著者
井元 信之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.1317-1322, 2006-12-15

量子暗号,量子コンピューティング,量子テレポーテーションをキーワードとする量子情報処理の研究は揺籃期を過ぎて成長期にある.当初よりずっと進んだ課題もあればブレイクスルーが待たれる課題も明確になってきた.ハード的実現のアイディアも多々出ている.これらを概観するとともに,光による研究について触れる.
著者
許 俊傑 問馬 樹 方 舟 パリヤワン プージャナー 原田 智広 ターウォンマット ラック
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.221-226, 2019-11-01

本論文では,体全身を使用するモーションゲームにおいて,身体部位の使用のバランスを促進するための,対戦格闘ゲーム AI を提案する.本研究では,プレイヤーのゲーム支配力を調整することで,プレイヤーの入力に基づき,AI のアクションを制御する「プレイヤー支配調整(Player Dominance Adjustment, PDA)」と呼ばれる,新しい概念を使用する.これは,AI がプレイヤーの実行しようとしているアクションを分析し,そのアクションがバランスを高める場合,AI キャラクターにもっと有利な行動を取って,プレイヤーのゲーム支配力を上昇させる.そうでない場合,プレイヤーに対し AI が強い行動を取るように,モンテカルロ木探索(MCTS)から取得した行動を実行する.実験により,提案された AI が既存の AI(MCTS ベースの AI)よりもバランスが取れていることが示唆される.
著者
石川 和江 磯 麻衣子 松井 優果 塩谷 亜希子 山本 國夫 Kazue ISHIKAWA Maiko ISO Yuka MATSUI Akiko SHIOTANI Kunio YAMAMOTO
出版者
大手前大学健康栄養学部
雑誌
食糧・栄養と健康 = Otemae Journal for Food, Nutrition & Health (ISSN:24363251)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-34, 2022-03-31

<目的>現在、メントールを含有した飲料であるミントティーが多く市販されている。食品添加物でもあるメントールを含むミントティーの継続的な摂取が生理反応や感覚に及ぼす影響を調べた研究は少ない。また、女子学生は学生生活の中で冷えや暑さを感じることが多い。そこで本研究では女子学生を対象に、メントールを含むハーブ(ミント)の継続摂取による効果や安全性を明らかにすることを目的とした。<方法>この研究は、専門学校および大学の女子学生を対象とした。対象者は、メントール含有ペパーミント飲料(以下、ミントティー)を1日3回1週間連続摂取した。我々は、ミントティー摂取前と1週間継続摂取後、および2週間後に身体計測(身長、体重、BMI、基礎代謝、体温、血圧、脈拍)温冷感覚アンケート、クレペリン検査を実施し、ミントティーの温冷感覚への影響および安全性について検討した。さらに、クレペリン検査後に、主観的感覚アンケートを行った。統計解析は、15名の時間経過による変化および、ミントティー摂取前の温冷感覚アンケートの結果をもとに、感覚冷感群(以下、冷感群)、感覚暑感群(以下、暑感群)の2群に分類して分析した。<結果および考察>データ解析対象者は15名であった。15名全体では、生理応答、クレペリン検査に時間経過による有意な変化は見られなかったが、主観的アンケートでは、「疲れ感」に有意な変化がみられ、飲用前(以下、0週)に比べて飲用1週間後(以下、1週)に有意に低下した(p=0.020)。冷感群と暑感群の比較においては、ミントティー摂取による収縮期血圧は、暑感群では0週に比べて1週、摂取完了1週間後(以下、2週)とも低下し(p=0.003)、冷感群では1週に比べて2週で低下した(p=0.023)が、拡張期血圧は両群とも有意な変化はみられなかった。主観的感覚のうち、「疲れ感」は、冷感群で0週に比べ1週、2週とも低下した(p<0.001)。クレペリン検査による作業量は、両群とも0週に比べ1週、2週とも増加したが、変化量では、暑感群に比べ冷感群が有意に高かった(p=0.006)。本研究での女子学生は、ミントティー摂取による安全性への影響はなく、冷感群、暑感群で生理的応答と主観的感覚が異なることが示唆された。なお、本研究では、ミントティーの摂取期間中および摂取完了後1週間の身体計測等の基礎健康調査および問診での気分の悪化や頭痛、嘔吐、下痢などの症状に異常はなかった。
著者
田村 和也 川合 康央
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.28-30, 2021-08-23

現在コロナ禍において,実空間に観客が集まる形態でのライブイベントが,実現困難なものとなっている.そこで,生ライブ配信に対して,視聴者が音声という形でコメントを返し,共有することによって,新しい形のデジタルライブ空間を構築可能ではないかと考えた.本研究では,オンラインライブに音声コメントを追加することによって,ネット上であってもリアルな盛り上がりを共有可能かについて検証する.
著者
仲渡 理恵子 Rieko Nakato
出版者
同志社大学日本語・日本文化教育センター
雑誌
同志社大学日本語・日本文化研究 = Bulletin of Center for Japanese Language and Culture (ISSN:21868816)
巻号頁・発行日
no.18, pp.29-49, 2021-03

副詞「少なくとも」は、「せめて」と関連づけられることが多いが、「せめて」が様々な視点から研究されているのに比べ、「少なくとも」は用法などが明らかにされているとは言いがたい。本稿は、日本語書き言葉コーパスから、「少なくとも」の意味と用法を「せめて」と対照し、分析、考察したものである。その結果、「少なくとも」は、主に文中に配置され、名詞が後接し、人や時間についての言及や、数量を伴って用いられることが多いとわかった。「せめて」は「最大限」をも表すことがある場合が「少なくとも」とは異なり、「少なくとも」は、あくまで主観的に話者が最小だと思う数の表現や、最低だと考える範囲の見積りで留まっている点で、「せめて」のような幅を持たないことが判明したが、「少なくとも」は、「せめて」より多くの構文的展開が可能であった。「過去」「否定」「推量」「様態」「帰結」「名詞」「範囲」「必要性」「一般条件」は「少なくとも」のみで使われており、限定を示すとり立て助詞や、比較を意味する助詞が含まれる文も目立った。構文的展開に見られた「思う」は、「少なくとも」の意味が、主観的に話者が見積る最小量、最低限であるという点から、意志や断定に近い意味で「少なくとも」の文末に使われやすいという傾向も判明し、「少なくとも」は「少なくとも話者はM(=minimum:最小量や最低限の範囲の主観的な見積り)と思う」とモデル化することができた。