著者
田村 聡志 木伏 明人 増子 知樹 稲員 とよの 小泉 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_157-III_164, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
16

従来ステンレス給水管に使用され,現在も地中に多数残存している砲金製の継手等の腐食は,これまで漏水の原因の一つとなってきている.そこで本研究では,ステンレス鋼管と砲金継手等との間のガルバニック腐食の進行を,管対地電位を活用して評価した.まず,給水管や配水管の4種類の金属材料が6種類の土壌中で示す自然電位を実験室内で測定し,自然電位が時間の経過とともに大きく変動するものの,400日後には概ねステンレス鋼>砲金>鉛>ダクタイル鋳鉄の順となっていることを明らかにした.その上で,都内のほぼ全域において318栓のステンレス給水管を掘り上げて,管対地電位と最大腐食深さを測定し,管対地電位が高くなるほど砲金継手等の腐食割合が高まり,最大腐食深さも増大することを明らかにした.
著者
町田 裕彦
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180909a, (Released:2019-03-23)
参考文献数
35

Plowman, Baker, Beck, Kulkarni, Solansky, and Travis (2007) に代表される組織変革モデルでは、意図をもったリーダーシップが不在のもと、連続的な創発プロセスが起こりラディカルな組織変革が実現するとされている。しかしながら、このモデルでは、慣性の強い組織で意図をもったリーダーシップによりこれが起こりうることは検討されていない。本稿は、これが起こりうることを示した町田 (2017) の事例と本稿の事例を比較検討することにより、何がこの連続的な創発プロセスを起動しラディカルな組織変革を実現するのか解明し、この変革のプロセスを、既存の変革モデルと整合的に理解できる新たなモデルを提示することを目的とする。

1 0 0 0 OA 種痘新書12卷

著者
清張〓撰
巻号頁・発行日
vol.[3], 1830
著者
西岡 千文 亀田 尭宙 佐藤 翔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告: 人文科学とコンピュータ(CH) = IPSJ SIG Technical Report (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2019-CH-120, no.5, pp.1-8, 2019-05-04

近年, 学術出版物のオープンアクセスが進展し,自由にアクセス可能な学術情報が蓄積されている. 一方で,研究評価など様々な目的で利用されている学術出版物の引用データに関しては, 機械可読なアクセスのオープン化が遅れてきた. このような状況を解決するために, I4OC (Initiative for Open Citations) が学術機関と出版社によって設立された. 本稿では, I4OC が公開している引用データを, JaLC メタデータと unpaywall により公開されているデータとともに利用することで, 日本の学術出版物の引用データのオープン化の現状分析を試みる.
著者
水谷 彰良
出版者
国立音楽大学
雑誌
音楽研究 (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-74, 2010-03

ソルフェッジョsolfeggioと呼ばれる歌唱練習曲は、17世紀末〜18世紀初頭のイタリア(とりわけナポリの音楽院教育)において確立をみたが、教師が個々の弟子のために作曲して与える教材のため、未出版のまま長く埋もれていた。その意義がフランスで認知され、イタリア語のsolfeggoに由来するsolfegeがフランス語の語彙として初めて登場したのは1769年であった。その3年後の1772年にパリで出版されたのが、世界初の系統的ソルフェッジョ集『イタリアのソルフェージュSolfeges d'Italie』である。編者ルヴェスクとベシュはルイ15世時代のフランス王室聖歌隊の歌唱指導者で、pages de la musiqueと呼ばれる少年聖歌隊員の教材として、これを編纂出版した。『イタリアのソルフェージュ』は前記二人の編者が、レーオ、ドゥランテ、ポルポラ、スカルラッティ、ハッセなどナポリ派の重要作曲家・声楽教師のソルフェッジョを蒐集し、これを教育目的に則して分類配列し、低音部に和声を表す数字を付して刊行したもので、母音歌唱による歌の学習システムを初めてフランスに導入したという点でも画期的意義を備えていた。同書はパリ音楽院において1822年まで教材として推奨され、10種を超える異版も世に出たが、その真価は19世紀半ばに忘れられ、現在も研究対象とされず、再出版も行われていない。本稿は研究的視点から『イタリアのソルフェージュ』の初版(1772年)に遡り、その構成と内容を明らかにするとともに、第二版(1778年)との比較を通じて第二版が初版の単なる再刷ではなく、構成の変更、楽曲の追加と差し替えを施し、新たな彫版者が285頁分の原版を作成したことを確認した。筆者が独自に作成し、典拠と注釈付きで付録とした14種(異版を含め18点)の刊本リストも、『イタリアのソルフェージュ』が高く評価され、広く流布したことの証となる。同書は卓越したカストラート歌手を輩出したイタリアのソルフェッジョ教育の最重要資料(楽譜素材)であり、その存在と意義を再確認することは、19世紀初頭に活性化する組織的な音楽院教育の方法論と歌唱教材の変遷を理解する上でも不可欠である。