著者
木内 英太
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.28, 2018-03-31

2017年のアニメ「けものフレンズ」の大ヒットの原因のひとつがディストピア感にあることを,セカイ系とキャラクターの概念の変化をふまえて,考察する。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-89, 2011-03

本研究の目的は、西平(1981)の“恋と愛の二元的一元性”論を参考に、恋の状態と愛の状態とは質的に異なる状態であり、恋愛とは恋と愛を両極とした一次元上の中間の状態であり、両者の特徴をあわせもった状態である捉え、先行文献をもとに青年の恋愛関係を図示するモデルを作成することであった。先行文献をまとめた結果、恋には、“相対性”、“所有性”、“埋没性”という特徴があり、愛には“絶対性”、“開放性”、“飛躍性”という特徴があること、相対性と絶対性、所有性と開放性、埋没性と飛躍性はそれぞれ対応する特徴であることが考えられ、これらをまとめた恋愛様相モデルが構築された。今後は恋愛様相モデルを実証的に検討する必要があると考えられた。
著者
安田 早苗
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.93-113, 2022-03-17

本稿では、1954 年8 月ころ関西で吉原治良を中心に結成された「具体美術協会」(以下「具体」)が、自らの創作活動のために子どもの制作した作品を参照したのはなぜなのか、その理由を考察するとともに、美術教育とその教師、子ども、それにかかわる現代美術の作家たちが、相互にどのような影響関係にあったかを考えてみたい。また「具体」が重視したポイントについて、「具体」創始者の吉原治良、『きりん』編集者の浮田要三、元中学校教諭で「具体」初期からのメンバーである嶋本昭三、小学校教諭の橋本猛へのインタビュー資料などから結論を導きたい。はじめに、2021 年2 月11 日、筆者の主催したオンラインイベントBloom Studio ZOOM Partyvol.5 で行った山本淳夫氏(横尾忠則現代美術館)の講演「「具体」と子どもの絵」の概要を提示し、その検証をしていく形で論を進めることにする。「子ども」の表記について筆者の文章では「子ども」と統一するが、引用文はそのままの表記とする。なお本文中で使用する「象徴」の語は、美術教育での用語使用に準じている。
著者
後藤 新弥 遠藤 大哉

“地元”柏市の「ふつうの人」のスポーツへの愛好度や,スポーツ活動の実態を等身大で探ろうと,学生らとともに柏市駅前で「町行く人」を対象に調査したまとめ報告である。複数の項目に亘ってアンケートを実施した結果,以下のような興味深い傾向が抽出された。* プロサッカーは好感度が高かった。ところが,地元柏レイソルの大看板の下で調査したにもかかわらず,レイソルの名前を言えない人が2 割以上いた。* さらに,地元柏レイソルの選手を1 人も知らない人が6 割近かった。一方日本代表なら3 人以上の名前を知っている人が9 割近かった。J リーグ側は「地元密着」を掲げているが,現状は地元未着である*大相撲を「大嫌い」と決めつける人が3 割近くいた。八百長疑惑などが背景か。*東京五輪の「招致活動」に好感を抱いたのは半数に満たなかった(7 月時点)。* 文武両道という概念を「重要である」と答えたのは,平成生まれが約44%,大人世代が38%で,若い人の方がスポーツの倫理観を重要視している傾向がうかがわれた。* 「日常的にスポーツをしている」人は全体の42%を占めたが,「したいけどしていない」人が27%に達し,スポーツ行政への大きな課題が見えてきた。* 「町を行くふつうの人」のスポーツ活動へのさらなる支援が必要だと痛感した。東京五輪開催への最優先課題は,イベントとしての成功やトップ選手のメダル数ではなく,実は日本のスポーツの実数値であり,またその土台である,「ふつうの人のスポーツ活動」の支援促進ではないだろうか。
著者
西田 瞳 NISHIDA Hitomi
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学大学院文学研究科紀要 = Papers in Language, Literature, and Culture : Graduate School of Literary Studies, Doshisha Women's College of Liberal Arts (ISSN:18849296)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.83-109, 2015-03-31

本研究では、ファッション行為には自己主張性、自己顕示性、競争性の3 つの心理学的要因が影響すると仮定して、ファッションにおける他者比較の心理を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査結果は因子分析を行い、次の4 つの因子を抽出した。 因子1:自己主張性尺度が多く含まれる「自己主張の因子」 因子2:個性についての質問が多く含まれる「個性化の因子」 因子3: 同じものを好み、流行に合わせることについての質問が多く含まれる「模倣的・同調」の因子 因子4: 競争心尺度と自己顕示性尺度の項目が多く含まれる「競争心+自己顕示の因子」 その上で、それぞれの因子においてもっとも負荷量の高かった項目に基づいて因子にあてはまる者とあてはまらない者の間でt 検定を行うことで、調査協力者の内部構造の分析を試みた。その結果、自己主張の高い人たちは、個性的なファッションアイテムを好むことが示された。個性化願望の高い人たちは、注目されるのが好きであることが示された。模倣性の高い人たちは、友達とファッションを真似されたり真似したりすることで自信を高めることが示された。競争心の高い人たちは、流行のファッションアイテムを取り入れることで魅力的になれると感じたことが示された。また、みんなと同じで自分を隠したいという者は、圧倒的に少数派であった一方、みんなと同じだけど誰よりも魅力的な自分やみんなとは違う魅力的な自分を追い求める形でファッションを楽しむ者が多数派であることが示された。 Tarde やSimmel の時代から100 年程度経った今でも人間の本質は、そうそう変質するものではない。現代のように、ファッションの選択肢が格段に増えてきても、多くの人は、なおみんなと同じということにこだわりを持ちつつも、みんなと同じ中でなおかつ自分が一番でいたいという自己顕示性を求め、自分や他人と競争を続けているのである。
著者
桑原 隲蔵
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-62, 1924-07
著者
池田 和史 服部 元 松本 一則 小野 智弘 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム(CDS) (ISSN:21865728)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.82-93, 2012-03-21

近年,TwitterのようなブログやWeb掲示板などに投稿された商品やテレビ番組などに対する口コミ情報を分析してマーケティングなどに応用する評判解析技術に注目が集まっている.これらは手軽に情報発信することが可能なため,新鮮かつ多数の意見を即座に収集するツールとして,その活用は大きな可能性を持っている.一方で,評判は投稿者の年齢や性別,趣味などのプロフィールに応じて異なることが多いが,ブログや掲示板には投稿者の年齢や性別が記載されていない場合が多く,投稿数や平均的な意見などの表面的な情報しか抽出できず,プロフィールごとの意見を抽出できないことが課題であった.この問題を解決するため,著者らはTwitter上の口コミ投稿者の日常的な投稿内容を解析することで,年代,性別,居住地域などのプロフィールを推定する技術を開発した.本技術を利用することで,ネット上の口コミ情報をプロフィールごとに分類,集約することが可能となり,商品の改善やテレビ番組の企画などに生かすことが可能となる.性能評価実験の結果,提案手法の汎用的な推定精度は性別で88.0%,年代で68.0%,居住地域で70.8%であり,視聴率測定などへの応用を想定したプロフィール分布誤差の評価では,分布に偏りがある場合でも性別で8.8%,年代で12.4%,居住地で14.0%と実利用に十分な精度であることが示された.
著者
山川 伊津子
出版者
ヤマザキ動物看護大学
雑誌
動物研究 = Studies in Animals (ISSN:24345709)
巻号頁・発行日
no.3, pp.37-47, 2021-03-26

1973年に「動物の保護及び管理に関する法律」として制定され、1999年の改正により名称変更した「動物の愛護及び管理に関する法律」は、日本における「人と動物の共生」思想の根幹をなすといえる。平成初期まで年間100万頭を越えていた犬と猫の殺処分数は2018年には4万頭を切り、動物愛護についての人々の意識は確実に向上したと言える。動物保護及び動物福祉に関してはヨーロッパを先進国とするが、筆者はドイツおよびオランダの動物保護施設視察ツアーに参加し、現地の状況を直接知る機会を得た。世界的に有名な大規模動物保護施設であるベルリンティアハイムを含め中規模、小規模の動物保護施設4ヶ所と世界で最も大きいといわれるペットショップの見学のほかにも、獣医科大学でドイツの動物保護についてのレクチャーを受講した。見学した施設の報告に加え、今回の視察を通して見えた日本の動物愛護とドイツの動物保護の違いとこれからの日本の人と動物の共生について検討する。