5 0 0 0 OA 曽我物語

出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
宮田 和子
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.30, pp.125-136, 1997 (Released:2010-01-25)
参考文献数
6

W. H. Medhurst's Chinese and English Dictionary (1842-1843) is composedby all the words found in the Chinese Imperial Dictionary (康熙字典) “with the exception of those which have either no sound or no meaning attached to them”, as the preface says.Medhurst's initial intention was to compile an English and Chinese dictionary. However, due to the insufficient data and the awareness of his own limited ability, he decided to produce a Chinese and English dictionary first and then compile an English and Chinese dictionary by reversing it.The purpose of this thesis is to clarify the scope of influence that Kang-hi Tsztien (康熙) and Morrison's 字典 (MOR, published in 1815~1823) had on Medhurst's Chinese and English Dictionary (MED).Investigation was made using the vocabulary entries under [人] (radical 9) and [門] (radical 169) as samples.The results show that MOR has great influence on MED in the beginning, but before getting to the middle of the dictionary, its influence diminishes and a direct influence of 康熙 on MED becomes stronger.The next step will be to conduct further research on both MOR and MED.

5 0 0 0 OA 集古随筆

著者
林若樹 著
出版者
大東出版社
巻号頁・発行日
1942
著者
宗 健
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.15-29, 2016-05-31 (Released:2019-02-15)
参考文献数
21

本稿は,社会保障審議会での住宅扶助に関する議論と住宅扶助費引き下げに反対する意見があるなか,生活保護受給世帯の住宅扶助の現状について一定の客観的分析結果を提示し,議論に資することを目的としたものである.民間の不動産情報サイトおよび家賃債務保証会社のデータを用いた分析では,以下のような結果が得られた.1)住宅扶助費は基準額近辺に集中している.2)生活保護受給者は住居選択時に基準額に強い影響を受ける.3)年収300万円未満の世帯と比較して生活保護世帯の居住水準はやや劣っている.4)地域別の募集家賃の件数分布と住宅扶助基準額の関係は地域によって異なる.5)生活保護世帯の家賃はそうでない世帯に比べて統計的に有意に高い地域が存在する.住宅扶助費の見直しとは一律の引き下げを意味するものではなく,客観的事実に基づいて適正な水準を定めることである.同時に住宅セーフティネット全般の制度を再構築する必要がある.
著者
原田 麻衣
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.164-182, 2022-08-25 (Released:2022-09-25)
参考文献数
25

フランソワ・トリュフォーのキャリアは映画と文学の横断について思考するところから始まった。批評家として論考「フランス映画のある種の傾向」を発表し、当時のアダプテーション作品を批判したトリュフォーは、その3年後に初監督作『あこがれ』でモーリス・ポンスによる『悪童たち』の翻案に挑戦する。そしてその1年後、論考「映画における文学の翻案」でレーモン・ラディゲの同名小説を原作としたクロード・オータン=ララ『肉体の悪魔』を取り上げ、改めてアダプテーションの問題にアプローチしている。これら二つの翻案論と『あこがれ』からわかるのは、トリュフォーが一人称回想小説の翻案に関心を持っていたということである。本稿では、『あこがれ』における奇妙な語り手——「一人称の特定できない語り手」——について、一人称回想形式の翻案という観点から考察する。まずは二つの翻案論を参照しながらトリュフォーの主張した「正当なアダプテーション」の内実を明らかにする(第1節)。次に文学と映画における回想する一人称の語り手について整理し、『あこがれ』での語り手の位置を確認する(第2節)。最後に、『あこがれ』では、特定できない語り手を置くことによって、小説に備わる「私たち」語りを可能にしていると論じる(第3節)。『あこがれ』でなされた文学作品の映画的変換を「語り」に注目して明らかにすることが本稿の目的である。
著者
石田 修平
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Df0861, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 癌患者に対しては早期からの介入により、その後予測される身体機能の低下に対して、環境作りや身体機能維持を目的としたアプローチが必要とされている。また、患者とのコミュニケーションを検討することによって、主体性をもたせることはtotal painの緩和に対して重要な点でもある。この度、終末期癌患者を担当し、息子の結婚式への出席に向けた介入を行う機会を得たため、ここに報告する。【症例】 (症例紹介)症例は70歳代女性。夫と同居。診断名は胃癌で、肝蔵、リンパ節、骨への転移が認められている。 (臨床像、評価)日中は臥位で過ごすことが多い。ADLは、最大介助レベルであり、安静時、運動時ともに腰部痛がある。疼痛の程度は安静時にNRS3、運動時にNRS7となる。このため、座位保持時間は背もたれの有無に関わらず5分程度である。 結婚式は、症例の予後が長くはないために、計画されたものである。介入当初は出席への意欲的な発言も聞かれたが、腰部痛の増強によりADLの低下が現れてくる頃には、自身の体調を気にすることが苦痛となり、“行っても疲れるだけ”、“行かなくて良いなら行きたくない”などの消極的な発言が多くなった。しかし、その反面、自身のために計画された式のため、行かなければならないという思いも強い。 (実際のプログラム)症例も夫も、身体機能向上に向けた理学療法よりも、緩和的な理学療法を希望された。そのため、体調に応じての座位訓練や、マッサージ、ストレッチ、精神的ストレスを軽減させる・主体性を高めるためのコミュニケーションなどを主に実施した。【説明と同意】 今回の発表にあたり、症例本人やご家族に発表の主旨、内容、プライバシーの保護等についての説明を行い、同意を得た。【経過】 理学療法は入院直後から、介入を開始した。介入当初は身体機能の維持、改善を目的に車いす座位練習や起立練習などを実施していた。しかし、骨転移の影響による腰部痛が徐々に増強してきたことや、症例や夫から身体機能向上を目標とした積極的な訓練よりも、緩和的介入に対する希望があったこともあり、体調に合わせて座位練習やマッサージ、ストレッチ、コミュニケーションを行うに至った。 身体機能の低下に伴って、徐々にADL能力の低下も認められるようになり、座位保持可能な時間も減少してきた。結婚式では、30分程度の座位をとる必要があったが、結婚式に対して意欲的な発言も減少してきたため、座位時間確保に向けた訓練も実施しにくい状況であった。このような中でも、身体的・精神的な苦痛を取り除くためのマッサージやコミュニケーションでの介入を継続して行っていった。最終的に結婚式は周囲の協力もあり、ストレッチャーにて出席された。出席後には“行ってよかった”“皆さんが優しくしてくれた”等の発言が聞かれた。【考察】 結婚式の出席に消極的であった症例からも、“行ってよかった”との発言が聞かれ、症例や夫の思いを尊重しながらの結婚式に向けた介入は実施できたと考えられる。内山らは、終末期の癌患者はADL向上よりもQOL向上を目的とするため、「残された時間を患者がどのように過ごすことを望むか」ということが重要になると述べている。このことからも、この度の介入は妥当なものであったと言えるのではないだろうか。しかしその一方で、身体機能の低下は顕著に認められた。終末期において身体機能低下に伴うADL低下は不可避ではあるが、積極的な訓練を行っていくことで、機能低下を緩徐なものとできていたかもしれない。また、結婚式という目標がある以上は、緩和的介入を実施しながらも、座位耐久性や実施可能な運動、疼痛を緩和できる方法などを正確に把握しておくことは必要であったと考えられる。 今回、治療的介入と緩和的介入をどのように組み合わせ関わっていくことが必要かという点に最も苦慮した。寄本らは、リハビリ専門職による緩和ケアとは、どのような場合であっても、リハビリ介入を通して、患者がモチベーションを高め、「積極的に今を生きる事」を支援することであると述べている。このことを踏まえると、今回のコミュニケーションを含めた理学療法の介入は、症例の結婚式出席への意欲を少なからず保つことができたため、適切な介入の1つの形であったのではないかと考えられる。【理学療法研究としての意義】 身体機能面を把握することだけでなく、患者の苦痛も理解し、理学療法を通じて希望や思いを支えていくことの重要性が示唆された。
著者
加藤 昇吾
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.85-111, 2017-01-10 (Released:2017-08-30)
参考文献数
48

円周上のコーシー分布は,円周上で定義される確率分布の1つである.本稿では,この分布に関連した2つの話題を提供する.1つは円周上のコーシー分布について知られている結果を紹介することである.具体的にはこの分布に関して,基本的な性質,導出法,パラメータ推定,メビウス変換との関連,フォン・ミーゼス分布との比較,などを概説する.2つめの話題は,円周上のコーシー分布に関連した統計モデルのレビューである.特に,円周上のコーシー分布の2変量拡張を与えたKato and Pewsey (2015)の結果については,ある程度詳しく説明する.彼らの分布に関して,確率密度関数,パラメータの解釈,周辺分布と条件付分布,相関係数,パラメータ推定などについて議論し,解析的に扱いやすい多くの性質を持っていることを紹介する.
著者
桑野 玲子
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.575-578, 2010

2009年6月17日,東京大学生産技術研究所コンベンションホールにて,英国インペリアルカレッジ名誉教授のJohn.B.Burland氏による講演会"Rescuing the Leaning Tower of Pisa -the inside story"が開催された.イタリアのピサの斜塔は,12世紀の建設初期段階から傾き始めていたが,1990年には倒壊が危惧されついに観光客に対して閉鎖される事態に至った.Burland教授は,斜塔の安定に関して召集された国際検討委員会に委員として参加され,基礎の安定の見地から,観光客に気づかれない範囲で傾きを戻して恒久的安定を確保するという困難な課題に取り組まれた.建設当初から断続的に南側に傾き続けてきたピサの斜塔は,その800年におよぶ歴史の中でおそらく初めて北側に少し回復し,倒壊という破滅的状況を間一髪で免れ,検討委員会他多くの人々の10年に及ぶ斜塔との格闘がようやく終結した.講演会では,その一連の取組みについて,ご紹介いただいた.本報告は,その講演内容の概要を記すものである.[本要旨はPDFには含まれない]

5 0 0 0 OA 製法新書

著者
渡辺遂 編
出版者
二神寛治
巻号頁・発行日
1885
著者
渡邉 浩司
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.399-432, 2021-09-30

13世紀後半に成立したと推測される,古フランス語韻文による作者不詳の『フロリヤンとフロレット』は,シチリア王子として生まれたフロリヤンが数々の冒険を経て王位を奪還する物語であり,「伝記物語」の系譜に属する。この物語には複数のジャンルにまたがる先行作品群からの影響が認められるが,本稿では「アーサー王物語」のうちクレティアン・ド・トロワの作品群および,「聖杯物語群」の中核を占める『ランスロ本伝』の冒頭との比較を通じて,『フロリヤンとフロレット』の作者が行った筋書き・テーマ・モチーフの借用と独自の改変について検討する。