著者
小嶋 奨 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-138, no.20, pp.1-7, 2016-08-01

Software Defined Network(SDN) はネットワークをソフトウェアで定義することによって制御する技術である.SDN はパケットの転送機能を有する複数のスイッチと,パケットのルーティングを管理するソフトウェアを物理的に分離する.そして,両者を共通プロトコルで接続することで,ネットワークの機能をコントローラーで一元管理し,プログラムで柔軟に変更することができるため注目されている.SDN はスイッチとそれを制御するコントローラで構成される.コントーラがスイッチを制御するための標準プロトコルである OpenFlow では,スイッチはパケットが保持する情報のうち OSI 基本参照モデルのレイヤ 4 以下の情報に従った機能しか利用することができない.しかし,ネットワーク機能にはレイヤ 5 以上の情報を用いる次世代ファイアウォールや,L7 ロードバランサの持つ機能が存在する.これらのレイヤ 5 以上の情報に従った機能を利用する方法は,パケットをコントローラに送ることや,専用機能を有するネットワーク機器を配置することで実現できる.しかし,前者ではコントローラに頻繁にパケットを送る必要があるため通信速度の低下が発生し,後者では SDN の利点であるネットワーク構築の柔軟性を欠くこととなってしまう.そこで,本稿では,コントローラを介さずにスイッチでパケットのレイヤ 5 以上の情報に従った動作を行うための機構を提案する.本機構により,コントローラとの通信で発生する速度の低下を低減することが期待できる.
著者
一ノ瀬 俊也
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.99-117, 2001-03-30

満州事変以降の各市町村では,国防同盟会・銃後奉公会などの名称を有する銃後後援団体を設立,歓送迎や慰問などの後援活動,公葬を実施した。それは前線兵士の“労苦”,死の公的な意義づけ,顕彰であった。これを受けた兵士,遺族たちの側も「身命を君国に捧げ」る覚悟を披瀝したり,身内の死者が「護国ノ神トナツテ益々皇基ノ御隆昌ヲ護ラル」だろうなどと繰り返し声明させられたことは,彼らが公定の〈正義〉の論理に同意させられていく過程に他ならなかったのではないかと思われる。政府,軍が“郷土”の慰問・激励を奨励し続けた理由は,そこにあった。ただし,戦中戦後を通じて兵士たちの“郷土”がその“労苦”,犠牲の顕彰に努力し続けたことは,遺族たちにとって身内の死の「意義」の説明をうけることでもあった。それが彼らの一定度の謝意を獲得してもいったことは,注目されて然るべきと考える。
著者
田村 恭久
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CLE-13, no.11, pp.1-6, 2014-05-09

今後普及が予想される電子教科書における Learning Analytics 向けデータ項目とその活用方法について議論する。タブレット PC 上で閲覧・操作する電子教科書では、従来の LMS 上での学習より多量・多種の学習者データが取得可能である。学習者が書き込んだノートやハイライト、辞書や参考書の参照、Web リソースの参照、クイズ回答や協調学習の発言書き込みに至る調査・思考のプロセス、また将来は学習者の生理データも取得できる可能性がある。これらのデータを教育ビッグデータとして扱うことで、現在の Learning Analytics がどのように変容するかを議論したい。
著者
松崎秀則 東條信明 黒田亮 肥塚真由子
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1-2, 2013-09-02

これまでソフトウェアの品質を分析する材料として,詳細な実行トレース情報は十分には活用されてこなかった.クラウド技術の発達によりストレージや計算資源が安価になりつつあり,トレース情報を低コストに蓄積し解析するための環境が整いつつある.そこで我々はソフトウェア実行時のトレース情報を蓄積,解析,可視化するための統合プラットフォーム技術を開発した.本論文では,プラットフォームを利用した実例の一つであるバージョン間差分解析ツールについて紹介し,本プラットフォームの有用性を示す.
著者
Kensuke Sawada Yuichi Hanada Shinichiro Mori
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, 2016-10-15

This paper describes a user-installable indoor positioning system based on a new wireless beaconing method called a Wi-Fi location beacon, and a pedestrian dead reckoning (PDR) module. In the proposed system, the new wireless beaconing method offers an accurate positioning system using a high-gain beam antenna in the 5GHz Wi-Fi band. The antenna forms a narrow hotspot of received signal strength (RSSI) in the space immediately below itself; the user devices detect the hotspot by monitoring the RSSI. The beaconing module is also resistant to jamming by other wireless systems and noise. Experimental results show that the proposed system can work in a high density Wi-Fi environment with over 100 Wi-Fi stations, and the positioning error of the proposed system at CDF = 90% is about 3.5m. The positioning accuracy of the proposed system is slightly inferior to previous systems based on the Wi-Fi fingerprint method, but it achieves a similar function using a user-installable system which is easier to install and maintain than previous systems.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.24(2016) No.6 (online)------------------------------
著者
木村 賛
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.13-16, 2006-03

大学院看護科学論授業で問題となった,検証可能性というものについて,ヒトの進化過程に関する仮説の例を引いて考察した.
著者
平野 弥寿雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第46回, no.ソフトウェア工学, pp.197-198, 1993-03-01

近年ソフトウェアは大規模、複雑化しており、ソフトウェア開発において、工程遅れ、原価オーバー、品質の悪化等によるプロジェクト崩れが後を絶たない.このプロジェクト崩れの予測、防止を行うことは、今日のソフトウェア業界にとっては最重要課題である.ソフトウェア開発を、設計段階、製作段階、試験段階と三段階に分けた場合、プロジェクト崩れが判明するのは試験段階であり、この試験期間中に品質予測を行うことにより、プロジェクト崩れを予測、防止することが可能である.そこで、試験段階における試験項目数、障害件数、作業日の関係を示すPCL(プログラム・チェックリスト)消化・バグ検出曲線図(以降PB曲線と略す)による分析および、試験期間の途中段階での品質予測手法について述べる.
著者
真野 淳治 中村 剛士 世木 博久 伊藤 英則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.806-814, 1997-04-15

計算機を用いて毛筆文字を出力する際,文字入力するユーザの筆速や筆圧などの個性に応じてかすれやにじみを付加して表現する方法は出力文字の多様性を図るうえで興味深い.我々は,フラクタル計算法を用いたかすれ表現と,ファジィ計算法を用いたにじみ表現を行うシステムについて報告した.本稿では,くりこみ群計算法を用いた新たなかすれとにじみの表現方法を提案する.この方法ではかすれとにじみを同一方法で表現できる特徴を有する.すなわち,筆内部での墨量の変化に着目し,墨が筆先に染み込む様子をくりこみ群を用いて表現し筆モデルを作成する.次に,このモデルを用いて筆内部の墨量の変化と紙に染み出す墨量を表現し,ユーザが入力機器として用いる電子ペンの筆速と墨量によりかすれとにじみを疑似的に表現するシステムを試作した.また,かすれ具合の1つの評価としてフラクタル次元の解析により実際の毛筆文字のかすれ具合とフラクタル計算法を用いた毛筆文字のかすれ具合との比較評価の結果を示す.
著者
中村 剛士 真野 淳治 世木 博久 伊藤 英則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1008-1015, 1997-05-15

本論文では,TrueTypeなどの既存の毛筆フォントを処理し,疑似的な掠れまたは滲みのある毛筆フォントに変換出力する手法について述べ,本手法により作成した掠れ・滲み毛筆フォントを例示する.本システムでは,まず,毛筆フォントを入力し,これを2値画像に変換する.次に,2値画像フォーマットに変換した毛筆フォントを細線化し,毛筆フォントの文字骨格を獲得する.さらに,文字骨格を構成する各画素上に,筆触カーソルと呼ぶドットパターンを配置していく.以上の処理を実行し,入力毛筆フォントを疑似的な掠れまたは滲みのある毛筆フォントに変換出力する.なお,掠れおよび滲みの変化については,それぞれパラメータを設定することで多彩に表現することが可能である.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.116-119, 2007-11-09

コンピュータ将棋協会では1990年からコンピュータ将棋選手権を主催してきている.第17回世界コンピュータ将棋選手権は2007年5月3日から5日まで行われ,40チームの参加があった.この選手権では予選が1次予選と2次予選の2段階あり,最終日に決勝が行われた.2007年の選手権では,2次予選シードのうち1チームが不参加となったためシードされた15チームと1次予選からの進出9チームのうち5チームが決勝に進出する2次予選が行われたが,通常はシード16チームと1次予選からの進出8チームである.ここでは16+8の方式で用いられる対戦組み合わせシステムについて,次回採用が予定されているスイス式システムを含め,いくつかの対戦方式の評価を行ったので,それを報告する.