著者
畑 秀明 水野 修 菊野 亨
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_106-1_117, 2012-01-26 (Released:2012-02-26)

近年,ソフトウェアリポジトリのデータマイニングを利用した不具合予測の研究が活発に行われている.不具合予測に関連してどのようなメトリクスが研究されているかを明らかにするため,本稿では系統的レビューを行った.2つの論文誌と5つの国際会議において,2000年から2010年に発表された文献のうち63編を調査した.研究されたメトリクスを分析するため,測定対象と測定に必要な履歴情報に基づき8つの領域に分類した.レビューの結果,主に2005年以降コードやプロセスの履歴に基づくメトリクスが研究されるようになっており,また2008年以降には新たに開発組織や地理的位置関係に関連したメトリクスが提案されていることが明らかになった.
著者
中川 昇 岡田 政信 南嶋 洋一
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.546-550, 1987-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
23

有機ゲルマニウム化合物Ge-132 (2-carboxyethylgermanium sesquioxide) のウイルス感染症に対する防御効果をマウスサイトメガロウィルス (MCMV) 対マウスの系を用いて検討した。ICRマウスにウイルス接種前3日と1日にGe-132をマウス当り10 mg腹腔内投与したあと, 腹腔内に強毒MCMV・Smith株をマウス当り5×105 PFU (約2 LD 50相当) 接種し, 生食水の前投与対照群と比較した。(1) 対照マウスが100%感染死したのに対して, Ge-132前投与群では60%のマウスが生存し,(2) 肝で増殖したウイルス量が対照の約115に抑制され,(3) 血中IFN値, 2-5 A合成酵素活性値の上昇が認められたが,(4) 脾細胞中NK活性は変化しなかった。 Ge-132はin vitroではウイルス不活化作用およびウイルス増殖抑制作用を示さなかったことから, マウスにおけるMCMV感染防御効果は, Ge-132投与により誘起されたインターフェロン (IFN) を介し生体の感染防御系が賦活化されたことにあると考えられた。 肝はMCMV感染の最も重要な標的器官であり, Ge-132によって誘導される主としてIFNが, 肝におけるウイルスの増殖を感染死にいたる閾値以下に抑制することによって, マウスは感染死を免れるのであろうと推定された。
著者
真下 いずみ
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.79-86, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
21

要旨:約20年間ひきこもっていた緘黙症状を呈する40歳代の女性に,主に自宅で10ヵ月間作業療法を行った.介入中のLiebowitz Social Anxiety Scale日本語版は社交不安の徴候を示した.作業療法では手芸をしながら,非言語的に交流し,次にClosedからOpen-questionへ段階づけて質問した.また材料の買い物やバザーでの作品販売を行った.結果,事例は自発的に発語し,電車を利用して単独外出可能となった.言語を要さない活動を用い,作品を介して他者と交流するといった作業療法の治療的要素は,対人場面への暴露による不安を緩和させつつ,発語や外出行動を促す上で有用であった.緘黙症状とひきこもりに対する作業療法の有効性が示唆された.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1898年07月13日, 1898-07-13
著者
髙木 祐介 関 和俊 北村 裕美
出版者
日本野外教育学会
雑誌
野外教育研究 (ISSN:13439634)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-39, 2015 (Released:2018-12-29)
参考文献数
12

The purpose of this study was to investigate the changes of salty taste sensitivity and sweat loss during hiking the mountain. Nine healthy young males(23±4 years)were volunteered to hike Mt. Rokko(altitude: 931 m)that located in Hyogo prefecture. Heart rate(HR), rating of perceived exertion(RPE),body weight, water intake, sweat loss, and salty taste sensitivity(STS)were measured at 2 different altitudes of mountain ascending(P1: altitude 30 m, P2: altitude 920 m). HR in all subjects markedly increased during ascending. HRmax indicated 172±14 bpm. RPE at P1 was 7±1, and P2 was 15±3. It was considered that exercise intensity of hiking the mountain in this study was more than moderate intensity. Total water intake was 1,347±390 ml and total sweat loss were 2.2±0.9 kg in the subjects that drinking only the water condition. The percentage of total sweat loss to initial body weight indicated 3.4%. STS at P2 was significantly lower than those at P1(p<0.05). This study clarified that drinking only the water during hiking significantly decreased salty taste sensitivity. These results suggest that the assessment of salty taste sensitivity might be the index for the prevention of heat stroke during hiking.
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T5, no.520, pp.273-289, 1916-04-25 (Released:2015-06-13)
著者
津崎 哲雄 Tetsuo TSUZAKI 京都府立大学福祉社会学部
出版者
京都府立大学福祉社会学部福祉社会研究会
雑誌
福祉社会研究 = The review of welfare society (ISSN:13471457)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-19, 2005-02-01

本稿では、戦後初めて全国的にメディアの注目をあびた栃木県宇都宮市における「里親による里子傷害致死事件」を素材に、現行里親制度・委託実務の現状を分析し、わが国における里親システムがいかなる特質をもつものであるか検討した。まず、わが国における里親制度のブローファイルを述べ、事件概要を紹介し、事件の要因分析をおこない、種々の側面からわが国の里親制度が諸外国のものとは著しく異なることを明らかにし、若干の他国のモデルと比較しつつ、今後の施策・実務課題や改善すべき点を明らかにした。具体的には、児童相談所の里親認定/調査の杜撰さ、委託後の指導/観察訪問が行われず、委託中の支援も皆無で、里親は全く研修を受けておらず、社会的孤立していたことが判明し、刑事裁判の判決(懲役4年実刑)が示唆するような容疑者個人に事件原因を収斂させることへの疑問を提示し、わが国の里親制度に巣食う根源的問題が真の原因であると結論づけ、今後改革を要する諸点を提示した。
著者
小島 陽介
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2/3, pp.171-207, 2010-12-25
著者
山口 巌
出版者
日本古代ロシア研究会
雑誌
古代ロシア研究 (ISSN:02891255)
巻号頁・発行日
2005-03

これは1999年8月26日から9月3日まで大阪外国語大学で行った集中講義を校正し, いくつかの補足を加えたものです. そのもとになったのは1999年の第一セメスターに鳥取大学において一般教養科目として講義したもので, 表題は当初『ロシア語の周辺』としていましたが, 『ロシア文法の周辺』とした方がより内容に即しているように思われましたので, 集中講義に際してそのように訂正しました. その後同じ年の第二セメスターにも, その続きを講義しながら, 一方ではすでに講義したものについても, 追加したり書き換えたりする作業を続けました. 鳥取大学は2000年の3月末で停年退官をしましたが, 引続き非常勤講師として2年間講義を行いました. 内容については刻々と変化しているといっても過言ではないと思っています. この作業は今後も行うことになると思いますが, 平成17(2005)年3月をもって現職の鳥取環境大学を停年退職するのを期に, 発表したいと考えました.

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著者
藤井高尚 著
出版者
中近堂
巻号頁・発行日
vol.下の巻, 1893
著者
村上計二郎 著
出版者
日本書院
巻号頁・発行日
1925
著者
佐久間 七郎
出版者
山口大学
雑誌
山口大學工學部學報
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.99-102, 1951

北陸線の内,米原,富士山間の線路状況を概観し輸送力増強のための改良方針の一般を述べ次いでこの内の米原,敦賀間線路について特にそれが北陸線中の輸送隘路たるの所以を明かにし,この現在線路改良のために米原,敦賀間に別にこれと経過地を異にする新線路を選定してこの新線路建設工事の内,深沢とんねるの掘削施工の状況を詳述してその完成を早くすることの重要性を記るす。北陸線の概観。北陸線は近江,越前,加賀,越中の平野を縫うて走りその間本州中部の脊梁山脈が日本海に向つて突出するところにとんねるを穿つて敷設され各平野を流れる河川は急流多く沿線は積雪量が大きい。そのため大都市はこれら区劃された平地に散在して発達した。沿線の大驛と稱せられるものは米原,敦賀,福井,金澤,高岡,富山である。これらの駅は各略ぼ等しい程度の支線路の分岐点となり且つ相互間の距離は大体相似て50〜70kmの間にある。北陸線は本邦中部地方の裏幹線であつて同時に青森,米原の輸送路の一環をもなしているがしかもこの建設は遠く明治の中期に遡り線路建造物中には今尚往時の煉瓦工作物も残存している。北陸線の内,柳ケ瀬とんねる,山中信號場をはさんで杉津,今庄間及び倶利加羅とんねるの3ケ所は線路勾配急にして20〜25であり,ために列車牽引力,列車單位に及ぼす影響は大きい。現在北陸線の列車密度は福井金沢間,金沢津幡間,田刈屋富山間において大である。今北陸線全長に亘つて輸送力を強化するための線路改良を考へるときは前記とんねる区間の勾配変更をして現在の急勾配を10まで緩にすると共に列車回数の多い区間から始めて線路増設に着手し併せて線路の曲線半徑を大にすること等が差当つての対策である。このうち金沢,津幡間11°6kmの複線工事のみ完成し倶利加羅とんねるの急坂はこれと並んで緩勾配のとんねる掘削にかかつている。田刈屋,富山間は平地ではあるが神通川をはせんで殆ど全区間が大鉄橋架設の要がある。富山,福井,敦賀の諸驛は戰災による損壞が大でしかも戰後乘降人員や取扱貨物は激増したにかかわらず驛設備はこれに伴わず,構内線路延長は不足し驛前廣場は狹隘である。戰災復興を機会に今こそ百年の計を立て根本的の改良工事に着手する要がある。富山驛は客車線群の位置が構内北東隅にあつて列車引上げに不便であり各線群が本線を挾んで散在し貨物授受のために本線を支障することが多い。改良計画としては旅客驛として富山市の都市計画人口20万人,乘降人員一日29000人とし乘降場幅員北陸線10m延長320m2本,高山線8m,延長240m,臨港線延長120mである。客貨の取扱いを分離して貨物駅を新設の富山操車場に接して設け地方鉄道との貨物の授受は富山操車場と稻荷町駅間に連絡線を設けて行なう。駅前広場は表口10500m^2裏口2000m^2を計画する。福井駅は福井操車場の設置されたことによつて北陸線関係の仕訳を廃止したので自駅と京福電鉄との間の貨物授受のみとなつたが構内が曲線中にあるため見透しが惡い。旅客駅としては福井市の將耒人口を15万人とし乘降人員を国鉄線13200人京福電鉄9000人福井鉄道9000人合計31200人とし北陸線及び越美線ホームを延長する。駅前広場は表口10000m^2裏口1800m^2。取扱貨物40万屯は福井操車場に移し新たに操車場と福井駅間に一線を増設してこの間の列車回数のみ計202となる。なほ福井操車場の仕訳能力を1000輛に増強する。敦賀駅は米原駅から47.85kmの位置にあり,小濱福線及び臨港線の連絡点であるがカーブした構内線群を持つて不便なことは大駅中高岡駅に次いでよくない。即ち米原寄りが800m半徑で入り込みこれが旅客乘降場の下り方向の端まで延びているため客扱ひに見通しがよくない。乘降場を増設して上下扱ひを別ける必要がある。上り仕訳線群も曲線中にあつて仕訳作業が圓滑にゆかない。しかもこの地方は一年の内200日以上が降雨雪のため一層作業の困難を増している。仕訳線群現在上リヤード7線有効長1538m下りヤード11線1775mで收容車数370輛操車能力1100輛である。米原,敦賀間の線路は北陸線中最大の輸送隘路であり同時にまた東海道線から北陸線に入つて最初の難所でもある。この区間中の木ノ本,敦賀間25.4kmは柳ケ瀬とんねるを挾んで勾配25の線路が延長7kmに及び補機運転運転区間である。柳ケ瀬とんねるは米原起点34.09kmから35.442kmに至る延長1352mのとんねるであるがその建設が古いためにとんねるの断面が狹小で広幅貨物の通過は一部制限をうけ且つ附近は冬期間積雪多量のために大きな保守費を要する。勾配は雁ケ谷から刀根に向つて25の下りでありこのとんねるの列車通過に要する時間は上りの場合4分を費するがこの間,煤煙熱気は運転機関室や客車内に流入し又列車通過後においても暫時とんねる内に充満残留して保線掛の作業に支障を及ぼし軌條枕木に與える損害も小さくない。列車通過時の排煙不充分に因する運転事故は重