著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例, 女性15例, 25±11歳)に対して, 草津温泉療法(40~42℃, 1回10分, 1日1~2回)を3~28週行った。その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である。32例(70%)で皮層症状が改善し, さらにそのうち18例で掻痒も改善した。皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた。皮膚症状改善例のうち, 温泉療法前に皮層表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では, 温泉療法後に13例で消失, 2例で減少した。この草津温泉療法による皮層症状の改善機序として, 皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される。

1 0 0 0 OA 政事要略

著者
惟宗允亮 [著]
出版者
巻号頁・発行日
vol.[6],
著者
西村 玲
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、僧侶普寂の思想を通して、日本近世思想史上における仏教思想の内実と展開を追い、近世から近代にかけての思想的水脈の一つを示した。3年間の研究成果は、単著『近世仏教思想の独創-僧侶普寂の思想と実践』(トランスビュー社)として、本年(平成20年)5月に出版された。初年度は、受入教授である末木文美士教授の指導により、近世思想史における大乗非仏説論への応えである、普寂の華厳思想を解明した。初年度後半から第2年度前半には、プリンストン大学宗教研究センターに一年間留学して、宇宙像をめぐる近世護法論の発表を行うことにより、日本国内では得難い、時代と地域にまたがる広い思想史的知見を得た。第2年度後半から第3年度前半には、近世的宗派意識の分析という視点から、普寂の伝記と近世浄土教団の戒律観を明らかにした。同時に末木教授の指導によって、丸山眞男に始まる日本近世思想史が政治思想史のみで推移してきたことを批判し、宗教思想史を組み込んだ全体的な思想史像を提言した。第3年度後半からは、博士論文と任期3年間に発表した論文原稿をもとにして、それらに大幅な加筆と修正を加える出版作業を行った。3年間で学問的視野が広がり、従来の日本一国政治思想史に対して、東アジア全域を視野に入れた宗教思想史を対象化するに至った。従来の日本思想史の空隙であった、仏教を中心とする宗教思想を思想史に組み込む研究の視点を得た。
著者
影山 昌広
巻号頁・発行日
2011-03-25

名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 博士(工学)(論文) 学位授与年月日:平成23年3月25日
著者
西島 隆 寺井 康夫 功刀 幸博
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
no.10, pp.47-56, 2000 (Released:2011-03-05)

1980年頃から山梨県の主要品種である‘巨峰’と‘ピオーネ’に被害面積が年々拡大してきたわが国固有のブドウえそ果病について、病徴、病徴の品種間差異、検定用指標樹の選抜、自然伝搬およびエライザ検定による現地圃場での感染状況の点から実験調査した。1.5月上旬から遅れて萌芽した新梢に初期症状を認め、6月中~下旬には副梢にも発病した。新梢は節間が短縮し萎縮した。幼木時に発病すると樹勢は衰え、樹冠は拡大しなかった。ある年突然に成木樹に発病を見ることがあった。年々発病部位は拡大していった。2.葉は小さく、葉身には凸凹が見られ、黄白色のモザイク斑やリング状や稲妻状の線状斑が現れ、奇形となった。3.果実には落花直後の幼果期から濃緑色のえそ斑が果面に多数散見され、果肉内部にまで達していた。激発すると果粒は着色不良で成熟せず、果肉は硬く小粒で、商品価値は全くなかった。4.血縁関係にある‘巨峰’、‘ピオーネ’、‘高尾’、‘キャンベル・アーリー’に緑枝接ぎ接種すると、約1ヶ月後に副梢に、もしくは翌年の新梢に激しい病徴が現れた。また台木品種の‘グロワール’にも明瞭な症状が現れた。これらの品種はえそ果病の検定用指標樹として有用であると考えられた。主要な既知ウイルス病検定品種には症状が現れなかった。5.発病樹の‘巨峰’と‘ピオーネ’を台木12品種、穂木15品種に接木接種したところ、えそ果病の発病に品種間差異が認められた。6.現地激発園跡地に植栽した無病の‘巨峰’および‘ピオーネ’に自然伝搬が認められた。7.自然伝搬試験をおこなった圃場およびその周辺圃場のブドウ樹のエライザ検定によって、無病徴品種には陽性反応を示した樹があり、えそ果病に潜在感染していた。樹齢別調査から、えそ果病は園外からの持込みでなく‘デラウェア’から‘巨峰’や‘ピオーネ’に改植する以前に汚染していた可能性もあると考えられた。また‘ピオーネ’、‘巨峰’は感染樹にもかかわらず、無病徴新梢はエライザ検定が陰性で、病原ウイルスの不連続分布が考えられた。
著者
桃井 雅子 堀内 成子 片岡 弥恵子 江藤 宏美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.507-512, 2009-01-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

妊婦68名を対象に「下肢の冷え性の有無」と「皮膚温(深部温および表面温)」との関係を分析するとともに「腰痛の有無」と「皮膚温」との関係についても分析した。対象者のうち冷え性の自覚がある妊婦は38名,ない妊婦は30名であった。冷え性の自覚あり群は自覚なし群にくらべて"足底部深部温"と"足拇指表面温"がともに低く,"前額部深部温"と"ふくらはぎ表面温"は,差はなかった。また,"足底部深部温と前額部深部温との較差"において,冷え性の自覚がある群は,ない群に比べて有意に大きかった(p<0.05)。腰痛の有無と皮膚温の関連では,腰痛のある群のほうが"足底部深部温"(p<0.05)と"足拇指表面温"(p<0.001)ともに,ない群に比べて有意に温度が高かった。また"前額部深部温と足底部深部温との較差"は,腰痛のある群のほうが小さかった(p<0.05)。"前額部深部温"と"ふくらはぎ表面温"に関しては,両群とも違いはなかった。今後,妊娠中の体温や子宮増大による腰部神経への負担などの身体的特徴を考慮した検討の必要性が示唆された。
著者
Kazuhiro Miyahara Katsuyuki Hoshina Jun Nitta Masaru Kimura Sota Yamamoto Marie Ohshima
出版者
The Editorial Committee of Annals of Vascular Diseases
雑誌
Annals of Vascular Diseases (ISSN:1881641X)
巻号頁・発行日
pp.oa.19-00005, (Released:2019-04-10)
参考文献数
25
被引用文献数
13

Objective: To assess mechanisms underlying aneurysm formation using a simple electronic circuit model.Materials and Methods: We created a simple circuit model connecting the celiac artery (CA) to the superior mesenteric artery via the pancreaticoduodenal arcade. We retrospectively reviewed 12 patients with true pancreaticoduodenal artery aneurysms (PDAAs) who received open or endovascular treatment between 2004 and 2017. We set the resistance of each artery and organ voltage and calculated flow volume and rate in response to degrees of simulated CA stenosis from 0% to 99.9%.Results: Flow volume rates of the anterior pancreaticoduodenal artery and posterior pancreaticoduodenal artery decreased to zero when CA stenosis increased from 0% to 50% and then increased drastically, at which point flow direction reverted and the flow was up to three times the initial rate. The gastroduodenal artery (GDA) also showed reversed flow with severe CA stenosis. In 12 patients with PDAA, eight presented with a CA lesion, and the other patients presented with comorbidities causing the arteries to be pathologically fragile, such as Marfan syndrome, Behçet’s disease, and segmental arterial mediolysis. All four GDA aneurysms were not accompanied by CA lesions.Conclusion: The mechanism underlying CA-lesion-associated PDAA formation may be partially explained using our model.