するようになった背景には、①短期利益追求主義の強まり(資本主義精神の変質)、②日本的経営手法の変質、③企業組織の中に未だに残る暗黙のムラ社会の雰囲気の存在、④メインバンクのモニタリング機能の弱体化、⑤企業が掲げる CSR の履き違え(または曲解)の5点があるものと考えられる。企業に内在する体質と風土は、問題が発生した際のマスコミ等に対する危機管理広報の際にも表れる。中には、拙い対外広報によって傷口を広げてしまい、世間からの批判が強まって信頼を失ってしまうようなケースも少なくない。企業倫理の向上のためには、これといった決め手があるわけではないが、①まずもって経営トップの高い倫理観が必要であり、それを前提に、②コーポレートガバナンスの制度化等の体制の整備・強化、③経営理念を意識した経営計画の策定と社員教育の徹底、④社内での闊達な議論風土の醸成による風通しの向上などの基本的動作が欠かせないだろう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.456, pp.23-26, 2008-09-26

ミスや偽装、手抜きなどを隠すことができない世の中になってきた。不正行為の通報を促す環境が徐々に整備され、発覚件数は増えている。ミスや不正の責任を追及する風潮も強まり、企業や組織だけでなく個人にも厳しい処分が及ぶようになってきた。

1 0 0 0 IR BSE報道再考

著者
常木 暎生
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.213-232, 2007-03

BSE感染牛が日本で発見されてから5年半が経ち、BSE問題がようやく落ち着いた現在、BSEが人々に与えた影響を再検討する。新聞記事データベースを利用して記事内容を分析し、政府の初期対応の遅れ、徹底した牛検査、アメリカ牛輸入再開、人々のBSE不安、食品業界による牛肉偽装工作を検証し、BSE問題の背景には食の安全性に対する人々の懸念が存在していると論じた。
著者
松下 正 佐々木 茂雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-22, 1980-01-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

1979年3月に本格運転を開始した新型転換炉原型炉「ふげん」発電所は,わが国で初めての重水減速軽水沸騰冷却型原子炉である。減速材系,すなわち重水系より発生する劣化重水を再使用するために重水濃縮を行う重水精製装置を設置した。重水精製装置は,建屋工事を含めると1977年12月より建設に着手し, 79年4月末に良好な結果をもって完成することができた。装置は無隔膜減容電気分解方式を採用し,年間95W/Oの劣化重水5tを濃縮し, 99.8W/Oの重水を4.4t回収する設備能力を有する。本稿では,装置の設計,建設,運転結果について述べる。
著者
雨森 正記 西垣 逸郎 荻野 賢二 山下 滋夫 馬場 道夫 小杉 圭右 繁田 幸男 上田 恵一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.547-551, 1989-07-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

ケトアシドーシスにて発症したインスリン依存型糖尿病 (以下IDDM) に, インスリン持続皮下注入療法 (以下CSII) を施行中, 色素性痒疹を合併した症例を経験したので報告する.症例. 44歳男性. 糖尿病性ケトアシドーシスにて入院第3病日より, CSIIを開始した. 第5病日頃より, 著明な掻痒を伴う痒疹様発疹が出現, 血糖コントロールの増悪に伴い発疹も増悪し, CSIIを中断せざるを得なかった. 血糖コントロールの改善に伴い顔面及び四肢の痒疹は軽快した. 皮膚所見及び皮膚生検より色素性痒疹と診断した. 色素性痒疹は本邦において第1例が報告されて以来, 主として本邦で症例報告がなされているが, IDDMと合併した症例は国内外を通じ, いまだ報告をみず稀な症例と考えられた.
著者
千野 栄一
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-16, 1972-03

1 0 0 0 OA 集古十種

著者
松平定信 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[25],

1 0 0 0 OA 集古十種

著者
松平定信 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[15],
著者
佐藤 健太郎 小泉 源也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.370-374, 2017-06-20 (Released:2017-07-20)
参考文献数
15

24カ月齢の黒毛和種肥育雌牛が慢性的な下痢を呈し,充実性組織塊が混在する水様性下痢,血液検査で栄養状態の低下と好酸球増多症を認めた.糞便より有意菌や寄生虫卵等は不検出であった.組織塊の細胞診で好酸球性炎による腸粘膜が剝離したものと推定し,好酸球性腸炎と診断した.また,当該牛は慢性的に高GGT血症を示し,16病日と47病日に下痢が再発した.粗飼料中のマイコトキシン検査では残飼稲ワラにおいて総アフラトキシンとして60病日に0.152mg/kg,120病日に0.300mg/kgが検出され,アフラトキシン中毒が示唆されたが,副腎皮質ホルモンを中心とした治療やマイコトキシン吸着剤の飼料添加後,栄養状態の改善が認められ,50病日以降の下痢の再発や好酸球数の増加は認められなかった.以上より,本例はアフラトキシン中毒を併発した好酸球性腸炎と考えられた.
著者
片岡 一則 横田 隆徳 位髙 啓史 津本 浩平 長田 健介 石井 武彦 西山 伸宏 宮田 完二郎 安楽 泰孝 松本 有 内田 智士
出版者
公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター)
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2013

脳は高度に発達した生体バリアに守られているため薬剤の送達が極めて困難な部位である。本研究では、この生体バリアを克服して核酸医薬を脳内に送達して機能させるウイルス・サイズの薬剤送達システムを、高分子材料の自己組織化(高分子ミセル化)に基づいて構築した。すなわち、(1)血管内腔側内皮に局在するグルコース輸送タンパク質を標的とするグルコース結合型高分子ミセルを創製し、血管内腔からの脳内薬物移行を制限する内皮細胞バリア(血液脳関門)を突破して核酸医薬を脳内送達する事によって、アルツハイマー病(AD)の発症に関わる酵素の産生を抑制する事に成功した。(2)生体内で速やかに酵素分解を受けるmRNAのミセル内包安定化を達成し、脳室内局所投与による単鎖抗体のその場産生を実現する事によって、AD発症に関わるタンパク質であるアミロイドβ量を有意に低下出来る事を実証した。