著者
岩本 洋一 桑田 聖子 簗 明子 栗嶋 クララ 石戸 博隆 増谷 聡 先崎 秀明
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】LaFargeの表は、統計から得られた式より年齢と心拍数から体表面積当たりの酸素消費量(VO2)を導き出す方法である。近年、先天性心疾患患者群において、LaFargeの式では、3歳未満の症例では、VO2を過大評価する、という報告が散見される。【目的】LaFargeの式の正確性並びに、年齢層による酸素需要の傾向を明らかにする。【対象】先天性心疾患を有し、当院において2013年6月から2014年12月までに心血管MRIと心臓カテーテル検査を受けた34名(平均年齢7.7±4.1歳)。【方法】心血管MRIの主要血管のphase contrast法から測定された心拍数(HR)を用いて、そのHRをLaFargeの式に当てはめたVO2値(LFVO2)と、心臓カテーテル検査時のSaO2値・SvO2値・Hb値とMRI検査時の体血流量を酸素需要式に当てはめる事によるVO2値(MRIVO2)とを比較・検討した。【成績】全症例におけるMRIVO2とLFVO2では相関が認められなかった(r=0.09, p=0.60)。年齢と、LFVO2とMRIVO2の比の相関関係は、弱い負の相関を示した(r=-0.24, p=0.15)。4.5歳未満の症例に限ると、LFVO2はMRIVO2より明らかに高値を示し、有意差が生じた(159.6 vs. 121.5, p<0.01)。4.5歳以上の症例に限ると、LFVO2とMRIVO2は弱い正の相関を示した(r=0.39, p=0.04)。また、Bland-Altoman解析では、VO2が低いとLFVO2が過大評価され、、VO2が高いと過小評価する傾向が認められた。【結論】LaFargeの式は、低年齢層には、不正確になる可能性が示された。今後MRIによる血流測定をもとにした簡便かつ正確なVO2予測式の確立を考える余地がある。
著者
大林 秀行 坂田 周平 山本 伸次 磯崎 行雄 服部 健太郎 平田 岳史
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

Most of the global events, such as formation of magma ocean, core-mantle segregation, crust formation, and/or chemical evolution of atmosphere, could be completed within the first 0.5 Byr of the Earth History, so called Hadean Eon. Despite the great importance of the Hadean Eon, no petrographic record can be found for this stage, and only geochemical information can be derived from small minerals such as zircons or other accessory minerals within zircons (e.g., apatite, muscovite, or biotite). For geochemical studies for Hadean Eon, many pioneering studies have been made based on the isotope geochemistry on zircons collected from Jack Hills and Mt. Narryer, Western Australia. It is widely recognized that zircons collected from these area have been thought one of the most principal clues for Hadean studies. Moreover, further detailed studies have been carried out from small inclusions in zircon crystals. Zircons from Jack Hills contain various mineral inclusions such as muscovite, quartz, biotite, apatite and so on, and about two-thirds of them are muscovite and quartz, probably due to secondary replacement of primary apatite (Hopkins et al., 2008, Rasmussen et al., 2011). Recently, biogenic carbon, as graphite inclusion, was recovered from 4.1 Ga zircon, but an abundance of carbon-bearing Jack Hills zircons of only about 1-in-10,000 (Bell et al., 2015). In addition, the percentage of Hadean zircons to detrital zircons in Jack Hills was as small as 7% (Holden et al., 2009). For these reasons, large number of age data for zircon grains must be defined to derive reliable and objective information concerning the Hadean history of the Earth. To overcome this, we have developed new analytical technique to define precise age data from combination of U-Pb (Pb-Pb) dating method with high sample throughput.We have developed rapid and precise dating technique for zircons using laser ablation ICP-mass spectrometer (LA-ICP-MS), equipped with two Daly ion collectors (Nu Plasma IID, Wrexham, UK). Laser ablation instrument used in this study was ESI NWR193 laser ablation system (New Wave Research, Oregon, USA). Combination of multiple collector-ICPMS system and ArF Excimer laser ablation system enables us to measure Pb-Pb age for the sample within 10 second/spot, and uncertainties in the resulting Pb-Pb age data can be minimized by the multiple-collector system setup. Based on the age determination system using LA-MC-ICPMS technique, we just started to measure Pb-Pb age data from 180 grains of zircons within an hour . In this presentation, difference in the resulting age histogram for the zircons collected from Jack Hills will be discussed, and detailed observation for various inclusions in the Hadean zircons will be demonstrated in this talk.
著者
古林 呂之 井上 大輔 田中 晶子 坂根 稔康
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】点鼻液剤の製造では、有効成分の溶解性を確保するために薬物の解離定数を考慮した液性に調整されるケースがあり、そのpH範囲は約3.5~8付近と幅広い。一方、鼻粘膜表面の粘液pHは5.5~6.5に維持されており、特にこの範囲を外れたpHに調整した点鼻液では、鼻腔内投与後の薬物の解離状態が変化し、鼻粘膜透過性に影響を生じると考えられる。本研究では、モデル薬物の鼻粘膜透過性に及ぼす投与液のpHの影響について、Calu-3細胞層を用いたin vitro透過実験による検討を行った。【方法】粘液pHの経時変化:気液界面培養法により培養したCalu-3細胞層(6-well)の表面に、pHを3.8、5.5及び7.8に調整した薬液を20 µLを滴下した後の粘液pHの経時変化を半導体 pH 電極(HORIBA)により測定した。透過実験:細胞間隙及び経細胞経路の透過マーカーとしてFD-4及び非解離性のantipyrineを用いて、薬液pHによる細胞層への影響を、粘膜側液量を1.5 mLとする定法の透過実験により評価した。モデルとしてacyclovir(ACV)及びlevofloxacin(LFX)をHBSS に溶解し、pH3.8、5.5及び7.8に調整した薬液を用いて、定法及び粘膜側に20 µL滴下する少量滴下法により透過実験を行った。【結果・考察】各pHの薬液を滴下した直後から粘液のpHは変化し、滴下後30分にはいずれの条件においてもpHは約6.4となった。また、各pH条件において透過マーカーの透過パターンに変化は観察されず、細胞層への影響はみられなかった。LFXの透過性は少量滴下法、定法共に、pHの影響は観察されず、ACVでは、定法においてpH3.8及び5.5で60分後の透過量が約4倍高くなったが、少量滴下法では透過にpHの影響はほとんど認められなかった。少量滴下法では、粘膜表面のpHが6.4付近に急速に戻されるため、ACVの透過性にほとんど影響しなかったと考えられる。現在、他のモデル薬物についても検討を進めており、発表に加える予定である。
著者
池田 博昭 中妻 章 森 久美子 飯原 なおみ 芳地 一 二宮 昌樹 夛田羅 勝義
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】2020年度授業は4月6日より対面授業を開始予定だったが、2週間遅れて4月20日から遠隔授配信授業を開始した。2ヶ月後の6月16日より対面授業を開始したため、学生は遠隔授配信授業と対面授業の2つの授業形態を経験した。学生に遠隔配信授業と対面授業のアンケートを実施し課題を抽出した。【方法】6年生と4年生に同じ質問内容のアンケートを実施した。内容は遠隔配信授業と対面授業のどちらが便利か、好むかなど13項目とした。6年生は筆記式、4年生は遠隔授配信授業で回答した。アンケートは無記名、成績評価に影響しない、結果を学会等で公表する同意を口頭で得た。【結果】6年生の56名中37名(66.1%, 男19名、女18名)が回答した。遠隔配信授業へのストレスは9名(24.1%)が感じ、その内容は通信量不足のためか遠隔配信の通知が遅れるなどWifi環境が原因だった(66.7%)。遠隔配信授業を有効としたのは29名(78.4%)、どちらでもない8名(21.6%)だった。遠隔配信授業に向いた授業は演習科目28名(75.7%)、スライド説明中心科目26名(70.3%)だった。遠隔配信講義の長所は通学時間がない28名(75.7%)、授業データ保存7名(18.9%)、卒業研究の実験しながら2名(5.4%)だった。37名中35名(94.6%)は遠隔配信授業が便利と回答、37名中21名(56.8%)は遠隔配信授業が好きと回答、16名(43.2%)は対面授業が好きと回答した。4年生32名中32名(男9名、女23名)が回答(100%)した。32名中30名(93.9%)は遠隔配信授業が便利と回答、32名中23名(71.9%)は遠隔配信授業が好きと回答、9名(28.1%)は対面授業が好きと回答した。【考察】学生は通学時間が不要などの理由で遠隔配信授業が便利と考える一方、遠隔配信授業は授業科目によると回答した。遠隔配信授業が好きと対面授業が便利に有意差はなく、授業科目に配慮して行えば通信量不足に悩む学生の満足は得られる。
著者
望月 美也子 長谷川 昇 山田 恭子
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】自閉症スペクトラム障害(ASD)などを含む発達障害は、生まれつきの特性で、子どもの発達の早い時期から症状が現れ、その発達過程に大きな影響を与える。近年、ASD児は定型発達児と比較して、血清ビタミンD濃度(25(OH)D)が不足または欠乏状態であることが報告されている。そこで、本研究は、3歳児を対象者として、サプリメントの摂取による血清ビタミンD濃度の維持が、ASD児の症状緩和に及ぼす影響を明らかにするために行われた。【方法】保護者から同意が得られASDと診断された3歳児男女を対象者とした。血液検査として、25(OH)D、カルシウム濃度、iPTHを測定した。ASD対象児の評価は、小児自閉症評定尺度(CARS)、日本版VinelandⅡ適応行動尺度、短縮版感覚プロファイル(Short Sensory Profiles;SSP)を作業療法士が実施し、サプリメントの摂取前後で比較した。【結果・考察】血液検査より、25(OH)D欠乏状態の児が25%、不足の状態である児が63%であることが明らかとなった。欠乏および不足状態の児がサプリメントを摂取すると25(OH)Dが有意に増加した。自閉検査のうち、介入前と25(OH)Dが有意に増加した介入後を比較すると、CARSおよびSSPの値が低下することが明らかとなった。日本版VinelandⅡ適応行動尺度では、コミュニケーションおよび日常生活スキルにおいて変化が認められた。以上のことから、サプリメント摂取による血清ビタミンD濃度の維持は、ASD児の一部の症状を緩和することが示唆された。