著者
結城 剛志
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 = SHAKAIKAGAKU-RONSHU (The Social Science Review) (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
vol.139, pp.117-129, 2013

This is a fragmental note for studying the theory of Credit Money and Cartalism. This note includes three fragments. The first fragment summarizes the theoretical understandings of the system of modern inconvertible bank notes. The second fragment describes the precedence studies in the theory of Cartalism. The third fragment introduces and considers the examination of ‘the theories of standard of money’ in “A Contribution to the Critique of Political Economy” (Marx [1859]). How to understand the modern inconvertible bank notes is a very hot issue: It has been debated whether the notes are credit money or state paper money. The ‘inconvertible bank notes debate’ proposed a critical point of the theory of credit money that cannot explain the connection of gold money and inconvertible paper money. Traditional money-credit theory explains the credit money as convertible bank notes based on gold money, but the theory does not explain the inconvertible bank notes based on gold or any commodities consistently. The state money theory seems to explain the inconvertible bank notes successfully, but this theory has some theoretical inconsistency, too. In order to understand the modern system of money, this note summarizes the debate and picks up three issues, the concept of commodity, the interpretation of national bond as commodity, and the understanding of convertibility. The second fragment describes other doctrines explaining the inconvertible bank notes named cartalistic money, that is paper money which is not a commodity and contains no metal. The famous cartalist Birmingham school in the 19th century is criticized as ‘inflationist’ by Hawtrey [1928] or determined as ‘the doctrine of the ideal measure of money’ by Marx. The third fragment examines the definition of ‘the doctrine of the ideal measure of money’ and another version of cartalism, ‘the theory of the nominal standard of money’. The former theory is represented by Attwood and other Birmingham school theorists, the latter theory is represented by Steuart. Their considerations imply that these ideal money theories include three conditions of the ideal money: proportion to value, invariability of value, and arbitrariness of fixing a standard. However, we cannot approach credit money theory on this theoretical level, and we still have few clues between simple commodity circulation and the level of credit theory.
著者
梶原 智之 山本 和英
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.983-992, 2015-03-15

小学生の文章読解支援に向けた語彙平易化を目的として,国語辞典の語釈文から平易な語彙的換言を獲得する手法を提案する.国語辞典の語釈文は,見出し語を平易な語を用いて説明しており,見出し語から語釈文中の語への換言によって語彙の平易化が見込まれる.従来は主要部終端型である日本語の特徴を利用した語釈文末の語への換言が行われてきたが,我々は語釈文全体から見出し語と換言可能性のある候補を広く収集して換言する手法を提案する.換言候補から最終的な換言を選択する際には,文脈を考慮するよりもシソーラスに基づく語の類似度を用いた選択の効果が高いことを実験的に示す.
著者
植田 めぐ美 Megumi UEDA ウエダ メグミ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.65-86, 2019-03-31

本稿では、16世紀ブラジルにおいて、イエズス会が行ったトゥピ語による宣教活動と先住民のシャーマンが先導した抵抗運動を取り上げ、両者を比較することで、シャーマンがどのようにキリスト教を解釈していたのかを再構成することを目的とする。ブラジルにおける宣教活動は1549年にイエズス会によって開始された。初期の活動はトゥピ語系諸語を話す先住民が暮らしていた沿岸地域で行われた。自文化とは全く異なる文化に属する人びとへの宣教は困難であり、宣教師は直面した現実に応じて新しい宣教方法を模索してゆかなくてはならなかった。困難のひとつはキリスト教の教義をトゥピ語へ翻訳する作業であった。この言語にはキリスト教的要素を表す語が欠如しており、その解決策として、宣教師は先住民の文化的要素を転用した。例えば、キリスト教の唯一神には雷を象徴する神話的英雄を指すトゥパンという語が転用された。ポルトガル人が砂糖産業を発展させてゆくと、強制労働や伝染病が先住民を苦しめた。さらに、宣教師によって先住民の文化や慣習は否定された。このような現実から解放されるため、先住民はシャーマンが先導する抵抗運動に加わるようになった。この運動はポルトガル人に「聖性」と呼ばれた。「聖性」運動に見られる特異性は、シャーマンが「教皇」や「神の母」といったキリスト教の人物を自称するなど、キリスト教を排除することが目的であるにもかかわらず、運動の基盤となっているシャーマニズムの儀式にキリスト教の要素が転用されていることである。宣教師は、「聖」の概念を表すため、シャーマニズムの能力を意味する「カライーバ」という語を用いたが、トゥピ語に翻訳されたキリスト教において、「カライーバ」はキリスト教的領域を指す「真の聖」もシャーマニズム的領域を指す「偽りの聖」も意味する語として使用された。その結果、トゥピ語のキリスト教からは完全にシャーマニズムが排除されずに、先住民がシャーマニズムに沿ってキリスト教を再解釈する可能性を与えてしまった。ゆえに、シャーマンは「教皇」や「神の母」から宣教師に打ち勝つことのできるシャーマニズムの力を見出し、これらを「聖性」運動に取り入れたと考えられるのである。
著者
徳永 陽一郎 Yoichiro TOKUNAGA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1879-1896b, 1964-09

The M. S. SOYA, formerly a lighthouse supply vessel belonging to the Maritime Safety Agency of the Japanese Government, was remodelled as an Antarctic research ship in 1956. After the 1 st Antarctic voyage in which the Japanese Antarctic Research Expedition established the Syowa Base in Ongul Island, her cargo capacity was increased by 25% and her thrust horsepower by 20% over that of the previous year. During the 2 nd Antarctic voyage the M. S. SOYA could not approach the Syowa Base due to thick ice. One of her propeller blades was broken and the rudder stock was twisted during this voyage. Therefore, aerial transportation by two large helicopters was employed in subsequent expeditions. In 1958 the M. S. SOYA was fitted with a flight deck for Sikorsky 58 helicopters and gasoline storage tanks with necessary apparatuses. During the fourth remodelling work in 1959, a lifting boom was furnished for the S-58's on the stern derrick post. The spectacle frame was heavily damaged and the screw shaft was bent during the fourth Antarctic expedition. Repair work was carried out in 1960 and 1961.
著者
小祝 慶紀
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
國士舘法學 = KOKUSHIKAN HOGAKU = KOKUSHIKAN LAW REVIEW (ISSN:02868911)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.159-194, 2017-12-20

目次はじめに1. 汚染者負担の原則とはなにか2. 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故に関連する法律3. 放射性物質による土壌汚染に掛かる除染費用の費用分担おわりに謝辞参考文献
著者
北口 善明 近堂 徹 鈴田 伊知郎 小林 貴之 前野 譲二
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.13, pp.1-8, 2017-02-24

各オペレーティングシステムの IPv6 実装が進んだことで,IPv6 ネットワークが提供されればクライアント端末は IPv6 通信が優先となるケースが増えてきている.一方で,現在 IP アドレス自動設定の手法としては RA や DHCPv6 を用いたステートレス ・ ステートフル設定が RFC で策定され,その組み合わせによってはクライアントの意図しない挙動を誘発するだけでなく,ネットワーク環境へ与える影響も考慮しなければならない.本発表では,各種クライアント OS における IPv6 実装状況の検証結果を報告するとともに,これらがネットワーク運用管理に与える影響について考察する.
著者
竹内 聖悟
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.14, pp.1-4, 2015-02-26

強さの指標となるレーティングについて,対戦結果からの計算以外にも棋譜とプログラムの読み筋から計算する手法が研究されてきた.これらの手法ではプログラムに探索させて計算するため,計算コストがかかることが問題であった.本稿では,コンピュータ将棋対局場 Floodgate で指された棋譜を利用して悪手の計算を行う.Floodgate の棋譜には対局したプログラムによって評価値と最善手がコメントとして付記されており,これを利用することで計算コストを削減する.山下により提案された悪手率や好手率を Floodgate の棋譜向けに変更して実験を行ったがレーティングとの相関はあまりなかった.さらに,評価値に関する条件の緩和や悪手率の計算方法の変更を行ったところ,レーティングとの間に相関のある結果が得られた.
著者
塚本 昌彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.824-825, 2016-08-15

2016年7月に米国等で位置情報を扱うスマホゲーム「ポケモンGO」が公開された.公開から数日で膨大な数のダウンロードがあり,数多くのユーザがアウトドアでゲームをするという異様な風景が見られたと同時に,数多くの社会問題が発生し,メディア等で大きな騒ぎとなった.本稿ではこれらの状況について簡単な分析を行うと同時に,位置情報ゲームとしてのポケモンGOの特徴について述べる.さらに,今後のウェアラブルビジネスをはじめとするさまざまな業界への影響や展開の可能性について予想する.
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.11, pp.1-9, 2015-10-03

本論文では,高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育のありかたについて考察する.
著者
本多 マークアントニー 泉 政文 山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 Mark Anthony HONDA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

WEB表現へのまんがの適応について、その方向性として、①縦及び横の「スクロール形式 」、②「見開き」に基づくまんがの文法を解体し、一頁単位の表示に基づく文法にシフトした形式 、③静止画のスライドショー形式、の3つが仮説としてたてられ、今回の共同研究では、①のうち「縦スクロール形式」と③の「スライドショー形式」について、そこで採用されるべき文法を仮定し、それに基づき実験作品を制作した。縦スクロール形式においては日本まんが表現の「映画的手法」をいかに導入するかに研究の主眼を置いた。その結果、アイレベルを基準とし、それに続くコマでのアングルの極端な切り換え、コマの縦幅の極端な変化における「尺」(時間)の表現などの、紙媒体で成立した手法の中心的な部分が、WEBへの置き換えが可能であることが確認された。その結果、「横スクロール形式」よりも「縦スクロール形式」の方が映画的手法の移植に向いているという仮説が新たに得られた。また「横スクロール」においては、画面の天地ほぼ中央に視線誘導の基準となる中心線を置くことで視覚の流動性を確保したが、「縦スクロール」では画面を二分割して構図を構成することで画面の左右中央に基準線が存在するのに近い印象を与えることができた。