著者
市原 純
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-80, 2021-03-25

市原(2016)は、若者たちへの継続的なインタビュー調査の結果から、保育職志望を断念していく過程と、そこへ影響を与えた各要素について分析している。市原(2016)では、保育者養成校の進学断念や中途退学、保育職への就職活動の失敗、保育職就労開始前の妊娠による就労断念といったケースを取り扱っている。保育職志望の若者の「学校から仕事へ」の移行過程を考える上では、いずれも重要なケースだったが、市原(2016)では保育職就労後の若者たちの経験を、取り扱うことができていない。本稿では、移行過程の只中にいる若者たちが保育職就労後に出会う経験として存在する、「新卒保育者の早期離職」に着目し、保育学・保育者養成分野での先行研究を調べてみたい。
著者
嶋田 貴志 岡森 万理子 深田 一剛 林 篤志 榎本 雅夫 伊藤 紀美子
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.604-607, 2011 (Released:2012-12-03)

5週齢のBALB/c系雌マウスにスギ花粉アレルゲンを5回感作した後、腹腔内にアレルゲンを投与して好酸球を集積させるI型アレルギーの遅発相モデルを作製した.このモデルに対して、モリンガ(Moringa oleifera)の葉を3種の混合比(0.3%、1.0%および3.0%)で混じた粉末飼料を自由摂取させ、好酸球の集積および血清中の総IgE量に対する影響を調べた.通常の飼料を与えた対照群と比較してモリンガ葉を0.3%および3.0%与えた群は、総白血球数および好酸球数で有意な低値を示した.血清中総IgE量では対照群と比較して3.0%のモリンガ葉を与えた群が有意な低値を示した.以上の結果より、モリンガ葉は経口的に摂取することでI型アレルギーに対して抑制作用を有する可能性が示された.
著者
西井 匠 鋤柄 悦子 阿部 竜二 高石 鉄雄
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.251-258, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to reveal physiological conditions of commuter cyclist from the standpoint of multiple approaches. Ten male employees (37 ± 9 yr) who usually commute by bicycle participated in this study. Global Positioning System (GPS) was used to analyze their commuting route three-dimensionally. And heart rate was recorded simultaneously to determine their exercise intensity. Blood test, oral glucose tolerance test (OGTT), and maximal aerobic test was conducted in our laboratory. Semantic differential method (SD) questionnaire was conducted to clarify their feelings during and after their commute. The results of blood test and OGTT showed that all of determined values were good and no one exceeded the standard value. GPS log showed that subjects covered 13.3 ± 7.2 km and 40 ± 20 minute with integrating 201 ± 114 meter altitude gain per commute. Heart rate data showed 129 ± 12 bpm per commute. However, subjects demonstrated higher peak heart rate during their commute ranged between 157 and 181 bpm, we determined details by frequency distribution method. The data revealed that commuter cycling was consisted by aerobic exercise with intermittent vigorous intensity exercise. Despite of such a hard exercise cycling to work, the result of SD questionnaire indicated that subjects felt briskness with less tiredness when they commute. Commuter cycling with a higher than moderate exercise intensity, could have good physical and mental effects for employees.
著者
中島,洋
出版者
太平洋学会
雑誌
太平洋学会学会誌
巻号頁・発行日
no.30, 1986-04
著者
深田 亮 古矢 丈雄 赤塚 菜穂 竹内 弥彦 赤坂 朋代 村田 淳
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12264, (Released:2022-10-13)
参考文献数
17

【目的】下垂足と足底感覚障害による歩行障害に対し,短下肢装具に加え,トレッドミル歩行練習を中心とした理学療法の効果について報告する。【対象】脊髄円錐部髄内腫瘍で立位姿勢制御の破綻と歩行障害を呈した58歳の女性である。画像診断で第11/12胸髄内に占拠性病変が確認された。不全対麻痺と足底感覚障害により立位姿勢制御および歩行機能が低下したため,第11/12胸椎髄内腫瘍に対し,腫瘍の部分摘出術が施行された。【方法】術後2日目から鶏歩の改善を目的に両足部に短下肢装具を装着し,術後6日目から歩行機能の改善を目的にトレッドミル歩行練習を開始した。【結果】術後22日目,自宅退院となり,自宅内移動が右短下肢装具を装着して自立,自宅周辺の屋外移動は両T字杖歩行が可能となった。【結語】術後急性期から装具療法を併用したトレッドミル歩行練習を実施し,術後早期に歩行機能が再獲得できた。
著者
松澤 大輔
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.64-70, 2021 (Released:2021-10-14)
参考文献数
29

遺伝子DNAが出生後もエピジェネティックな修飾を受けて発現調節されることが注目されている.DNAメチル化はその1つであり,脳内神経組織のDNAメチル化も様々な外部刺激により後天的に変化がもたらされることが知られてきた.近年では精神疾患においてもその影響を示唆する研究が相次いでいるが,不安や恐怖の記憶が症状に関わる不安症関連精神疾患ではエピジェネティックな現象の関与について現在でも知見は多くない.本稿では,不安関連精神疾患で発症脆弱性や治療抵抗性を示す背景へのDNAメチル化の関与を,筆者の教室で得られた結果を紹介しながら論じたい.精神疾患におけるエピジェネティックな機構は,ストレス応答の変化など獲得した行動の次世代への継承にも役割を果たしている可能性もあり,今回そうした可能性を示唆する結果も得られたので紹介する.
出版者
三笠書房
巻号頁・発行日
vol.第14, 1954
著者
鈴木 陽也 秋山 和輝 梶原 智之 二宮 崇 武村 紀子 中島 悠太 長原 一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.4D3GS604, 2022 (Released:2022-07-11)

感情分析とは,テキストから人間の感情強度を予測する自然言語処理タスクである.従来の感情分析モデルは,テキストの書き手の感情(主観感情)の推定性能が十分でないことが知られている.そこで本研究では,感情分析モデルの入力として書き手の性格情報を加え,主観感情の推定に特化させる.本研究で使用する書き手の性格情報は,テキストの書き手に対する性格診断の結果である.プルチックの基本8感情の強度推定に関する評価実験の結果,提案手法による主観感情の推定の性能改善を確認した.

3 0 0 0 OA 月の裏側

著者
髙月 誠司
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.129-130, 2022-09-30 (Released:2022-10-09)
参考文献数
2

3 0 0 0 OA まとめ

著者
加藤 博文 加藤 博文 加藤 博文
巻号頁・発行日
pp.203-213, 2012-03-31

新しいアイヌ史の構築 : 先史編・古代編・中世編 : 「新しいアイヌ史の構築」プロジェクト報告書2012
著者
佐古田 彰
出版者
小樽商科大学ビジネス創造センター(CBC)
雑誌
北東アジア-サハリン研究会調査研究報告書
巻号頁・発行日
vol.2, pp.111-152, 1999-05

サハリン石油・ガス開発プロジェクトと北海道経済の活性化 (2)
著者
原 進 満倉 靖恵 上出 寛子
出版者
Japan UAS Industrial Development Association
雑誌
次世代移動体技術誌 (ISSN:24355453)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.81-90, 2022 (Released:2022-09-07)
参考文献数
8

近年,空飛ぶクルマに関する技術が国内外で盛んに研究されている。しかし,空飛ぶクルマやドローンなどの社会受容性については,まだ十分に研究されていない。社会受容性に関する十分な検討を行っていないと,今後ドローンの産業利用や空飛ぶクルマの普及により到来する「空の産業革命」が健全に浸透せず,新たな社会問題が発生することも予想される。そこで,社会受容性評価の方法として二つのアプローチを組み合わせた方法を提案する。一つはアンケートによる社会心理学的評価である。もう一つは感性アナライザを用いた脳波計測によるリアルタイム評価である。著者らは前報において騒音に対するストレスの有無を判定するために感性アナライザが適用可能であることを,ロータが発生する定常音や金属がキンキンと発生する非定常音など,複数の種類の音源を用いた実験により明らかにした。本研究では,前報と異なり音源を頭上通過する産業用ドローンの飛行音に限定し,その音量を変えながら何度も聞くことにより発生する,アンケート評価と脳波計測によるストレス評価の違いについて明らかにして,将来の社会受容性調査方法の策定に有用な知見を与える。
出版者
[書写者不明]
巻号頁・発行日
0000
著者
Takanori Kono Takeshi Oda Keiichi Akaiwa Katsuhiko Nakamura Kenya Sasaoka Hiroyuki Tanaka
出版者
The Editorial Committee of Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery
雑誌
Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery (ISSN:13411098)
巻号頁・発行日
pp.cr.18-00031, (Released:2018-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Metal allergy is an uncommon problem during surgery. Among them, titanium allergy is said to be rare, but can lead to serious complications, such as palmoplantar pustulosis (PPP). A 69-year-old woman was admitted to our hospital with a chief complaint of chest pain. Coronary angiography showed severe coronary artery disease that required coronary artery bypass grafting (CABG). The patient had a history of orthopedic surgery for left distal radius fracture 2 years previously, which resulted in inflammation on the left arm and PPP. We suspected titanium allergy based on results of skin patch tests and use of titanium alloy in the previous orthopedic operation. The patient underwent CABG without use of permanent metallic material. As a result, her PPP disappeared. In this rare case, it is difficult to identify the exact cause of the improvement in PPP; thus, further studies are required to clarify the mechanism of remission.
著者
菅原 祥
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.75-102, 2019-03-30

本稿は,近年の日本社会における「団地」を一種のノスタルジアの対象として見るようなまなざしのあり方を「団地ノスタルジア」と名付け,この団地ノスタルジアを分析するための足がかりとなるような予備的考察を提供することを目的としている。この目的のため,本稿では1960年代当時において「団地」を文学作品の中で扱ったものとして影響力の大きかった安部公房の小説『燃えつきた地図』(1967)を現代の団地ノスタルジアに先行する想像力を含んだ先駆的作品として読み解き,そこに見出される論理が現在においていかなる意義を持ちうるのかを検討する。さらに,この『燃えつきた地図』において提起された問題が,現在の団地ノスタルジアにおいてどのような形で継承・発展させられているのかを検討するために,近年の代表的な団地ノスタルジア的文学作品として,柴崎友香『千の扉』(2017)を取り上げる。 これらの分析を通じて新たに明らかになった知見は以下の4点である。(1)団地ノスタルジアとは,「団地」という建築空間の中に,ここ数十年の時間とそこにおける断片的な記憶が寄り集まって集積するような一種の「磁場」を見出す想像力のことである。それは決して何らかの美化された過去への回帰願望ではなく,むしろそうした過去の記憶が集積した結果として存在する「現在」を志向している。(2)団地ノスタルジアは,時に徹底して「反ノスタルジア的」「反ユートピア的」である。すなわちそれは,過去に措定された「幸福な過去」へと回帰することで共同性や全体性を回復しようとするような,素朴なノスタルジアやユートピア主義とは一線を画すものであり,むしろ過去に対するより反省的・批判的な態度のありかたを示唆している。(3)団地ノスタルジアはこのような安易なユートピアへの回帰による共同性の復活を拒絶しつつ,新たな形での「共同性」を模索する想像力である。(4)この共同性は,団地という場が孕む「危機」や「空虚」から目をそむけるのではなく,逆にそれに徹底的に向き合うことから生まれうるものである。