著者
冨永 典子 島田 淳子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

仙草は台湾に自生するシソ科の一年生草本で、乾燥品を加熱抽出した液にデンプンを加えて冷却すると独特の風味とテクスチャ-を持つゼリ-となる。台湾では夏期のデザ-トとしてシロップをかけて食され、夏バテ、睡眠不足や腎臓疾患に有効であると民間で云われている。しかし、その調製法は口伝えによっており、調製条件とゲル化特性との関連は明確にはとらえられていない。そこで、ゲル化の条件を検討し、ゼリ-の粘弾性的特徴を明かにすることを目的とした。仙草は乾燥品を台湾から直接入手し、20℃と60%RHで貯蔵し、ゲル化能力がほとんどみられなかった茎を取り除き、一般成分(水分,粗蛋白質粗脂肪、粗灰分,炭水化物)を測定した。葉1,5,10%,K_2CO_30.1,0.3,0.5,0.7%、抽出時間3,6,9時間の条件で加熱 溶出固形分量を経時的に求め検討し、また葉1.5%、K_2CO_30.1,0.5%、3時間抽出液に1.5%サツマイモデンプン,トウモロコシデンプン,バレイショデンプンを添加し、4℃24時間放置後のゲルの状態を観察した。ゼリ-の物性(離水量,クリ-プ測定、みかけの弾性率)を測定、組織構造を走査型電子顕微鏡により観察、以下の結果を得た。(1)一般成分は水分7.9%,粗蛋白質15.7%,粗脂肪1.1%,粗灰分10.0%炭水化物65.3%であった。(2)仙草抽出物がゲル化するには、0.3%以上の抽出固形分と1%以上のデンプンが必要であり、抽出固形分が0.7%以上になると1%デンプンで凝固するためにはpHを9.0以上にする必要があった。(3)仙草抽出物のゼリ-はフック体歪が大きく、ニュ-トン粘性が小さいという特徴を有した。(4)仙草抽出物のゼリ-は網状構造をしており、抽出固形分濃度、デンプン濃度を高めると、骨格が太くなると同時に網状構造が密であった。
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

2011年春にリメイク映画が公開された,藤子・F・不二雄の『大長編ドラえもん のび太と鉄人兵団』は,「ひとりの人間がロボットのユートピア社会を設計することは可能なのか」というハードな主題を持つ傑作漫画であった.この漫画には人工知能を搭載する多彩なロボットが登場するが,なかでも興味深いのはスネ夫が持つヒト型ホビーロボット〈ミクロス〉の設定である.原作漫画と1986年版のアニメ映画を比べてみてほしい.ドラえもんから人工知能を授かったミクロスは,原作では「人間並みの知能」と説明されるが,映画版では主人である「スネ夫並みの知能」と表現されている.このわずかな違いは,しかし現代において先端の人工知能SFを描く際に,重要なポイントのひとつとなり得る. 「人間並みの知能」を考えることの可能性と限界はどこにあるか.この講演では,演者が2011年2月に発表したノベライズ長編『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』(小学館刊)のエピソードを皮切りに,古今の人工知能SFを参照しながら,人工知能研究の未来ヴィジョンと物語が持つ想像力の交差点を探ってゆく.知能と身体性,社会,未来,創造性などがキーワードとなるだろう.わかりやすく肩の凝らない講演にしますので,くつろいでお聴きいただければ幸いです. 招待講演
著者
水光 正仁 榊原 陽一
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、生理機能の不明なオーファン硫酸転移酵素(SULT)のSULT4A1およびSULT7A1の生理機能解明と生体シグナルの変換・伝達への関与解明を目的に研究を行った。SULT4A1に関しては、ゼブラフィッシュ胚を用いた発生段階での遺伝子発現解析を行った結果、神経系の発生・発達において機能を担っていることを明らかにした。一方、SULT7A1に関しては、基質特異性を検討して、シクロペンテノン型のプロスタグランジン(PGA2や15d-PGJ2)の硫酸化を明らかにした。以上のことから、SULT4A1およびSULT7A1の生理機能と生体シグナルの変換・伝達への関与を明らかにすることが出来た。
著者
竹越 康治 熊谷 毅
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.193-194, 1997-03-12

近年, 画像データベースの構築が活発に行われ, 大規模化が進んでいる。それに伴い画像検索方法がさかんに研究されている。中でも画像の類似度に着目した検索方法が考えられている。本研究では, 画像を直交関数で近似する場合に, 項数を増やすに従って近似度が上がること, 及び, 直交関数の選び方により低次の項にエネルギーが集中することに着目した類似画像検索方法を提案する。この方法では, データベース構築のだめの前処理や、画像の特微量による分類等を行わずに, 画像を直交変換して得られる係数を低次の項から順に比較していくことで, 段階的な類似検索を行うことができる。本研究では, この手法を天気図の検索に応用することを目的今する。
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-5, 2005-03
被引用文献数
1

近年,放牧を見直そうとする背景がある。そこには,乳用牛および肉用牛の飼養戸数の大幅な減少に対して飼養頭数は大幅な増加傾向にある。つまり,多頭飼育傾向が見られ,放牧場の存在は各農家の省力化のだめに必要かつ重要である。本論文は全国の放牧場について,地域別に見た放牧場数,放牧頭数,放牧面積,放牧場の立地条件,放牧場の草種,放牧期間ならびに放牧の持つ多角的価値などについて解析を試みてみた。その結果,各地域の放牧場は飼育している牛の種類の違いと地域の地理的または自然的な条件による違いが見られた。
著者
森重 敏子 青山 よしの 堀 洋子 金子 小千枝
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.247-252, 1981-12-20
被引用文献数
1 5

9色の着色あめ玉のうちから年令、性別、居住地等の異なる調査対象1835名に1種を選択させ、同時にその選択理由を記入させ、色彩嗜好傾向を調べた。1.学令別色彩嗜好傾向には有意の差が認められた(χ^2=368.414, P<0.001)。低学令ほど各色の嗜好率に大差を示し(幼稚園、小学生では赤、青に片寄った嗜好を示す)、学令が進むに従って各色の嗜好率の差が減少し、特に大学生では色彩嗜好の多様化が認められた。各色の学令別の嗜好傾向は、低学令で有意に多く好まれる色(赤、青)、高学令で有意に多く好まれる色(黒、無色、ひき茶)、学令による差のない色(橙、緑、紫)の3群に分けられるようである。2.男女別では、女子は赤、橙、男子では青、緑、黒、紫で嗜好率が有意に高い。しかしこの男女差は低学令ほど顕著で、赤、橙は幼稚園、小学生で女子の嗜好率が著しく高い為であり、青、黒は幼稚園、小学生の男子の高率による。3.季節差では、夏に青、冬に黒がそれぞれ有意に多く嗜好された。地域別では、都市で赤が、農村では黄が有意に好まれた。4.選択理由は、総計では"色と味"が有意に多く、次いで"色"、"味"、"色と感覚"の順に選んでいる。低学令ほど、また男子より女子に"色"で選んだものが多く、大学生、また男子の方に"味"で選んだものが多い。橙、黒、ひき茶は"味"で他の色は"色"で選ぶ傾向にあった。