著者
西廼 安寿未
出版者
関西大学英米文学英語学会
雑誌
英米文學英語學論集 (ISSN:21874395)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.167-191, 2014-03-20

<2013年度 優秀卒業論文>〔Disinguished graduate these〕
著者
和田 博美 村田 和香
出版者
北海道高齢者問題研究協会
雑誌
高齢者問題研究 (ISSN:09111859)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-85, 2001-03

50,60,70,80歳代の入院中の高齢者群と20歳代の若年者群を対象に,時間作成法を用いて時間判断の調査を行った。対象者は3,6,30,60秒の時間間隔を,ブザーを鳴らすことによって作成するよう求められた。若年者群は3,6,30,60秒の時間間隔を正確に作成することが出来た。しかし高齢者群は30秒と60秒の作成時間が減少した。50,70,80歳代の作成時間は,20歳代の作成時間より有意に短かった。3秒と6秒に対する高齢者群の作成時間は増大したが,年代間に有意差はなかった。時間判断の加速率(客観的時間に対する主観的時間の比率)は,加齢が進むほど,求めた作成時間が長いほど増加した。しかも70歳代と80歳代の加速率は,これまでの報告よりもはるかに高かった。入院という体験によって身体,心理,社会面での主観的幸福感が低下し,時間判断に影響を与えていた可能性が示唆された。結論として高齢者群の主観的な時間経過は若年者群よりも速まり,主観的時間の加速化が起こっていることが明らかになった。主観的時間の加速化が生じた結果,高齢者は周囲の時間や出来事がゆっくり経過するように感じるのかもしれない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールの得点は,高齢者群で有意に低かったが,いずれも正常範囲であった。
著者
趙 陽
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.205-223, 2014-12-20

『恐怖分子』(1986年)は「台湾ヌーヴェルヴァーグ」の旗手エドワード・ヤンの初期作品である。この映画は彼の集大成作品『ヤンヤン夏の想い出』(2000年)へいたる軌跡において,きわめて重要な転換点をなしている。本稿は先行研究ではほとんど分析されていない映画におけるフレームの問題に注目する。まずは自由に運動する映画のカメラという側面から出発し,本作で使われた三つのカメラの水平運動に注目する。これらのカメラの水平運動は映画の物語に寄り添いつつ,そこから独立していく。映画のカメラは人為的なコントロールから逸脱する無機的な運動を行い,その果てにある対象を切り取る。本稿はこのような水平運動するカメラのショットを分析するために,写真と関連付ける。なぜならその動きは明らかに写真的な運動だと言っていいからである。しかし『恐怖分子』のカメラは,写真機にただ附随しているに過ぎないというわけではない。本稿は『恐怖分子』の静止した映像としての写真に対する批判を明らかにするために,『欲望』という作品を参照する。『欲望』では写真機の停止=切り取りが重視されており,『恐怖分子』は写真機の運動自体を重視し,さらにその無機的な運動という性質を写真以上に貫いていく。『恐怖分子』において,切り取られた対象はやがて解体されていく。最後に,カメラの水平運動をめぐる分析を踏まえた上で,本稿は一枚の顔写真の頭部を映したショットを取り上げる。それは複数の印画紙によって構成されている登場人物の一人の不良少女の顔である。画面外から入る風によって,写真用紙は吹き飛ばされそうになる。本稿の観点から見れば,画面外から入る風がカメラの水平運動そのものである。このショットにおいて,カメラの画面外に向ける無機的な運動は映像の内部に発生する運動に変わっていく。この映像の内的な運動こそが,映画のフレームのもう一つの側面に当たる。具体的なショットの分析によって,映画特有のカメラの運動と映像の運動の性質が見えてくる。そしてエドワード・ヤンは映画を作りながら,映画というメディアに強い自意識を持っている映像作家であることが明らかになるだろう。
著者
高橋 久美
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2012

制度:新 ; 報告番号:甲3699号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2012/7/25 ; 主論文の冊数:1 ; 早大学位記番号:新6067
著者
北海道大学CoSTEP
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
巻号頁・発行日
pp.1-71, 2021-03-29

1-71 本書は、北海道大学CoSTEP が運営するFacebook ページ『いいね! Hokudai』から、新型コロナ関連の記事40 本をま とめたものです。 北海道大学CoSTEP:アーカイブサイト『いいね! Hokudai』 https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/
著者
石丸 あゆみ
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.65-96, 2011-03-20

本稿では、最近増加した資料を含め弥生系土器が出土した遺跡のうち、弥生系土器の資料数が多く様相がそれぞれ異なる4遺跡と、朝鮮半島と日本列島を結ぶ交渉ルート上に位置し、拠点的な役割を果たしていたと考えられる原ノ辻遺跡の出土土器を比較検討することで、当時の日韓交渉の復元を試みた。弥生系土器の様相からI期:城ノ越式から須玖I式古段階、II期:須玖I式新段階から須玖II式の2段階に区分し分析を行った。その結果、I期は、弥生時代前期後半に交易の中継地として開始された原ノ辻遺跡と、朝鮮半島南部の金海地域を中心とした各地域との短期間の居住を伴う小規模な交渉が行われた時期、また勒島の集落もこの時期に朝鮮半島側の交易拠点として開始されたが、この時点では複数存在する拠点の一つであるということが明らかとなった。II期は、前漢の武帝による楽浪郡を含む4郡の設置以後に活発化した交易に、北部九州沿岸域を中心とした西日本の各地域の集団が積極的に関与するようになったため、原ノ辻が交易の拠点として発展を見せ、環濠集落が成立する時期である。勒島においてもこの時期が最も多くの弥生土器がもたらされる時期であり、原ノ辻の弥生土器と強い関連を読み取ることができるため、原ノ辻と勒島の間に集約された交易ルートが確立されたと考えられる。
著者
多田 和美
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.35-83, 2010-06-10

本稿は,多国籍企業の内部環境と外部環境(現地環境)の要因が,海外子会社の製品開発活動に及ぼす影響とそうした活動がいかなる成果を生成するのか解明することを目的としている。そこで,成功事例との比較分析に向けた予備的研究として,失敗事例に相当すると考えられる日本ペプシコ社の事例研究を行った。本稿では,先行研究の課題を踏まえ,Schmid &amp; Schurig(2003)を出発点とした枠組によって,(1)内部環境要因と外部環境要因の各構成要素が製品開発活動に及ぼす影響,(2)その過程において生じる構成要素間の相互作用,(3)それらの影響に基づく製品開発活動が成果に及ぼす影響を分析した。その結果,内外環境要因の各構成要素とその相互作用は,海外子会社の製品開発活動と成果に多様な影響を及ぼすことなどが新たに明らかになった。