著者
鈴木 豊史 鈴木 直人 金沢 貴憲
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.61-69, 2020 (Released:2020-02-06)
参考文献数
30

血液-脳関門(BBB)は,全身投与後の薬物を脳に送達する際の主要な障壁である。中枢神経疾患に対する治療薬の創薬開発は,薬物を脳に選択的かつ効率的に送達する技術の開発が律速であるため,他の疾患領域と比べ特に困難を極めている。鼻腔内経路は,経口および非経口経路を超えるいくつかの利点を有する。なかでも経鼻投与された薬物は,BBBを迂回することができ,主に嗅覚および三叉神経経路に沿った輸送を介してさまざまな脳領域に分布する。そのため,鼻腔内経路は中枢神経疾患に対する治療薬を脳に直接送達できる非侵襲的で簡便な投与経路として注目され,ナノシステムの利用により近年脳に薬物を標的化できる可能性が示されている。本総説では,鼻腔内からの薬物吸収性,鼻から脳への薬物送達に関与する輸送機構と鼻腔内薬物送達に利用されるナノシステムの役割について,我々の最近の知見を交えて概説したい。
著者
木村 美恵子
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.7-13, 1999-01-30 (Released:2010-10-28)
参考文献数
74
被引用文献数
1

5 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正<岩崎潅園>//著
巻号頁・発行日
vol.第8冊 巻60菜部芝〔ジ〕類6,
著者
立本 千寿子
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.115-125, 2018 (Released:2019-03-11)
参考文献数
32

本研究の目的は,母体心拍音聴取時において,幼児がどのように反応するかに関し,安心感に着目した心拍数の変化により明らかにすることであった。38.0~74.0か月の幼児33名を対象とし,無音・母体心拍音・オルゴール音を聴取する実践を通して,心拍数を測定した。その結果,音の聴取において,母体心拍音は,他の聴取音(無音・オルゴール音)よりも,心拍数を減少させる傾向にあることが明らかになった。またその際,特に,何も聴かない無音で過ごすよりも母体心拍音の聴取をする方が,心拍数が減少することが顕著であった。以上の結果をふまえ,幼児が育つ場における母体心拍音の有効性を考察し,保育実践の可能性を示した。
著者
関本 美穂 今中 雄一
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.479-483, 2006 (Released:2007-02-08)
参考文献数
19

EBM(Evidence-based medicine)とは,「良心的・分別的・系統的に,現在用いうる最良のエビデンスを用いて,個々の患者ケアに関する意思決定を行う」ことであり,「エビデンス」とは患者集団を対象に行った研究から導き出された,疾病の頻度やリスク・治療の有効性に関する情報である.一方診療ガイドラインは,「特定の臨床状況のもとで,適切な判断や決断を下せるよう支援する目的で体系的に作成された文書」であり,医師の診療行為を改善させる手段として最もよく利用されている.最近のガイドラインは,患者アウトカムの改善を第一の目的として,エビデンスを重視して開発されている.忙しい臨床医にとってガイドラインは,最新の医学知識を手早く仕入れ自分の診療に役立てるための貴重な情報源である.ガイドラインの推奨は必ずしもすべての患者に適応できるわけではなく,個々の患者にとって最良の診療を提供するための臨床決断は,依然として医師の役割である.
著者
白木 邦明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.8-11, 2010-01-05 (Released:2010-07-05)
参考文献数
8
被引用文献数
7 1
著者
古川淳三 等著
出版者
鉄道時報局
巻号頁・発行日
vol.上編 (貨物停車場), 1929
著者
大岡春卜 編
出版者
須原屋茂兵衛
巻号頁・発行日
vol.[3], 1737
著者
新屋 良磨
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_119-1_124, 2017-01-25 (Released:2017-02-16)

与えられた言語が非正規であることの証明技法として,ポンピング補題や右同値類の有限性 (Myhill-Nerodeの定理) などの手法が有用であることが広く知られている.本論文ではこれらの手法とは全く異なる新しい非正規性の証明技法を提案する.いくつかの例題を通じて提案手法の新規性・有用性を議論し,さらに提案手法の課題についても具体的に述べる.提案技法は言語の測度に基づくものであり,「与えられた言語Lがほとんど空(測度が0)である」という直観的な性質を非正規性の証明に用いる.
著者
小池 淳一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.225, pp.351-369, 2021-03-31

漆は日本列島上の生活文化において|きわめて重要な役割を果たしてきた。産業構造の変化によって|漆の位相は前近代とは大きく異なってしまっている。端的に漆の価値と社会的な重要性は大幅に低下したといってよい。その点で漆は過去のものになりつつある。しかし|だからといって民俗的な価値はなく|その追究は不要であるということはない。本稿では|かつての生活の諸場面における漆の様相を民俗学の立場から総合的にとらえていくための予備的な考察をおこなう。そのために|ここではまず|従来の民俗学における漆をめぐる調査|研究の成果をふり返り|そこでの問題意識と具体的な調査内容とを確認する。次に漆をめぐるさまざまな民俗事象が形成される背景となったであろう漆栽培とその樹液をめぐる近世の様相を|北奥羽地方(弘前藩)の史資料をもとに確認する。さらに漆をめぐって伝承されてきた俗信や説話をとりあげ|そこから見出される生活世界における漆の問題を考えてみたい。つまり本稿では|近世期以降の漆をめぐる史資料を概観し|漆の民俗研究を進めるための問題群を確認することを目標とし|課題の解決というよりも漆をめぐる民俗学的な課題の確認とこれからの考察の方向性とを提出することを試みるものである。結論として|漆をめぐる民俗的な研究課題としては|第1に木材としての漆の生態と利用|第2に地域のなかでの漆の生産と技術|第3に遠隔地をむすぶ漆の樹液の流通と人びとの移動|第4に近代化過程における漆の位相|第5に漆をめぐる俗信と説話およびその背景|といったものが挙げられるということが導き出せた。