著者
中原 健一 島田 史也 宮崎 邦洋 関根 正之 大澤 昇平 大島 眞 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

株式市場における売買審査業務をより効率的かつ合理的に行うために,定量的に見せ玉を検知する手法を提案する.本手法においては,教師ラベルを使用せずに相場操縦行為中に見られる不自然な取引履歴を発見するため,密度比推定による異常検知手法を用いた.東京証券取引所の上場銘柄の中より無作為に選択され,専門家チームによってラベル付けされた118 件の半日単位の一銘柄取引履歴による検証結果によると,見せ玉が疑われる事例の80%は,モデルが予測した異常度順にソートした事例の上位50%に含まれ,実務で使用されている単純な規則によるスクリーニングの結果と比較して更なる精緻化が達成できていることが示された.
著者
小林 和夫 Kazuo KOBAYASHI
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.87-108, 2018-03-20

本論の目的は,日本占領期ジャワにおける隣組制度が,1944年1月のジャワ全土での導入前に,段階的に各地で設置されていたことをあとづけることにある.本論では,日本占領期のジャワで隣組制度がいちはやく導入されたバンドゥン市における既存の隣保制度,隣組の法的位置づけ,設置目的,機能を論じる。 分析の結果,本論で示したバンドゥンをはじめとする各地の隣組は,ジャワ軍政による動員と統制を容易にする機能をはたしていたこと,インドネシアの「伝統」とされ,相互扶助を表象するゴトン・ロヨンを制度化するかたちで導入されたことが明らかになった。
著者
草田 裕紀 水田 孝信 早川 聡 和泉 潔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.675-682, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
5

We analyzed the impact of position-based market maker, which tries to maintain its neutral position, to the competition among stock exchanges by an artificial market simulation approach. In the previous study, we built an artificial market model and investigated for the impact of non-position-based market maker's spread to the markets' shares of trading volumes. However it had the serious problem that the non-position-based market maker is too simple to manage its own position properly and so we could not judge weather the result of previous study is correct or not. Thus in this study, we made a position-based market maker and explored the competition, in terms of taking markets' shares of trading volumes, between two artificial financial markets that have exactly the same specifications except existing a market maker, the non-position-based market maker or the position-based market maker. As a result, we found that the position-based market maker can acquire the share of trading volumes from the competitor even though its spread is bigger than bid-offer-spread of the competitor. Moreover, we revealed that position-based market maker can get a profit even in the situation that its spread or tick sizes of the stock exchanges are small. In addition to that, position-based market maker made a profit in almost all experiments which we conducted in this research by changing its spread and tick sizes of markets. At last, we confirmed that position-based market maker can manage its position properly compared to non-position-based market maker. In conclusion, the position-based market maker can not only supply liquidity to stock exchanges and contribute to acquire the share from the competitor as well as the non-position-based market maker does, but also manage its own position properly and make a profit.

8 0 0 0 OA 群盗 : 悲劇

著者
シルレル 著
出版者
古今書院
巻号頁・発行日
1924
著者
井上 隆弘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.257-291, 2008-03-31

近年、神楽祭儀の根底にある死霊祭儀としての側面に光があてられている。筆者も前著『霜月神楽の祝祭学』において、静岡県水窪町の霜月祭と呼ばれる湯立神楽の深層にある死霊祭儀としての性格について明らかにした。そうした知見をふまえるなら、同じく死霊祭儀としての性格をもつ念仏踊と神楽の比較研究は必須のものといわなければならない。本稿は、こうした立場から、水窪における霜月祭と念仏踊の祭儀の構造比較をとおして、両者に共通する死霊祭儀の特徴的な性格を明らかにし、三信遠における神楽や念仏踊の研究に資することを意図したものである。まず霜月祭についてみると、そこには特有な二重性が見られる。神名帳には一般の神々と区別される形で、ともすれば崇りやすい山や川などのさまざまなマイナーな神霊の名が挙げられ、また死霊の名が公然と記されているのが水窪の特徴である。また、この二重性は湯立や神送りの祭儀にも見られる。死霊を祀る湯立や死霊を送る神送り祭儀が、一般の神々のそれとは明確な区別をもって執行されているのである。念仏踊について見ると、霜月祭と同様の神名帳を読誦する大念仏などと称される踊りが行われるのが水窪の特徴である。新盆踊においては新霊供養の和讃が重視されるが、それ以外の施餓鬼踊、送り盆などでは神名帳を読誦する念仏のウエイトが高い。このように念仏踊は、神々を祀り鎮めるものでもあるのである。その神々のなかには、在地のマイナーな崇り霊とともに、さまざまな死霊も挙げられている。このように霜月祭と念仏踊でともに祀り鎮められる死霊のなかでもとくに重視されたのは禰宜死霊である。禰宜死霊は神名帳のなかでも特別の存在であり、念仏踊の送り盆においては、一般の死霊と区別される形で、まず最初に禰宜死霊が送られるのである。このような禰宜死霊の存在は、村社会における呪的カリスマとしての禰宜の存在の反映であった。禰宜はそのような存在として、さまざまな崇り霊を鎮めたり憑き物を落したりする祈祷を行い、村人の日常生活に欠かせない存在であったのである。このように禰宜死霊が特出した位置をもっているのが、水窪に代表される三信遠における死霊祭儀の特徴といえるであろう。
著者
前田 敦子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, 2003-03-28
著者
安木 新一郎
出版者
京都経済短期大学学会
雑誌
京都経済短期大学論集 (ISSN:13475290)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.85-89, 2017-11
著者
安木 新一郎
出版者
京都経済短期大学学会
雑誌
京都経済短期大学論集 (ISSN:13475290)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.65-68, 2017-07
著者
岡田有司 大久保智生 半澤礼之 中井大介 水野君平 林田美咲 齊藤誠一
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第60回総会
巻号頁・発行日
2018-08-31

企画趣旨 学校適応に関する研究は近年ますます活発になり,小学校・中学校・高校・大学と各学校段階における学校適応研究が蓄積されてきている。学校段階によって学校環境や児童・青年の発達の様相は異なるといえ,学校適応研究においても学校段階を意識することが重要だといえる。こうした問題意識から,企画者らは2017年度は小学校段階に焦点をあてて学校適応について検討を行った(大久保・半澤・岡田,2017)。本シンポジウムでは,中学校段階に注目し,主に友人関係の観点から学校適応にアプローチする。 先行研究では中学生の学校適応に影響を与える様々な要因について検討されてきたが,その中でも友人やクラスメイトとの関係は学校への適応に大きなインパクトがあることが示されてきた(岡田,2008;大久保,2005など)。 中学校段階は心理的離乳を背景に友人関係の重要度が増すとともに,同性で比較的少人数の親密な友人関係である,チャムグループを形成する時期であるとされる(保坂・岡村,1986)。そして,この時期の友人関係では,内面的な類似性が重視され,排他性や同調圧力が強くなるといった特徴のあることが指摘されている。このような友人関係を形成することは発達的に重要な意味がある一方で,中学校段階において顕在化しやすい学校適応上の諸問題と密接に関連していると考えられる。 以上の問題意識から,本シンポジウムでは友人という観点を含めながら中学生の学校適応について研究をされてきた登壇者の話題提供をもとに,この問題について理解を深めてゆきたい。中学生の「親密な友人関係」から捉える青年期の学校適応中井大介 近年,青年期の友人関係に関する研究では青年が親密な関係を求めつつも表面的で希薄な関係をとることや状況に応じた切替を行うといった複雑な様相が指摘されている(藤井,2001;大谷,2007)。その中で,依然として「親友」と呼ばれるような「親密な友人関係」が青年期の学校適応や精神的健康に影響することも指摘されている(岡田,2008;Wentzel, Barry, & Caldwell, 2004)。 一方で,このように重要とされている青年期の親密な友人関係であるが,そもそも青年にとって,このような親密な友人関係がどのようなものであるかを検討した研究は少ない(池田・葉山・高坂・佐藤,2013;水野,2004)。その中でこのような青年期の親密な友人関係をとらえる枠組みの一つとして,近年,青年期の友人に対する「信頼感」の重要性が指摘されている。 しかし,この青年期の友人に対する「信頼感」については,質的研究は行われているものの量的研究が少ないため未だ抽象的な概念である。この点を踏まえれば青年期の親密な友人関係について主体としての青年自身が信頼できる友人との関係をどのように捉えているのかを量的研究によって検討する必要があると考えられる。 加えて上記のように中学生にとって親密な友人関係が学校適応や精神的健康に影響を及ぼすことを踏まえれば,友人に対する信頼感と学校適応の関連を詳細に検討する必要性があると考えられる。しかし,これまで友人に対する信頼感が学校適応とどのような関連を示すかその詳細は検討されていない。そのため生徒の学年差や性差などによる相違についても検討する必要がある。 そこで本発表では中井(2016)の結果をもとに,第一に,「生徒の友人に対する信頼感尺度」の因子構造と学年別,性別の特徴を検討し,第二に,友人に対する信頼感と学校適応との関連を学年別,性別に検討する。これにより中学生の学校適応にとって「親密な友人関係」がどのような意味を持つかについて今後の研究課題も含め検討したい。スクールカーストと学校適応感の心理的メカニズムと学級間差水野君平 思春期の友人関係では,「グループ」と呼ばれるような同性で,凝集性の高いインフォーマルな小集団が形成されるだけでなく(e.g., 石田・小島, 2009),グループ間にはしばしば「スクールカースト」という階層関係が形成されることが指摘されている(鈴木, 2012)。スクールカーストは,生徒の学校適応やいじめに関係することが指摘されている(森口, 2007;鈴木, 2012)。中学生を対象にした水野・太田(2017)では学級内での自身の所属グループの地位が高いと質問紙で回答した生徒ほど,集団支配志向性という集団間の格差関係を肯定する価値観(Ho et al., 2012;杉浦他, 2015)を通して学校適応感に関連することを明らかにした。このように,スクールカーストに関する心理学的・実証的な知見は未だに少ないことが指摘されているが(高坂, 2017),スクールカーストと学校適応の心理的プロセスが少しずつ示されてきている。 また,個人内の心理的プロセスだけでなく,学級レベルの視点を取り入れた研究も必要であると考えられる。なぜなら,学校適応とは「個人と環境のマッチング」(近藤, 1994;大久保・加藤, 2005)と言われるように,個人(児童や生徒)と環境(学級や学校)の相性や相互作用によって捉える議論も存在するからである。さらに,近年のマルチレベル分析を取り入れた研究から,学級レベルの要因が個人レベルの適応感を予測することや(利根川,2016),学級レベルの要因が学習方略に対する個人レベルの効果を調整すること(e.g., 大谷他,2012)のように,日本においても学級の役割が実証的に示されてきているからである。 本発表では中学生のスクールカーストと学校適応の関連について,スクールカーストと学校適応の関連にはどのような心理的メカニズムが働いているのか,またどのような学級ではスクールカーストと学校適応の関係が強まってしまう(反対に弱まってしまう)のかを質問紙調査に基づいた研究を紹介して議論をすすめたい。友人・教師関係および親子関係と学校適応感林田美咲 従来の学校適応感に関する多くの研究では,友人や教師との関係が良好であり,学業に積極的に取り組む生徒が最も学校に適応していると考えられてきた。しかし,学業が出来ていない生徒や教師との関係がうまくいっていない生徒が必ずしも不適応に陥っているとは限らない。そこで,今回は学校適応感を「学校環境の中でうまく生活しているという生徒の個人的かつ主観的な感覚(中井・庄司,2008)」として捉え,検討していく。 友人関係や教師との関係が学校適応感に及ぼす影響については,これまでも検討されてきている (例えば,大久保,2005;小林・仲田,1997)。さらに,家族関係も学校適応感と関連することが示されており,学校適応について検討する際には家族関係やクラス内にとどまらない友人関係も考慮するという視点が必要であると指摘されている (石本,2010)。人生の初期に形成される親子関係は,後の対人関係を形成する上での基盤となることが考えられる。そこで,親への愛着を家族関係の指標とし,友人関係,教師との関係と合わせて,学校適応感にどのような影響を及ぼすのかについて検討した(林田,2018)。 その結果,愛着と学校内の対人関係はそれぞれに学校適応感に影響を及ぼすだけでなく,組み合わせの効果があることが示唆された。親子関係が不安定なまま育ってきた生徒であっても,友人関係や教師との関係に満足していることが補償的に働き,学校適応感が高められることや,友人関係や教師との関係に満足できていない場合,親への愛着の良好さに関わらず,高い学校適応感が得られにくいことが示唆された。つまり,学校適応感を高めるためには,友人関係や教師との関係が満足できるものであることが特に重要であると考えられる。 本発表では,親への愛着や友人関係,教師との関係といった中学生を取り巻くさまざまな対人関係が学校適応感にどのような影響を及ぼしているのかについて,研究結果を紹介しながら考えていきたい。
著者
朝香 知己
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.55-73, 2011-09-06 (Released:2013-05-22)
参考文献数
6

This article examines the development of “Queer Theology” as a theological response to "Queer Theory." Queer theory focuses on differences among heterosexuals/homosexuals and questions the essentialist idea of sexual identity. It argues against the normativity of heterosexuality and aims to transcend the dualistic thinking of heterosexuality and homosexuality. Thus, queer theology incorporates such features of queer theory into theology. In summary, it is theology practiced by queer Christians, opposing theological heteronormativity and exploring queer things in Christianity. For the debate on homosexuality in Christianity, in a sense, queer theology seems to weaken lesbian/gay liberation based on its view of stable human sexuality owing to Creation by its constructionist position or to result in sexual lawlessness because of its position outside the norm. On the other hand, it warns of idolatry by demonstrating that normalization is always done by humans, reveals that heteronormativity leads to violence such as discrimination or oppression and consequently seems to encourage a more ethical view as a whole.
著者
酒井 利信
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.12-22, 1995

This article aims at analyzing the view of swords in the traditional books of Kenjutsu in the Edo period. The view of swords in the traditional books of Kenjutsu reffers chiefly to myth. From the mythological image may begathered. The purpose of this paper, based on the standpoint of structuralism, is to clarify the constitutive position of the mythological image in the view of swords as a whole in the traditional books of Kenjutsu.<br>Several new findings might be summarized as follows:<br>1. A (system), connected with the Three Sacred Regalia, has carried weight with the view of swords of Kenj utsu.<br>2. The former-mentioned (system) has risen above its own level (i. e. latent consciousness level·common understanding level·real activities level) and forged newly transcendental (sysem).<br>3. This mechanism can be explained that the (structure) of the forme (system), connected with the Three Sacred. Regalia, is a mold of the latter (system).<br>4. The mythological image tied two (systems) together.<br>5. Being accompanied by a major assumption of the formation of a new (system), the mythological image had (inductive property).
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-37, 2018 (Released:2018-07-31)

目次 特集 乗りものが変わる、未来を変える p.03 ~過去から今へ~ p.04 乗りものの歴史 p.08 LRT で今変わりつつある街と交通 太田勝敏 東京大学名誉教授 p.12 人の暮らしを変える自動運転技術 日産自動車株式会社 株式会社ディー・エヌ・エー p.16 自動運転によって生み出される新しい社会 河口信夫 名古屋大学未来社会創造機構教授 p.20 ~今、そして未来へ~ p.21 誰もが宇宙へ行ける時代がやってくる 緒川修治 PDエアロスペース株式会社 代表取締役社長 p.25 移動手段のイノベーションとは? 津田佳明 深堀昂 ANA ホールディングス株式会社デジタル・デザイン・ラボ 連載 p.28 カガクのめばえ 第1回 大村智さん 3 億人もの人々を熱帯病から救ったノーベル生理学・医学賞受賞者 p.32 観察法のイロハのイ 日本の夏の風物詩 金魚 岡本信明 学校法人トキワ松学園理事長・横浜美術大学学長 p.35 Open the Window~サイエンスウィンドウと子どもたち~ 主体的な学びで生物観察とタブレット学習を両立 さいたま市立芝原小学校6 年生