- 著者
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稲津 和磨
岩崎 英哉
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.4, pp.1-15, 2010-09-22
近年Google Mapsなどに代表される,Ajaxと呼ばれる手法を用いたWebアプリケーションが増加している.Ajaxを用いたWebアプリケーションはサーバ側とクライアント側で動作する2つのプログラムにより構成され,それらが協調して動作する.そのため,煩雑な通信処理を記述する必要があり,さらには,それぞれの実装言語が多くの場合は異なっているため,プログラミングが非常に煩雑になる.そこで本論文では,開発効率の向上を目的として,JavaScriptに基づくプログラム言語でWebアプリケーションを1つのプログラムとして記述し,処理の柔軟な分割を可能とするフレームワークを提案する.また,そのプログラム言語で記述されたプログラムを読み込み,サーバ側で動作するソースコードとクライアント側で動作するソースコードを出力するような機構を設計し,実装した.提案機構は,与えられたプログラムを解析し各構文要素がサーバとクライアントのどちらで実行するべきかを決定する.その際,分割方針を指定することで,同じソースコードから異なる分割を得ることができる.同じ動作をするWebアプリケーションを,提案機構と既存の手法のそれぞれを用いて記述し,プログラムを比較して記述性が向上していることを確認した.また,提案機構によるオーバヘッドは,Webアプリケーションで行われる一般的な処理については問題ない程度の小さなものであることを確認した.