著者
岩井 洋 イワイ ヒロシ Hiroshi IWAI
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.79-89, 2004-03-30

日本人の宗教観や宗教意識を表現する際に,しばしば使われるのが「無宗教」や「無神論」といった表現である。本稿では,「日本人=無宗教」あるいは「日本人=無神論」という言説が生まれた背景を探るとともに,日本人が無宗教・無神論であるのかについて検討する。そして,それを踏まえて,日本宗教と異文化における宗教との比較研究を深化させる視点や,グローバル化状況における日本宗教を理解する視点を提示したい。
著者
本田 沙貴 吉岡 和子
出版者
ヨシミ工産株式会社
雑誌
福岡県立大学心理臨床研究 (ISSN:18838375)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.3-13, 2021-03-31

本研究の目的は、まず、自己愛的脆弱性の特徴によって調査対象者が6つのサブタイプに分類されることを確認することである。次に、自己愛的脆弱性サブタイプによって友人関係の在り方にどのような違いがあるのかを検討し、各サブタイプが友人関係にどの程度満足しているのかを明らかにすることである。自己愛的脆弱性の得点によりクラスター分析を行った結果、6つのサブタイプを見出し、想定した2つのうち1つが抽出された。次に、自己愛的脆弱性サブタイプと友人関係の在り方について検討した。友人と自分の役割を対等と考えている一方で、「自分で不安や衝動をコントロールできないので誰かに調整してもらおうとする」特徴を持つサブタイプは、友人の方が自分よりも役割を果たしていると感じており、実際に自分がしていることに自信がないことが推察され、自分が役割を果たせていないと考えていることが示唆された。そのため、友人との関係を深めることに戸惑いを感じている可能性がある。そして、各サブタイプが友人関係にどの程度満足しているのかについては、有意差は見られなかった。友人関係への満足感が60点以上の者が大半であり、思い浮かべた友人は、親密度が高い者であったことが理由の1つであると思われる。
著者
田口(袴田) 理恵 河原 智江 西 留美子 Rie Hakamada-Taguchi Chie Kawahara Rubiko Nishi
雑誌
共立女子大学看護学雑誌 = Kyoritsu journal of nursing
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-8, 2014-03

児童虐待の予防対策の充実は喫緊の課題となっているが、そのために必要な虐待の前段階を含む連続的な虐待の評価指標はこれまで開発されていない。このため本研究では、母親の虐待的行為の項目数と頻度からなる得点について、虐待の前段階を含む虐待評価指標としての妥当性を検討することを目的とした。本研究では、3-6歳の子どもを持つ母親を対象としてアンケート調査を実施し、虐待的行為得点と虐待の強力なリスク要因である社会経済的状況並びに育児感情との関連性を分析した。結果、虐待的行為得点は、十分な内的整合性を有するとともに、母子家庭、世帯収入の低さ、母親の低学歴と関連することが示された。また、虐待的行為得点は、育児負担感、育児不安と関係することが示された。したがって、本得点は、虐待の前段階を含む連続的な虐待の実態を把握するための指標として、一定の妥当性を有することが示唆された。
著者
魚尾 和瑛
出版者
大正大学
巻号頁・発行日
2019-03-15

2018年度
著者
川野 陽慈 高屋 英知 栗原 聡
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2020-ICS-198, no.2, pp.1-6, 2020-02-29

人々の生活に AI が浸透していく中で,コミュニケーションの円滑化を図る AI の構想は,「人と AI の共生」という観点から非常に重要なテーマである.本研究では,人間同士のコミュニケーションの中でも,インターネット掲示板での議論のように殺伐とした雰囲気に陥りやすいシチュエーションを想定し,その場の雰囲気を落ち着けるようなシステムの構築を目指す.その第一歩として,インターネット掲示板でしばしば登場する「矛盾塊」と呼ばれるアスキーアートの生成を試みた.具体的には,「画像と単語の意味のズレ」が重要であるとの仮説に基づき,WordNet を用いる手法と,辞書の見出し語を用いる手法を試みた.複数人によるアンケート調査の結果,ランダムで生成したものよりも良いという評価など,一定の成果が得られた.
著者
斉藤 康彦
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4(2009-CH-081), pp.25-32, 2009-01-16

歌集中に一定の回数以上出現する,一定の長さ以上の文字列を抽出し,これらの文字列に基づいて歌集を比較する分析方法を示す。古今和歌集と新古今和歌集の比較分析に本方法を適用した結果,抽出された文字列について,次のようなことが確認された。古今和歌集では,作者の心情を表出する表現が多く,恋歌の部立では,「こひもするかな」 「ひとのこころの」 がよく使われている。新古今和歌集では,自然の景物を指し示す表現が多く,特に秋や月に関わる 「あきかぜぞふく」 「あきのはつかぜ」 「あきのゆふぐれ」 「あきのよのつき」 「あきはきにけり」 「ありあけのつき」 「はるのよのつき」 などを含む歌は,歌集中の特定の箇所に集中して出現する。