著者
柳原 良江
出版者
実践女子学園
雑誌
下田歌子研究所年報 女性と文化 = Women and Culture - The Annual Bulletin of the Shimoda Utako Institute
巻号頁・発行日
vol.2, pp.34-51, 2016-03-10

Since the creation of conducting modern surrogacy in the U.S. in 1976 the method has been criticized as baby selling and making use of women as a tool. On the other hand, the supporters of conducting surrogacy regard it as a fruit of scientific technology, and considered any problemsresulting from it as negligible factors. Similarly, the supporting opinions constructed logics which use a concept of “women’s reproductive rights”. These words mainly connote the “right to privacy” as an underlining idea of abortion rights in the U.S., and “reproductive health/rights” advocated at the International Conference on Population and Development in Cairo. With these connotations, these concepts were employed to support surrogacy as a basis that women have the right to choose whether or not they conceive by their own will. Contrarily, in Japan, the concept of “women’s reproductive rights” had its meaning stretched to include a right to family formation. This new interpretation was employed as a basis to the support of surrogacy. This broad interpretation was realized by promoting prejudice towards surrogate mothers who were labeled as deviations of regular human beings, and discriminative attitudes toward the surrogate women’s risks of life and health which were also considered less important. Recently, the expansion of understanding from the U. S., relies on the fact that conceiving babies is meaningless; therefore, the support for surrogacy relies on a recognition which is constructed with the use of sex discrimination against women.
著者
海老田 大五朗
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.11-21, 2021-09

本研究の目的は、「認知症鉄道事故裁判」についての論文や資料を分析することで、この裁判における社会福祉的含意を引き出すこと、および本裁判で問題になったいくつかの記述を検討することである。本研究では、被告支援ネットワークの形成、「リスクの社会化」をめぐる議論、司法と行政の関係、認知症患者が起こした事故を「加害」と記述することへの違和感を考察した。被告支援ネットワークの形成には高齢者福祉や精神保健福祉行政の理念が深く関係していた。また、最高裁判決後、「リスクの社会化」についての議論が盛んになされた。最後に、本裁判と強く関係する「加害」や「徘徊」という記述の不適切性を指摘した。
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.35, pp.55-80, 2009-02-27

劇中に登場する独武者の素性を解明する作業を通して、能《大江山》が酒呑童子諸本の中でも香取本「大江山絵詞」に拠って作られていることを確認し、その独武者が能《土蜘蛛》にも登場することから、能の世界で頼光物として連作されたことを考証した。さらに、「大江山絵訶」絵巻は室町将軍のもとで作成され、その周辺に伺候していた観世座の者によって《大江山》が作劇された可能性について考察した。By clarifying Hitorimusha's identity who appears in the Noh “Oeyama”, this paper proves that this Noh was created by Katoribon of “Oeyama-ekotoba” among various kinds of Shutendoji-monogatari's manuscripts. Since this Hitorimusha also appears in the Noh “Tsuchigumo”, I examine that these Nohs were written as series of Raiko-mono in the world of Noh. Then I consider that the picture scroll of “Oeyama-ekotoba” was made under the patronage of Ashikaga shogun, and there is a possibility that a certain person of Kanze school who was around Shogun composed the Noh “Oeyama”.
著者
大森 光則 伊多波 良雄 Mitunori Oomori Mitsunori Omori Yoshio Itaba
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.61-76, 2009-07-25

外貨地方債とは、自治体が海外において発行もしくは募集した証券を指す。戦前の外貨地方債は、1899(明治32)年にわが国史上初めて神戸市が発行し、その後、東京市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市の旧6都がそれぞれ発行した。その理由は、水道、電気、ガスなどの都市基盤整備のためであった。戦後においても、東京都、横浜市、大阪市、大阪府、神戸市という大都市で発行されている。それらの都市で共通するものは、各自治体の臨海部の埋立事業である。さらに東京都では、地下鉄建設や下水道工事を行うことも目的となっている。それらを踏まえて、本稿では、先行研究のなかで十分に解明されていない点、すなわち外貨地方債を発行する際の政府及び自治体の保証と外貨地方債のメリット・デメリットに焦点を当てている。特に保証では、銘柄16件のうち11件に実際は付担保、優先弁済などの保証が付されていることを明らかにした。また、メリット・デメリットでは、公債負担論と外貨地方債を発行できる自治体の観点から述べている。特に戦後は、外貨地方債は、大都市のみに発行が許された結果、都市基盤の整備が行われた大都市と、これら以外の都市に格差が生まれることをデメリットとして挙げた。また今後の研究課題として、外貨地方債が自治体財政に与えた影響などを挙げた。

19世紀半ば以降に日本で形成された新しい語彙、概念や意味についての研究文献の目録。*日文研データベース「日本語彙研究文献」(2008年公開、2010年6月最終更新、2018年公開終了)で公開されていたもの。(収録文献数:7,034件)*内容は最終更新時点のものです。
著者
水上 直紀 中張 遼太郎 浦 晃 三輪 誠 鶴岡 慶雅 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2013論文集
巻号頁・発行日
pp.1-7, 2013-11-01

コンピュータ麻雀プレイヤの研究はあまり行われておらず、実力も平均レベルに届いていない状態である。本研究では4人零和不確定不完全情報ゲームである麻雀の多人数という要素を削除した1人麻雀を考え、1人麻雀と4人麻雀の差を解析し、その差を埋めることで1人麻雀の4人麻雀への適用を図る。解析の結果、4人麻雀と1人麻雀の最も大きな差は降りでことが分かったため、降りるべき局面を機械学習により認識できるようにした。降りを認識したプレイヤを4人麻雀で評価し、降りを認識しないプレイヤより有意に強いことを示した。また得られたプレイヤは平均プレイヤと同等の実力であることを確認した。